日本内科学会雑誌
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100 巻, 11 号
選択された号の論文の39件中1~39を表示しています
内科学会NEWS
特集 内科医が知っておくべき検査の最新情報:臨床検査の進歩
Editorial
トピックス
I.総論
II.各論~注目される新しい検査を中心に~
  • 苅尾 七臣
    2011 年 100 巻 11 号 p. 3201-3208
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    循環器疾患をより早く検出し,的確に診療するうえで,注目されている臨床検査の最新情報をまとめる.バイオマーカーでは,心不全のBNPやNT-ProBNP,心筋障害の高感度トロポニンT,血小板機能,血液凝固線溶のD-dimer,プロトロンビンF1+2,PAI-1,腎臓の推定糸球体濾過量とアルブミン尿,炎症の高感度CRP等の臨床的有用性が高い.血管検査は,脈波伝搬速度,内皮機能検査(FMD),中心血圧,頸動脈エコーの最大IMTがある.また,家庭血圧測定に加え,24時間血圧測定(ABPM)で,24時間血圧レベル,サーカディアンリズムとモーニングサージが評価でき,パルスオキシメーターで睡眠時無呼吸がスクリーニングできる.これらの最新検査は,的確な臨床状況においてこそ,その力を発揮する.十分な病歴聴取のもとに,適切な対象者への活用が望まれる.
  • 東條 尚子
    2011 年 100 巻 11 号 p. 3209-3214
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    肺癌治療は,分子生物学の進歩に伴い抗癌薬投与前に遺伝子検査を実施することによって,その効果予測が可能となった.EGFR-TKIの効果を予測するEGFR遺伝子変異検査,塩酸イリノテカンの副作用を予測するUGT1A1遺伝子多型解析がこれにあたる.さらに呼吸器疾患領域で注目される検査として,呼吸器検体からの肺炎球菌抗原を検出する迅速検査,結核感染を診断する結核菌特異蛋白刺激性遊離インターフェロンγ測定について解説する.
  • 真嶋 浩聡
    2011 年 100 巻 11 号 p. 3215-3223
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    近年の科学技術の進歩は著しく,その進歩を吸収しながら消化管領域の検査も日々進化している.ここでは,消化器内視鏡の画像強調観察法,カプセル内視鏡の現状と今後の可能性,CT・MRIを用いた大腸・小腸検査,胃癌の新たな分子標的薬,新しい胃蠕動運動抑制剤を取り上げる.これらを有機的に結びつけて,スクリーニング,早期発見,診断,治療の有効性を高めていくことが重要である.
  • 池田 均
    2011 年 100 巻 11 号 p. 3224-3229
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    肝臓領域の最近の臨床検査の話題としては,近年目覚ましいウイルス肝炎治療の進歩を支えるウイルス動態の解析法の開発,さらに,治療効果予測に有用なウイルスおよび宿主因子の解明が挙げられる.また,古くて新しい問題である線維化の検査法も,エコー技術を利用した肝弾性値測定の導入により新たなステージを迎えている.一方,胆膵領域の新たな臨床検査としては,膵癌・胆道系癌との鑑別が重要な自己免疫性膵炎の診断におけるIgG4について取り上げた.
  • 田窪 孝行
    2011 年 100 巻 11 号 p. 3230-3239
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    末梢血液検査は,各血球の定量および容積と細胞形態を解析する検査である.現在では,大病院や検査センターにおいて自動血球分析装置により血球数,白血球分類,網赤血球数が迅速に測定されている.その結果の精度と信頼性は内部および外部精度管理により高くなっている.近年,自動血球分析装置における性能の向上は著しく各血球の容積/容量および細胞形態に関連したパラメーターとして網血小板,網赤血球ヘモグロビン等量,破砕赤血球,末梢血幹細胞,幼若顆粒球,有核赤血球などに関して多くの詳細な情報が提供できるようになった.さらにモノクローナル抗体を用いた免疫学的方法による血小板数の計測やリンパ球サブセット解析などに利用が拡大している.このように現在では高性能で多くの専門性の機能を有する自動血球分析装置が普及し貴重な情報を得ることができるようになった.末梢血液検査は,実地医家の実臨床にとってスクリーニングやモニタリング検査として重要な検査の一つである.
