日本内科学会雑誌
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52 巻 , 8 号
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  • 藤本 文彦
    1963 年 52 巻 8 号 p. 875-884
    発行日: 1963/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    家兎を使用して,内臓神経または迷走神経を切断,あるいは各種自律神経薬を投与し,自律神経異常状態下のINH血清中濃度を, Mandelの生物学的定量法変法により測定して,自律機能の影響を検討した.更にアドレナリンの作用を詳細にするとともに,内臓神経切断との関係,チラミンの作用との比較, ACTH,副腎皮質ホルモンとの関連をも併せて検討した.結果は,迷走神経切断並びに副交感神経遮断または交感神経緊張ではINH血清中濃度は上昇し,内臓神経切断ならびに交感神経遮断または副交感神経緊張では低下する傾向を示した.またアドレナリンは皮下注射早期にINH血清中濃度を上昇せしめるが,持続時間は短く,かつINH血清中濃度の低下している時点では影響を及ぼさなかつた.チラミン, ACTH,副腎皮質ホルモン投与ではアドレナリンの如きINH血清濃度の上昇傾向をみとめなかつた.
  • 中沢 貞夫
    1963 年 52 巻 8 号 p. 885-895
    発行日: 1963/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    営時,呼吸運動その他の動態下にある生体内空洞の実態を解明する研究の一環として,各種の臨床・実験空洞(結核•化膿症•candida症)について,そのガス組成分析の立場より,種々検索した.空洞内ガスは, N2量がほゞ一定であるので, CO2量かO2量の一つの消長からその組成を窺知しうる.すなわち, CO2量を基準とすると,空洞内のそれは,呼吸によって刻々変動し,とくに,呼気時増加例と逆に吸気時増加例の2型と呼吸による無変動例との3型があり,その様相は各種空洞間で,また,空洞の経過で差異がみられた.空洞内ガス組成に影響を与えるものには,上述の呼吸運動のほか,肺循環障害,空洞の経過,形態(整•不整,房数,大小),洞壁,空洞内圧,洞周囲病型および,誘導気管支の状態等の諸因子があるが,とくに,洞周囲病型との関係は密接であることなどを知りえた.このように,空洞内ガス組成は極めて複雜な諸現象で規定されるもので,単純ではなく,従來,全く明うかにされていなかった.また,これらは空洞の運命(冶癒ないし悪化機構)にも不離不即の関係を有しうることなどを実証,あるいは推論した.
  • 外山 圭助, 星田 昌博
    1963 年 52 巻 8 号 p. 896-903
    発行日: 1963/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Haptoglobin (Hpと略す)は溶血性疾患にて著明に減少するので,輸血後の微量の溶血の有無を検するため,各種疾患における輸血の前後にHpを測定した.同時に輸血によるHpの変動の意義を觀察するためと,溶血判定方法としてのHpの適否を検討するために動物実験をおこなつた. Hp測定法はLathemに準じて濾紙電気泳動法で行なった. (1) 種々の疾患20例に輸血前と輸血後2~4時間のHpを測定した結果,上昇10例,低下7例を認めた.特に20mg/dl以上の有意の変動を示す8例中2例のみに低下を認めた. (2) 動物にHpのhaemoglobin (Hb)結合能以内にHbを静注すると, Hpは一時上昇を認める.これはHpが新たに血中に補充されるものと考えられる. 8~12時間後にはHpは前値以下となる. (3) Hpの結合能以上にHbを動物に静注すると, Hp値は著明に減少するが、点滴静注にて長時間に投与すると低下しない.またHbの連続投与によりHpは著明に減少する.従つてHp値の著明な減少には溶血の量と速度が関係する. (4) 感染動物にHbを投与した場合と, Hb連続投与後に感染させた場合とではHb投与によるHpの変動よりも,感染によるそれの方が著明である. (5)以上の動物実験の結果より,臨床例で輸血後Hpの2mg/dl以上の変動を示す8例中,低下を示す2例は溶血によるものと考えられる.他の6例のうち著明なHpの上昇を示す1例を除いて,他のものにみられるHpの上昇は,前記のHpの補充によるものと想像される.従つて, 1回輸血後の溶血判定に際しては,上昇例では時間を追ってHpを判定する必要があるものと推測される.
  • 大森 晶彦
    1963 年 52 巻 8 号 p. 904-923
    発行日: 1963/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    抗血友病グロブリン(第VIII因子, AHF)が凝固過程において,どのように消費されていくかを臨床的ならびに実験的に研究した.血液トロンポプラスチン形成因子欠乏状態でもつとも消費がわるく,血小板減少症や実質性肝障害で消費のものが多い.脳血栓症および塞栓症,心筋硬塞症,脂血症,ネフローゼ症候群等では消費促進の傾向を示し,これらの疾患が凝固性亢進状態にあることを推察し得た.抗凝血薬投与により,消費は血友病類似の状態になり,Vitamin K1を静注すると凝固因子の増加と共に消費改善を認めた.シリコン処理管内では消費遅延し,Ca再加血漿では浮遊する血小板の多寡が消費速度に影響した.実験的血栓形成,冠硬化,心筋硬塞および肝障害家兎群でも臨床成績にかなりよく一致した成績を得た.以上の成績から凝固過程の異常を知る客観的方法の一助となるものと考える.
