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河島 祥彦
1990 年 87 巻 2 号 p.
163-172
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
内視鏡的食道静脈瘤硬化療法 (EIS) 時における凝固線溶系および血小板凝集能について検討した. その結果, 1) 硬化剤の静脈瘤内•外注入併用群 (A群) では接触因子系の活性化を反映するF. XIa-α
1antitrypsin 複合体は著明に上昇し, これは硬化剤の血管内皮細胞障害によるものと考えられた. 2) A群では凝固線溶系は著明に変動したが, 多くの指標はEIS後18時間でEIS前値に復帰し, また出血傾向や全身多臓器障害を認めずDICとは異なる病態と考えられた. 3) 硬化剤の静脈瘤外注入単独群 (B群) では凝固線溶系の変動はみられなかつた. したがつて, 極度に肝機能の低下した症例に対しては静脈瘤外注入単独法も考慮すべきと思われた. 4) EIS前後で血小板凝集能に大きな変化は認めなかつた.
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谷 俊男, 土橋 康成, 依岡 省三, 丸山 恭平, 光藤 章二, 時田 和彦, 児玉 正, 岡 隆宏, 芦原 司
1990 年 87 巻 2 号 p.
173-180
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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急性胃粘膜障害がヒト慢性胃炎の原因の一部になり得るかについては不明の点が多い. この問題を実験的に明らかにするためにラットを用いて幽門筋切開術による十二指腸内容の胃内逆流と酢酸グリセリンの強制投与により反復する急性胃粘膜障害を作成し, どのような粘膜変化が惹起されるかを噴門部および胃体部粘膜を中心に病理組織学的, 形態計測学的に調べた. 幽門筋切開術は腺底部と粘膜筋板の間に線維化を発生させた. 酢酸グリセリン投与は副細胞の数的増加と粘液含量の増加を引き起こした. 副細胞の分布域は個々の腺管レベルでは腺底部方向へ拡大し, 粘膜領域としては噴門粘膜から肛門側へ拡大した. 酢酸グリセリンの投与量の増加により副細胞の変化が増強した. 副細胞の増生性変化に並行して主細胞•壁細胞は減少し一部に分岐腺管の出現を認めた. 即ち萎縮性変化が出現していた. 以上の諸変化はヒト慢性胃炎で見られる粘膜変化に基本的構造類似性があるため, 繰り返される急性胃粘膜障害が慢性胃炎の原因の一部となる可能性が示された.
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消化器癌に対するモノクローナル抗体による抗原局在およびムチン染色について
奥隅 淳一, 横田 隆, 沢井 清司, 近藤 慎治, 桑田 克也, 田中 真澄, 山根 哲郎, 山口 俊晴, 藤田 佳宏, 高橋 俊雄, 丸 ...
1990 年 87 巻 2 号 p.
181-186
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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大腸癌合併潰瘍性大腸炎2切除例の癌部, dysplasia, 非癌部粘膜を消化器癌に対する各種モノクローナル抗体による免疫組織染色およびムチン染色を用いて, 抗原の局在, 組織分布について検討した. ヒトスキルス胃癌に対するモノクローナル抗体S202, 抗CEAモノクローナル抗体では癌部は染色され, dysplasia は弱く染色された. 非癌部粘膜は染色されなかつた. ヒト大腸癌に対するモノクローナル抗体A
7では, 癌部は染色されたが, 非癌部粘膜, dysplasia は染色されなかつた. High-iron diamine Alcian Blue によるムチン染色では, 癌部, dysplasia には sulfomucin, sialomucin ともに染色されず, 非癌部粘膜は abnormal pattern を示した.
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特に上皮細胞におけるHLA-DR抗原の発現と樹状細胞の役割について
木村 昌之, 森瀬 公友
1990 年 87 巻 2 号 p.
187-194
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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潰瘍性大腸炎(UC)27例を対象として免疫組織化学的検討を行つた. 大腸粘膜のリンパ球サブセットの検討では, Matts 分類 grade 4, 5群でCD3, CD4, CD8および Leu 7陽性細胞が正常大腸粘膜に比べいずれも増加していた. しかし, CD4/CD8比は Matts 分類では変化がなかつた. 大腸粘膜上皮細胞におけるHLA-DR抗原の発現はUC活動期では88.9%, grade 3以上では84.2%と高率に認められ, また上皮直下の粘膜固有層にはHLA-DR抗原陽性の樹状細胞が増加していた. さらに grade 4, 5群症例では, S-100蛋白陽性樹状細胞の増加を粘膜固有層上層に認め, これらのS-100蛋白陽性樹状細胞はIL-2R陽性であり, UCの免疫学的機序に樹状細胞の関与が示唆された.
