日本内科学会雑誌
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64 巻 , 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 鎮目 和夫, 高野 加寿恵
    1975 年 64 巻 2 号 p. 99-113
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    成長ホルモン(GH)の成長促進作用は直接的なものではなくsomatomedin (sulfation foctorまたはthymidine factor)を介するものである事は一般に認められている.本総説ではsomatomedin純化と化学構造,測定法,ヒト血中のsomatomedin値, somatomedinの生成機序,生物学的作用と作用機序について述べた,現在somatomedinは血清から抽出されており,その収量は数トンから数mgが得られるに過ぎない. somatomedinにはA, B, Cが存在し, A, Cは分子量約7,000, Bは約5,000のポリペプタイドとしてほぼ純化されている. somatomedin A, Cには軟骨へのsulfateやthymidineのとり込みを促進し,また脂肪組織に対してはインスリンと同様ブドウ糖の酸化を促進し, NEFAの放出を抑える作用があり,筋において蛋白合成を促進する作用がある.すなわちAとCはNSILA (non suppressible insulin like activity)と極めて類似の物質と考えられている.また, A, Cは本来別の物質なのが同一物質が純化の課程で二つの物質になつたものかは未だ不明である.一方somatomedin Bにはグリア様細胞やfibroblastにおいてDNAの合成を促進する作用がある. somatomedinの測定法としては以前は生物学的方法(軟骨への35Sや3H-thymidineの取り込みを測定する方法)が用いられていたが,最近は, somatomedin Aについては高野ら, CについてはMarshallらがradioreceptor assayを,またBについてはYalowがradioimmunoassayを報告している.これらの方法より血中somatomedinの測定bioassayによるより容易になつた.またsomatomedinは肝臓等で生成されること,肝細胞や脂肪細胞でadenyl cyclaseを抑擬することが認められている.
  • 藤原 哲司, 斉田 恭子, 荻野 耕一
    1975 年 64 巻 2 号 p. 114-126
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Subacute myelo-optico-neuropathy (SMON)の臨床診断のもとに治療中,脊髄硬塞を来たした2剖検例を報告した.症例1は経過中に再燃,視神経炎, Leriche症候群を来たし, 4年後に死亡,症例2は再燃増悪の時期に一致してRaynaud現象を来たし1年3カ月の経過で死亡した.これら症例にみられた再燃は臨床的には非典型的であり,その後の経過も可成り複雑であつた.著者らのSMON再燃症例(23症例,延32回)の分析からこのような非典型的再燃の場合には,他臓器の疾患や他の神経系疾患の合併や増悪によるものである可能性があり,典型的再燃に比べより慎重な鑑別が必要であることを述べた.また神経病理学的には,本症例のSMON病変が脊髄硬塞による二次的な所見であるとするよりは, SMONに特有なsubacute combined degenerationの病変に脊髄硬塞(症例1は下胸髄上腰髄,症例2は頚髄)があとから加つたと考えるのが妥当である.またSMONの神経症状の中から脊髄硬塞によると思われる神経症状を抽出した.中でも症例1では脊髄壊死の出現とともに異常覚が軽快したと考えられることから,知覚障害の伝播に脊髄知覚神経上行路の役割の大きいことを述ベた.最後に脊髄硬塞,とくに頚髄より上胸髄部病変とRaynaud現象出現との関係を論じ,脊髄側角細胞病変と本現象との間には何らかの関係があることを示唆した.
