日本内科学会雑誌
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48 巻, 2 号
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  • 鈴木 隆
    1959 年 48 巻 2 号 p. 173-189
    発行日: 1959/05/10
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    著者は肝炎, 肝硬変患者に対しアミノ酸混合溶液, および, 蛋白質水解溶液を静脈内投与し, 又クエン酸, チオクト酸, γ-アミノβ-ハイドロオキシ酪酸, α-ケトグルタール酸を単独, あるいは混合アミノ酸と併用した. (1) 混合アミノ酸溶液投与後肝硬変においては動脈, および, 静脈血中アンモニア濃度の上昇が著明であつた. 混合アミノ酸, あるいは, 蛋白質水解溶液投与によるアンモニア増量は, 両者の間に差異を認めなかつた. (2) 肝炎, および, 肝硬変例においてクエン酸, チオクト酸, α-ケトグルタミン酸, γ-アミノβ-ハイドロオキシ酪酸などの投与により血中アンモニア濃度は減少した. これら物質と混合アミノ酸溶液を併用すると血中アンモニア濃度の上昇はいちじるしくなかつた. (3) アンモニア減少作用は次の順序で著明であつた. クエン酸, チオクト酸, γ-アミノβ-ハイドロオキシ酪酸, α-ケトグルタミン酸. (4) 四塩化炭素による肝機能障害犬, および, 門脈副行枝形成犬において同様の結果がえられ, 上記物質投与後の血中アンモニア減少は肝機能障害犬においていちじるしかつた.
  • 小玉 隆一
    1959 年 48 巻 2 号 p. 190-199
    発行日: 1959/05/10
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    脳循環研究進歩のためには人の成績のみではなく, 動物実験が必要である. しかし, 動物の脳は人に比して小さく, かつ, 血管構造上にも難点があるため, 脳循環の動物実験は困難視されていた. 容易に入手し得る犬を用い, 人の成績と比較するために, N2O法による脳循環測定の可能性を調べた. このさい, 基本的な問題から追求し, かつ動物実験では避けえない条件を厳重に検討した. 犬では人と異なり, 完全な脳混合静脈血をうることは不可能であるが, 静脈系の検索により, 開頭せず, ほゞ混合脳静脈血とみなしうる血液がえられるようになつた. この血液を用い, 脳循環諸量を測定したところ, 麻酔深度によりいちじるしく変化すること, あるいは, 同一条件下で前後2回の測定で値に変りないことなどが判明した. とくに, 深麻酔時の成績など, 人体で施行不能な実験も動物を用いることでできるようになつた点, 意義あることと考える.
  • 第1編 V.B1欠乏症の発症実験
    吉田 秀雄, 佐藤 東達, 松本 豊, 黄瀬 隆夫, 石井 正次, 徳山 石夫, 田中 芳一, 彌重 正之, 西尾 幸輝, 奥村 賢太郎, ...
    1959 年 48 巻 2 号 p. 200-208
    発行日: 1959/05/10
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    著者等は某収容所の収容者38例に, V.B1欠乏 (1日1.19mg) 高熱量, 高蛋白食を給与し, 7例の潜在性欠乏症を認めた他, 15例に亜急性V.B1欠乏症の発生を見た. いわゆるV.B1欠乏症状の発現度と, 血中V.B1量とは平行せず, 総V.B1の欠乏はCo-carboxylaseの減少に基づくものでV.B1とV.B2とは対蹠的の経過を取る. Acetylcholinesteraseは著増し, A.T.P. ase., Alkaline Phosphataseも共に変化する. 副腎皮質機能は初め微弱の亢進, 後甚だしい減衰を来たす. Na/K比も減少し, MgはB1の低下と逆比例的に増加する. 動脈血O2-飽和度は低下する.
  • 1) 健常例における血清lipoprotein及び血清cholesterolに関する研究 2) 動脈硬化性疾患における血清lipoprotein及び血清cholesterolに関する研究
    八杉 忠男
    1959 年 48 巻 2 号 p. 209-226
    発行日: 1959/05/10
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    近時血清脂質と動脈硬化の関係が注目されているが, 各種血清脂質の担体である血清lipoproteinの健常及び動脈硬化症における動態を把握することは, 同疾患のpathogenesisを追求するため重要であるとともに, その人種的差異と動脈硬化性疾患発生の頻度の差の問題に関しても重要な資料を提供するであろう. この血清lipoproteinは超遠心法によりStandard Sf Rateとして計測し得るが, この高分子物質は年令とともにその血中濃度を増加し, またその血中濃度は食餌の影響のみならず, 人種的にも明らかな差が認められる. このStandard Sf 0-400 lipoproteinは動脈硬化症の進展と強い相関を示し, これより導びかれたAtherogenic Index for Japaneseは健常例と動脈硬化症例の分別に, 血清cholesterol測定よりはるかにすぐれており, 動脈硬化の進展, 治療効果, 予後等の判定に有力な手段となり得るものと思われる. 一方動脈硬化の進展を脂質代謝の面より, A.I.J.と個体の生存の期間の凾数としての量的概念, すなわち, Accumulation Index of Atherosclerosisとして説明し得るものと思われる.
