日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
79 巻, 5 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 野見山 世司, 西岡 文三, 石井 孝, 中村 憲二, 吉中 正人, 藤田 佳宏, 間島 進
    1982 年 79 巻 5 号 p. 1073-1083
    発行日: 1982/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    wister系Ratを用いて,幹迷切後50日,70日における胃幽門洞粘膜内gastrin cell (G-cell)と胃幽門洞及び胃体部粘膜内somatostatin cell (D-cell)のpopulation変化を酵素抗体法にて検討した.また酵素抗体法とAutoradiographyを組みあわせてG-cellのproliferation kineticsについても検討した.幹迷切後には空腹時血清ガストリンの有意上昇と幽門洞粘膜内G-cell総数の増加が認められた.しかしG-cell数の分布密度は迷切後は対照と比して差はなかつた.G-cell数の増加は迷切後の幽門洞粘膜の面積の拡大に相当した.
    一方,幽門洞胃体部粘膜のD-cell数は迷切後には有意の増加を示した.この増加は迷切後の胃体部粘膜の肥大だけでは説明つかず他の機序が考えられた.幽門洞粘膜G-cellのAGRによるproliferationkineticsでは迷切後では増殖能力を有するG-cell数が増加し,さらにgenerative cellからのG-cellへの分化増殖も促進しているのが認められた.
    以上より,迷切後血清ガストリンの上昇の一因はG-cellの増加の為でありG-cellとD-cellは関連して増加するものと思われた.
  • 佐々木 巖, 亀山 仁一, 今村 幹雄, 佐藤 寿雄
    1982 年 79 巻 5 号 p. 1084-1089
    発行日: 1982/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    実験的に胆管・膵管同時結紮時の胃酸分泌と消化管ホルモンにおよぼす幽門洞切除およびH2receptor antagonistの影響について犬を用いて検討した.食事刺激でのHeidenhain pouchの酸分泌量は,予め幽門洞切除を施行しても胆管・膵管同時結紮後は著明に高値を示したが,Cimetidine投与により抑制された.血清ガストリン値は全て低値を示し結紮前後で変動は認められなかつたが,血清セクレチン値は結紮後で高値を示しCimetidine投与により結紮前と同レベルまで低下した.以上のことより,胆管・膵管同時結紮時の酸分泌亢進の発生には幽門洞の関与は少なく,高セクレチン血症の発生は酸分泌を介する二次的変化であると考えられた.
  • 十二指腸球部および幽門輪変形と逆流胆汁酸濃度との関連において
    里見 隆彦
    1982 年 79 巻 5 号 p. 1090-1097
    発行日: 1982/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    消化性潰瘍患者で胃内胆汁酸濃度を測定し,十二指腸球部および幽門輸(以下:球部,幽門)の変形の程度と内視鏡的に胃びらんの有無,また切除胃で慢性胃炎の程度とを比較検討した.胃内胆汁酸濃度は潰瘍患者で高いものが多く,健常例に比べ有意であつた.(43例中23例.p<0.01).十二指腸潰瘍および胃・十二指腸併存潰瘍では球部,幽門の変形が強いもので胆汁酸濃度が高値を示すものが多く,また慢性胃炎も強い傾向がみられた.びらんの発生は十二指腸潰瘍で多く最高酸分泌量との関係が濃厚であつた.以上の結果より,球部,幽門の変形は逆流防止機転の破綻に関与し,胆汁酸の逆流増加は慢性胃炎を増強させる一要素であることが示唆された.
  • 一瀬 雅夫, 三木 〓正, 降旗 千恵, 景山 節, 丹羽 寛文, 岡 博, 織田 敏次, 松島 泰次郎, 高橋 健治
    1982 年 79 巻 5 号 p. 1098-1105
    発行日: 1982/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ヒト胃粘膜より精製したGroup I pepsinogen (PG I)を用いて血清PG Iのradioimmunoassay法を開発し,血清PG I濃度について検討を加えた.1)測定系の感度は0.7ng/mlであり,至適測定域は2.5~50ng/mlであつた.2)正常群223名の血清PG I濃度は43.9±24.9ng/m1(Mean±SD)であり,胃ビラン群(41.7±16.5ng/ml)との有意差は認められなかつた.3)消化性潰瘍群では十二指腸潰瘍(60.2±32.3ng/ml)>胃・十二指腸潰瘍(56.9±14.8ng/ml)>胃潰瘍(51.9±30.7ng/m1)であり,前二者は正常群との間で有意差を認めた(p<0.001).しかし,潰瘍の存在診断を個々の値から行なう事は難しいと考えられた.4)胃ポリープ群(21.2±17.0ng/ml)は正常群に比較し有意の低値を示した(p<0.001).年代別の成績から,血清PGI濃度は胃の萎縮性変化を反映しているものと考えられた.
