日本内科学会雑誌
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62 巻, 3 号
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  • 小関 迪
    1973 年 62 巻 3 号 p. 245-257
    発行日: 1973/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    1768年William Heberdenのくわしい記載以来,狭心症の病態生理について多くの研究が行なわれて来たが,そのメカニズムの解明はまだなされたとはいえない.また狭心症の運動負荷にかんする研究も多く報告されているが,その成績は必ずしも一定せず異論も少なくない.著者は典型的な労作性狭心症を対象に運動負荷を施行し,狭心発作時の血行動態および狭心発作と運動負荷量の関係について,くわしく検討を行なつた.運動負荷による血行動態については二つのパターンがみられた.すなわち,運動負荷量がある一定以上に増大すると心拍出量がさらに増加するI群と,逆に減少するII群である.運動による心拍数の増加は両者に差がみられず, II群の心拍出量の減少の要因は1回拍出量の低下のためであり,同時に急性心不全の傾向が窺えた. Robinsonのrate-pressure productと狭心発作の相関性について賛否両論があるが,著者の成績ではI群はよく一致し, II群は相関を認めなかつた.狭心発作と運動量の間に等価関係をみい出す目的で繰り返し行なつた運動負荷の成績から狭心発作誘発仕事量(〓+σ)を算定し,各症例の発作発現の閾値を求めた.この発作誘発仕事量を基準として薬物の治療効果を調べるため,運動耐容量の増し,およびup and down法による狭心発作抑制の時間帯について検討したが,運動耐容量の増しについてはmolsydomineが他の2薬より有意に大きく,また発作抑制の時間帯はmolsydomine 5.46時間であつた.以上本論文は労作性狭心症に血行動態からみて二つの型があり,運動耐容量,狭心発作誘発仕事量は狭心発作の客観的評価に極めて有用であることを示している.
  • 福本 攻, 南隅 毅, 加納 正, 大林 明
    1973 年 62 巻 3 号 p. 258-266
    発行日: 1973/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    25才,女性のIgA単独欠損症例.生来健康であつたが,子宮弛援出血のため輸血を受け,間もなく血清肝炎を発症した.その後2年半の間に3回肺炎をくりかえした. IgAは血清中だけでなく唾液中にも欠如し,粘膜面における局所免疫の欠陥がうかがえた.さらに, DNCBも陰性で,細胞性免疫機構の部分的不全も加わつていた. IgA単独欠損症と肝炎との合併は,これまでにも散見され注目はされているが,本症例の場合も,どちらが先行していたかの因果関係は明らかにできなかつた.しかし, RF,抗IgA抗体,抗IgM抗体,抗IgD抗体,抗サイログロブリン抗体などを証明し,補体成分(β1A,β1E)の減少を認めたことは, IgA単独欠損症と自己免疫性疾患との密接な関係を示唆するものと考えられた.また,家系調査では他にIgA欠損例はなかつたが,免疫グロブリンの異常が注目された.なお,本例では,肝炎症状消退後も常にICGとBSPの血中停滞値の解離がみられた.
  • 元吉 和夫, 桃井 宏直, 三上 理一郎, 小坂 樹徳
    1973 年 62 巻 3 号 p. 267-273
    発行日: 1973/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    1969年, Walkerらは, Marfan症候群とEhlers-Danlos症候群の症状を併せもつた1症例を報告し,結合組織の新しい遺伝疾患であろうと考えて, Marfanoid Hypermobility Syndromeと名付けた.しかし,彼らの報告は1例報告にすぎず, 1)実際に新しい遺伝疾患なのか, 2)遺伝形式はどうか, 3)皮膚,骨格,関節の病変だけなのか,などの点については不明のままであつた.最近,われわれは彼らの報告に類似した症状を有する者を多発した一家系を発見し,その家系3世代19名の生存者全員の詳細な臨床的家系調査を行ない,家系図の人類遺伝学的考察から,この疾患を結合組織の新しい遺伝疾患として確立すると共に,遺伝形式が常染色体性優性であること,皮膚,骨格,関節だけでなく心,肺にも病変を起こす全身性疾患であることなど,この疾患の臨床的概念をはじめて明確にすることができた.
  • 池田 康夫, 外山 圭助, 松木 駿, 浅野 誠一, 相羽 元彦, 加野 象次郎
    1973 年 62 巻 3 号 p. 274-279
    発行日: 1973/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    74才,女性.全身倦怠感,肩の痛みを主訴として来院.入院時,著明な貧血,異型性ある骨髄形質細胞の増加,尿中L Bence-Jones蛋白,骨破壊,著しい腎機能障害を認めた. L Bence-Jones型骨髄腫による腎不全として経過観察中,便秘,嘔吐,腹部膨満が出現.腹部単純X線像,注腸透視より閉塞性イレウスの併発が考えられた.全身状態は悪化し,回腸瘻造設術を施行するも効果なく,腎不全は進行し,気管支肺炎を合併して死亡した.剖検にて全消化管の固有筋層内にアミロイドの著しい沈着を認め,これがイレウスの原因と思われた.アミロイドはその他,舌,心,肺,腎,骨格筋にみられたが,とくに腎尿細管円柱中にアミロイドがみられたことは興味深い.アミロイドーシスの消化器症状を中心に,イレウス発現の機序についての文献的考察を行ない,さらにアミロイドーシスと骨髄腫との関係についても言及した.
  • 久保島 和子, 小原 和子, 新名 通子, 劉 瑞恵, 小坂 樹徳, 大沢 仲昭, 長滝 重信
    1973 年 62 巻 3 号 p. 280-286
    発行日: 1973/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    先天性甲状腺機能低下症の患者でathyreosisが成因である場合に,同時に甲状腺ホルモン代謝酵素の活性異常を伴う報告は少ない.われわれはそのような1例を経験したので報告する. 21才,女性.生後10カ月に先天性甲状腺機能低下症と診断され,それ以後甲状腺末を服用し続け,身体的には正常の発育をとげたが高度のidiocyを残した.諸検査の結果, athyreosis,甲状腺ホルモンの代謝酵素(deiodinase)活性の二次の低下,甲状腺組織の欠損の結果, thyrocalcitoninの分泌低下を推定せしめる成績,高度の高脂血症,ことに高triglyceride血症, arginine負荷時のIRIの高反応等多彩な変化を認めた.治療は合成thyroxineとtriiodothyronineを10:1 (150α/day:15γ/day)の割合で投与し,臨床症状の改善と共に血中の甲状腺ホルモン動態(T3RSU値,血中thyroxine値, PBI)も正常化した.
  • 1973 年 62 巻 3 号 p. 352
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
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