Sepsis syndrome (仮訳:敗血症症候群)はsepsis (敗血症)の病態に1個以上の臓器の灌流または機能の障害を併発した状態をさす.この状態を放置するとseptic shock (敗血症性ショック)に移行する可能性が高く,ショックに陥ることを防止すべき最後のステージと言える.最近抗エンドトキシン抗体や抗TNF抗体が入手可能となり,ショックに移行する前に,これらによる治療もできるようになって来たので,この病態を的確に診断することの重要性が注目されるようになってきた. sepsisとsepticemiaは共に敗血症と訳されているため混乱が見られるが, septicemiaと異なりsepsisでは血液培養が必ずしも陽性である必要はなく,感染の存在とそれによる呼吸促迫,頻脈,体温異常などが見られればsepsisと診断される.これらsepsisの所見の他にPaO
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2≦280,血中乳酸値の上昇あるいは尿量減少(0.5ml/kg/h)などで代表される臓器障害の所見が加わったものがsepsis syndromeである. sepsis, sepsis syndrome, septicshockの一連の病態にはendotoxin, enterotoxin, TNF-α, IL-1その他多くのmediatorが関与している.これらの関与様式,相互作用の実態を明らかにすることにより, sepsis syndrome, septic shockの有効な治療法が開発されるものと期待される.
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