  • 中島 昌弘
    1963 年 52 巻 8 号 p. 924-933
    発行日: 1963/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    健常者および諸種出血性素因患者血小板の微細構造を検索した. 1)健常者: granulomer αの大きさは平均長径0.23μ,短径0.15μで電子密度が高く,均質な基質を有する.ミトコンドリアは極めて小さく,二重の限界膜およびcristae mitochondriaiesを有する. endoplasmic reticulum, Golgi野の存在を確認した.いわゆる空胞の他に特異な空胞を認めた. 2)血小板無力症: granuleomer αの電子密度の増強及び変形, endoplasmic reticulumの腫脹増大などの変化が認められた. 3)血友病A: granulomer αの電子密度の増強および数の減少,ミトコンドリアの膨化および数の減少, endoplasmic reticulumの減少などの変化が認められた. 4)血友病B:一部血友病Aに共通した変化を有する他は健常者血小板により近い所見を有する. 5) Willebrand-Jürgens型出血性素因:本症に特異的と想われる所見は見出し得なかつた.
  • 青木 いく子
    1963 年 52 巻 8 号 p. 934-945
    発行日: 1963/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    甲状腺機能亢進症に筋薄弱のあることは以前より知られているが,筋薄弱の程度ならびに発生機序についての検索はあまりなされていない.そこで甲状腺機能亢進症の患者415例について,筋薄弱,萎縮の程度,性,年令,罹患期問,甲状腺機能,臨床所見,肝機能との関係につきしらべた.更にその萎縮,薄弱のある筋を生検により病理学的に検索し,また動物実験により検討を加えた.筋薄弱は53%にみられ,男にやゝ多く,年令は高年者に多くみられた.筋薄弱は罹患期間3カ月以内にも高頻度に認められたが, 1年またはそれ以上にわたるものに多くみられた。甲状腺機能,肝機能検査と薄弱との間には特に相関はみられなかつた.また病理学的検索では25例中65%に一次的な筋の変性が認められた.動物実験にては, thyroxin投与によりその60%に筋の病変を認め,同時にKClを投与することにより筋病変, creatineの排泄増加,体重減少が抑制されることを証明した.
  • 小沢 真次郎, 荒井 和彦, 本間 光夫
    1963 年 52 巻 8 号 p. 946-953
    発行日: 1963/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    胸水貯留を主訴とし, X線像も肋膜炎と酷似せる像を呈したため,長期間内科的治療を受けていた症例に遭遇し,開胸手術で従隔奇形腫であることが判明した1例を告報する.症例は27才男子で,昭和34年12月,突然胸痛および咳嗽發作が起こり, X線検査で右湿性肋膜炎がうたがわれ,胸部穿刺で約500ccの茶褐色液を得た.その後種々の内科的治療は奏効せず,胸水貯留傾向がはなはだしくなり,毎月2000ccも採液出來るようになつた.昭和37年2月入院,当時一般状能は良好で,發熱,咳嗽,喀淡なく,赤沈も正常であつた・胸部穿刺で多量の淡白濁液を得た.比重1006~1010,蛋白含有量0.3~0.35%,細胞成分に乏しく無菌であった.右胸部開胸の結果, 24×14×12cmの巨大嚢腫が発見され,嚢腫壁は極めて菲薄で多量の液を満たし,壁は心嚢,肋膜,横隔膜と癒着していた.嚢腫は茎を有し,前縦隔に連續していた.病理学的検査で嚢腫は三胚葉構成が明らかにされ,嚢腫状奇形腫と判明した.また茎の中に胸腺組織がみられた、本症例は奇形腫でありながら,臨床像特にX線像が湿性肋膜炎と酷似し,診斷困難であつた点が特徴的である.
  • 大菅 俊明, 牛尾 耕一
    1963 年 52 巻 8 号 p. 954-960
    発行日: 1963/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    周期性四肢麻痺は欧米では家族性に発生するものが多く,甲状腺機能亢進症を合併するものは極めて稀であるのに反し,本邦では半数以上が甲状腺機能亢進症を合併しており,この点著しい対照をなしている。四肢麻痺の発作時に一過性の血清K濃度低下を伴うのが通例であるが, Gamstorp (1956)の最初の報告以來,発作時血清K上昇を示す例のあることが報じられている.これらは家族性の例であってthyrotoxic typeのものでは未だ文献上報告がみられない.しかるに今回われわれの經験した37才,韓国人男子例は,甲状腺機能亢進症を合併し,四肢麻痺発作時血清Kの上昇を認め, KCl経口投与により増悪し,發作を誘発した.またprednisoloneは極めて有効であり,抗aldosterone薬(spironolactone及びtriamterene)で増悪する等通常の例と逆の態度を示し,甲状腺機能亢進症の治療により発作も終息した.
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