日本内科学会雑誌
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55 巻, 3 号
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  • 第2編 水・電解質代謝異常時における血中corticosteroneの動態
    近藤 隆
    1966 年 55 巻 3 号 p. 135-139
    発行日: 1966/06/10
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    Corticosterone (=compound B以下Bと略) の分泌機構および病態生理の一端を解明する目的で, 健常人に対するカリウム投与前後, および低カリウム血症, 腹水疾患における血中Bの動態をcortisol (=coupmnd F以下Fと略), および血清電解質とともに追求した. 健常人に対するカリウム投与ではFには著変はないが, 血清カリウムの上昇とともにBの増加, F/B比の低下が認められ, カリウムのBに対する特異的な分泌刺激作用が推測され, おそらくカリウムの副腎に対する直接作用と考えられた. また著明な低カリウム血症を呈したConn症候群の1例, および前立腺癌の1例では著明な血中Bの高値が認められた. しかし下痢, あるいはchlorothiazide薬長期連用による低カリウム血症ではBの増加はなく, むしろ低下傾向が認められた. 腹水疾患ではBの増加, F/B比の低下が著明であり, 特にカリウム低下の著しいものにBの高い傾向が認められ, 電解質代謝異常, とくにカリウム代謝異常とBとの密接な関連が推測された.
  • I. 標準Cournand type catheterによる簡易心腔内心電図誘導法とその応用
    河辺 明彦
    1966 年 55 巻 3 号 p. 140-145
    発行日: 1966/06/10
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    Luisadaらは, 5%食塩水をカテーテルにとおし, これを電極としての心腔内心電図誘導法を報告したが, この法は5%食塩水を用いるという欠点がある. そこで, この方法に改良を加えて, 普通カテーテル時に常用しているヘパリン加生理的食塩水を標準カテーテルにとおし誘導する法を考案した. 5%食塩水より低張溶液であるので誘導ハムが増加したが, カテーテルをシールドすることでこれを防ぎ, ひずみのない波型をえることができた. 本法は, 心カテーテル時に常用している生理的食塩水を用いるので, 必要に応じて直ちに, 容易に施行しうる利点がある. 右心カテーテル患者60例に本法を施行した結果と, 心腔内誘導法の臨床面への応用について考察を加えた. また, 同じ生理的食塩水の電導を用いて, これにcardiac pace makerを接続して, 心停止犬に有効心拍出をえることもできた.
  • 朝倉 晃
    1966 年 55 巻 3 号 p. 146-163
    発行日: 1966/06/10
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    胃液内電解質の動態, 各電解質間の相互関係ならびに体液との関係についてCl-濃度を中心に検討し, 胃液内電解質代謝機序の解明を試みんとし, 臨床例302例, 動物実験 (イヌ) 65例の胃液ならびに血液をhistamine dihydrochloride刺激により採取し測定した. 血液Cl-濃度はhistamine刺激前後で有意の変動を示さず, 一方胃液Cl-濃度はhistamine投与量に比例して変動を示した. また刺激前胃液Cl-濃度と刺激後胃液Cl-濃度も比例して変動を示し, 刺激前Cl-濃度の高いものは刺激後も高い傾向を認めた. histamine刺激後Cl-最高反応値は十二指腸潰瘍が高く, 胃癌で最も低い傾向を認めた. また胃粘膜の萎縮の程度 (胃カメラ) により, 胃液Cl-濃度の推移をみると, 萎縮性胃炎高度のものでは胃液Cl-濃度も低い傾向にある. 胃液内各成分をCl-最高反応時値について検討すると, Cl-は酸度, 遊離塩酸度とほゞ同様の変動を示すのに対し, Na+は酸度, 遊離塩酸度と逆の変化をみる. 電解質の転送に関係があるといわれる各種薬物 (acetazolamide, chlorthalidone, prednisolone, spironolactone, ouabain, 水銀利尿薬) のCl-濃度に及ぼす影響を検討したが, 水銀利尿薬, chlorthalidone投与で血漿Cl-濃度は減少し, 胃液Cl-濃度はacetazolamide, ouabain, 水銀利尿薬投与で減少を認め, Cl--transportになんらかの影響を及ぼすことが推察できた.