  • 矢冨 裕
    2011 年 100 巻 11 号 p. 3240-3246
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    血栓・止血検査は,出血性疾患・血栓性疾患の診断に重要であり,これらの疾患の病態解明に並行して,新しい有用なものが導入されている.とくに,血小板減少による出血性疾患である特発性血小板減少性紫斑病,血栓性血小板減少性紫斑病の検査診断は変わろうとしている.一方,静脈血栓塞栓症において,血栓性素因の評価は重要である.プロテインS欠損症は日本人の先天性血栓性素因の中では最も高頻度に見られ,注目されている.
  • 和田 隆志, 古市 賢吾
    2011 年 100 巻 11 号 p. 3247-3255
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    新規導入患者数は頭打ち傾向にあるものの末期腎不全による透析患者がいまだ増加しており,腎臓病の予防,早期発見,適切な治療,予後改善が求められている.慢性腎臓病(CKD)の概念が提唱され,検尿に加えて,推算式による推算糸球体濾過量(eGFR)が日常臨床に用いられている.さらに,病態,予後を反映する新規バイオマーカー,画像診断が開発・臨床応用されている.検査の適切な使用ならびに評価により,包括的な腎臓病の理解と予後の改善が期待される.
  • 村上 正巳
    2011 年 100 巻 11 号 p. 3256-3262
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    甲状腺疾患の臨床検査においては,Basedow病の診断に必要なTSHレセプター抗体の測定が自動化され診察前検査として行うことが可能になり,超音波検査では血流測定やエラストグラフィなどが診断に利用されている.成人成長ホルモン分泌不全症の診断におけるGH分泌刺激試験,サブクリニカルCushing症候群の診断におけるコルチゾール測定の課題などについて述べる.
  • 平山 哲, 三井田 孝
    2011 年 100 巻 11 号 p. 3263-3269
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    増加する心血管病は,生活習慣や社会環境の変化にともなう脂質代謝異常や糖代謝異常の急増と密接に関連している.臨床検査はその診断や治療のために必要な評価指標として重要な役割を担う.今後,正しい評価を行うために検査指標の標準化を進めるとともに,臨床検査のさらなる改良と新規開発をめざすことが心血管疾患の抑制のために重要と考えられる.
  • 小柴 賢洋, 正木 充
    2011 年 100 巻 11 号 p. 3270-3275
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    リウマチ・アレルギー性疾患の背景には免疫系の異常反応が存在し,自己抗体をはじめとする免疫血清学的検査がその診断,病型分類,病態・病勢の把握や予後の予測に有用である.その反面,感度・特異度とも100%という臨床検査は存在し得ず,また免疫系の異常が必ずしも疾病を意味するものではないため,それぞれの患者の病歴や理学的所見に基づいた適切な検査結果の解釈が必須である.
  • 安東 由喜雄, 大林 光念, 植田 光晴
    2011 年 100 巻 11 号 p. 3276-3283
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    神経内科疾患は,かつて「診断ない,治らない,けれどあきらめない」の3つの「無い科」疾患と考えられてきた.しかし分子生物学的な研究手法の進歩や,様々な分野の研究が有機的に融合するようになり,一部の疾患は,診断のつく,治療できる疾患に変貌を遂げつつある.早期診断を行えば完治できる疾患も少しずつ増えつつある.患者の診断にあたる内科医が,広くそうした診断法の存在を理解し,自院に診断技術がない場合は,しかるべき病院に紹介し,診断を確定後治療に導く必要がある.本稿では,生理検査分野,血液生化学分野で,特に診療に遭遇する疾患についての最新の検査法を紹介する.