  • 中野 実
    1959 年 48 巻 2 号 p. 227-234
    発行日: 1959/05/10
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    結核によらない肺不全に対しても, 病態生理学の進歩により, その病像が明らかにされつゝある. その初めに気道障害を主とする肺疾患, すなわち気管支喘息, 慢性肺気腫は, 放置することにより肺性心へと移行しうるものである. これら肺不全の対策として, Prednisolone, Diamox, Salicylateを投与し, また, I.P.P.B./I.に気管支拡張剤, 界面活性剤を併用し, その治療効果を換気力学的な面より検討した. Prednisolone, I.P.P.B./I.療法は可逆的因子の多い気管支喘息に対して著効があつたが, 非可逆的因子をふくむ肺気腫においては効果の少ないものもあつた. Diamox, Salicylate内服は, 気道障害の少ない, 呼吸性アシドーシスなどに有効と思われた.
    気管支喘息に対しては慢性肺気腫への移行を, 慢性肺気腫に対しては肺性心への移行をくいとめることが必要と考える.
  • 秋城 和人
    1959 年 48 巻 2 号 p. 235-242
    発行日: 1959/05/10
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    滲濾出液の性質を鑑別することは各種の検査方法を用いても必ずしも容易でない. 滲濾出の発生機転よりして, 両者になんらかの差異があるべきことが考えられる. 種々なる疾患に由来する滲濾出液 (胸水37例, 腹水24例) に健康人O型洗滌赤血球を加え, その沈降速度および沈降状態を観察し滲濾出液の鑑別の一助となる所見を得たので報告する. 結核性滲出液中赤沈は1時間値が15mm以上で, 沈降にさいして上澄と赤血球との境界面は不鮮明で, 赤血球の大きい集積塊を生成するが, 癌性滲出液および, 非炎症性濾出液中赤沈は1時間値が10mm以下で15mm以上のものは1例もなく, 沈降にさいしての境界面の状態は鮮明で, 赤血球の集積塊は非常に小さいか, または, ほとんど認められない. なお, 結核性滲出液中赤沈は臨床症状の改善により赤沈値は低く, 赤血球の集積塊も小さくなる傾向がみられる--結核性液中には赤沈促進因子, または, 赤血球集積塊生成因子が存在し, 炎症の状態とともに変動するものゝごとく思われる.
  • 藤沢 敏雄
    1959 年 48 巻 2 号 p. 243-255
    発行日: 1959/05/10
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    目的: 腎炎の発生病理及び治療. 特徴: 現在腎炎の発生病理については抗原抗体反応によるアレルギー性変化と考えられている. 今迄提示された実験的腎炎には馬杉腎炎, 溶連菌の反復注射による腎炎, α-グロブリン注射による腎炎等があるが, 現在最も合理的に考えられている馬杉腎炎でさえ, 溶連菌と如何なる関係にあるか理解するに苦しむ. 著者は血中催腎炎物質 (青色グロブリン物質) にて腎炎を発症せしめ得, この物質は溶連菌と関連づけて合理的に説明し得ること, 等腎炎の発生病理と合理的に理解し得る実験である.
    結果: 青色グロブリン物質 (血中催腎炎物質) を家兎の腎動脈に注入すると, 臨床的にも腎炎の所見が得られ, 組織学的にびまん性糸球体腎炎の像が得られた. この青色物質はビタミンC処置により催腎炎性を失い, またCortisone, ACTHの投与は青色物質による腎炎の発症を抑制せしめ得た.
