日本内科学会雑誌
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74 巻, 1 号
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  • 石川 誠
    1985 年 74 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 関根 富佐夫, 福島 俊之, 田畑 穣, 佐藤 秀紀, 大野 功, 小林 和夫, 大瀬戸 美樹, 根岸 雅夫, 井出 宏嗣, 高橋 昭三
    1985 年 74 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    膠原病疾患の一つである皮膚筋炎・多発性筋炎患者血清こは,抗トキソプラズマ(抗Tp)抗体が高頻度に陽性にみられるとの報告がある.著者らは,全身性強皮症(PSS),慢性関節リウマチ(RA)および全身性エリテマト一デス(SLE)患老血清における抗Tp抗体価をenzyme-linked immunosorbent assay (ELISA)にて測定し,さらに抗Tp抗体陽性におけるリウマトイド因子および抗核抗体による偽陽性反応について検討した. ELISAで測定された抗Tp抗体価(抗Tp-ELISA値)は,ラテックス凝集試験および間接蛍光抗体法で測定された抗体価との間にそれぞれr=0.77およびr=0.53の相関が得られた. PSS患者16例のうち5例(31%)に, RA患者40例のうち8例(20%)に, SLE患者10例のうち2例(20%)に,および健常者33例のうち5例(15%)に,それぞれ抗Tp-ELISA値が陽性にみられた.抗Tp-ELISA値が陽性を示したPSSおよびSLE患者に筋原酵素値の上昇はみられなかつた. PSSおよびRA患者血清において,リウマトイド因子と抗Tp-ELISA値との間に相関はみられず, PSSおよびSLE患者血清において,抗核抗体と抗Tp-ELISA値との間に相関はみられなかつた.リウマトイド因子陽性血清および抗DNA抗体陽性血清を,それぞれ加熱変性ウサギIgGおよび仔牛胸腺DNAで吸収したのちの,抗Tp-ELISA値は,吸収前に比してその値の低下はみられなかつた. PSS, RAおよびSLE患者血清にみられた抗Tp抗体陽性は,少なくともリウマトイド因子または抗DNA抗体による偽陽性反応ではないと考えられた.
  • 平井 愛山
    1985 年 74 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    魚脂中に多く含まれるω-3系の多価不飽和脂肪酸,ことにエイコサペンタエン酸(C20: 5,以下EPAと略)には抗血栓,抗動脈硬化作用のあることがグリーンランドエスキモーにおける疫学調査,あるいは一連のEPAに富む魚肉や魚油濃縮物の摂食実験より明らかにされている.そこで魚を多食する食事習慣が血漿脂肪酸構成や,血小板機能あるいは血栓性疾患の発症頻度にいかなる影響を及ぼすかを明らかにする目的で,千葉県下の沿岸漁村と内陸部の都市近郊農村において3年間にわたり疫学調査を行なつた.漁村住民における1日平均魚肉摂取量およびEPA摂取量は農村住民と比較して明らかに高値で,血漿総脂質のEPA含量およびEPA/アラキドン酸(AA)比も間様に漁村住民で有意に高値であつた.一方漁村住民の血小板凝集能は農村住民と比較して明らかに低下していた.漁村住民の3年間にわたる調査の結果,魚肉摂取量(EPA摂取量),血漿EPA/AA比および血小板凝集能が密接な関係を持つて変動することが認められ,漁村住民において農村住民と比較して,血小板凝集能が有意に低下している理由の一つとして,漁村住民が魚を多食し, EPAの摂取量が農村住民より明らかに多いことが考えられた.漁村地域(勝浦市)の虚血性心疾患および脳血管障害による訂正死亡率は,近郊農村地域(柏市)と比較して低値の傾向が認められた.
