日本内科学会雑誌
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50 巻, 1 号
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  • 柳沢 旭
    1961 年50 巻1 号 p. 1-16
    発行日: 1961/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデスに見られるLE現象は,抗原抗体機序によつて起こることが予想されているが,著者は種々の白血球抗体を作成してこれを檢討した.まず家兎を異種(ヒト)白血球(好中球)で感作して,同白血球に凝集,融解,貪食の作用をもたらすHetero-antibodyを得た.之を用いた間接LE試驗で, LE細胞に似た型の細胞を生成することが出来た.これらの現象はリンパ系細胞を用いた際には見られなかつた.又,同種(家兎)白血球,及びその藥剤(Neo-Arsenobenzol)修飾白血球を用いた感作では, Iso-及びAuto-antibodyの生成をみた.前者は同種白血球,後者は同種及び自己の白血球にも凝集現象を発見した.これらは共に家兎白血球に対する核融解作用も有するが,貪食現象は得られなかつた.以上,白血球に対するHetero-, Iso-及びAuto-antibodyを使用して,一部LE現象に類似の作用を現出することが出来たが,臨床的にみられるLE現象とは異なつており,ヒトの全身性エリテマトーデスのLE現象には,更に他の因子が加味されていると観測された.
  • 副腎摘出ラットについて
    大久保 滉, 完岡 市光, 永室 一郎, 橋本 仙一郎, 高野 久子
    1961 年50 巻1 号 p. 17-25
    発行日: 1961/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    副腎皮質ホルモンが赤血球系に関与している事は,諸家のほゞ一致する所であるが,白血球系に関してはなお定説をみるに至らない.私共は副腎皮質ホルモンと血液像特に白血球系につき,検討を加えた.ウイスター系ラットの両側副腎を一挙に摘出し, Comp. F, DOCA, Testosterone, Estradiol, Thyrasine投与による血液像の変動を追究した.副腎摘出により惹起される大赤血球性貧血はComp. F 5mg又はDOCA 2.5mgの投与で貧血も赤血球直径の増大も阻止され, Testosterone 1mg, Thyrasine 1mgの投与では赤血球数の回復にもかゝわらず,直径は減少傾向を示した.骨髄像は前二者ではほゞ正常,後二者では過形成を示した. Estradiolでは貧血をかえつて助長し,骨髄像も低形成であつた.副腎摘出ラットにComp. F, DOCAの投與により,前者では好中球の増加,後者では減少が認められた. Nitrominとの併用により, DOCAでは好中球の減少は更に顕著となるに反して, Comp. Fでは依然好中球の著明な増多が認められた.この現象の場を,骨髄像並びに白血球の試験管内放置実驗より,骨髄並びに末梢血液の両者に求める事が出来る.一方Nitromin投与後の副腎摘出は好中球の囘復を著明に遅延せしめる.又副腎摘出ラットはTestosterone, Thyrasineの投興では好中球の増加を来たすが, Estradiolではその減少がみられた.これらの事実は副腎並びにその他のホルモンが諸血球系に対し,重要な影響を及ぼずすことを示すものである.
  • 金子 健二
    1961 年50 巻1 号 p. 26-40
    発行日: 1961/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Radioisotopeを腎機能検査に応用する方法は1955年Taplinらによつてはじめて報告され,以後内外において臨床的研究が重ねられてきた.本法はTracerとして131I-Diodrastを使用し,その体内における動態変化を体外よりScintillation counterをもつて計測する方法である.著者はこのRadioisotope Renogramの各Segmentの解析を目的として,動物実験を行ない,さらにこれと臨床例とを対比しRenogramのとくにSegment Bの分析を行なつた.また本法を健常例および内科的疾患合計67例に実施し,腎Clearanceとの相関性を検討し,とくに一部の症例(6例)を用いて尿量がRenogram曲線の形成にどのような影響を与えるかを検討した.そして本法が一定の尿量を維持して行なわれるときには, Renogramは腎機能を表現するものであり, RenogramのSegment B勾配最高計数率は腎ClearanceのRPFとよく平行することを知つた.またSegment Bは尿細管における131I-Diodrastの分泌部位であると同時に, PAHの分泌部位でもあることを知り,腎機能検査法としての有用性を報告した.
  • 山辺 昌
    1961 年50 巻1 号 p. 41-56
    発行日: 1961/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    腎疾患において,糸球体病変の障害の程度はその病型,病期等によつて当然異なるものと考えられるが,これを臨床的に把握することは重要なことと思われる.腎クリアランス法によればGFR, FFの低下は糸球体機能の低下を意味するが,腎クリアランス法は正常腎についての理論に基づくものであり,これを病的腎に適用するに当つては,これと原理を異にする方法を併用して,その妥当な範囲を臨床的にきめることが必要である.今回は血清蛋白像と尿蛋白像の接近度で示される糸球体蛋白透過性の程度を計測することを併用して,腎疾患における糸球体病変の比重を決定することを試みた.成績によれば,腎疾患中には糸球体機能の程度と,蛋白透過性の程度が相関する症例があり,この兩法に相関する範囲内においては臨床的に糸球体病変の比重を判定することが出来ると思われる.
  • 池見 酉次郎, 井上 幹雄, 福元 哲四郎
    1961 年50 巻1 号 p. 57-64
    発行日: 1961/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 和田 保男, 岡 貞三, 西山 明徳, 三輪 勣, 出村 博
    1961 年50 巻1 号 p. 65-70
    発行日: 1961/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    22才の家婦. 2カ月前,右肩及び右上腕に激痛があり,兩上肢及び頸部に脱力感が現われた.その後,咀嚼筋にも脱力感がおこり, 2週間前から兩下肢脱力のため走行困難となり,痩せが著明となつたので入院した.月経順調.入院時,全身の筋萎縮,特に肩胛帯及び四肢近位筋の萎縮が著明であつたが,腱反射及び知覚の異常はなかつた.檢査では,尿中クレアチンの増加及びクレアチニンの減少がみられた. BMR+25.5%,甲状腺131I攝取率及び血清PBI正常.血沈1時間13mm.血清蛋白分画に異常なく,白血球5,400. EMGで末梢神経及び筋傷害の所見がみられ,三角筋生檢による組織所見では筋線維の退行性変化,細胞浸潤及び結合織の増殖がみられた.多発性筋炎と診断,副腎皮質ホルモン剤の投與で症状は軽快した.本例は亞急性の経過を示した症例で,著者らの探し得た範囲では,本邦における本症の第2例目である.
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