  • 加藤 莊一
    1959 年 48 巻 2 号 p. 256-272
    発行日: 1959/05/10
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    方法: Knüchelの血清γ-グロブリン亜分劃法を改変し, 臨床的に利用し得る簡易なる方法とし同法を用いて血清γ-グロブリンを測定した. A. 臨床的研究: 1) 血清γ-グロブリン分劃をメタノール試薬の濃度により (12%, 20%, 32%) 3亜分劃に分け, そのおのおのを12%値, 20%値, 32%値と名づけると各亜分劃の比率は正常人では22: 28: 50である. 2) 肝疾患にては総γ-Gl量の増加に伴ない12%値が増加する. (左方移動を呈する). 3) 軽症肺結核にては総γ-Gl量の増加と共に32%値が増加するが, 之に反し重症肺結核にては12%値が増加する. 4) ネフローゼの血清はγ-Glの減少と共に亜分劃像にて左方移動を呈する. 5) 硫酸亜鉛, チモール, 高田, C・C・Fテスト陽性の血清は12%値が増加している. B. 実験的研究: 家兎を用い免疫学的並びに肝障害実験を行なつたが, 同様の結果を得た.
  • 山田 欽, 大野 松次, 久田 忠男, 戸嶋 しまえ, 秦 親憲, 清水 進, 池田 精孝, 山崎 寿仁, 加藤 勲, 久田 タカ
    1959 年 48 巻 2 号 p. 273-287
    発行日: 1959/05/10
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    胸腹水, 胃液, 喀痰, 尿等の排泄物や分泌物を対照として各種の採集手技が考えられているが, 我々も現在迄述べられている之等の方法を癌患者に実施したが尚陰性例がみられ, 限界のあることを知つた. そこで陰性例に対して癌細胞誘発法としてナイトロミン投与により陽性に転化することが出来, 成績の改善及び手技の簡易化並びに患者の苦痛を軽減出来た. 次に臓器穿刺針を工夫することにより, 従来の方法で材料を得ることが困難であつた臓器に対しても何等危険なく実施し得て, あらゆる臓器からの材料採取を可能にした. 更に材料の処理法として既に我々が発表したアラビアゴム溶液による多層式重層遠心分離法により各種不純物を除き, 癌細胞のみを選択的に多数集めることが出来て検出成績を改善し得た. 又分離時の比重値を参考にして, 従来鑑別困難であつた変性細胞の鑑別に成功した.
  • 笹本 浩, 楊 俊哲, 安川 奎一, 片山 一彦, 藤咲 喜一, 中野 実, 岡崎 敬得, 尾崎 恭輔, 加藤 邦夫, 高橋 隆一, 角野 ...
    1959 年 48 巻 2 号 p. 288-297
    発行日: 1959/05/10
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    Acetazoleamideが呼吸性アシドーシスに有効なことが相当報告されているが, その作用機序については, 必ずしも一致した見解が得られていない. ことに, 1回のみの投与で換気量の増加しない場合にも呼吸困難を主とする自覚症状が改善されることをわれわれは多く経験した. そして本剤投与により〔H+〕が上昇して呼吸中枢が刺激されるが, 動脈血CO2分圧が50mmHg以上の例では換気量が増加せず, 血液組織間のガス分圧勾配が増大して, O2が摂りやすく, CO2を放出しやすくなるために自覚症状の改善がみられると考えられる結果を得た. 動脈血CO2分圧が50mmHg以下の場合は, 長期投与の場合と同様に換気量が増加して, CO2排出が増加し, 尿加へのHCO3-排泄増加と相まつて呼吸性アシドーシスの改善をみることを知つた. したがつて, 肺不全が高度で, 高CO2血症が強度のものには人為的過剰換気の方法を併用して本剤を投与することが望ましい.
  • 肝脳症候群を呈した症例
    望月 宏
    1959 年 48 巻 2 号 p. 298-303
    発行日: 1959/05/10
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    47才の家婦で約25年前に腹部疾患の手術をうけた際, 臨床検査に用いられたと思われるトロトラストが, 肝に沈着して肝硬変症, 肝脳症候群を呈した症例を報告した. 本例は高度の肝機能障害を有し, X線検査で肝, 脾, 腹腔リンパ節等に濃厚な陰影を認め, 肝生検により組織に沈着したトロトラストを証明し, Stripping法によるmicroautradiographyでこれよりαトラツクの像を認めた. 剖検で肝, 脾, 骨髄, 腹腔リンパ節に高度の結合組織の増殖と, トロトラスト顆粒の沈着が見られ, 肝の一部には血管腫, 内皮細胞腫の発生を証明した. 本例は前後13回の意識朦朧状態発作を操り返えし, 脳の組織所見に封入体, 膠裸細胞核, 海綿体様変化等が見られ, トロトラストの沈着によつて起こつた肝障害例で, 肝脳変性疾患特殊型類似症を呈した症例である.
  • 1959 年 48 巻 2 号 p. 304-347
    発行日: 1959/05/10
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
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