日本内科学会雑誌
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80 巻, 11 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
  • 安倍 達
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1713-1715
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 堀内 篤
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1716-1722
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    膠原病類縁疾患を診断するためには,膠原病について十分な知識をもっていることが必要である.既往歴と現病歴の入念な調査は診断に役立つ.症状からは,膠原病に共通してみられる発熱,関節炎,皮疹などに加えて,疾患特有の症状をみ出すように努める.検査では,まず抗核抗体のスクリーニングを行う.同時に血清補体価,白血球数,血沈値,画像診断などが参考になる.必要があれば生検組織像を観察する.
  • 粕川 禮司
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1723-1729
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    混合性結合組織病は全身性エリテマトーデス,強皮症,多発性筋炎の症状を合わせ持つことから,これら4疾患間での区別がむずかしい.現在までにAlarcon-Segovia (1976),厚生省研究班(1984), Sharp (1987)による三つの診断基準が提唱された.それぞれに一長一短があり,世界的に合意が得られた基準はない. 3基準の特徴と,その感度と特異度等を述べる.
  • 鳥飼 勝隆, 田村 いつ子, 佐藤 真紀子
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1730-1735
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    他に原因の明らかでない乾燥症状のある時にSjögren症候群を疑う.その時に,涙液や唾液の分泌量の測定,結膜上のびらんの有無,唾液腺造影写真,涙腺や下口唇小唾液腺の生検などにより診断をすすめる.さらに,これらに関する新しい検査法も開発されている.また,厚生省のSjögren病調査研究班の診断基準を初め,幾つかの診断基準が提唱されている.これらを基にして,各施設間での本症の診断の基準を一定化することが望まれる.
  • 竹内 明輝, 大瀬 亨, 吉野 保江
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1736-1741
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    難病Behçet病の新知見について述ベた.診断基準は1987年に改訂されているが,それとは別に国際的な診断基準を作る動きもある.病因としては連鎖球菌感染などが引き金となった免疫異常が考えられている.視力の予後は以前に比べよくなったが,これにはシクロスポリンが貢献していると考えられる.皮膚潰瘍,食道潰瘍,末梢動脈炎,末梢神経炎なども注目される臨床症状である.神経Behçetに関しては, MRI, PETなどの登場により,局在病変が明らかとなってきた.
  • 延永 正
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1742-1745
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    脾腫と白血球減少を伴う慢性関節リウマチ(RA)はFelty症候群とよばれ, RAの亜型とされている.本邦では比較的まれであるが,感染症が死因となりうるので注意すべき疾患である. Sjögren症候群,肝腫の合併が多く,血小板減少,低補体なども通常のRAと異なる特徴である.治療には非ステロイド性抗炎症薬,副腎ステロイドの他,金剤,メソトレキセートなどが有効とされるが,これら免疫作用薬は白血球減少をさらに増強する恐れもあり,慎重に投与すべきであろう.
  • 近藤 啓文
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1746-1750
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Wegener肉芽腫症は好中球細胞質に対する自己抗体(ANCA)が高率に見い出される全身性血管炎である.とくにproteinase 3を抗原とするC-ANCAが特異的に認められ本症の診断に有用である.その抗体価が活動性に一致して変動するので,治療効果の判定,再燃の予知にも利用できる.さらに,本症の病態形成機序にもANCAが重要な役割をもつと考えられている.本症の治療は,ステロイド薬とシクロホスファミド(CY)の併用療法である.しかし副作用の発現例にはCYのパルス療法あるいはST合剤の投与が検討されている.
  • 橋本 博史
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1751-1755
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    大動脈炎症候群は高安病とも呼ばれ,若い女性に好発する原因不明の疾患である.大動脈およびその分枝の血管に慢性の炎症をもたらし,その症候は血管の障害部位によるところが大きい.めまい,頭部,失神,視力障害などとともに脈や血圧の左右差をみることが多いが,初期には必ずしもこれらの症状を認めず,血管雑音が有力な手がかりとなる.確定診断は大動脈造影による.本文では,診断の他,疫学,病因,病理,治療,予後についてもふれた.
  • 吉野谷 定美
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1756-1761
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    膠原病類縁疾患の診断に役立つ検査は,自己抗体検査,免疫複合体,血清蛋白分画,補体,免疫グロブリン定量,炎症マーカー,血算血液像,各々の臓器機能検査などである.サルコイド-シスのACEは役に立つ検査であるが,線維化マーカーのPHは陽性率が低すぎるきらいがあり,個別に疾患標識検査項目と考えられている検査には感度と特異性に注意をはらう必要がある.リウマトイド因子(RF)と抗核抗体(ANA)は検査法の変化と共に鑑別診断上の価値に変化があった.定性法から定量法に進化しているRFは過去のRAテストよりも特異性が増大しているし,細分化されたANAや抗ENA抗体は疾患標識自己抗体と呼べるものが登場して,この分野ではなくてはならない検査となっている.
