日本内科学会雑誌
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82 巻, 2 号
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  • 河合 忠一
    1993 年 82 巻 2 号 p. 163-165
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 安田 寿一
    1993 年 82 巻 2 号 p. 166-171
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心筋症は原因不明の心筋疾患をいう,それらは病理形態によって拡張型,肥大型,拘束型心筋症に大別される.拡張型心筋症は心筋収縮の低下(EFの減少),心内腔の拡張をおこす.うっ血性心不全を生じやすく,予後は不良である.肥大型心筋症は心筋肥大(心室コンプライアンスの低下),心内腔の狭小化,心筋収縮の亢進(EFの増加傾向),それらによる拡張不全を基本病態とする疾患で,予後は良好.拘束型心筋症は心筋組織の線維化(心室コンプライアンスの減少)による拡張機能の障害を主病態とする疾患であり,わが国ではまれである.
  • 関口 守衛, 前沢 秀彦
    1993 年 82 巻 2 号 p. 172-177
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心筋症は原因不明の心筋疾患と定義されるが,臨床の場面で,どの様にして病型を分けて成因にせまるのかを3段階に分けて説明した. 1.心筋症を考えてその成因を知る糸口.ここで特定の疾患に二次的に生じる心筋疾患をまず問診などで区別. 2.心筋症の分類. WHO/ISFCの肥大型(HCM),拡張型(DCM),拘束型(RCM)の3群に分ける分類法の他に著者らの提唱する不整脈,伝導障害型心筋症(ECM)を加えた. 3.成因についてHCMは遺伝子, DCMはウイルス性心筋炎, RCMについて好酸球が関連することも述べた.
  • 西 宏文, 古賀 義則
    1993 年 82 巻 2 号 p. 178-182
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肥大型心筋症では,心筋βミナシン重鎖遺伝子にミスセンス変異を有する症例が発見され,本症の原因として注目されている.日本人においても本遺伝子の変異を有する例が認められたものの,その頻度はまれであり,欧米人と同様に別の原因遺伝子の存在が想定されている.現在,心筋βミオシン重鎖遺伝子異常から発症への機序の解明と共に,もう一つの原因遺伝子の同定に向けた研究が進められている.拡張型心筋症では種々の病因が推定され症候群の域を出ない.このうち心筋炎との関連や,抗心筋抗体の存在から,本症と免疫応答を遺伝的に制御しているHLAクラスII分子との関連が示唆されている.
  • 田中 弘允, 尾辻 豊
    1993 年 82 巻 2 号 p. 183-187
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    特発性心筋症は肥大型,拡張型および拘束型の3型に分類される.肥大型心筋症は肥大した心筋の拡張能の低下により左心不全が出現することがあるが,収縮能は一般に保たれている.この中には左室流出路閉塞を来し,左室流出路において圧較差が生じる閉塞型が含まれる.拡張型心筋症は,心筋の収縮能の低下により低心拍出状態およびうっ血性心不全を呈する.肺および全身の血管抵抗が増大しており,血管拡張薬が著効する例もみられる.拘束型心筋症は,心内膜および心筋の線維化により拡張能が低下し,心室圧波形がdip and plateau型になるなど,その血行動態は収縮性心外膜炎に類似している.
  • 濱田 希臣
    1993 年 82 巻 2 号 p. 188-193
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肥大型心筋症から拡張型心筋症類似病態への進展の評価には心電図,心エコー図およびタリウム-201心筋シンチグラムの経時的な評価が重要である. CK, CK-MB, CKアイソフォーム, LDH, LDH1などの生化学的マーカーの持続的異常が約70%の肥大型心筋症例において認められる.心電図,タリウム-201心筋シンチグラムの経時的観察でも高頻度で心筋障害の進展が確認されており,肥大型心筋症から拡張型心筋症類似病態への移行は肥大型心筋症の特殊例のみに認められる現象ではなく,肥大型心筋症の自然経過である可能性が示唆される.
