日本内科学会雑誌
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92 巻, 1 号
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  • 鈴木 博昭
    2003 年 92 巻 1 号 p. 1-3
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 1)適応,方法,成績-食道表在癌に対する内視鏡的粘膜切除術-
    井手 博子, 太田 正穂
    2003 年 92 巻 1 号 p. 4-9
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    内視鏡的粘膜切除術(EMR)は食道表在癌に対する低侵襲な治療法として広く普及し数多くの施設で行われるようになった.また近年では適応の拡大や長期予後をめぐっての検討がなされている.深達度ではリンパ節転移の可能性が低いm2までで,一括切除による病変の完全な切除を絶対適応とすると2/3周以下,長径2~3cm以下の病変が対象となる.多発病変はそれぞれの病変がEMRの適応範囲内であれば適応と考えてよいと思われる.代表的なEMRの手技,成績,合併症の予防と対策, EMR後の経過観察について概説する.
  • 2)適応拡大への動向
    門馬 久美子
    2003 年 92 巻 1 号 p. 10-20
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    外科切除24例(m3癌16, sm1癌8)と粘膜切除48例(m3癌34, sm1癌14)を検討対象とした. (1)リンパ節転移は, m3癌6%, sm1癌11%であった. (2)脈管侵襲陽性率は,外科切除m3癌56%に対し粘膜切除29%,外科切除sm1癌88%に対し粘膜切除64%と,いずれも粘膜切除の方が低率であった. (2) m3・sm1癌とも,外科切除例は浸潤範囲が広い症例が多く,隆起・陥凹が目立つため,深達度を深く診断していた.逆に,粘膜切除例は浸潤範囲が狭い症例が多く,浅い陥凹が主体で,陥凹内の凹凸が少ないため,浅く診断していた.現時点での粘膜切除の適応拡大が可能なm3・sm1癌とは,粘膜筋板の浸潤部分が狭く,脈管侵襲の可能性が低い疲例である.
  • 1)適応,方法,成績
    斉藤 大三, 後藤田 卓志, 小田 一郎
    2003 年 92 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    早期胃癌の治療に占める内視鏡的粘膜切除術(EMR)の比重は年々高くなっている.胃癌学会の提唱するEMRの絶対適応基準は, (1)分化型腺癌, (2) 2cm以下, (3)潰瘍所見(一), (4)明らかなSM浸潤所見のないもの,である. EMRの手技には種々あるが,近年開発された高周波メスにより直接粘膜を切開する方法により病変の一括切除率は向上した. EMR前の正診率に制限がある以上,切除後の組織学的検索は必須であり,正確な病理診断を得るためにも一括切除はEMRの重要な因子である.
  • 2)内視鏡的粘膜切除術における適応拡大への動向
    矢作 直久, 小俣 政男
    2003 年 92 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    内視鏡的粘膜切除術(EMR)の適応は,リンパ節転移のないものという理論的条件と,その病変を一括で切除可能かという技術的条件の両面から規定される.理論的条件は過去の多数の手術症例の検討より明らかにされ,深達度や大きさ,肉眼型,潰瘍所見,組織型などにおいて,適応拡大の可能性が示されている.技術的にもそれらの病変を一括切除することが可能になってきており, EMRの適応拡大は確実に進んでゆくものと考えられる.
  • 1)適応,方法,成績
    梅里 和哉, 工藤 進英, 樫田 博史, 為我井 芳郎, 大塚 和朗, 坂下 正典, 蓮尾 直輝
    2003 年 92 巻 1 号 p. 36-39
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    大腸癌は早期に発見し治療をおこなえば予後は良好であり,内視鏡診断と治療の役割は大きい.早期大腸癌のなかで粘膜内癌とsm1癌は.リンパ節転移率および遠隔転移率ともに明らかに低く,内視鏡的切除の適応である.早期大腸癌の場合,深達度診断を慎重におこないポリペクトミーや内視鏡的粘膜切除術をおこなうことが大切である.
