胃癌の成因には多くの因子が複雑に関与しているが、中でも
H.pylori感染は最も重要な因子である。
H.pylori感染は胃炎を惹起し、持続感染によって萎縮性変化をもたらす。胃癌は組織型に関係なく慢性胃炎を背景として発癌するのが一般的である。これまで疫学的成績、スナネズミを用いた動物実験、ヒトでの前向き研究などから、
H.pylori感染と胃癌の関連性は明らかになっている。
H.pylori除菌による炎症の改善が胃癌予防に結びつく可能性が指摘されている。動物実験においては
H.pylori除菌の胃癌予防効果は証明され、感染早期に除菌する方が発癌抑制効果が強いことも示されている。しかし、臨床での介入試験の成績は十分ではなく、胃癌予防における
H.pylori除菌の有用性はまだ明らかでない。
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