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石上 晃庸, 藤川 博敏, 宮川 正秀, 荒川 泰行, 安倍 久子, 竜崎 仁美, 松岡 俊一, 森山 光彦
2008 年 105 巻 7 号 p.
1034-1043
発行日: 2008年
公開日: 2008/07/07
ジャーナル
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症例は70歳,男性.上腹部痛および発熱を主訴に当科外来受診,血液検査にて炎症反応の著明な上昇が認められ入院となった.上部消化管内視鏡検査所見および,胃液培養検査にて多剤耐性の連鎖球菌が検出されたことから胃蜂窩織炎と診断し,塩酸バンコマイシンおよびレボフロキサシンの併用にて加療開始後,臨床症状は速やかに改善した.胃蜂窩織炎の加療に塩酸バンコマイシンが用いられた症例は検索し得た範囲において過去になく,貴重な症例と考え報告した.
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大森 信弥, 三浦 達也, 佐熊 勉
2008 年 105 巻 7 号 p.
1044-1048
発行日: 2008年
公開日: 2008/07/07
ジャーナル
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症例は90歳女性.貧血,めまいで当院に緊急搬送された.腹部超音波検査およびCT検査では,下行結腸において同心円状の管腔像を認めた.大腸の内視鏡検査および注腸造影検査では下行結腸に蟹爪様の陰影欠損を呈する腫瘤を認めた.下行結腸における腸重積と診断し,下行結腸部分切除が施行され,腫瘍の組織診断は粘液癌であった.超高齢者における特異な経過を呈したと思われ,文献的考察を加え報告する.
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濱田 康彦, 田中 匡介, 松田 信介, 永井 盛太, 野田 知宏, 小坂 良, 青木 雅俊, 青田 卓実, 豊田 英樹, 鈴木 英明
2008 年 105 巻 7 号 p.
1049-1054
発行日: 2008年
公開日: 2008/07/07
ジャーナル
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症例は81歳の女性.腹膜刺激症状をともなう左下腹部痛があり,入院となった.入院時の腹部CTで,下行結腸内に腸管を貫くように鋭利な異物を認め,また異物が腸管外へ穿通した結果生じたと思われる遊離ガスを後腹膜腔に認めた.消化管異物による後腹膜腔への穿通と考え,緊急大腸内視鏡検査を施行,内視鏡的に異物を除去した.異物は前日に食べた魚骨であり,絶食·抗菌剤投与による保存的加療を行い軽快した.
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川久保 実和, 徳永 徹二, 小針 伸一, 中村 幸嗣, 青野 茂昭, 林 琢也, 箱崎 幸也, 眞方 良彦
2008 年 105 巻 7 号 p.
1055-1060
発行日: 2008年
公開日: 2008/07/07
ジャーナル
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症例は53歳男性.定期健診にて血小板低値を指摘され,精査の結果特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と診断された.
H. pyloriの陽性が内視鏡生検で確認されたため,除菌治療を施行し成功するも血小板の増加を認めず.そのため,ステロイド治療を開始し,1年4カ月後の血小板正常化時の経過観察中に血便が出現し,大腸内視鏡および生検にて潰瘍性大腸炎(UC)直腸炎型と診断した.ITPが先行するUCの合併例は本邦3例目であり,直腸炎型では本邦初であった.
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桑谷 将城, 河上 洋, 大和 弘明, 品田 恵佐, 田中 栄一, 平野 聡, 近藤 哲, 伊藤 智雄, 浅香 正博
2008 年 105 巻 7 号 p.
1061-1069
発行日: 2008年
公開日: 2008/07/07
ジャーナル
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膵groove領域に発生した膵癌3例を経験した.いずれも発見契機は閉塞性黄疸であった.十二指腸内視鏡検査では十二指腸は狭窄しており,2例で内視鏡的減黄術が不可能であった.CTでは膵頭部から十二指腸に境界不明瞭な造影効果不良域として描出された.超音波内視鏡検査では総胆管と十二指腸に接した膵内の低エコー性腫瘤として描出され,pancreatic groove carcinomaと診断し得た.
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村田 依子, 大川 伸一, 天野 歩, 上野 誠, 宮川 薫, 塩澤 学, 杉政 征夫, 林 宏行, 宮城 洋平
2008 年 105 巻 7 号 p.
1070-1077
発行日: 2008年
公開日: 2008/07/07
ジャーナル
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症例は64歳女性.2002年盲腸癌穿孔のため回盲部切除術を施行され,高分化腺癌,ss,ly0,v0,n(-),stage IIであった.2005年腹部CT検査にて膵尾部に径2cmの腫瘤が出現し,膵体尾部切除,脾合併切除術を施行した.膵腫瘤は中分化腺癌で盲腸癌と類似しており,また
p53,
k-ras遺伝子ともにpoint mutationが一致し,盲腸癌の膵転移と診断された.
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目黒 敬義, 山本 毅, 西岡 可奈, 熊谷 進司, 米地 真, 川端 和歌子, 近藤 史帆, 菅原 亜紀子, 岩指 元, 中村 隆司, 松 ...
2008 年 105 巻 7 号 p.
1078-1086
発行日: 2008年
公開日: 2008/07/07
ジャーナル
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症例は26歳,女性.黄疸を自覚して入院."groove pancreatitis"による胆管狭窄および十二指腸狭窄と診断してプレドニゾロン30mg/日にて2週間治療したが,改善傾向が認められず,膵頭十二指腸切除術を行った.病理組織学的には十二指腸,下部総胆管,膵頭部に囲まれた"groove"領域に瀰漫性に浸潤する低分化腺癌が認められ,"pancreatic groove carcinoma"と考えられた.若年発症であり,"groove pancreatitis"と酷似した臨床像を呈していたため,術前診断はきわめて困難であった.
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三輪 一太, 丸山 保彦, 景岡 正信, 永田 健, 大畠 昭彦, 野田 裕児, 池谷 賢太郎, 松井 智文, 甲田 賢治, 渡辺 文利
2008 年 105 巻 7 号 p.
1087-1092
発行日: 2008年
公開日: 2008/07/07
ジャーナル
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自己免疫性膵炎は症例の蓄積により次第にIgG4関連の全身疾患の一部分症として捉えられつつある.われわれは高IgG4血症を認めながらエコー,CT上明らかな膵病変を認めないCastleman病,後腹膜線維症の2例を経験した.いずれもステロイドで改善した.これらの疾患については膵病変の有無にかかわらず,IgG4関連の全身性疾患という観点から血清IgG4の計測,組織のIgG4免疫染色を含め再検討する必要がある.
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