  • 林 博史, 石川 富久, 高見 和秀, 小島 春紀, 矢部 誠太郎, 大杉 茂樹, 宮地 恭一, 外畑 巌
    1985 年 74 巻 1 号 p. 21-30
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    体表面電位図は,心電図・ベクトル心電図に比して,体表面上に多数の誘導点を有するので,心臓の興奮伝播過程を推定するのに非常に有用である.従来からの等電位線図による興奮伝播過程に関する研究は数多く報告されているが,等時線図による検討は殆どなされていない.今回,体表面電位図から,各誘導点の心室興奮到達時間(VAT)を求め,これに基づくVAT等時線図(VAT isochrone map)を作成して,心室興奮伝播過程を体表面から推定する方法の有用性の検討を行なつた.対象は,健常成人50人,心室性期外収縮を有する患者150人,心室ペーシングを行なつている患者25人であつた. 87誘導点から同時記録された単極誘導心電図に基づく等電位線図を作成し,これのコンピューター処理によりVAT mapを得た.正常のVAT mapは,等時線配列のパターンから3型に分類され,その頻度はA型56%, B型16%, C型28%であつた.心室ペースメーカーのVAT mapでは,電気刺激部位から進展する心室興奮伝播過程がよく表現され,等電位線図所見ともよく一致した.先に我々が13個所(右室4,左室5,中隔4)に発生源を推定した心室性期外収縮のVAT mapでは,等時線の開始部位により,期外収縮の発生源が明らかに示され,またその粗密により,特殊伝導系による伝播,あるいは筋伝導による伝播等が推定された. VAT mapによる心室興奮伝播過程の推定は,等電位線図によるそれと,よく一致したが,前者は,一枚の図でより直接的に表現でき,極めて有用と考えられた.
  • 雪村 八一郎, 相沢 徹, 山内 恵史, 小宮 一郎, 市川 和夫, 多和田 真人, 高須 信行, 山田 隆司, 小谷 雅宣
    1985 年 74 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Wolfram症候群の2症例について内分泌検査の結果を中心に報告した.症例1は28才,女性,症例2は19才,男性で,両症例とも両親に近親婚があり,若年性糖尿病を症例1は15才,症例2は12才で発症しインスリン治療をうけていたが,両例とも血糖コントロールが不良の上,症例1は無月経が,症例2は夜尿症が生じたため入院した.症例1では両側の感音性難聴,部分的尿崩症,視床下部性性線機能低下症,慢性甲状線炎および視床下部障害による.甲状腺機能低下症,両側白内障,二分仙椎が認められ,症例2では両側の視神経萎縮,部分的尿崩症が認められた.両症例とも高アラニン尿は認めず, Gバンディング法による染色体分析は正常であつた.以上,主なる内分泌異常は,膵内分泌機能の他,視床下部,下垂体後葉に認められた.
  • 相澤 信行, 福山 次郎, 亀井 徹正, 内山 富士男, 上野 文昭, 原 芳邦
    1985 年 74 巻 1 号 p. 36-39
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    覚醒剤常用者におこる右心型感染性心内膜炎は,米国においては多数症例報告があるが,我国ではそのような症例報告はまれである.症例は31才,男.主訴全身倦怠感および発熱.入院の2年前より時々覚醒剤を静注していた.入院10日前より高熱あり全身倦怠感強く起座不能となり入院.血圧80/40mmHg,脈拍120/分,呼吸数30/分.全肺野に湿性ラ音を聴取,心雑音なし.両肘窩部両手関節部に硬い注射痕を認めた.胸部X線像上境界不鮮明な結節状陰影が多数肺の末梢側に認められた.心臓超音波断層検査では,三尖弁に輝度の高い疣贅を認めた.覚醒剤静注によつて生じた右心型心内膜炎および多発性肺膿瘍と診断し,血液培養後強力な化学療法を開始した.原因菌は黄色ブドウ球菌と判明.内科的治療に奏効せず外科的治療を考慮するも進行する腎不全・呼吸不全・出血傾向により手術不能と判断.第23病日,呼吸不全にて死亡.覚醒剤常用者における感染性心内膜炎では三尖弁に病変をつくることが多く,心雑音聴取不能の例でも超音波断層検査でその病変をとらえることが可能で,有力な診断法の一つとなる.化学療法の発達した現在でも覚醒剤常用者の感染性心内膜炎は合併症が多く予後不良の場合があり,化学療法が奏効しない時は早期に弁切除術を考慮する必要がある.覚醒剤常用者の増加に伴い,今後日本においても本例のような感染性心内膜炎の増加が予想され,念頭におくべき重要な疾患と考えた.
