症例は51歳,男性.肝硬変で食道静脈瘤シャント術施行後6年目に,著明な腹水貯留で入院した.尿蛋白が5.6g/日,血清蛋白が5.1g/d1のネフローゼ症候群(以下NS)と, 789.4mg/dlの血清lgA高値を認めた.腎生検は,光顕で, mesangiumの増殖性変化と毛細管係蹄壁(以下GBM)の二重化を,蛍光抗体法で, IgA, C
3のmesangium領域とGBMへの顆粒状沈着を,電顕で, mesangium領域とGBMへのelectron-dense depositsの沈着, mesangial interposi-tionを認め, membranoproliferative glomerulonephritis(以下MPGN)様の糸球体病変を示した.肝硬変に伴う糸球体病変に関する多数の報告で, IgAの関与が明らかにされているが,本例はNSで発症した典型的な例と考えられた.
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