日本内科学会雑誌
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64 巻, 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 太田 邦夫
    1975 年 64 巻 3 号 p. 211-221
    発行日: 1975/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 阿部 圭志, 大塚 庸一, 斎藤 鉄男, 色川 伸夫, 青柳 春樹, 宮崎 青爾, 日下 隆, 清野 正英, 保嶋 実
    1975 年 64 巻 3 号 p. 222-231
    発行日: 1975/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    腎血管性高血圧症80例を対象として,本症の診断ならびに手術適応について検討を加え,さらに術後の血圧と血漿renin活性の変動についても検索した.定型的腎動脈主幹部狭窄例では日常検査を行なうことにより診断は容易であつた.しかし,分枝狭窄例では,静脈性腎盂撮影, renogram, renin分泌刺激試験のみが50%以上の症例で陽性に過ぎず,これらがすべて陰性で,血管撮影のみで診断できた症例もあつた.従つて諸検査に異常所見を認めず, renin分泌刺激試験で正常反応を示す症例でも血管撮影を行なうことが必要である.手術例49例をretrospectiveに検討した結果では,血管撮影上認められる側副血行路は手術適応の決定に大変有用であつた.すなわち,左右別腎機能検査ならびにreninの測定値(末梢血ならびに腎静脈血)に異常を認めず,側副血行路だけがみられる症例も手術適応になり,腎摘出術を行なう場合でも,対側腎の高血圧性病変の程度を検索した上での決定であれば適応と考えられた.手術後の血圧と血漿renin活性の変動は,腎血行再建群と腎摘出群では相違がみられた.すなわち,術後血圧の正常化は,血行再建群で腎摘出群より速かで,血漿renin活性の正常化は逆に,腎摘出群より速かであつた.この相違には虚血より開放された患側腎が大きな役割を果しているものと思われ,腎血管性高血圧の血圧維持機構における腎性抗昇圧因子の関与を示唆する成績であつた.
  • 鎌倉(旧姓利根川) 恵子, 木村 哲, 五十嵐 省吾, 藤原 研司, 織田 敏次, 吉利 和, 庄司 進一
    1975 年 64 巻 3 号 p. 232-238
    発行日: 1975/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Wilson病に肝癌を併発した希な症例を経験した.患者32才の男.死亡の6年前から振戦を初発症状とする神経症状を示し,東大神経内科でWilson病と診断された.その後18カ月間ペニシラミンの投与を受け,神経症状はかなり改善されたが,死亡2カ月前から右季肋部痛を訴え当科に入院,肝腫瘤,血性腹水を認められ,肝機能検査,肝シンチグラム,肝エコーグラムの所見などとあわせて悪性腫瘍を疑われた.入院第12日目に腹腔内への大量出血のため死亡.剖検の結果,肝はWilson病に典型的な病理学的所見を呈するとともに,広範なヘパトーマの合併があり,肺に転移巣を認めた.
  • 武 暁, 石河 勝, 藤本 俊夫, 荒木 文雄
    1975 年 64 巻 3 号 p. 239-245
    発行日: 1975/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    咳嗽発作と上腹部腫瘤を主訴として入院した58才の女性の胸部X線像,肝シンチ所見等より肺癌の肝転移と考えられていたが,入院後顔面から前胸部を主とした著明な潮紅,発汗,喘息等が発作的に出現し尿中5-HIAAの測定等より気管支カルチノイドによるカルチノイド症候群と診断し,その症状,薬物効果,活性物質等について検討を行なつた.弁膜症等の心変化は見られなかつたがその他消化器,呼吸器,心血管系等の多彩な症状を呈した.副腎皮質ステロイドホルモンがこれらの症状のうちのいくつかには有効であつたが種々の抗ヒスタミン薬,抗セロトニン薬等は無効であつた.腫瘍に対してはサイクロフォスファマイドの投与を行なつたが無効と判定した.尿中5-HIAAは増加していたが血中セロトニンは正常であり尿中に5-hydroxytryptophanはみられなかつた.末期には1日20行に及ぶ下痢を来たし,黄疸,腹水を伴い肝不全にて入院後300余日で死亡し,剖検では左肺上葉原発のくるみ大の気管支カルチノイドの肝,両側腎への転移であつた.
  • 滝野 辰郎, 三沢 信一, 酉家 進, 堀井 良侑, 阿部 達生, 山口 希, 岡 隆宏, 中野 裕, 新保 慎一郎
    1975 年 64 巻 3 号 p. 246-253
    発行日: 1975/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    持続的な高血圧症を有する33才,男子で,レヂチン試験が陽性で,グルカゴン試験では高血圧発作が誘発されるとともに,同時に測定した尿中カテコラミンも増量がみられた.尿中カテコラミン測定の結果では,特にノルアドレナリンの増加が著しかつた.これらの結果から褐色細胞腫と診断した.後腹膜気腹により右腎上内方に鵞卵大の腫瘤が認められた.手術の結果,腫瘍は副腎外のもので,大きさは6.5×8.5×4.0cm,重さ115gであつた.腫瘍1gあたりのアドレナリン,ノルアドレナリン含有量はそれぞれ159γ, 3,200γであつた.電顕組織では,ノルアドレナリンと考えられる直径2,000~3,000αで,電子密度の高いcoreと一層のunit membraneをもつ小顆粒が多数認められたが,アドレナリン顆粒はほとんど認められなかつた,血漿HGHとACTHの早朝安静時の値は正常であつた. HGHはインスリン低血糖に対し,正常上界を越える過剰な反応を示したが, ACTHのインスリンに対する反応は正常上界であつた. α-交感神経遮断剤(phentolamine)20mgを2時間にわたり点滴しながらインスリン低血糖に対する血漿HGHとACTHの反応をみると,両者ともにはつきり抑制されるのがみられた. HGH分泌に及ぼすα-受容体の刺激効果は既に報告されているが, ACTH分泌にかんしても同様の機序が示唆された.
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