  • 柏木 平八郎
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1762-1765
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    膠原病類縁疾患の治療方針の決定に際しては,各症例における諸臓器病変の分布と,障害の程度とを正確に把握することが重要である.個々の症例における発病以来の病勢の推移を知り,現時点における疾患活動性を正しく評価しなくてはならない.フォローアップにあたっては,各疾患の多彩な臨床像を考慮して,疾患活動性の再燃に注意し,できるだけ早期に対応して合併症の発生を最小限に抑えることが予後の改善につながる.
  • 水島 裕
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1766-1770
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    膠原病類縁疾患の治療法は個々に異なるが,全体に共通する免疫療法,抗炎症療法についてはRAのそれが最も参考になる.免疫療法としては,現在の免疫療法薬をいかにうまく組み合わせるかが検討されている他,サイトカインに対する治療薬がすでに臨床研究段階に入り,さらに根本療法も研究され出している.抗炎症薬としてはプロドラッグの進歩が著しい.特に持読型のもの,炎症部位で活性され全身性副作用の少ないものが開発されている.
  • 山口 雅也, 大田 明英
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1771-1774
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    成人Still病は,関節疾患としてよりも熱性疾患としてその存在が注目されている.今回はその診断および鑑別診断に重点をおいて解説した.分類基準は,大項目として, (1)発熱, (2)皮疹, (3)関節痛, (4)白血球増加,小項目として(5)咽頭痛, (6)肝機能異常, (7)RFとANA陰性, (8)肝脾腫またはリンパ節腫脹,の計8項よりなり,これらのうち5項目(大項目2以上を含む)以上を満たす症例を成人Stil1病と分類する.
  • 熊谷 安夫
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1775-1778
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ヒト・adjuvant病は,異物を用いた美容外科術後に起こる膠原病様もしくは自己免疫疾患様病態である.自験例,本邦報告例を検討すると, 1965年以前に異物注入法で手術を受けた症例が多く, PSSおよびその関連疾患との関係が深いと考えられた.一方近年海外での報告例が増加しており,これらの多くは1970年以後に,シリコンバッグの充填法で手術を受けている. PSSの頻度が高いということは自験,本邦報告例の結果と一致する.
  • 諸井 泰興
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1779-1781
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    好酸球性びまん性筋膜炎(または好酸球性筋膜炎)は1974年にはじめて報告された疾患で,四肢の痛み,腫脹,皮膚の硬結ではじまり,激しい運動の後に発症することのある点が特徴とされている.症状の上では皮膚硬化を示す点で強皮症に類似するが, Raynaud現象や内臓病変は見られない.発病初期に好酸球増加症を認め,皮膚生検所見で筋膜を中心とする好酸球,リンパ球を含む炎症性細胞浸潤と筋膜肥厚で確診される.予後は通常良好でステロイド薬によく反応する.近年典型例以外に種々の疾患との合併,強皮症への移行例,特に1989年にはじめて報告された好酸球増加・筋痛症候群(eosinophilia-myalgia syndrome)との関連性が病因の上から大きな関心を集めている.
  • 鎌谷 直之
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1782-1787
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    1988年の暮れから,主として米国でトリプトファン製薬物の摂取による,筋肉痛と末梢血の好酸球増加を特徴(好酸球増加-筋肉痛症候群)とする患者が多発した.全患者数は1500人を越え, 27名程度の死亡が報告されている.患者はすべて,日本の特定の会社の製剤を摂取しており,この会社製剤中の不純物によると考えられる.動物実験でもこの製剤が類似の障害を起こすことが証明され,原因の解明も近いと思われる.
  • 高杉 潔
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1788-1792
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Lyme病は,ボレリア属のスピロヘ-タであるBorrelia burgdorferiによる感染症である.その寄生主であるマダニの人体吸血時に,局所皮膚に侵入し,同部に本病の診断上,はなはだ重要な慢性遊走性紅斑(ECM)を生じる.次いで血行性に拡がり,後に心臓,神経系,関節などに特徴的な病変を生じてくる. ECMの確認と共にスピロヘータに対する特異抗体価の上昇が,本病診断の上で重要視される.本邦でも関東以北,ことに北海道での患者発見の報告が多いが,欧米の症例に較べてその臨床経過は極めて穏やかなものの様である.
  • 田村 耕成, 唐沢 正光, 村上 博和, 小林 紀夫, 小峰 光博, 成清 卓二
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1814-1815
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は頚部リンパ節腫脹を初発とした成人T細胞白血病(ATL)リンパ腫型の41歳男性例である.多剤併用療法・放射線照射により一時軽快したが,末期には頭部腫瘤形成,肋骨,脊椎,骨盤,四肢骨の骨融解像と病的骨折,さらに脊髄浸潤による脊髄横断症状が出現した.本例の骨病変は腫瘍細胞由来の骨吸収促進因子の関与も考えられるが,骨病変部に腫瘤形成が認められたため, ATL細胞の直接浸潤が主因と思われた.