  • 石田 豊, 遠迫 克英, 田村 敬博, 小野寺 英朗, 大藤 真, 嘉村 淳太, 佐藤 元
    1975 年 64 巻 2 号 p. 127-135
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    原発性免疫不全症の分類は未だ確立されていないが,われわれは,いわゆるprimary acquired agammaglobulinemia, WHOの分類試案ではvariable immunodeficiencyに属すると思われる24才の女性症例を経験したので報告する.患者は5才の時麻疹に罹患し,以後各種感染,関節炎,湿疹様皮疹,下痢をくり返しており, 23才の時無γ-グロブリン血症を発見されている.本症例の末梢リンパ球数は正常であるが,骨髄,リンパ節に形質細胞はなく,血清免疫グロブリンもIgD以外は極めて低値を示し, PDTおよびインフルエンザ・ワクチン刺激に対しても無反応で,同種血球凝集素価も低いなどB cell systemの障害と共に,ツベルクリン反応, DNCB皮膚感作陰性, T ce11数の減少などT cell systemにも障害が認められた.また血清補体価は高値を示したが, C1 subunitの一つであるC1q値は正常であつた.患者の両親はいとこ岡志結婚で,血縁者の中には高γ-グロブリン血症, IgM低下症,抗核抗体およびLE細胞陽性でSLEを疑わせる者, RAテスト陽性例, PHA添加末梢リンパ球芽球化率の低下例など多数の免疫学的異常者が認められ,本疾患の背景に遺伝的素因の存在する事がうかがわれた.以上の如く原発性免疫不全症の中でも多彩な免疫学的異常を示し,現在分類不能の一群に属せしめてある原発性後天性無γ-グロブリン血症の1例について報告すると共に,若干の文献的考察を行なつた.
  • 清水 弘之, 水口 一徳, 広田 豊, 後藤 寿美子, 田村 潤
    1975 年 64 巻 2 号 p. 136-141
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年成人における全身性巨細胞封入体症の報告は増加の傾向にある.そして,その殆どは免疫機構に異常を来たす疾患とか免疫抑制剤使用例に合併した報告である.本症例は38才の男性で,発熱,リンパ節腫脹,黄疸,肝腫大,腹水,末梢血中ならびに腹水中への異型リンパ球出現などを主な所見とし,発病より約6ヵ月で死亡した.剖検により,肺,肝,脾,副腎に巨細胞封入体を認めたので,とくに基礎疾患のない全身性巨細胞封入体症の本邦における既報の症例を含めて,文献的考察を加えた.
  • 福原 昌夫, 辻井 正, 森田 倫史, 石川 兵衛, 日浅 義雄
    1975 年 64 巻 2 号 p. 142-147
    発行日: 1975/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は62才の男性で,呼吸困難と血痰を主訴とし,胸部X線像で心陰影の左右への著明な拡大と肺野に数個の異常陰影を指摘され,悪性腫瘍の肺転移と腫瘍性心外膜炎の疑いの下に入院し,精査をすすめたが,原発巣不明のまま制癌薬に対しても反応せず,入院後2カ月半で死亡した.病理解剖により,右房原発の血管肉腫と判明した.転移巣は両側肺,肝,両側副腎,大網,横隔膜,肺門,腸間膜,腹部大動脈の各リンパ節にみられ,腫瘍性心外膜炎,腫瘍性胸膜炎の所見がみられた.心臓に原発する腫瘍はきわめてまれであるが,なかでも悪性腫瘍の占める頻度はさらに低い.また悪性腫瘍のほとんどは肉腫といわれ,血管肉腫が多いようである.本邦における心血管肉腫は自験例を含めて12例を数えるにすぎない.今回著者らは自験倒を含めて心血管肉腫62例(外国50例,本邦12例)を対象に統計的観察を試みた.本症の原発部位は右心房にもつとも多く(64.5%),転移臓器は広いがとくに肺転移が多い(61.3%).発生年令は各層にわたるが,ピークは中年層にみられる.性別では2: 1で男性に多い.症状は上大静脈症候群症状を示すものが多く,その他心臓部痛,発熱,咳嗽,血痰なども高頻度にみられる.本症の診断にあたつては症状が多彩で特異性に乏しく,また,きわめて希な疾患だけに,鑑別診断の過程において常に心臓腫瘍の存在を念頭において積極的に検索する事が必要と考える.
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