飲酒は口腔・咽頭・食道・大腸がんの原因であり,エタノールとアセトアルデヒドに発がん性がある.少量飲酒で赤くなるALDH2欠損型と,多量飲酒の翌日に酒臭いADH1B低活性型は,飲酒家の食道・頭頸部がんリスクを高める.赤くなる体質と飲酒・喫煙・食習慣によるリスク評価は食道がん検診に活用できる.濃い酒の空腹摂取は胃粘膜障害をおこしやすい.ワインは
H. pyloriの自然除菌を促進するかもしれない.大酒家や食道がん患者では
H. pylori感染を背景に萎縮性胃炎の進行が速く胃がんも多い.胃切除後の飲酒は急峻な血中濃度上昇を招きアルコール依存症のリスクを高める.飲酒と大腸がんとの関連は日本人で特に強い.
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