日本内科学会雑誌
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61 巻, 12 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • とくにexercise factorについて
    山田 耕司
    1972 年 61 巻 12 号 p. 1502-1510
    発行日: 1972/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    リウマチ性心臓病,特に僧帽弁狭窄症患者の適量運動量を判定し,かつ臨床的に用い得るパラメーターを検討するために,僧帽弁狭窄を主とする患者19名について,臥位,自転車エルゴメーターによる22.5wattsの一定持続運動を,原則として14分間行なわせ,その間2分毎に,心拍出量・大動脈圧・肺動脈圧および心電図V1, V3, V5誘導を同時記録し,得られた数値から,運動中の酸素需要供給のバランスシートを示す指標としてexercise factor(EF)を求め, EFの経時的変動と,対応する各時点における諸数値との関連性を検討してみると, EFと肺動脈圧は逆相関し, EFとmodified-TTIとはさらに良い逆相関を示した.また運動中,最大EFを示す時点における心拍数増加率は安静時の1.5倍前後にあり,さらに心拍数増加率が増すと, EFは急速に低下し始めた.このことは,心拍数が安静時の1.5倍前後に増加した時点に運動の適量限界があることを示していると思われる.
  • 鈴木 輝彦, 勝田 保男
    1972 年 61 巻 12 号 p. 1511-1520
    発行日: 1972/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    1933年スエーデンの眼科医, Henrik Sjögren1)は乾性角結膜炎,耳下腺腫脹に慢性関節リウマチ(以下RAと略す)の合併することを発表した.その後,このような症候群をSjögren症候群と呼ばれるようになつた.しかし近年になり, RAばかりでなく強皮症,慢性甲状腺炎,皮膚筋炎, SLE,その他各種の自己免疫疾患の合併例が報告され,さらに, LE細胞,抗核抗体,抗甲状腺抗体,抗胃抗体,抗筋抗体等の血清自己抗体の存在も証明されるようになり,一症候群としての自己免疫疾患と考えられるようになつた.またLeventhalは末梢血のリンパ球のPHA添加によるblastoid cell transformationを行ない,本症ではその低下がみられたと報告して以来,細胞性免疫能の面からのアプローチもされつつある.そこでわれわれは,本症候群26例について,臨床的,免疫学的検討を行なつた.とくに臨床的には,他の自己免疫疾患の合併についての検討を行なつた.その結果,慢性甲状腺炎11例,強皮症6例, SLE3例, RA13例の合併を認めた.以上の事実からSjögren症候群は単なるRAの一亜型ではなく,独立したsicca syndromeがRAをはじめその他の自己免疫疾患を合併し易い症候群であると考える方がより妥当であると考える.免疫学的検討を行なつた結果では,高γグロブリン血症を示す例が多く, IgG, IgA, IgMの免疫グロブリン値すべて増加を示した.リウマトイド因子, LE細胞,抗核抗体,抗サイログロブリン抗体は高率に認められ,抗耳下腺抗体,抗筋抗体も陽性を示す例があつた.また,補体価は低値を示す症例も認められたが,多くの症例では正常値を示した.細胞性免疫にかんしては,ツベルクリン皮内テスト,末梢血リンパ球のPHA添加によるblastoid transformationを行なつた結果,ツベルクリン反応の陰性率は16例中14例で高い. PHA-blastoid transformationでは著明な低下を示す例はみられなかつたが,軽度の低下を認める例が有意に多いので,細胞性免疫能の低下を示唆するものと考えられる.以上の結果から,本症候群はその他の自己免疫疾患を合併しやすい疾患であり,また,各種血清自己抗体も多彩である点は,自己免疫疾患の中心的位置を占める疾患と考えられる.
  • 本間 威, 高橋 秀一, 長谷川 重雄, 鎌田 剛, 笹 尚, 藤岡 保範, 藤田 昌宏
    1972 年 61 巻 12 号 p. 1528-1533
    発行日: 1972/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    44才,男子.昭和39年5月より凾館市内滑石工場にて滑石粉砕工として従事.軽度のせき,体動時の息切れを訴え精査のため来院した.胸部X線写真では両側全肺野に網目状陰影がみられ,右上中および左上肺野に融合した塊状陰影がみられ,その一部に透亮像が認められた.肺機能検査では残気量,残気率の増加,肺拡散能力の低下と低酸素血症がみられた.生検肺の病理組織学的所見は,中等度の線維症像および,針状結晶を呑食した多数の呑食細胞がみられた.生検肺を灰化しX線回析像をもとめると,滑石がほとんどで少量の石英が検出され,本症例は滑石と石英が撰択的に肺に沈着したと考えられた.滑石粉末には滑石のほか種々の結晶が混在するので,滑石肺の病態を理解するためには詳細な鉱物学的検索が必要であることを述べた.
  • 本田 英輔, 一安 弘文, 葛谷 健, 吉田 清一, 中尾 喜久, 原田 紀久子, 北村 元仕
    1972 年 61 巻 12 号 p. 1534-1538
    発行日: 1972/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は65才の男.昭和44年3月より反復する発熱があり,全身倦怠感と高熱を主訴として46年12月に入院.心室中隔欠損症,肺炎,尿路感染症と診断され, 2カ月の化学療法で軽快,退院した.経過中,常に血清アミラーゼが高く,尿中アミラーゼが低く,しかも膵および腎機能には殆ど異常がなかつたので, macroamylasemiaを疑い,体液アミラーゼについて検討した結果,今迄の報告とは異なり,血清中に蛋白と結合した2種類のアミラーゼの存在が認められた.本例の血清アミラーゼは電気泳動でfast-γより陰極側に広い異常分画として認められた.薄層ゲル濾過(pH 7.2)およびカラムクロマトグラフイー(pH 8.0)では二つに分画され,いずれも蛋白との結合が認められ,分子量は約20万および6万と推定された. pHを3.4にすると,蛋白との結合は解離し,分子量の小さい単一成分となつた.唾液,膵液,濃縮尿のアミラーゼ活性はいずれも電気泳動やゲル濾過で異常が認められなかつた.
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