日本内科学会雑誌
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87 巻, 10 号
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
  • 河野 均也
    1998 年 87 巻 10 号 p. 1965-1967
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 桑島 実
    1998 年 87 巻 10 号 p. 1968-1974
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    日常診療において臨床検査を効果的に活用するには,患者・受診者の利益に貢献できる適切な項目の選択が必要である.この目的に沿い本稿では日本臨床病理学会「日常初期診療における臨床検査の使い方」小委員会が提案したガイドラインである「基本的検査」(案)の内容とその評価,「基本的検査」(案)に続き刊行された一連の「臓器系統別検査」(案)の概要,臓器系統別疾患を疑うときの一次検査をまとめて提示した.
  • 吉田 浩, 三浦 裕
    1998 年 87 巻 10 号 p. 1975-1979
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    正常値の様々な理解が混乱をもたらしてきたことから,基準値,基準範囲の概念の提唱に至った.基準値とは要約すれば健常人での測定値といえ,基準範囲とは健常人(基準個体)集団の中央の95%を含む範囲のことである.本来は個人の基準値(範囲)に基づき判断されるべきであるが,集団から得た値で個人の病態を評価する.基準値(範囲)について,それを用いる場合の留意点,本邦での状況と施設間差減少に向けての提唱とその進展状況についてもふれた.
  • 高木 康
    1998 年 87 巻 10 号 p. 1980-1984
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    「検査データは患者の状態を正確に反映している」と考え,診療の補助としている医師が多い.しかし,検体を適切に採取・処理し,検査室に提出しないと患者の状態を反映するデータを得ることはできない.また,生活リズムにより生体中の微量成分は変動するため,時間・時期を考慮した検体採取を行わなければならない.検査データは,分析精度よりこれらサンプリングに起因して大きく変動することを熟知して診療に利用すべきである.
  • 検査点数の変遷と適正な使い方
    森 三樹雄
    1998 年 87 巻 10 号 p. 1985-1992
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    臨床化学や免疫血清学の検査では,化学発光法などの新しい測定法が開発され血中の微量物質が精密に定量できるようになった.微生物学検査においてもPCR法やDNAプローブ法などの核酸増幅同定検査が実用化され,保険に収載されている.保険診療の中でこれらの臨床検査を適正に使う方法は,それぞれの診療所や病院,診療科,個々の疾患,医師個人により異なるが,学問的でかつ保険診療上もむだがなく,経済効率がよい使い方を心がけるべきである.日本臨床病理学会では,臨床検査を適正に利用するために,各種疾患における臨床検査の使い方に関するガイドラインを作製しているので,参考にしてもらいたい.
  • 滝沢 始
    1998 年 87 巻 10 号 p. 1993-1998
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    呼吸器疾患の診断・治療効果判定などに用いられる検査はきわめて多彩であり,それぞれに応じた適切な選択が必須である.この分野でここ数年間にみられる進歩は,コンピュータや情報処理技術に負うところが大きく,その精度と応用範囲は21世紀にむけてますます進歩すると思われる.現在もしくは近い将来臨床の場で活躍すると思われる注目すべき検査に絞って略述した.
  • 川口 秀明
    1998 年 87 巻 10 号 p. 1999-2004
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年の生化学,遺伝子工学の研究の発展によって循環器領域でも,日常外来検査で簡単に行う事が出来,しかも正確な診断が出来る検査が幾つか出現してきた.たとえば心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP, BNP),は心不全時に増加し,その予後との関連が検討されている.また心筋梗塞時にも増加し,心筋梗塞巣の大きさや心室リモデリングとの関連も検討されてきた.トロポニンT,ミオシン軽鎖,ミオグロビンなどは心筋梗塞時にそれぞれ特異な遊出パターンを示すので,これらを組み合わせて測定することによって,より正確な病態把握が可能になる.
  • 平野 賢二, 岡本 真, 小俣 政男
    1998 年 87 巻 10 号 p. 2005-2009
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    消化器疾患の分野においても,研究が進むにつれ内科医の知っておくべき臨床検査は増加の一途にある.今回,消化器疾患の新しい検査として,日常臨床で多くみられる疾患に関連するものを中心に本稿でまとめた.具体的には, (1)胃潰瘍,胃悪性腫瘍に関連してのHelicobacter pyloriの感染診断, (2)大腸癌の便潜血スクリーニング, (3)C型肝炎におけるウイルス定量,肝癌腫瘍マーカー, (4)胆膵疾患における腫瘍マーカー,遺伝子診断等について各疾患の最近の知見も踏まえて概説した.