  • 桜井 文雄, 伴野 祥一, 土屋 幸彦, 竹内 秀夫, 板倉 弘重
    1985 年 74 巻 1 号 p. 40-47
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肝硬変以外に腫瘍や炎症などの要因なく,乳び腹水を続発した症例を経験したので報告する.症例は50才の男性で,既往に昭和30年肺結核による肺切除術後の輸血後肝炎がある.昭和56年11月,腹水貯留を主訴として入院した.症状および検査成績より肝硬変の非代償期と診断し,安静,減塩高蛋白食および利尿薬投与にて腹水は,一時消失したが,入院12週頃より再貯留し,利尿薬に反応せず,腹水は乳様混濁を呈してきた.腹水中のトリグリセライドは著しく増加し,血清値より高値で,トリグリセライド/コレステロール比は高く,超遠心法を用いた蛋白分析では比重1.006以下の分画が著増していた.リンパ管造影では,乳び槽近くでの不完全閉塞を思わせる所見が得られたが,剖検ではリンパ路の異常は認められなかつた.乳び腹水中の比重1.006以下のリポ蛋白分画のpolyacrylamide gel electrophoresisによるアポリポ蛋白分析では,腸管由来のアポB48とともに肝由来のアポB100,アポB26を認めた.また乳び腹水中のアポA定量では,アポAI 10.6mg/dl,アポAII 1.3mg/dlの値を得,アポAI/AII比は正常血清と比べ上昇していた.われわれの知る限り,本症例は肝硬変に続発した乳び腹水のアポリポ蛋白分析を行なつた最初の報告例である.
  • 内田 信之, 岡山 健次, 半田 祐一, 崎村 恭也, 倉根 理一, 小久江 浅二, 横田 修, 山根 清美, 小林 逸郎
    1985 年 74 巻 1 号 p. 48-53
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    アルコール性肝硬変症の41才,男性に,突然両下肢の著明な筋力低下と筋痛が出現した. Creatine phosphokinase(CPK)はじめ血清酵素値の高度の上昇と,筋生検にて著明な筋細胞の壊死が認められ,本症例を横紋筋崩壊壊死(rhabdomyolysis)を伴う急性型アルコール性筋症と診断した.アルコール性筋症の臨床病型は,急性型,慢性型および潜在型に分類されており, rhabdomyolysisを伴う急性型は,最も重症で比較的稀とされている.本症例では, CPKの異常高値や独歩可能となるまでに10週以上を要したことより,これまでの報告例に比し, rhabdomyolysisが高度であつた希な症例と考えられた.また今回この症例に阻血試験(ischemicexercise test)を施行し,本症の発生機序に解糖系酵素の活性低下が関与している可能性を推察し,文献的考察を加えた.
  • 加藤 光敏, 加々美 明彦, 多田 紀夫, 石川 俊次, 永野 允, 中村 治雄
    1985 年 74 巻 1 号 p. 54-61
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Weber-Christian病(W-C病)の1例を経験し,脂質代謝異常の存在が推定されたので報告する.症例は57才,女.昭和56年8月,発熱,両下肢の腫脹熱感にて入院.四肢,殿部に皮下硬結を50個触知し,皮膚生検にてW-C病と診断された.血清脂質値は病勢期の低下および回復期の上昇傾向を認めたが,遊離脂肪酸(FFA)のみは高値を持続した. catecholamine負荷試験,糖負荷試験によるFFAの反応は良好で,脂肪組織に対するFFAの調節機構は保たれていた. post heparin lipolytic activity (PHLA)は1.6FFAμmol/ml/h (正常者7.0FFAμmol/ml/h)と低下し,さらに脂肪負荷試験ではK2=0.0185% (正常K2=2.60±0.52%:mean±SD.)と顕著な低下を認め,本症例にTG-richリポ蛋白であるVLDL,カイロミクロンの処理障害が存在した.血清の脂肪酸構成においてはC16:0, C16:1の上昇, C18:2の低下を認め,脂肪組織では,病巣部・非病巣部におけるC16:0, C18:0の低下および,病巣部でのC16:1の増加を認めた.また本症例では細胞性免疫能低下など免疫異常は認められるものの,超遠心分離後のリポ蛋白に免疫複合体を認めず,又酵素抗体法にて脂肪細胞に免疫グロブリン,補体の沈着を認めなかつた.以上病巣よりの脂肪酸動員増加,並びにTG-richリポ蛋白の異化障害が本症例の脂質代謝異常として存在した.