  • 沢山 俊民
    1993 年 82 巻 2 号 p. 194-198
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    問診・症状ならびに身体所見から心筋症を疑うためのポイントに関して述べる.まず肥大型心筋症の場合は,無症状でも心電図異常で発見される例が多い.一風変わった心電図を見た場合,本症ならば心尖拍動を触知すると力強く二峰性に触れる.一方,拡張型心筋症の場合は,うっ血性心不全症状で受診する例が多い.本症ならば心尖拍動が鈍いが広範囲に触れ,心尖部を聴診するとI音が弱くIII音・IV音が聴かれる.
  • 河村 慧四郎
    1993 年 82 巻 2 号 p. 199-203
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心筋症の拡張型と肥大型の病型診断は心エコー図により通常,困難ではない.しかし本症類似の臨床像は,高血圧性や弁膜症などの通常の心臓疾患,また心筋炎,アルコール性,代謝性,蓄積性,栄養障害性,結合織性,肉芽腫性などの特定心筋疾患でもみられることがあり適切な治療のためにも鑑別診断が必要である.拘束型心筋症も同様に収縮性心膜炎などとの鑑別を要する.どの病型にも病歴に始まり冠状動脈造影や心筋生検を含む診断過程が必要である.
  • 林 博史, 市原 義雄
    1993 年 82 巻 2 号 p. 204-208
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    特発性心筋症に特異的な心電図変化はなく,従って,心電図は,心エコーほど心筋症診断に有力な検査ではない.しかし,心筋症は病初より何らかの心電図異常を呈する事が多く,これが診断の端緒となることもある.また,本疾患の治療成績を決定する重要な因子である不整脈の評価には心電図検査は不可欠である. Holter心電図は,致命的な不整脈の検出のための有力な方法である.
  • 北畠 顕, 三神 大世, 真野 敏昭, 田内 潤
    1993 年 82 巻 2 号 p. 209-214
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心疾患のなかでも心筋症はその診断・評価に心エコー・ドプラ法が非常に有用な疾患である.心エコー法による形態学的な評価とドプラ法による血流,心機能の評価が本疾患の病態把握に用いられている.
  • 高宮 誠, 斎藤 春夫, 内藤 博昭, 浜田 星紀
    1993 年 82 巻 2 号 p. 215-220
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    超高速CTの性能と撮影法の概要を解説し,肥大型心筋症の形態および機能,動態診断における超高速CTの有用性を述べた.肥大型心筋症の断層像に出現するlate enhancementと局所心筋壁厚あるいは壁収縮率との関連を検討し,この所見がなんらかの心筋組織障害を表現している可能性があることも報告した.
  • 西村 恒彦
    1993 年 82 巻 2 号 p. 221-225
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心筋症における核医学イメージングは心機能並びに心筋血流の計測にとどまらず, 123I-BMIPP(脂肪酸代謝), 123I-MIBG(交感神経機能), 111In-antimyosin Fab(心筋壊死)の画像化もSPECTを用いて可能になってきた.また, 18F-FDG, 11C-palmitateとPETを用いた糖・脂肪酸代謝イメージングも行える.本法は心筋症の病態解明および重症度評価に有用である.
  • 猪尾 力, 横田 慶之
    1993 年 82 巻 2 号 p. 226-230
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    拡張型心筋症(DCM)の潜在期には心不全の発生の予防につとめなければならない. DCM管理の要点は心不全治療と急死を防ぐための抗不整脈療法および血栓塞栓症予防に抗凝固薬を用いることである.またβ遮断薬を少量より長期投与で好結果が得られている.肥大型心筋症(HCM)については急死予防につとめる.そのため頻拍を来さない様に指導しβ遮断薬,抗不整脈薬を用いる. DCM様病態となった時はDCMと同様の治療をする.