  • 2)早期大腸癌に対する内視鏡治療適応拡大への動向
    斉藤 裕輔, 藤谷 幹浩, 渡 二郎, 太田 智之, 高後 裕
    2003 年 92 巻 1 号 p. 40-46
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    患者のquality of lifeの向上を目指して,早期大腸癌に対する根治的内視鏡治療の適応拡大が求められている.適応拡大に向けて, i)粘膜下層癌における浸潤度分類と測定法の統一, ii)リンパ節転移の危険性の高い浸潤距離(>1,000μmまたは>1,500μm)及び組織所見(リンパ管侵襲または籏出)の決定,さらにiii)超音波内視鏡や拡大内視鏡を用いたリンパ節転移の危険因子の術前診断についての研究が現在進められている.
  • 芳野 純治, 乾 和郎, 若林 貴夫, 加藤 芳理, 小田 雄一
    2003 年 92 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    消化管早期癌の内視鏡的治療の合併症には,食道癌では食道穿孔,食道狭窄,出血などがある.胃癌では出血,穿孔が多く,その他に狭窄が,大腸癌では穿孔と出血が多く,その他にガス爆発,火傷などがある.予後に関しては,完全切除例には再発例がほとんど認められない.遺残再発は1年以内に認められることが多く,遺残再発をきたしやす病変として,分割切除例,組織学的検索により断端が陽性か不明な例,大きな病変に多い.
  • 才川 義朗, 大谷 吉秀, 吉田 昌, 古川 俊治, 北川 雄光, 久保田 哲朗, 北島 政樹, 熊井 浩一郎
    2003 年 92 巻 1 号 p. 53-57
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下手術(LS)は, 1987年フランスの産婦人科医師Mouretが婦人科のLSの際に胆嚢を摘出したのが初めである. LSの利点として, 1)疼痛が軽微, 2)術後腸蠕動回復が早く早期に経口摂取が可能, 3)早期退院・早期社会復帰が可能, 4)創が小さく美容的,などがある. LSの技術・器具の進歩により今や開腹で行われる手術術式のほとんどは技術的にLSで施行可能である.一方でLSの施設間の技術格差は未だ大きい.熟練した内視鏡外科医のもとではLSは標準術式としての安全性・簡便性が確保されてきたものの,全ての外科医に普及した技術とは未だ言えない. LSの課題としては,まず,標準術式化を目指して,術式の適応選択基準の確立とより簡便かつ安全な手術技術の開発が望まれる.またLSを初めとした手術の縮小化には, sentinel lymph node navigationなど,より高度の補助診断技術の開発も重要であり.放射線科・内科技術の発展も期待される.
  • 1)適応,方法,成績
    小原 勝敏
    2003 年 92 巻 1 号 p. 58-65
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    静脈瘤治療に大きく貢献した内視鏡治療は硬化療法に始まり,各種治療薬剤を用いた治療手技が次々と展開された.一方,薬剤を使用しない内視鏡治療が導入された.いまや,静脈瘤治療は多様化し,病態に応じた治療法を選択できるようになった.それ故に,静脈瘤治療は安全かつ効果的な手技が要求され,そのためには,各種治療法の適応を明確にし,患者の病態と門脈血行動態に応じた適切な治療法を選択することが重要である.
  • 2)合併症と予後
    於保 和彦, 豊永 純
    2003 年 92 巻 1 号 p. 66-72
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    内視鏡的硬化療法の合併症には食道潰瘍,発熱,胸痛などのminor complicationと,食道穿孔,門脈血栓,硬化剤による肝障害,腎不全などのMajor complicationがある.内視鏡的静脈瘤結紮術では硬化療法に比し合併症の頻度は低いがオーバーチューブによる食道穿孔などの重篤な合併症が存在する.内視鏡治療患者の静脈瘤出血死の頻度は低く,生命予後は背景肝疾患の自然史に依存している.