  • 山村 卓, 横山 信治, 山本 章, 住吉 徹哉, 平盛 勝彦, 西大條 靖子, 都島 基夫, 南部 征喜, 池田 正男
    1985 年 74 巻 1 号 p. 62-69
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    リポ蛋白代謝に重要な機能を果しているアポリポ蛋白E (アポE)には遺伝的多様性が存在し,それぞれ臨床的意義に差のあることが示唆されている.そこで高脂血症58例,虚血性心疾患69例および一般健常者100例についてアポEの多様性を分析した.一般健常者におけるアポE対立遺伝子の頻度は欧米での成績と類似していた.また3種類の遺伝子に基づく6種類のアポE表現型の分布は,高脂血症群,虚血性心疾患群の間で大きな違いはなかつた.しかし今回の分析において,新しいアポEの遺伝的変異種が2種類見つかり, apo E-5およびapo E-Suitaと呼ぶことにした. E-5, E-Suitaポリペプチドは野生型であるE-3ポリペプチドに対し,相対的に正電荷がそれぞれ2単位, 4単位増加するようなアミノ酸組成の異常が起こつたものと判断される.またE-5ポリペプチドでは他のアポEポリペプチドに比べ,アミノ酸残基数が減少しているものと考えられた.これら変異アポEは高脂血症群4例(うち2例は動脈硬化症を合併),および虚血性心疾患群で3例認められた.健常群では1例も認められなかつた変異アポEが,高脂血症・虚血性心疾患群でそれぞれ5%前後存在し,高頻度に動脈硬化症を合併することから,変異アポEと動脈硬化の関連性が示唆された.
  • 太田 宏信, 高野 諭, 野本 実, 渡辺 省三, 石原 清, 市田 文弘
    1985 年 74 巻 1 号 p. 70-75
    発行日: 1985/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Immunoblastic lymphadenopathy (IBL)-like T cell lymphomaとはIBLと臨床像ならびに組織像が類似するが,増殖細胞がT cellのマーカーを有する新しい疾患概念である.著者らは肝硬変にIBL-like T cell lymphomaを合併し,かつ剖検により肝細胞癌の合併をも確認しえた症例を経験した.症例は61才,男性. 4年前肝生検の結果肝硬変の診断をうけている.発熱,腹部膨満感を主訴に昭和56年8月31日入院.入院後抗生物質の投与により一時的な下熱をみたが,その後は40°C台の弛張熱が続いた.著明な腹水貯留に対して腹水濃縮還流術を数回施行したが,その都度一過性の下熱がみられた.入院2ヵ月目頃より全身性リンパ節腫脹が出現,組織像ならびに免疫学的検査の結果IBL-like T cell lymphomaと診断した.プレドニゾロン投与にてリンパ節腫脹は軽減し,腹水の減少がみられた.しかしその後肺炎を併発し,入院7ヵ月目に肝不全にて死亡した.本症例は病理組織学的,免疫学的および臨床的所見から下山らの提唱するIBL-like T cell lymphomaに合致するものと考えられる.基礎疾患である肝硬変,および剖検により診断しえた肝細胞癌との因果関係は不明であり,偶然の合併と考えられた.
  • 1985 年 74 巻 1 号 p. 119
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
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