食道表在癌の大部分は自覚症状がなく,その発見契機は90%以上が内視鏡である.一方,食道表在癌の内視鏡診断は難しく,わずかな発赤や陥凹,隆起に注目して詳細に観察することが必要である.ヨード染色は食道表在癌発見に有用だが,胸焼けなどの副作用があり,また食道炎を惹起するため,ルーチンには使用できない.近年,急速に普及しつつあるnarrow band imaging(NBI)は被検者に負担をかけることなく,食道扁平上皮癌を効率よく発見することができる.また,NBIを併用した拡大内視鏡観察は鑑別診断,深達度診断に応用されている.