  • 木村 秀樹, 下条 文武
    1998 年 87 巻 10 号 p. 2010-2015
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    遺伝子工学の進歩によって,腎・泌尿器系疾患においても,この数年の間に,多くの原因遺伝子か解明された.また,多数検体の遺伝子多型の解析が容易になり,腎疾患の進行因子の面から,遺伝的要因が活発に検討されるようになった.これらの遺伝子検査から得られた情報には目覚ましいものがある.本稿では,原因遺伝子が解明された疾患の概要とその遺伝子異常を中心に解説した.さらに,腎疾患の進行因子と考えられる遺伝子多型の代表的なものにも言及した.
  • 丸山 征郎
    1998 年 87 巻 10 号 p. 2016-2022
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血液学は医学の中でも,最も進歩の激しい領哉である.特に最近は診断.原因・病態,治療まで分子レベルでの進歩が著しい.ここではこの進歩著しい血液疾患の中で,血球系と凝固線溶,血小板系,さらにこれらを制御している内皮細胞系の検査の進歩を,特に実践的なものに的を絞った紹介した.
  • 池田 斉
    1998 年 87 巻 10 号 p. 2023-2026
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    内分泌,代謝疾患は,臨床検査がもっとも役立つ分野といえる.臨床症状だけからは確実な診断をすることが困難で検査結果が診断に直結するケースが多いためである.本稿では,この分野で頻度の高い甲状腺疾患,糖尿病,骨代謝疾患の臨床検査を中心に述べた.甲状腺関連では, FT4, FT3,高感度TSH, TSHレセプター抗体,抗Tg抗体,抗TPO抗体,糖尿病関連では,抗GAD抗体,グリコアルブミン, 1, 5-AG,骨代謝疾患マーカーではオステオカルシン, PICP, NTx, CTx等をとりあげた.
  • 橋本 信也
    1998 年 87 巻 10 号 p. 2027-2033
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    膠原病に関連する臨床検査の数は極めて多い.しかも免疫学の進歩とともに病因病態も解明されつつあり,さらに分子生物学的手法の開発により自己抗体の対応抗原の解析も進みつつある.こうした状況下で,内科医として膠原病の新しい検査を知っておくことは極めて重要である.昨日検査室レベルと思っていた検査が,今日は保険適応となっている.
    日常診療で必要な新しい検査および古い検査でも新しい知見についてその主なものを概説した.
  • 黒岩 義之
    1998 年 87 巻 10 号 p. 2034-2038
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    神経・筋疾患(中枢神経疾患も含む)への検査アプロ一チ法は, 1)生化学・遺伝子, 2)免疫, 3)神経生理, 4)画像診断, 5)神経病理, 6)神経心理の各領域に分けられる.新しい検査としては,遺伝子学的診断技術の進歩,免疫抗体検査技術の進歩,事象関連電位,脳磁図, PET,高次大脳機能検査法の進歩などが特記すべきものである.これらのテーマについて,概説したい.
  • 山根 誠久
    1998 年 87 巻 10 号 p. 2039-2045
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    感染症診断における臨床検査の目的は, (1)感染症の有無を決定し, (2)原因微生物を特定し, (3)適切な抗菌薬を選択するための情報を提供することにある.この分野では特に,迅速化と自動化が急速に進んでいる.血液培養に代表される培養技術の改善, PCR法に代表される非培養検査の導入など,より正確に,より迅速に診断する努力が続いている.これはより適切な治療, precise therapyへの努力であり,安易なempiric therapyとの戦いでもある.
  • 舩渡 忠男
    1998 年 87 巻 10 号 p. 2046-2050
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    臨床検査における遺伝子診断は,病因を担う遺伝子の遺伝子情報を調べ,病気の原因を明らかにすることで,病気の理解や解明に役立つ病因診断といえる.現在,保険が適応されているのは主に感染症であるが,癌や遺伝病は高度先進医療の対象となっている.今後,診療の場で遺伝子検査を利用していくには,遺伝子診断の臨床的有用性を明らかにする必要がある.そのためには,適切なサンプリングとデータに対する解釈を明確にすることが重要である.
