日本内科学会雑誌
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59 巻 , 3 号
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  • 常田 穣
    1970 年 59 巻 3 号 p. 211-222
    発行日: 1970/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    リウマチ性心疾患(RHD)の管理,予防法は,小児期を除き世界でも確立されていない.そこで成人活動性リウマチ熱(リ熱)の臨床的研究と非活動性リ熱の7年間にわたる追跡調査を行なつた.年令増加とともに関節炎の頻度が多くなるが,成人にも活動性心炎が約半数に証明され,初回発症の心炎例もあつた.また成人にないとされている輪状紅斑は31%に,皮下結節も1例であるがみられ,その臨床的意義について検討した.次に心炎には急性の発症の型の他に軽微な全身性炎症反応で発症するもののあることが分かり,亜急性発症心炎と呼んだ.これは自他覚所見に乏しく,放置される結果,弁膜症の進展に重要な影響を与えるものと推定された.それはペニシリン(Pc)投与がレンサ球菌感染率を低下させ,同時にこの亜急性発症心炎も含めた心炎の再発と弁膜症の進展を予防したからである.再発の頻度,回数が心炎例に多かつたことからも,小児よりひきつづき成人になつても長期間にわたるRHDのPc予防は必要であると結論した.
  • 服部 絢一
    1970 年 59 巻 3 号 p. 223-229
    発行日: 1970/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    過去24年間九大第一内科で取り扱つた白血病232例の臨床統計をとり,慢性骨髄性白血病(CML)の急性転化の問題や最近登場した新薬の効果にポイントをおいて検討を加えた.本統計では,他の統計に比しCMLが高率を示したほかは,他項目で大差はなかつた. CMLの急性転化の初期症状として,発熱,出血傾向,骨の神経痛様疼痛,巨脾,貧血,血小板減少, CRP (++),骨髄芽球の増加があげられ,早期治療に延命効果が認められた.新薬の効果について,急性骨髄性白血病(AML)の平均寿命は6カ月で従前と変らなかつたが,調査当時生存患者のそれは18カ月で明らかな延長を示した.これは従来のsteroid hormone, 6MP, methotrexateに加えてvincristine, cytosine arabinoside, daunomycinの併用によるものと思われた.しかし,本統計でAMLに出血死が高率にみられたことは薬物の過量使用も一因をなすのではないかと反省させられた.
  • 大澤 旭
    1970 年 59 巻 3 号 p. 230-239
    発行日: 1970/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    19世紀中葉から動脈硬化成立の第一因は血液成分の異常にあるとする説が主導的で,内膜の異常も考えられたが,その意義は二次的であるとされた. 1935年にDuffがアテローム硬化の成立は血管壁のなんらかの傷害が先発すると唱えてから,この学説の支持者も多く,今日では動脈内膜にmetabolic barrierの存在を仮定するに至り,その損傷をもつて硬化成立の第一因と考えるに至つたが,損傷因子を酸素欠乏等の外的因子に求めている.この外因性という点に疑問を持つ著者は,一つの内因性物質(膵臓エラスターゼ)に抗動脈硬化作用のあることを示し,その生体内での相対的または絶体的欠乏が, metabolic barrierの機能低下と関連し,傷害血管の発生にあずかると考える.コレステロール投与中の雄性家兎に連日エラスターゼ(10mgおよび2mg)を筋注投与し, 2カ月後その家兎の血清,大動脈,肝の脂質を抽出し,腸質量,総脂質の脂酸構成,アテロームの形成状況,分画脂質脂酸構成を観察した.アテロームの形成は阻止され,血清の脂質の降下はなかつたが,動脈壁の総コレステロール,中性脂肪は減じ,燐脂質は増加した.また,脂酸構成は血中においても,組織においても改善した.健常家兎とコレステロール投与家兎との血清,大動脈および肝の分画脂質脂酸構成の分析によつて,動脈壁に生理的にmetabolic barrierの存在することを推論し,エラスターゼがこの機購の保護にあずかつていると推定した.別に,実験的アテローム硬化家兎を作製し,その後にエラスターゼ(10mg)を連日投与し,アテロームの回復状況を観察したが,その作用は緩徐であつた.
  • 紅露 恒男
    1970 年 59 巻 3 号 p. 240-254
    発行日: 1970/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心疾患々者回復過程の重症度,運動能力の判定に,安全な,実生活に直結した運動負荷試験の開発が要請されている.テレメーター心電計利用の任意運動負荷法は,この条件によく適合する.健常者10名,心筋硬塞症37例に計141回の負荷を行ない,呼気分析より,任意歩行および階段昇降速度とRMR等との相関々係を検討,運動量推定のためのノモグラムを作成した.同一運動量に対するエネルギー消費は,疾患者に大きめである.また,リハ過程における血行動態を身体負荷(酸素消費量),心脈管負荷(mTTI),冠循環適応性(心電図)につき,心拍,血圧,心電図型の反応,回復時間,酸素負債等より検討,運動量と心拍,心電図型反応の相対的関係の評価およびその管理の重要性を指摘した。また,回復期硬塞患者の運動訓練効果は,心拍減少と拍出量増大に伴う運動能力の増大,比較的酸素消費量およびmTTIの減少,心電図反応の改善が一般的傾向であることを認めた.
  • 坪田 順昭, 竹下 司恭, 後藤 幾生, 堀 澄子, 土屋 実範, 勝木 司馬之助, 重見 運平, 田中 健蔵
    1970 年 59 巻 3 号 p. 255-262
    発行日: 1970/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    49才,男。頭痛,複視,右不全麻痺を主訴として入院.皮膚にcafé au lait色素沈着と小結節を認めた.入院中発作性の血圧上昇(280~170/160~110mmHg),頻脈(120~110/mIn),発汗などを伴つた,いわゆるadrenal sympathetic crisisを観察した.尿中catechol amineおよびvanillvl mandelic acid (VMA)の著増(adrenaline最高1,220μg/day, noradrenaline最高5,000μg/day, dopamine最高3,140μg/day, VMA 24mg/day). regitine試験陽性,マッサージ試験右陽性.脳血管写で,左中大脳動脈の閉塞所見を認めた.発作後うつ血乳頭が出現し,やせも著明となり,一般状態も悪化した.われわれは,本症例を神経線維腫症,脳腫瘍,褐色細胞腫と診断し,根治手術の適応はないと判断し, propranolol, phentolamine (Regitine), reserpine, dexamethasoneなどによる対症的治療で経過を観察していたが,肺炎を直接死因として,入院6カ月後に死亡した.剖検により,皮膚と胃に神経線維腫を,左大脳基底核部,左側頭葉,脳幹第4脳室周囲に星細胞腫(grade I)の浸潤,右副腎に褐色細胞腫をそれぞれ確認した.肺には,左肺下葉膿瘍形成を伴う高度の両肺気管支肺炎を認めた.神経線維腫症,脳腫瘍,褐色細胞腫の3者合併例はまれで,本邦では,本例を含めて,報告例は2例に過ぎない.生前,本例に使用した薬物のうち,とくにdexamethasone l6mgの大量投与と本症例が示した臨床症状および尿中catecholamineの著増との間に,密接な因果関係が認められたので,その発現機序について,二,三の考察を加えた.
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