  • 樋渡 信夫, 渡辺 晃
    1982 年 79 巻 5 号 p. 1106-1114
    発行日: 1982/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎の粘膜真性毛細血管を透過電顕で観察し,各種腸疾患を対照として主にmorpho-metricに比較検討した.活動期では毛細血管内皮細胞の著明な肥厚や風船状突出が見られ毛細血管の抵抗性は増加しており,また血管腔内に赤血球を認めることが少ないことより血流も少なくなつて微小循環不全状態にある.この状態は難治性を示す一因となつていると考えられる.さらに内皮細胞では飲小胞数は減少し機能低下状態にあり,また基底膜は多層化しており内皮細胞の変性,再生が繰り返しおこつている.緩解期ではこれらの変化は活動期と過敏性大腸症候群の間に位置しており,何らかのtriggerが加われば再燃しやすい状態にあると考えられる.
  • 高瀬 修二郎
    1982 年 79 巻 5 号 p. 1115-1122
    発行日: 1982/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ICGは主として血清のリボ蛋白およびアルブミンに結合するが,肝の病態によってはその結合様式が変化することが考えられる.そこで各種肝疾患についてpolyanion沈澱法により血漿リポ蛋白をHDL,LDLおよび非リポ蛋白に分面し,各分画蛋白に結合するICG比率を算定した.これらのうちHDL結合ICGは各種肝疾患においてきわめて特異な変動を示し,その測定は脂肪肝の病因の鑑別,急性肝炎の重症度や予後の判定,さらには慢性肝疾患の病態の解析にきわめて有用な検査法と考えられた.このHDL結合ICGの変動にはHDLの絶対的ないしは相対的変化が関係しているが,その変動にはアポA-Iの変化がより強く関係している可能性が推測された.
  • 名越 和夫, 中原 朗, 折居 和雄, 岡村 隆夫, 大菅 俊明, 岩崎 洋治
    1982 年 79 巻 5 号 p. 1123-1128
    発行日: 1982/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    原発性肝癌43例のうち,肝切除を行なつた症例は10例,15病変であつた.この切除例を対象に各種肝血管造影法の診断能を比較検討した.腹腔動脈造影では10例中4例,15病変中7病変が診断できたにすぎず,総肝動脈造影でも1病変に診断不能例をみた.この腹腔動脈造影で診断できなかつた8病変中7病変までが,3cm以下の小さな肝癌であつた.また,これら小さな肝癌の局在をみると,すべてが肝右葉の横隔膜に接する部位にあつた.このような8病変は,固有肝動脈造影で診断が可能となつた.また経上腸間膜動脈門脈造影を行ない,最大径が3cmを越える肝癌症例のすべてに,門脈の圧排,浸潤所見をみた.これらのことより,肝癌の血管造影診断にあたり,肝内のすべての肝癌を正しく診断するためには,固有肝動脈造影以上の超撰択的造影を行なう必要がある.また,経上腸間膜動脈門脈造影像は,肝癌の門脈浸潤の有無の診断に有用であることがわかつた.
  • とくに癌合併に関し
    鮫島 恭彦, 武藤 良弘, 内村 正幸, 脇 慎治, 林 輝義
    1982 年 79 巻 5 号 p. 1129-1136
    発行日: 1982/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    この8年間に,先天性胆管拡張症36例と膵胆管合流異常症(明瞭な膵胆管合流異常があり,胆管に拡張がない)3例を経験したが,これらの胆嚢癌合併頻度は10%で,胆管癌の合併頻度(10%)と同様に高かつた.胆嚢癌合併例の胆嚢を組織学的に検索したところ,粘膜化生と癌との関連が示唆された.そこで,先天性胆管拡張症胆嚢19個と対照胆嚢317個の粘膜化生を中心に検討し,次の結果を得た.
    1) 推計学的に,先天性胆管拡張症の胆嚢粘膜化生は対照例に比し有意に強く,2) それは膵胆管合流異常に影響されていると想定できた.故に,膵胆管合流異常による逆流膵液が,粘膜化生と癌化に関係を有すると推測した.