  • 小笠原 定雅, 木全 心一
    1993 年 82 巻 2 号 p. 231-234
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肥大型心筋症の予後はおおむね良好であるが,一部の例では突然死や心不全死に至る.拡張型心筋症では自覚症状の出現後5年以内に約50%の例が突然死や心不全で死亡する.これらのfollow upには非観血的検査を中心に行い,病態や合併症に配慮して検査計画を立てる.維持療法は肥大型心筋症では拡張障害に対してβブロッカーやCa拮抗薬,突然死の予防に抗不整脈薬を,拡張型心筋症ではジキタリス薬,利尿薬, ACE阻害薬などを用いる.
  • 中野 赳, 山門 徹
    1993 年 82 巻 2 号 p. 235-239
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    特発性心筋症の重症例の治療について概説した.肥大型心筋症では第一選択薬であるβブロッカー,カルシウム拮抗薬が効果がない場合,左室流出路閉塞に対して心房同期心室ペーシング(DDD)や手術が有効と考えられる.拡張型心筋症ではアンギオテンシン変換酵素阻害薬, βブロッカーの有効性が示されており,重症例でも慎重に投与すれば効果を期待しうる.両疾患とも心室性不整脈が問題となるが,抗不整脈は必要最低限にとどめ,拡張型心筋症では心不全の改善を図る.重症不整脈ではautonomic defibrillatorも今後考慮すべきと思われる.
  • 戸嶋 裕徳
    1993 年 82 巻 2 号 p. 240-245
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    拡張型心筋症は,心臓移植の最大適応と考えられている.しかし,その時期については内科的治寮に反応せず,予後が6~12ヵ月以内と推測される末期の心臓病患者とされているが,その機能を数値で評価しやすい肝・腎疾患と異なり,心臓病の予後推定は極めて困難である.日本循環器学会は,心臓移植適応検討会を設け,第三者による公正な判断を行うこととしているが,早急にその予後を推定しうる基準が作成されることが望ましい.
  • 山本 英明, 木内 英則, 芝崎 正順, 丸尾 仁, 永田 真, 保谷 功, 倉光 薫, 坂本 芳雄, 山本 恵一郎, 土肥 豊
    1993 年 82 巻 2 号 p. 272-274
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は22歳,男性.発熱と左季助部痛を主訴に入院.胸部X線写真上,左下肺野のスリガラス様陰影と胸水を認め,腹部CTでは脾臓の腫大と被膜下出血がみられた.末梢血中には異型リンパ球が出現し,血中のEpstein-Barr (EB)ウイルス抗体価はVCA-IgGが2560→10240倍, EA-IgGが320→2560倍と経過中有意に上昇したためEBウイルス感染症と診断した.肺炎,胸水貯留および脾出血を合併したEBウイルス感染症は非常にまれであると考えられた.
  • 平瀬 伸尚, 安部 康信, 牟田 耕一郎, 坂本 茂, 西村 純二, 木村 寿成, 名和 田新, 蓑田 俊二
    1993 年 82 巻 2 号 p. 275-276
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は68歳の女性.約2年半,中心静脈栄養で管理された後,著明な貧血と好中球減少症を発症し精査のために来院.上記所見とともに蛋白尿,骨粗鬆症を認めた.血中銅の著明な低下を認め,長期高カロリー輸液管理による銅欠乏症と診断した.銅の経静脈的投与により貧血,好中球減少,蛋白尿は著明に改善し銅欠乏との因果関係が証明された.骨粗鬆症については年齢的な要素が強く,はっきりした改善は認められなかった.
  • 山下 えり子, 佐藤 純子, 藤野 由美, 塩谷 茂, 徳弘 英生, 木川田 隆一, 笠井 潔
    1993 年 82 巻 2 号 p. 277-279
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は41歳,女性.頚部リンパ節腫脹精査目的で入院.入院時小豆大から母指頭大のリンパ節腫大あり.微熱を認めたが,脾腫,皮疹なし. IgG, IgA, IgM高値,免疫電気泳動でM-bow(-),尿中BJ蛋白(-).骨髄で形質細胞は異型性なく3.8%であった.各腫瘍マーカー陰性,ウイルス抗体価上昇なし.頚部リンパ節生検で病理組織学的にはCastlemanリンパ腫のplasmacell type像に相当すると考えられたが,臨床的にIPLに合致するものと思われた.経過中リンパ節腫脹の増大を認めたがプレドニゾロン20mg/日投与により軽快し現在に至っている.
