日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
110 巻, 10 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
総説
  • 小山 恒男, 友利 彰寿, 高橋 亜紀子
    2013 年 110 巻 10 号 p. 1725-1730
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/07
    ジャーナル フリー
    食道表在癌の大部分は自覚症状がなく,その発見契機は90%以上が内視鏡である.一方,食道表在癌の内視鏡診断は難しく,わずかな発赤や陥凹,隆起に注目して詳細に観察することが必要である.ヨード染色は食道表在癌発見に有用だが,胸焼けなどの副作用があり,また食道炎を惹起するため,ルーチンには使用できない.近年,急速に普及しつつあるnarrow band imaging(NBI)は被検者に負担をかけることなく,食道扁平上皮癌を効率よく発見することができる.また,NBIを併用した拡大内視鏡観察は鑑別診断,深達度診断に応用されている.
今月のテーマ:食道表在癌の診断と治療
  • 矢野 友規, 小田柿 智之, 森本 浩之, 依田 雄介, 大野 康寛, 金子 和弘
    2013 年 110 巻 10 号 p. 1731-1737
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/07
    ジャーナル フリー
    食道癌に対するESDは,EMRと比較するとより広範な病変に対して一括切除が可能で局所再発率が低く,根治性の面で優れていることから急速に普及しており,前向き試験での検証も行われつつある.ESDによる穿孔を中心とした合併症頻度は,EMRと差がなく安全性は同等という報告が多いが,長い治療時間を要する高度な手技であり,初心者が行う体制は慎重に構築する必要があり,トレーニング法の確立は重要である.また,適応拡大において最も大きな課題であったESD後の食道狭窄は,ステロイド投与などの予防法の開発や,再生医療の応用で克服されつつある.食道癌に対するESDの論文報告を中心に概説し,今後の課題について考察した.
  • 大倉 康男
    2013 年 110 巻 10 号 p. 1738-1744
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/07
    ジャーナル フリー
    食道の異形成には炎症性異型から上皮内癌までのさまざまなものが含まれていたが,1990年代に上皮内癌の組織診断基準が確立するようになり,異形成の多くが炎症性異型あるいは上皮内癌と診断されるようになった.2000年にWHO分類は異形成の問題を指摘し,上皮内腫瘍を新たに定義している.上皮内腫瘍は食道癌取扱い規約第10版(2007年)に採用されたが,上皮内癌の取扱いが欧米とは異なる日本では問題がみられている.その問題を解決するために,上皮内癌を独立させ,それ以外の上皮内腫瘍を異形成上皮とすることが提案され,2012年の日本食道学会総会で承認されている.その経緯を含めて上皮内腫瘍の取り扱いについて解説する.
  • 横山 顕, 大森 泰
    2013 年 110 巻 10 号 p. 1745-1752
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/07
    ジャーナル フリー
    飲酒,喫煙,野菜果物不足,やせ,頭頸部癌既往,アルコール脱水素酵素1B(ADH1B)低活性型とアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)ヘテロ欠損型は,食道癌の危険因子である.多発ヨード不染帯,メラノーシス,MCV増大もリスクを高める.ALDH2欠損でアセトアルデヒドが蓄積し,ADH1B低活性でエタノールへ長時間曝露される.両遺伝子型+飲酒+喫煙で357倍のリスクとなる.ビールコップ1杯で赤くなるか,現在と過去の体質をたずねる簡易フラッシング質問紙法は,精度90%でALDH2欠損を判別し,飲酒・喫煙・食習慣と組み合わせた食道癌リスク検診問診票の高スコア群の癌の頻度は高い.予防の新戦略となる遺伝子解析の普及が望まれる.
座談会
原著
  • 山崎 泰史, 竹中 龍太, 岡崎 倫子, 馬場 雄己, 濱田 健太, 高山 裕基, 竹本 浩二, 平良 明彦, 柘野 浩史, 窪田 康浩, ...
    2013 年 110 巻 10 号 p. 1774-1782
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/07
    ジャーナル フリー
    高齢者が多い当院における急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドラインの影響を検討した.対象は2000年1月~2011年9月に入院を要した急性胆嚢炎366例.総胆管結石合併を除く307例をガイドライン刊行前後で前期153例,後期154例の2群に分けて検討した.早期手術が前期23例,後期53例と後期で増加した.入院期間は前期17日,後期13日であり短縮を認めた.周術期合併症・死亡率に差はなかった.総胆管結石合併59例に関しても検討した.前期35例,後期24例であり,ERC下治療後の胆嚢摘出術までの日数は前期13日,後期6日と短縮を認めた.当院においても早期手術を行うことで,安全に入院期間の短縮が得られた.
症例報告
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