  • 野村 哲也, 大谷 義夫, 澤田 めぐみ, 三宅 修司, 宮坂 信之, 吉澤 靖之
    1998 年 87 巻 10 号 p. 2081-2083
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ビニール加工業に従事する54歳の男性が,職場と関連した咳嗽,発熱を認め当科入院し,胸部X-P上小粒状影, transbronchial lung biopsy (TBLB)で胞隔炎, bronchoalveolar lavage (BAL)でリンパ球分画の上昇を認め,環境誘発試験陽性のため過敏性肺炎と診断した.職場で使用した接着剤にイソシアネートが含まれ,血清, BAL中のイソシアネートに対する抗体及び末梢血リンパ球幼若化反応陽性であり,イソシアネートによる過敏性肺炎と診断した.
  • 齊藤 和人, 小山 信之, 田中 理子, 臼井 裕, 東條 尚子, 宮里 逸郎, 丸茂 文昭, 稲瀬 直彦, 市岡 正彦
    1998 年 87 巻 10 号 p. 2084-2085
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,男性,建築塗装工. 1995年8月に悪性胸膜中皮腫を発症. 1996年11月より右下肺野に多発結節影が出現し,その後左肺野にも出現した. 1997年3月胸水中シフラ375ng/ml,血清シフラ10.7ng/mlと上昇を認めた.同年6月腹腔内転移後に死亡した.悪性胸膜中皮腫で臨床上明らかなびまん性血行肺転移わ認める報告は少なく,また,シフラが腫瘍マーカーとなりうる可能性を示した点から,貴重な症例と考え報告した.
  • 椙村 益久, 二村 玲子, 野村 篤, 青木 理影, 田中 博志
    1998 年 87 巻 10 号 p. 2086-2087
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は42歳,女性.感冒様症状後,嘔気,不整脈,前頸部疼痛出現した.その後意識レベル低下したため入院.糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と診断した.また病歴,甲状腺機能検査,甲状腺エコーよりBasedow病と亜急性甲状腺炎の合併と診断した.放置されたコントロール不良のインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)にBasedow病が合併し,さらに亜急性甲状腺炎が併発したためDKAが発症したと考えられる一例を経験したので報告する.
  • 黒堀 ゆう子, 赤真 秀人, 高木 香恵, 中嶋 洋, 上里 雅史, 樋上 謙士, 針谷 正祥, 寺井 千尋, 山中 寿, 原 まさ子, 柏 ...
    1998 年 87 巻 10 号 p. 2088-2090
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,女性,慢性関節リウマチ(RA)発症1年未満時に下痢症状が出現し,著しい低蛋白血症を呈した.蓄便検体によるα1一アンチトリプシンクリアランス値,生検粘膜所見より, RAを基礎疾患とする続発性消化管アミロイドーシスによる蛋白漏出性胃腸症であると診断した. RA発症後1年未満のearlyRAで続発性アミロイドーシスを発症した非常に稀な症例と考え報告した.
  • 高橋 基, 竹田 定生, 久保 貴昭, 和泉 徹
    1998 年 87 巻 10 号 p. 2091-2092
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は45歳,女性,徐脈による心不全にて入院した.他院にて強心配糖体であるproscillaridin(Caradrin®他Talusin® Cardon®など)を処方されており,類似物質のdigitoxin濃度を測定したところ高値が示された.休薬しdigitoxin濃度を追跡したところdigitoxin濃度の減少とともに臨床症状も改善した.また, proscillaridin血漿溶解液を作成しproscillaridin濃度勾配に依存的なdigitoxin濃度の上昇を確認した.
  • 菅谷 壽晃, 吉木 敬
    1998 年 87 巻 10 号 p. 2093-2099
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    自己免疫疾患の病因のひとつとして, RNAウイルスの一種であるレトロウイルスが最近注目されている. ATLの原因ウイルスであるHTLV-Iは,慢性関節リウマチ様の関節炎やSjögren症候群類似の唾液腺炎,ブドウ膜炎などさまざまな自己免疫疾患と関連を持つことが明らかとなり,現在では広く自己免疫疾患の病因の一つとして認知されるに至っている. AIDSの原因ウイルスであるHIVも,関節炎やSjögren症候群類似の唾液腺炎との関連が示唆されている.また,プロウイルスとしてヒト遺伝子に組み込まれた内在性レトロウイルスも自己免疫性疾患との関連が想定されており,とくにインスリン依存型糖尿病の病因に関わっている可能性がごく最近報告された.このように,レトロウイルスは自己免疫性疾患の発症に深く関与していると考えられ,その病因解明の切り札として期待されている.