  • 山室 美砂子
    1982 年 79 巻 5 号 p. 1137-1146
    発行日: 1982/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Elemental diet(ED)の消化液分泌におよぼす影響について基礎的に検討するため,Wistar系ラットに胆汁瘻,膵液瘻を作製し,無麻酔,無刺激で実験した.膵液分泌はEDの胃内投与で強く刺激されるが,空腸内投与ではほとんど刺激されない.胆汁分泌は投与部位による差異を認めなかつた.また高張糖液,総合アミノ酸溶液の空腸内投与により,膵液分泌は抑制されたが,脂肪乳剤ではEDと同様に著しい変化を認めなかつた.次に胆汁または膵液の欠落した状態においてEDを長期間投与した場合でも,水分,窒素,電解質バランスの上からは対照群との間に差はなく,消化器外科患者の栄養管理に有用であることが示唆された.
  • 松本 雅裕
    1982 年 79 巻 5 号 p. 1147-1155
    発行日: 1982/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    慢性膵炎症例(33例,男子29女子4例)で血清脂溶性ビタミンE基礎値及びdl-alpha-tocopherol acetate 600mg経口負荷後の血中濃度上昇はいづれも有意の低下を示し,PS試験による膵外分泌機能障害度と有意の正相関を示した.またラットでビタミンEの十二指腸内負荷時の血中ビタミンE濃度は膵管又は胆管結紮群で共に低値を示した.一方慢性膵炎症例の血清過酸化脂質濃度は高値を示し,ビタミンEと有意の負相関を認め,血清glutathione peroxidase(GSHPx)活性も有意の低下を示した.長期ビタミンE欠乏ラット群においても同様に血漿過酸化脂質濃度の上昇とGSHPx活性の低下を認めた.
  • 特に経過観察しえた症例を中心として
    斉藤 振二, 竹田 喜信, 佐伯 正彦, 天津 孝, 福本 健治, 多田 秀樹, 築山 順一, 板橋 司, 若林 明, 大柴 三郎
    1982 年 79 巻 5 号 p. 1156-1163
    発行日: 1982/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    膵疾患,非膵疾患計238例にPS試験の際,膵型isoamylaseによる血清酵素逸脱誘発試験(誘発試験)を実施した.膵外分泌異常は112例にみられ,亢進群75例,軽度低下群21例,高度低下群16例であつた.誘発試験陽性は全対象中33.2%の頻度にみられ,膵疾患群では急性膵炎後,膵癌,膵嚢胞,慢性膵炎疑診群,非膵疾患群では肝硬変,消化性潰瘍,胆道疾患などに多かつた.膵疾患群,非膵疾患群とも外分泌亢進群では誘発陽性頻度が高く,それぞれ51.9%,39.6%をしめた.したがつて逸脱誘発陽性の病態に膵の過分泌状態が重要な因子となり,また長期経過観察例からも逸脱誘発現象と膵外分泌機能は密接に関連していることが分った.
  • 自験24例の検討
    尾畑 秀明, 古賀 明俊, 西浦 三郎, 吉田 良, 中山 文夫
    1982 年 79 巻 5 号 p. 1164-1172
    発行日: 1982/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    当教室で,過去15年間に経験した膵嚢胞24例(男15例,女9例)につき,その診断,治療などに関して交献的考察を加えて報告した.24例中21例に開腹手術が行なわれ,そのうち,18例には膵嚢胞に対する手術が行なわれた.
    組織学的診断は15例になされ,仮性嚢胞11例,貯溜嚢胞3例,嚢胞腺癌1例であつた.仮性嚢胞,貯溜嚢胞の発生要因として,飲酒,胆石,腹部外傷などが考えられた.
    確定診断には,膵管造影,超音波などの画像診断が有効であつた.膵嚢胞に対する術式には,内瘻術14例,摘出術3例,外瘻術1例であつた.術後半年から2年の間に5例が死亡しており,そのうち2例は,良性疾患にもかかわらず何らかの膵病変により死亡していた.
  • 海瀬 俊治, 西間木 友衛, 森藤 隆夫, 吉田 浩, 粕川 禮司, 浅野 重之, 若狭 治毅
    1982 年 79 巻 5 号 p. 1173-1177
    発行日: 1982/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 加藤 俊幸, 丹羽 正之, 斉藤 征史, 小越 和栄
    1982 年 79 巻 5 号 p. 1178-1182
    発行日: 1982/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 菊地 一博, 原沢 茂, 三輪 剛
    1982 年 79 巻 5 号 p. 1183
    発行日: 1982/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 牛尾 恭輔, 笹川 道三, 山田 達哉, 田尻 久雄, 吉田 茂昭, 小黒 八七郎, 岡田 俊夫, 板橋 正幸, 広田 映五
    1982 年 79 巻 5 号 p. 1184
    発行日: 1982/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 小田 浩之, 古阪 悦子, 笹川 豊, 神坂 和明, 前沢 秀憲
    1982 年 79 巻 5 号 p. 1185
    発行日: 1982/05/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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