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高山 尚, 高木 均, 斎藤 修一, 小島 亨, 飯塚 春太郎, 片貝 重之, 山田 昇司, 小林 節雄
1990 年 87 巻 2 号 p.
195-198
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝癌に対する Tumor necrosis factor (recombinant TNF-α) の効果を知るために in vitro での肝癌培養細胞PLC/PRF/5に対するTNF-αの抗腫瘍効果を測定し, さらに, Interferon-γ (IFN-γ) を併用する事によるTNF-αの抗腫瘍効果に対する影響についても検討した. TNF-α単独では, PLC/PRF/5のDNA合成能, 生存率, およびHBs抗原産生量に有意な影響を与えなかつたが, IFN-γを併用する事により, これらの抗腫瘍効果は有意に増強された. 以上よりPLC/PRF/5に対するTNF-αの抗腫瘍効果は, 単独では認められないがIFN-γとの併用により, 有意に発現される事が示された.
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吉川 敏一, 小山田 裕一, 市川 寛, 内藤 裕二, 田井中 憲三, 上田 茂信, 竹村 俊樹, 谷川 徹, 杉野 成, 近藤 元治
1990 年 87 巻 2 号 p.
199-205
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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肝の虚血再灌流障害に対する活性酸素および脂質過酸化の関与について検討した. 虚血は門脈右枝と右肝動脈を15分間クランピングすることにより作成した. 血清GPTと肝組織中の thiobarbituric acid 反応物質は, 15分間の虚血後, 30分間の再灌流によつて両者とも有意な上昇を認めた. その上昇は, superoxide dismutase と catalase の併用で有意に抑制され, 肝の虚血再灌流障害の病因として, 活性酸素および脂質過酸化の関与が示唆された. またアロブリノールの投与により血清GPTの上昇は有意に抑制され, 肝組織中のTBA反応物質の上昇も抑制傾向を示したことから活性酸素の生成源としてヒポキサンチン•キサンチンオキシダーゼ系が重要であると考えられた.
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斉藤 孝一, 黒田 聖仁, 高木 徹, 西間木 友衛, 森藤 隆夫, 粕川 禮司
1990 年 87 巻 2 号 p.
206-210
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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血清 Group specific component protein (Gc) の定量化をEIA法にて確立し, 急性肝障害患者における血清Gc値の臨床的意義について検討した. その結果, 平均血清Gc値は, 劇症肝炎6.0±7.4mg/dl, 急性肝炎20.8±13.6mg/dl, 健常者39.4±13.8mg/dlと肝障害の重症度によつて低下した. 各種肝機能検査値と比較すると, PTTと相関したが, GOT, GPT, CHE, AFPなどとは相関しなかつた. 劇症肝炎患者における経時的変動を見ると, 生存例では血清Gc値は上昇したが, 死亡例では軽度の上昇に過ぎず, 肝での産生障害が示唆された.
血清Gc値の測定は, 急性肝障害時の肝障害の重症度の指標となりうる可能性が示唆された.
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久保井 広志, 溝口 靖紘, 河田 則文, 坂口 浩樹, 関 守一, 小林 絢三, 森沢 成司
1990 年 87 巻 2 号 p.
211-217
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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マウスに
Propionibacterium acnes (P. acnes) 加熱死菌を静注し, 1週間後に lipopolysaccharide (LPS) を追加静注すると広範な肝細胞壊死が誘導され, ほとんどのマウスは死亡する. さて, 劇症肝炎の治療法として glucagon-insulin 療法が知られているが, 著者らはこの急性肝不全モデルに glucagon と insulin を併用あるいは単独に投与し, その影響について検討した. その結果, glucagon (0.5mg/kg体重) と insulin (0.5units/kg体重) を, または glucagon (0.5mg/kg体重) 単独にLPSと同時に腹腔内投与をすると, マウスの生存率は著明に改善し, 血清 transaminase 値も低下した. また, 組織学的にも肝細胞障害は軽度であつた. 一方, insulin (0.5units/kg体重) 単独投与では効果はなかつた.
以上の結果より, 本急性肝不全モデルの防御に glucagon-insulin が何らかの作用を発揮していることが示唆された.
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岡田 周市, 木村 邦夫, 税所 宏光, 土屋 幸浩, 梶川 工, 大藤 正雄
1990 年 87 巻 2 号 p.
