日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
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110 巻, 2 号
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内科学会NEWS
目次
特集 虚血性心疾患診療のいま
Editorial
トピックス
I.虚血を識る・診る(病態及び診断へのアプローチ)
  • 塩野 泰紹
    2021 年110 巻2 号 p. 196-203
    発行日: 2021/02/10
    公開日: 2022/02/10
    ジャーナル フリー

    虚血性心疾患は,冠動脈の狭窄ないしは閉塞により引き起こされる疾患であり,冠動脈造影が診断の中心的役割を担ってきた.しかし,冠動脈造影で描出される狭窄が必ずしも心筋虚血を引き起こすとは限らず,血行動態的な評価を追加してはじめて重症度を正しく判定できることも多い.また,通常の冠動脈造影では捉えきれない病態(冠攣縮,微小循環障害,INOCA(ischemia with non-obstructive coronary arteries)ならびにMINOCA(myocardial infarction with non-obstructive coronary arteries))が心筋虚血の原因であることもあり,幅広い視点を持って診断手順を踏むことが必要である.

  • 松本 直也
    2021 年110 巻2 号 p. 204-210
    発行日: 2021/02/10
    公開日: 2022/02/10
    ジャーナル フリー

    冠動脈形成術の適応要件として,負荷時の心筋虚血が証明された病変であることが重要である.血行再建が適切に行われれば,心筋虚血の改善により,胸痛等症状の改善,心筋梗塞,死亡のリスク低下等の予後改善が期待できる.心筋虚血の証明によく用いられるモダリティに心筋シンチグラフィ,CT(computed tomography),MRI(magnetic resonance imaging)ならびに心エコー図等の非侵襲的画像検査があるが,各モダリティの診断精度と特徴の理解,それぞれの使い分けを理解することが肝要である.

  • 郷原 正臣, 木村 一雄
    2021 年110 巻2 号 p. 211-217
    発行日: 2021/02/10
    公開日: 2022/02/10
    ジャーナル フリー

    急性冠症候群は,冠動脈プラークが破綻(破裂やびらん)することで冠動脈内に血栓が形成され,急速に心筋虚血を生じることが主たる病態である.破綻以外の原因としては,冠攣縮の他,頻度は少ないが,冠動脈内への塞栓,冠動脈解離等がある.症状が心筋虚血に起因する場合は,バイタルサインを確認すると共に12誘導心電図を記録し,ST上昇の有無を判断する.より有効な治療を行ううえで,より迅速且つ確実な初期診断が重要である.

II.虚血を治す・予防する(薬物・非薬物治療の進歩)
MCQ
シリーズ:地域医療を実践する内科医とは
シリーズ:診療ガイドラインat a glance
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 塩川 雅広, 児玉 裕三
    2021 年110 巻2 号 p. 295-300
    発行日: 2021/02/10
    公開日: 2022/02/10
    ジャーナル フリー

    IgG4(immunoglobulin G4)関連疾患は,血清IgG4高値に加え,著明なIgG4陽性形質細胞浸潤により,種々の臓器腫大と線維化を来たす全身性疾患であり,我が国でその疾患概念が確立された.2011年には診断基準が策定され,2014年には我が国の指定難病に指定されている.IgG4関連疾患の病態には,自己免疫や自然免疫の関与が考えられているが,現在のところ,明らかになっていない.最近,我々は,臨床症状と関連する自己抗体の存在を明らかにした.診断にはIgG4関連疾患包括診断基準が用いられるが,確定診断が得られない場合でも,臓器毎の診断基準により診断が可能である.最も重要なことは,悪性疾患や他の類似疾患を除外することである.IgG4関連疾患はステロイドが奏効するため,有症状例にはステロイド治療が標準治療法となっている.一方,海外では,B細胞特異的治療薬であるリツキシマブが使用されるようになってきた.

  • 牧島 秀樹
    2021 年110 巻2 号 p. 301-307
    発行日: 2021/02/10
    公開日: 2022/02/10
    ジャーナル フリー

    クローン性造血は,同一のゲノム異常を有する造血細胞集団からなる.ゲノム解析技術の革新的進歩によって,微小なクローン性造血が検出可能となり,非腫瘍性の血液疾患において,クローン性造血が証明できるようになった.続いて,造血器疾患を有さない健常者においてもクローン性造血が検出され,造血器疾患におけるクローン性造血との異同と連続性が議論されている.さらには,治療関連骨髄系腫瘍と関連する,先行原疾患初発時のクローン性造血に関しても,最新の知見が得られた.クローン性造血は,その拡大が血液腫瘍の発症と関わることは自明であるが,明らかな血液疾患を有さない場合にも微小なクローン性造血が認められ,非腫瘍性疾患にも認められることは,その鑑別診断が必須であることを意味する.最新の知見として,高頻度に健常者に認められるクローン性造血に伴う変異は,腫瘍化への関与がより少なく,非腫瘍性疾患にも頻繁に認められる点を含めて解説する.

  • 北岡 裕章
    2021 年110 巻2 号 p. 308-314
    発行日: 2021/02/10
    公開日: 2022/02/10
    ジャーナル フリー

    心アミロイドーシスは,免疫グロブリン軽鎖に由来するALアミロイドーシスとトランスサイレチン(transthyretin:TTR)によるアミロイドーシスが主である.TTRによるアミロイドーシスは,遺伝子変異が原因の遺伝性TTRアミロイドーシスと遺伝子変異を認めない野生型TTRアミロイドーシスに分けられる.心アミロイドーシスは,従来,稀な疾患と考えられてきたが,特にTTRによるアミロイドーシスに対する検査法の進歩により,野生型TTR心アミロイドーシスは,心不全や大動脈弁狭窄症の患者に稀ならず存在することが明らかになった.さらに,TTRによるアミロイドーシスに対するTTR四量体安定化薬や核酸医薬等の疾患修飾療法の急速な進歩もあり,今まさに心アミロイドーシスの診療にパラダイムシフトが生じている.

専門医部会
シリーズ:一目瞭然!目で診る症例
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