  • 一山 智
    2011 年 100 巻 11 号 p. 3284-3291
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    感染症診療における抗菌薬の適正使用において欠かせないポイントは,適切な微生物検査を迅速に行うことである.検体の採取に始まり,検査結果の正しい解釈と抗菌薬の種類と投与量の決定の過程で,臨床医は微生物検査室と連携して正しい検査と適切な診断および抗菌薬治療が求められる.広域抗菌薬が汎用される現在,検査が不十分のまま抗菌薬で感染症が治癒するケースも見られるが,感染症の治療成績の向上と耐性菌蔓延防止を達成するために,正しい検査手法と結果の解釈を身につけておくことが重要である.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 宮崎 泰司
    2011 年 100 巻 11 号 p. 3346-3353
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    MDSは造血幹細胞を由来とする造血器腫瘍であり,無効造血と白血病化を特徴とする.診断はなお形態学的な判断に依っている.約半数に染色体異常があることから遺伝子異常が疾患の本体と考えられていたが最近になって多数の遺伝子異常が同定されるようになった.今後の分子レベルでの病態解明が期待されている.MDSに対しては一般的な化学療法によっては治癒を得ることが困難であったが,最近になって新たな治療薬であるレナリドミド,アザシチジンが本邦でも使用できるようになった.特にアザシチジンは高リスク例に対して予後を延長しうることが示された初めての薬剤である.MDSに対しては症例毎の予後を的確に予測し,支持療法から同種造血幹細胞移植まで含めて総合的な治療戦略が必要である.
  • 北田 研人, 小堀 浩幸, 西山 成
    2011 年 100 巻 11 号 p. 3354-3360
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    腎臓には全身循環系から独立した局所のレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)が存在し,さまざまな病態における腎障害の発症・進展に関与している.慢性腎臓病の治療において,アンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)といったRAAS阻害薬が有効であることが多くの大規模臨床試験で証明され,最近では,また別の作用機序を有するRAAS阻害薬であるミネラロコルチコイド受容体拮抗薬や直接的レニン阻害薬の腎保護効果も報告されている.さらに,まだ腎症を発症していない糖尿病患者に対するARBの腎症発症抑制作用も報告され,RAAS阻害薬は治療薬のみならず,腎症発症予防薬としても有用である可能性が示唆されている.慢性腎臓病の治療において,腎症の早期あるいは発症前からより効果的にRAAS阻害薬を使用していくためには,腎内RAAS活性のバイオマーカーなどの開発が必要であり,そのひとつとして,尿中アンジオテンシノーゲンが注目されている.
  • 金澤 博, 平田 一人
    2011 年 100 巻 11 号 p. 3361-3367
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/04/11
    ジャーナル フリー
    血管内皮細胞は,様々な病的状況下においては,活発に増殖して新しい血管ネットワークを形成する.この血管新生という現象の過程の中心をなすものは,血管内皮増殖性因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)を介する血管内皮細胞の発生・増殖・分化とプログラム化された細胞死である.喘息気道においても,VEGFとVEGF受容体の過剰発現が観察され,血管新生の進展への密接な関与が推察される.さらに近年,VEGFの作用を調節する因子としてangiopoietin(Ang)ファミリーの生理作用が注目されており,VEGFとAngの相互作用による血管新生の精巧なメカニズムが明らかにされた.しかしながら,これまで血管内皮細胞に特異的に作用するとされてきたVEGFが,上皮下基底膜肥厚の形成・進展の過程に深く関与することを示唆する多数の知見が集積されつつある.そこで,本稿では喘息気道における血管リモデリングを引き金とする気道リモデリングの成立・進展に関するメカニズムを概説した.
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シリーズ:内科医に必要な救急医療
第12回東海支部専門医部会教育セミナー
シリーズ:考えてみよう 臨床クイズ 問題
シリーズ:「一目瞭然!目で見る症例」
シリーズ:日本発臨床研究の紹介と反省点を語る
シリーズ:指導医のために:プロフェッショナリズム
シリーズ:考えてみよう 臨床クイズ 解答
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