  • 黒田 智志, 鈴木 栄, 今野 正巳, 天野 孝八, 三瓶 光由
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1816-1817
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,男性.発熱と腰痛の主訴にて当科入院.入院時,体温39.0°C,全身のリンパ節腫脹と体幹の麻疹様発疹を認め,軽度白血球増加, CRP強陽性,肝機能障害,尿所見異常を示した.経過中, DIC,間質性肺炎,髄膜炎を併発し重症化したが,恙虫病と診断し治療することで治癒せしめた.恙虫病の重症例は報告されているが,本症例のようにこの三者の合併例の報告はなく,しかも救命し得た症例としてまれと考えられた.
  • 桐戸 敬太, 千葉 直彦
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1818-1820
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.発熱精査のため当科へ入院.皮下腫瘤,喀痰,胸水,および上腕骨より非定型抗酸菌が検出され,全身播種型非定型抗酸菌感染症と診断.病理組織学的には,類上皮細胞よりなる肉芽腫の形成を認めた.本例は,基礎疾患を伴わず,また各種の免疫機能検査にも異常を認めないことから,健常成人に播種型非定型抗酸菌感染をきたしたまれな例と考えられた.また,抗酸菌の同定にはDNA診断が有効であった.
  • 内田 多久実, 髭 修平, 開田 博之, 水越 睦朗, 小池 章之, 上田 峻弘, 深沢 雄一郎
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1821-1822
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,男性.肝硬変で食道静脈瘤シャント術施行後6年目に,著明な腹水貯留で入院した.尿蛋白が5.6g/日,血清蛋白が5.1g/d1のネフローゼ症候群(以下NS)と, 789.4mg/dlの血清lgA高値を認めた.腎生検は,光顕で, mesangiumの増殖性変化と毛細管係蹄壁(以下GBM)の二重化を,蛍光抗体法で, IgA, C3のmesangium領域とGBMへの顆粒状沈着を,電顕で, mesangium領域とGBMへのelectron-dense depositsの沈着, mesangial interposi-tionを認め, membranoproliferative glomerulonephritis(以下MPGN)様の糸球体病変を示した.肝硬変に伴う糸球体病変に関する多数の報告で, IgAの関与が明らかにされているが,本例はNSで発症した典型的な例と考えられた.
  • 堺 政和, 宮村 信博, 荒木 栄一, 宮田 高雄, 岸川 秀樹, 福島 英生, 山口 康平, 七里 元亮, 井関 隆
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1823-1825
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    発端者は52歳,女性, 11歳頃より両下肢の疼痛と発汗減少, 40歳頃より労作時の胸痛,動悸,呼吸困難を自覚. 43歳時,某医で心肥大を指摘. 1989年7月精査目的にて当科入院.身長147cm,体重48kg,心筋壁肥厚,左室拡大, 0.40~0.80g/日の蛋白尿,角膜に渦状混濁,眼底に血管の蛇行増生を認めた.前医での心筋生検で心筋細胞の著明な空胞化を認めた.リンパ球のα-galactosidaseAの活性低下を認めFabry病と診断した.家系者内の同酵素の活性を測定した結果,母親に中等度の,息子2人に高度の低下を認めた.息子2人には蛋白尿と両下肢疼痛もあった.発端者および母親はheterozygote,息子2人はhemizygoteと考えられた.本疾患は比較的まれであり,生化学的所見および臨床所見を報告しておく価値があると思われる.
  • 岡田 修, 栗山 喬之
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1826-1832
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    低酸素性肺血管〓縮の発現機序には,大別して二つの仮説が提唱されており,一つはmediatorを介したindirect mechanism,もう一つは低酸素状態が直接に肺血管平滑筋細胞に作用し,これを収縮させるというdirect mechanismである.前者に関しては,これまで様々なmediatorがその候補として上げられてきたが,最新のleukotrienを含め,確証の得られたmediatorは今のところ存在しない.したがって現段階では,後者の方が有力視されており,いくつかの仮説が提唱されてきている.しかし,近年の分子生物学の発展に伴った細胞レベル・分子レベルでの研究成績から,こうしたいくつかの仮説も徐々に集約整理されてきており,それぞれが独立した概念であるというよりも,お互いに密接な関連性を持っていることも分かってきている.低酸素性肺血管〓縮機序の解明が成される日も,そう遠くないことのように思われる.
  • 山本 一彦
    1991 年 80 巻 11 号 p. 1833-1837
    発行日: 1991/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    自己免疫疾患の発症機序の一つとして,外来微生物と自己の成分との抗原エピトープの一致,すなわち分子相同性が考えられている.微生物がホストの抗原と相同性を持つことの意味など,まだ十分に分かっていない点も多いが,このような免疫学的交差反応は頻度としては少ないものではない.分子相同性により疾患が起こると推定されているものの中には,かなり臨床的にも因果関係の明らかとなっているレンサ球菌とリウマチ熱なども含まれ,さらに脊椎関節炎におけるHLA-B27と細菌抗原との関係も注目されている.また最近では,全身性自己免疫疾患で出現する自己抗体についても,その対応抗原のエピトープ中にウイルスとの相同部分があることが指摘されている.現時点では,完全には因果関係が明らかでないものも多いが,今後自己免疫疾患の発症機序を考える上で重要な現象であると思われる.
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