  • 島越 兵門
    1966 年 55 巻 3 号 p. 164-184
    発行日: 1966/06/10
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    胃液分泌にかんして, 胃壁における各電解質の分泌および吸収機構, また胃液, 胃粘膜組織, 体液内電解質の相互間の移動についてCa++, Mg++濃度を中心として研究せんとしたもので, 臨床例254例, 動物実験 (成犬) 68例を用いて検討を行なつた. 胃液Ca++, Mg++濃度はhistamine dihydrochloride刺激により減少を示し, H+濃度の高いものではCa++, Mg++濃度は低い傾向をみた. 疾患別の検討では刺激後の変動差は十二指腸潰瘍で大で, 胃癌で小となり, 胃粘膜の萎縮の程度 (胃カメラ像) の強いものほど, 小となる傾向をみた. 胃液Ca++, Mg++の絶対量について検討したところ, 刺激後分泌量は増加しており, Ca++, Mg++の濃度における変動は水分泌の方が溶質分泌よりも亢進されるために生ずるdilutionが関与しているものと推察される. また胃液各電解質間ではCa++とMg++, Ca++とNa+, Mg++とNa+は同様の変動傾向を, Ca++とH+, Ca++と遊離塩酸度, Mg++とH+, Mg++と遊離塩酸度は逆の変動傾向をみた. さらに電解質代謝に関係のある薬物 (acetazolamide, 水銀利尿薬, prednisolone, ouabain, spironolactone, chlorthalidone) の影響をみたが, 胃液ならびに組織のCa++, Mg++に対しては著明な影響をみないようであつた. 組織Ca++, Mg++は幽門前庭部と胃体部で量的に差がなく, また胃液内電解質濃度とは明白な相関性は認められなかつた.
  • 山本 桂一, 伊藤 孝一郎, 若杉 英之, 楢本 千珠子
    1966 年 55 巻 3 号 p. 185-189
    発行日: 1966/06/10
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    Marfan症候群は1896年Marfanが初めて報告し, Achardによりarachnodactyliaと記載されたものであり, 中胚葉性発育障害を合併する先天性奇形である. 中胚葉性発育障害としては水晶体脱臼・解離性大動脈瘤がよく合併するが, 横隔膜弛緩症・自然気胸などをきたした報告もある. 症例は22才の女. 主訴は腹部膨満. 痩身長躯, 頭長型, クモ指症を呈し, 反下組織や筋肉の発育不良, 水晶体脱臼, 胸郭変形, 解離性大動脈瘤などは認めなかつたが, Banti症候群, 骨髄機能不全, 腎盂腎炎および糖尿病を合併していた. Marfan症候群と本症例の合併症であるBanti症候群, 骨髄機能不全, 腎盂腎炎および糖尿病との関係などについて若干の考察を行なつた.
  • 柴田 整一, 長沢 俊彦, 詑摩 武英, 成清 卓二, 宮川 侑三, 板倉 弘重, 高木 昭夫, 中尾 喜久
    1966 年 55 巻 3 号 p. 190-196
    発行日: 1966/06/10
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    周知の如く血栓性栓球減少性紫斑病 (TTP) では一般に三大又は四大臨床主徴の見出されることが診断の根拠とされている. しかし実はTTPの確定診断には特異な血管病変を病理組織学的に証明することが必要である. すなわち現在の段階では, TTPはなお臨床概念というよりはむしろ病理概念であるといえよう. 従つてTTPの診断は既存の三大主徴などにとらわれずに, 特異な血管病変という面から再検討すべきときに来ているように思われる. われわれは本報ではまず典型的な本症剖検6例の臨床と病理所見とを詳しく対比検討した上で, 膠原病と考えられる2症例の腎生検において見出された特異な血管病変 (TTPの定義に一致する病変) の診断的意義につき述べた.
  • 1966 年 55 巻 3 号 p. 197-276
    発行日: 1966/06/10
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
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