  • 赤松 泰次, 横山 太郎, 中村 直, 越知 泰英, 三枝 久能, 川村 葉子, 高山 真理, 清澤 研道, 五十嵐 亨
    2003 年 92 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    出血性消化性潰瘍に対する内視鏡的止血術は止血剤散布法,機械的止血法,薬剤局注止血法,組織凝固法に大別され,それぞれ長所と短所を有する.一般に十二指腸潰瘍は胃潰瘍と比べて止血成績は不良で,基礎疾患の存在も止血成績が不良になる要因である.止血手技の選択は術者の慣れと出血の状況によって決定するが,止血が困難であったり再出血を繰り返す場合には,時期を逸することなく外科的治療に移行しなければならない.
  • 腹腔鏡下胆嚢摘出術
    山川 達郎, 石山 純司
    2003 年 92 巻 1 号 p. 79-84
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下胆嚢摘出術は,小さな組織損傷に起因して,疼痛はかるく,また術後呼吸機能の早期改善傾向は低酸素血症の発生を予防して創傷治癒や免疫学的に好影響を及ぼし,早期離床,早期社会復帰をもたらす優れた手術法であり,今や胆嚢摘出術の第1選択手技として定着した.本稿ではその手技,ことに合併症予防上大切な技術的ポイントと成績,利点,問題点などについて解説した.
  • 池田 靖洋, 眞栄城 兼清
    2003 年 92 巻 1 号 p. 85-91
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    総胆管結石は, EST, EPBDが標準的治療となり,特殊な症例を除けば全ての胆管結石例に適応される. ESTとEPBDの選択について現時点では明確な基準がなく,個々の病態で考慮すべき段階にある.手技については,ガイドワイヤーの導入や破砕具の発達により簡便かつ安全性が向上している.今後,総胆管結石に対する内視鏡的治療は,安全性のより一層の追求と,切石後の遠隔時における課題を解明していく必要がある.
  • 悪性食道狭窄のステント療法
    嶋尾 仁
    2003 年 92 巻 1 号 p. 92-98
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ステント治療は高齢,重症併存疾患をもつ例,遠隔転移例,手術拒否例など,切除不能症例を対象とする.気管・気管支狭窄を伴っている場合,気道系狭窄部位に先にステントを留置する必要がある.痩孔には膜付きステントが有効である. dysphagia scoreによる改善度では平均値で2台(2.2~2.9)から1前後(0.7~1.4)への改善がみられる.治療に関連する死亡率は7~11%で,平均予後は3~5カ月である.
  • 宇野 耕治, 中島 正継, 安田 健治朗, 趙 栄済, 田中 聖人, 上田 モオセ, 川口 義明, 宮田 正年, 酒田 宗博
    2003 年 92 巻 1 号 p. 99-103
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    十二指腸内視鏡下にドレナージチューブ(ステント)を胆管に留置する内視鏡的逆行性胆管ドレナージ術(ERBD)は,閉塞性黄疸に対する低侵襲の減黄法であり,今日ではこの分野の第一選択の手段として広く応用されている.本法の主な適応は肝門部を含む肝外胆管狭窄であるが,特に悪性胆道狭窄における手術前の一時的減黄や切除不能例での長期の減黄維持に極めて有用な手段である.しかしながら,本法の手技的な面や器具的な面には未だに様々な問題があり,今後更なる対第や改良が望まれる.
  • 税所 宏光
    2003 年 92 巻 1 号 p. 104-109
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    膵管減圧を目的とした内視鏡的膵管ステント留置法は,場合によっては膵癌にも適用されるが, ESWLによる膵石破砕治療などと共に,主として慢性膵炎による膵管狭窄の治療に応用される.膵性疼痛や急性再燃の防止対策として臨床的な有用性が認められる.しかし,治療効果はステントの開存に依存し,長期的な維持には限界がある.外科的治療を視野にいれて臨床的な得失を勘案することが肝要である.なお,短期的な膵管減圧の適応には,経鼻膵管チューブ留置法も有効である.
