多くの内分泌疾患は,ホルモン動態を反映した顔貌,体型,皮膚などの外見の異常,血圧,脈拍などの循環動態の異當及び内分泌腺の腫大による甲状腺腫や下垂体腺腫による視野狭窄・頭痛などが身体診察にて把握可能である.各ホルモンの産生・作用機構の理解を前提とした注意深い問診と併せた身体診察による所見から特定の内分泌疾患を想起することが早期診断の契機となる.本稿では,内分泌疾患の診断において特に重要な身体診察所見として,顔貌,体型,脂肪の分布と量,皮膚所見,発毛の状態(頭髪,髭,体毛,腋毛・恥毛),外性器などの視診,下垂体腫大に伴う視野の対座法,甲状腺の触診に焦点をあて概説した.さらに,血圧・脈拍(バイタルサイン)の異常においてどのような時に内分泌疾患を想起すべきかにも触れた.
抄録全体を表示