  • 大井 元晴
    1998 年 87 巻 10 号 p. 2100-2106
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    睡眠時呼吸障害とは睡眠にともなう呼吸生理学的変化のために,睡眠時無呼吸,低換気などを来たし,覚醒時の眠気などの種々の症状を来す病態である.この睡眠時呼吸障害は呼吸不全,心不全の原因,あるいは悪化因子として働く.睡眠時呼吸障害にたいする呼吸管理法として,睡眠時無呼吸症候群では中等症以上で,主に陽圧により気道確保をおこなう鼻連続気道陽圧呼吸が行われる.低換気にたいしては,主に夜間にのみ人工呼吸を要するので,侵襲的気道確保の必要がない場合が多く,鼻マスクなどを用いた非侵襲的陽圧人工呼吸が行われる.高炭酸ガス血症をともなう慢性呼吸不全では,非侵襲的陽圧人工呼吸は在宅人工呼吸として簡便であり,継続率も良い.
  • 葛谷 健
    1998 年 87 巻 10 号 p. 2107-2113
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    アメリカ糖尿病学会は1997年に新しい糖尿病の分類と診断基準を提出した.成因論的分類を提唱しIDDM, NIDDMの用語を廃し, 1型, 2型糖尿病と呼ぶこととした.同時に糖代謝異常のステージ概念を導入した.糖尿病の診断では,細小血管症発生のリスクをもとに診断のための血糖基準値を設定し,糖負荷試験よりも空腹時血糖値(FPG)を重視することにした.糖尿病判定のFPG基準値を従来の140mg/d1から126mg/dlに引き下げた.糖尿病の診断は糖尿病症状+随時血糖≧200mg/dl, FPG≧126mg/dl, 75g糖負荷試験2時間値≧200mg/dlのいずれを用いてもよいが, 1回の検査だけでは暫定的な診断とし,別の日にもう1度検査して確認する必要があるとした. FPG110~125mg/dlのものをIFG(impaired fasting glucose)と呼ぶことにした.これにより糖尿病の検診が普及することを期待している.
  • 辻井 正彦, 川野 淳, 辻 晋吾, 竹井 謙之, 澤岡 均, 大前 篤, 村田 浩昭, 河相 直樹, 飯島 英樹, 堀 正二
    1998 年 87 巻 10 号 p. 2114-2121
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    プロスタグランディン合成酵素, cyclooxygenase(COX)にはCOX-1とCOX-2の二つのisoformがある. COX-1は恒常的に発現し,胃粘膜で胃酸・粘液・重炭酸分泌や粘膜血流の調節に関与しており,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)でCOXを阻害すると胃十二指腸粘膜障害を生ずる. COX-2はサイトカインや増殖刺激等で誘導され,プロスタグランディン産生を介し,腸管での電解質の分泌・吸収阻害,腸管運動の亢進を惹起し,下痢の病態生理に関与する.また,近年, NSAIDsの大腸癌,大腸ポリープの発生に対し予防効果を示すこと,大腸腫瘍においてCOX-2が高発現していること, APCノックアウトマウスにみられる腸腺腫の発生がCOX-2ダブルノックアウトマウスでは有意に減少することから, COX-2発現が大腸腫瘍の発生に関与している可能性が注目されている.
  • 福井 次矢
    1998 年 87 巻 10 号 p. 2122-2134
    発行日: 1998/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    1990年代に入って提唱された「信頼できる最新データに基づいた,理に適った医療」であるevidencebased medicine (EBM)は, (1)臨床上の疑問点抽出, (2)信頼性の高い結果(エビデンス)を示す文献の効率の検索, (3)臨床疫学と生物統計学の原理に則った,文献の批判的吟味, (4)得られたエビデンスの患者への適用性の判断,という4段階の手順から成る. EBMの主な活用場面は, (1)個々の患者での疑問点への対応,それに(2)頻度の高い臨床上の疑問点についての診療ガイドライン作成,である. EBMに則った診療を行うことで,入院患者については確固としたエビデンスに基づいた臨床判断を下す頻度が高くなった,診療ガイドラインを用いることで医師の診療行為だけでなく患者アウトカムも改善した,などのデータが報告され,医学教育にも大きく取り入れられつつある.世界的な規模でEBMが普及することにより,客観的な臨床データを重視した患者指向の医療が,今後ますます求められることになろう.
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