218-224
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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肝内胆石症の多様な病態に対する治療方針を明らかにする目的で, 本症における保存的治療の診断後5年間の遠隔成績を検討した. 対象は肝内型 (I) および肝内優位型 (IE) の本症のうち, 診断時に保存的治療もしくは無治療の治療方針を採り, その後5年以上経過した29例である. 21例 (72%) では良好な経過を示し, 死亡および肝内胆管癌の合併はみられなかつた. 胆石の分布では片葉型が両葉型に対し, 胆石の部位では末梢肝管型が主肝管型に対し, それぞれ有意に経過良好であつた. 臨床所見の重症度では軽症例が重症例に対し有意に経過良好であつた. 肝外胆管胆石の合併例において内視鏡的乳頭切開術による肝外胆管胆石の除去は臨床所見の改善に有効であつた. 肝内胆石症 (I, IE) における保存的治療の長期遠隔成績は胆石の部位をはじめとする診断時の病態によつて異なることが明らかとなつた. したがつて, 肝内胆石症の治療法は病態に基づいて適切に選択する必要がある.
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とくに単独療法との比較による治療効果の検討
吉川 正治, 江原 正明, 大藤 正雄, 三好 武美
1990 年 87 巻 2 号 p.
225-234
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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肝細胞癌54例において, 肝動脈塞栓後に放射線療法 (併用療法) を施行した28例と, 放射線療法のみ施行した26例の臨床効果を比較した. Partial Response は, 併用療法で82.1%, 放射線療法で69.2%に見られた. 併用療法の累積生存率は, 1年70.8%, 3年37.1%, 5年27.9%であり, 放射線療法に比べ長期生存例が多数見られ, また, 累積再発率は, 併用療法が低値を示した. 併存肝障害度が Child Cである例は, 両治療共に予後不良であつた. 腫瘍径5cm以下の肝細胞癌または門脈腫瘍塞栓合併例における肝動脈塞栓療法との累積生存率の比較では, 併用療法は有意に予後良好であつた. 症例を選択した併用療法は, 有用性の高い治療法と言える.
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小林 剛, 藤田 直孝, 李 茂基, 木村 克巳, 池田 卓, 豊原 時秋, 長野 正裕, 矢野 明, 長南 明道, 松永 厚生, 安藤 正 ...
1990 年 87 巻 2 号 p.
235-242
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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粘液産生膵腫瘍 (以下, 本症) は, 病理診断については悪性病変から, 過形成のような良性病変まで種々のものが含まれているのが現状で, それらの鑑別が臨床上きわめて重要と考えられる. 本症の拾い上げと言う点では, USが最も有用であり, また膵管内隆起や,限局した膵管拡張など, 局所の変化の観察には内視鏡的超音波検査 (以下, EUS) が優れていた. 本症の組織学的診断は膵管上皮 (嚢胞上皮)過形成例を除く腫瘍性病変では, 乳頭腺癌および乳頭腺腫が多く, それを反映したEUS所見としては, 膵管内もしくは嚢胞腔の乳頭状の隆起や, 隔壁肥厚様所見, 膵管内腔壁の不整などであつた.
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瀬川 謙一, 中 英男, 奥平 雅彦, 勝又 伴栄, 山本 佳正, 五十嵐 正広, 岡部 治弥, 工藤 康生
1990 年 87 巻 2 号 p.
243-247
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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竹内 教能, 八木田 旭邦, 立川 勲
1990 年 87 巻 2 号 p.
248-251
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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山崎 壮一, 岡崎 正敏, 東原 秀行, 秋田 雄三, 鳥谷 裕, 白井 善太郎, 岡本 潔, 志村 秀彦
1990 年 87 巻 2 号 p.
252-255
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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忠願寺 義通, 松崎 靖司, 海老原 次男, 正田 純一, 西 雅明, 松本 尚志, 田中 直見, 小山 捷平, 福富 久之, 大菅 俊明, ...
1990 年 87 巻 2 号 p.
256-262
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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肝静脈のしだれ柳様変形と対比して
西森 功, 岡崎 和一, 森田 雅範, 宮崎 正子, 坂本 芳也, 井戸 英司, 鍵山 惣一, 宮尾 昌宏, 山本 泰朗, 山本 泰猛, 円 ...
1990 年 87 巻 2 号 p.
263-267
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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金子 健一朗, 原 春久, 安藤 久實, 高木 篤, 江間 幸雄
1990 年 87 巻 2 号 p.
268-272
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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大元 謙治, 山本 晋一郎, 井手口 清治, 山本 亮輔, 高取 敬子, 大海 庸世, 日野 一成, 平野 寛, 廣川 満良
1990 年 87 巻 2 号 p.
273-277
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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坂根 正芳, 宇佐美 真, 土師 誠二, 浜辺 豊, 大柳 治正, 斎藤 洋一
1990 年 87 巻 2 号 p.
278-282
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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正木 忠彦, 武藤 徹一郎, 鈴木 公孝, 森岡 恭彦
1990 年 87 巻 2 号 p.
283
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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高升 正彦, 布施 好信, 川本 克久, 児玉 正, 加嶋 敬, 川井 啓市
1990 年 87 巻 2 号 p.
284
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー