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川野 誠司, 楠 龍策, 相見 正史, 東 玲治, 石井 泰史, 藤代 浩史, 小林 計太, 岡田 裕之, 白鳥 康史
2007 年 104 巻 4 号 p.
535-541
発行日: 2007年
公開日: 2007/04/05
ジャーナル
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患者は82歳男性,主訴は嚥下困難.胸部中部食道に隆起性病変を認め,生検にていわゆる癌肉腫と診断した.放射線化学療法を行ったところ腫瘍の著明な縮小を認め7カ月後にはCRとなったが,約11カ月後に全身転移をきたしまもなく死亡した.剖検では転移巣に肉腫成分を認めた一方で原発巣はCRを維持したままであった.食道癌肉腫に対する放射線化学療法に関する報告は少なく,貴重な症例と考えられた.
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三好 里佳, 安永 祐一, 木津 崇, 井上 拓也, 渡辺 知英, 松本 由美, 堅田 龍生, 乾 由明, 興梠 隆, 西川 正博
2007 年 104 巻 4 号 p.
542-547
発行日: 2007年
公開日: 2007/04/05
ジャーナル
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73歳女性.主訴は咽頭痛,夜間咳嗽.18000/mm
3(WBC 21900/mm
3, Eos 82%)と著明な好酸球増加症および胃食道逆流症と診断した.ランソプラゾール投与により食道炎は軽快,好酸球は正常化した.ファモチジンへの変更にて胸やけの出現と好酸球の増加傾向を認め,オメプラゾールへの変更にて症状は軽快,好酸球も減少した.以上より胃食道逆流症が好酸球増加症の原因の1つとなりうることが示唆された.
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柏 敦文, 冨樫 弘一, 野村 悠, 宮脇 喜一郎, 金光 大石, 阿部 光将, 中村 斉
2007 年 104 巻 4 号 p.
548-554
発行日: 2007年
公開日: 2007/04/05
ジャーナル
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症例は44歳,男性.左季肋部痛と発熱を主訴に入院となった.腹部CT検査にて横行結腸癌穿孔にともなう胃壁膿瘍と診断,内視鏡的ドレナージおよび胆道用ドレナージチューブ挿入による内瘻術を施行後,臨床症状は速やかに改善した.以後,膿瘍の増悪を認めず,安全に原疾患の精査·治療を遂行できた.消化管穿孔にともなう胃壁膿瘍に対し,内視鏡的内瘻術を施行した症例は過去になく,貴重な症例と考え報告した.
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江口 隆, 小池 祥一郎, 前野 一真, 中村 俊幸, 岩浅 武彦, 中澤 功, 古田 清
2007 年 104 巻 4 号 p.
555-560
発行日: 2007年
公開日: 2007/04/05
ジャーナル
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症例は91歳の女性.急性胆嚢炎の診断で入院したが,翌日にショック状態となり,CTおよび超音波検査で胆嚢捻転症と診断し緊急開腹手術を施行した.胆嚢摘出を施行後に,小腸が広範囲で壊死に陥っていたため,広範囲小腸切除を行い,両断端を人工肛門とした.分節状で非連続的な腸管壊死を認め,腸間膜動脈に血栓を認めず,NOMIと診断した.本症は予後不良であり,早期診断および治療が重要と考えられた.
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真下 勝行, 原 順一, 新田 敦範, 大平 美月, 山口 誓子, 山田 忍, 田中 肇, 樋口 和秀, 荒川 哲男
2007 年 104 巻 4 号 p.
561-567
発行日: 2007年
公開日: 2007/04/05
ジャーナル
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症例は33歳の女性.主訴は下血.アルコール性肝硬変を指摘されている.既往に開腹手術歴がある.上部·下部消化管内視鏡検査を施行したが出血源を認めず.出血シンチグラフィー,上腸間膜動脈血管造影,同動脈造影下CTにおいて回盲部よりの出血と診断し開腹手術を施行した.卵巣と回腸末端の癒着があり,同部に静脈瘤の形成を認めたため回腸部分切除術を行った.門脈圧亢進をともなう消化管出血例で,開腹術既往のある症例では小腸静脈瘤も考慮する必要があると思われた.
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物江 恭子, 菅野 有紀子, 斉藤 広信, 阿部 和道, 高橋 敦史, 滝口 純子, 雷 毅, 引地 拓人, 大平 弘正
2007 年 104 巻 4 号 p.
568-572
発行日: 2007年
公開日: 2007/04/05
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症例は79歳女性.混合性結合組織病(MCTD)にて外来通院中,CTにて肝腫瘍を指摘され精査目的に入院となった.腫瘍径は約4cm大であった.トランスアミナーゼ値は軽度上昇を示したが,肝炎ウイルスマーカーは陰性であった.吸引肝生検を行ったところ中分化型肝細胞癌と診断された.一方,非腫瘍部は,非特異性肝炎像であった.MCTDと肝細胞癌の合併は過去に報告がなく,発生機序を考える上で示唆に富む症例と思われた.
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森田 慎一, 杉谷 想一, 小林 由夏, 原 弥子, 野中 雅也, 藤原 真一, 堀 高史朗, 飯利 孝雄
2007 年 104 巻 4 号 p.
573-578
発行日: 2007年
公開日: 2007/04/05
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症例は51歳女性。原発性アミロイドーシスにともなう著明な肝腫大により腹痛が出現。モルヒネの投与を行ったが効果不十分であったため腹腔神経叢ブロックを施行し、有効な除痛を得ることができた。腹腔神経叢ブロックは内臓痛の緩和を目的として施行されるが、手技的に簡便であり重篤な合併症も少ない。腹腔神経叢ブロックは良性疾患および腹部悪性腫瘍にともなう難治性疼痛に対し重要な除痛手段の1つであると考える。
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須田 浩晃, 伊藤 紗代, 三枝 善伯, 平畑 光一, 根本 夕夏子, 佐藤 浩一郎, 掛村 忠義, 藤沼 澄夫, 酒井 義浩, 高橋 啓
2007 年 104 巻 4 号 p.
579-583
発行日: 2007年
公開日: 2007/04/05
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症例は23歳女性.上気道炎後に発熱が続き,右下腹部に鶏卵大の腫瘤が触知され入院した.腹部超音波,CT, MRIでは右腸腰筋前面に6cm大の内部に壊死巣をともなう病変で,経皮針生検で組織球性壊死性リンパ節炎と診断された.組織球性壊死性リンパ節炎は上気道炎症状後に頚部を中心にリンパ節腫脹が出現するが,本症例は腹部に限局した腫瘤として出現し,経皮生検で診断しえたまれな症例であった.
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