当教室で,過去15年間に経験した膵嚢胞24例(男15例,女9例)につき,その診断,治療などに関して交献的考察を加えて報告した.24例中21例に開腹手術が行なわれ,そのうち,18例には膵嚢胞に対する手術が行なわれた.
組織学的診断は15例になされ,仮性嚢胞11例,貯溜嚢胞3例,嚢胞腺癌1例であつた.仮性嚢胞,貯溜嚢胞の発生要因として,飲酒,胆石,腹部外傷などが考えられた.
確定診断には,膵管造影,超音波などの画像診断が有効であつた.膵嚢胞に対する術式には,内瘻術14例,摘出術3例,外瘻術1例であつた.術後半年から2年の間に5例が死亡しており,そのうち2例は,良性疾患にもかかわらず何らかの膵病変により死亡していた.
抄録全体を表示