  • 中西 太一, 田村 禎一, 宮崎 弘, 小沢 潔, 福留 裕一郎, 木嶋 祥麿, 東海林 隆男, 笹岡 拓雄, 久保 田智
    1993 年 82 巻 2 号 p. 280-282
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は35歳,女性. 14年の血液透析歴とアルミニウムゲル服用歴がある.上下肢にミオクローヌスおよび構語障害が出現し入院した.病的反射なく,髄液所見は正常.脳波は全誘導で高振幅徐波がみられた.血中アルミニウム値は高く,デフェロキサミン負荷での上昇も大きい.以上は透析脳症に合致する所見であるが大脳灰白質と白質の境界に多発する脳内石灰化を併発している点は従来報告がない.
  • 大田 聡, 和田 隆志, 種井 政信, 山岸 昌一, 横山 仁, 友杉 直久, 高畠 利一, 小林 健一
    1993 年 82 巻 2 号 p. 283-285
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性,両肺の浸潤影と高IgM血症を認めた.経気管支肺生検で,リンパ球および形質様細胞の浸潤を認め,同細胞にIgM-κの表出を確認し,肺浸潤を主体とするWaldenström macroglobulinemiaと診断した. melphalan, prednisoloneの治療効果は少なく,天然型interferon-αを併用したところIgMが2863mg/dlから1469mg/dlへと低下し,胸部異常陰影が著明に改善した. IFNの休薬,再投与に対応したIgMの増減があり,本疾患に対するIFNの有用性が確認された.
  • 下山 孝, 福田 能啓, 殿勝 康司, 阿保 博巳
    1993 年 82 巻 2 号 p. 286-292
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    従来,細菌がいないとされていた胃内に, H. Pyloriというらせん型のグラム陰性桿菌が棲息し,胃粘膜障害を惹起することが知られてきた. H. Pyloriは強力なウレアーゼ活性を有し,胃内に分泌された尿素を分解しアンモニアを発生させる.アンモニアは胃粘膜を傷害し, H+の逆拡散を促進する.塩酸と反応して生成されるモノクロラミンや活性化された好中球による活性酸素の発生が粘膜を傷害する. H. Pylori感染は活動性慢性胃炎を惹起し,消化性潰瘍の難治化・再発性因子になりうると考えられており, H. Pyloriの除菌を考慮にいれた消化性潰瘍の治療法が模索されている.さらに,胃癌との関連性についても興味がもたれており,本邦において現在検討中である.
  • 佐竹 修太郎
    1993 年 82 巻 2 号 p. 293-298
    発行日: 1993/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    直流通電カテーテルアブレーションは,焼灼力は強いが,衝撃波発生等による重篤な合併症があり,普及しなかった.最近安全性の高い高周波通電法が開発され,薬物抵抗性の頻脈性不整脈に対し,広く臨床応用されるようになった.難治性の頻脈性心房細動,組動では主にHis束を焼灼して房室ブロックを作成し,ぺースメーカーを植え込む.房室結節回期頻拍に対しては,二重経路のうちのslow pathwayを選択的に焼灼し,房室ブロックの合併なく頻脈を完治させる. WPW症候群では,房室副伝導路を選択的に焼灼し,完全離断しうる.右室流出路起源等の特発性心室頻拍においても,その発生源を焼灼して完治させる.高周波通電法は安全性が高く,合併症はまれである.しかし深達度が浅いため,心筋梗塞や心筋症に伴う心室頻拍に対する有効性が低く,マイクロウェーブ通電法や凍結法等が研究中である.
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