  • 本間 りこ, 斉藤 保, 亀田 亘, 大泉 俊英, 山口 宏, 大沼 寛, 大門 真, 間中 英夫, 加藤 丈夫, 江口 英行
    2003 年 92 巻 1 号 p. 137-139
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は,頻発する低血糖発作と感情失禁,記銘力障害を主訴に来院した, 75歳男性.初診時の血糖値は20mg/dLであり,腹部CTにて膵頭部に腫瘤病変を認め,病理組織学的にインスリノーマと診断した.本例では脳MRI(拡散強調画像およびT2強調画像)にて両側海馬に高信号域を認め,腫瘍摘出後,血糖値は正常化したが,記銘力障害は残存した.脳MRIにおける異常信号域の存在は知的機能障害の予後推定に有用であると考えられた.
  • 古屋 志野, 北澤 邦彦, 出浦 弦, 土信 田文隆, 清水 慎介, 下條 隆, 酒井 寿明, 石黒 淳, 宮原 隆成, 三澤 卓夫, 野口 ...
    2003 年 92 巻 1 号 p. 140-142
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,男性.腰痛・右膝痛を主訴に受診し,頸部及び右上下肢の広範な蜂窩織炎を認めた.黄色ブドウ球菌敗血症と急性腎不全を伴っており,赤血球形態異常のない溶血性貧血を合併していた.患者血液型は赤血球膜にKx抗原を欠くMcLeod型であった.血液浄化療法やステロイドパルス療法を行ったが,心不全で死亡した.本症例は多彩な合併症を呈したMcLeod表現血液型の1例であり,若干の文献的考察を加え報告した.
  • 山口 昭三郎, 金古 善明, 山岸 高宏, 大山 良雄, 天野 晶夫, 新井 昌史, 中村 哲也, 長谷川 昭, 倉林 正彦
    2003 年 92 巻 1 号 p. 143-145
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    67歳,女性.クラリスロマイシンの投与を受けた後, torsades de pointesが頻発した.内服中止後に頻拍は消失し,本剤により惹起されたQT延長症候群と診断した.内服中止後も, QTc延長(0.51秒)とV2-6の二相性T波,イソプロテレノール,メキシレチン静注投与後のTU波の形態変化を認め,基礎に再分極異常の存在が示唆された.本剤は使用頻度の高い薬剤であり,投与後の経過に十分留意する必要がある.
  • 佐々木 亨, 三浦 一樹, 黒川 博一, 秋山 博, 八木 英一
    2003 年 92 巻 1 号 p. 146-148
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,女性.糖尿病加療中.発熱,咳嗽を伴った全身の紅斑が出現.精査にて,壊疽性膿皮症合併間質性肺炎と診断.ステロイドパルス療法効果なく,シクロスポリンA投与したところ,全身状態ならびに画像所見・検査成績が著しく改善した.壊疽性膿皮症を合併した間質性肺炎は報告がなく,稀な症例であると同時に,両疾患には関連した原因がある可能性が考えられた.
  • 横尾 隆, 細谷 龍男
    2003 年 92 巻 1 号 p. 149-154
    発行日: 2003/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年注目されている再生医学の基礎として各種臓器の幹細胞の同定,分化に対する研究が精力的に行なわれているが,そのさきがけとして造血幹細胞は古くより研究が進み,実際に造血幹細胞による移植医療が臨床応用されている.筆者らはこの造血幹細胞移植のテクノロジーを用いて,炎症部位に遺伝子を導入することで腎炎治療の可能性があることを提唱してきた.これは糸球体腎炎において炎症の場は糸球体であるが,炎症を発症進展させるマクロファージや好中球等の炎症細胞は骨髄幹細胞由来であるため,炎症細胞自体の性格を抗炎症性に変化させることにより腎炎の進行を抑止,または治癒させることが可能ではないかという概念である.本稿ではこの骨髄由来細胞を用いた炎症糸球体特異的遺伝子導入法による腎炎治療と,さらにこのシステムの応用による腎臓再生医療の可能性にこついて概説する.
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