75例の閉塞性動脈硬化症例にpyridinolcarbamate治療を試みた結果,つぎの結論に達した. 1) Double blind法による38症例(pyridinolcarbamate群19, placebo群19)の2週間治療の結果, pyridinolcarbamateは本症に対して有効であることがわかつた. 2) 75例(男70,女5)についての1カ月から23カ月にわたる長期治療により,つぎの結果が得られた,すなわち,有効例は53例(71%)で,動脈拍動の改善は75例中26例に,知覚異常の改善は23例12例に,間歇性跛行の改善は47例中26例にみられた.またcyanosisの消失, ruborの軽減,潰瘍の治癒率はそれぞれ30, 27, 81%であり,指尖容積脈波の改善は41例中11例にみられた. 3)交感神経切除術を含む既往の治療効果とpyridinolcarbamate治療の効果を比較し得た38例については,前者14.1%,後者76.3%であつた.以上の結果からpyridinolcarbamateは閉塞性動脈硬化症の治療薬として有用であると思われた.
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