日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
49 巻, 12 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 佐々木 茂
    1961 年 49 巻 12 号 p. 1471-1483
    発行日: 1961/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 第1編正常兎の鉄代謝
    大川原 康夫
    1961 年 49 巻 12 号 p. 1484-1496
    発行日: 1961/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    正常家兎の血清鉄,肝・脾・骨髄・胃粘膜・小腸・大腸・腎皮質の非ヘミン鉄,骨髄全鉄,血球鉄の代謝を追究し,生体内鉄代謝の一端を解明した.靜脈内に投與された放射性鉄は鉄貯蔵臓器,造血臓器へ速かに移行する.組織非ヘミン鉄は單位濃度では脾が最も多く,骨髄,肝,腎皮質がこれに次ぐが,臓器全量についてみれば肝に次いで小腸,大腸などに多く存在する.各臓器ともヘモジデリンが最も多く,肝,脾ではフェリチンがこれに次ぐが,骨髄,消化器粘膜,腎皮質では核蛋白などに結合した鉄やいわゆる遊離鉄も相当存在し,從来考えられているほど,フェリチン,ヘモジデリン以外の非ヘミン鉄が少なくないことを知つた。非ヘミン鉄代謝は肝が最も活発で,放射性鉄は肝のフェリチンに最も多く導入される.骨髄は肝に次いで活発な代謝を營み,これらに比べると脾の交替率は低い値を示した.從来まで等閑に附されていた消化器粘膜の貯蔵鉄代謝は小腸が比較的高い交替率を示し,質的にも量的にも重要であると思われたが,胃粘膜,大腸は腎皮質とともに交替率が低値であつた.骨髄ではヘミン鉄の代謝がきわめて活発で,放射性鉄は靜脈内投與後3時間で流血中の赤血球に認められた.
  • 第2編四塩化炭素障害家兎の鉄代謝
    大川原 康夫
    1961 年 49 巻 12 号 p. 1497-1506
    発行日: 1961/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    第1編において,正常家兎の血清鉄,肝・脾・骨髄・消化管粘膜・腎皮質の非ヘミン鉄,骨髄全鉄ならびに血球鉄の代謝を追究したが,引き続き四塩化炭素障害兎を用いて,肝実質障害時の鉄代謝を研究した.障害家兎では,血清鉄量の増加と,血清鉄の臓器への移行に遅延を認め,さらに骨髄全鉄,血球鉄の交替率は低下し,造血機能の抑制が認められた.貯蔵鉄代謝では,正常肝で鉄のとり込みに主導的な役割を演じていたフェリチンの減少と代謝抑制が著明で,障害肝ではヘモジデリン分画, SII分画による鉄の導入が活発であつた.脾・骨髄の非ヘミン鉄代謝は各分画とも著しく抑制され,脾においてはヘモジデリンの著明な増加とフェリチンの減少を認め,骨髄の各分画非ヘミン鉄にも減少を認めた.消化管粘膜では造血機能が抑制されているにもかゝわらず,非ヘミン鉄代謝はむしろ活発であった.さらに肝障害時には投與された放射性鉄が腎皮質にきわめて多く集まるという結果を得た.
  • 第3編正常ならびに四塩化炭素障害家兎の鉄代謝に及ぼす瀉血の影響
    大川原 康夫
    1961 年 49 巻 12 号 p. 1507-1521
    発行日: 1961/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    本編では正常ならびに四塩化簾素障害家兎の鉄代謝に及ぼす瀉血の影響追究し,瀉血時の貯蔵鉄動員について檢討した.瀉血後12時間にすでに造血機能の促進を認め,瀉血後の血清鉄比放射能の低下はそれぞれの非瀉血家兎より著しく,血清鉄が造血に利用されると推定した.瀉血による貯蔵鉄の動員は正常家兎では肝のフェリチン,小腸の各分画非ヘミン鉄に認められ,障害家兎では小腸をはじめとして,四塩化炭素障害時に鉄の導入が活発であつた肝のヘモジデリン分画,胃粘膜・大腸・腎皮質の各分画非ヘミン鉄に認められた.生体の主な鉄吸収部位である小腸の非ヘミン鉄は瀉血による血清鉄量の低下に反応してすみやかに血中に放出され,粘膜細胞の鉄濃度の低下をはかり,新たな鉄の吸収に備えると推論した.また臓器全量に保有される鉄量において肝に次ぐ小腸に速かな動員利用の傾向が認められることは,小腸が鉄の吸収のみでなく造血にも関與して大きな役割を演ずることを示唆するものである.
  • 荒井 進
    1961 年 49 巻 12 号 p. 1522-1536
    発行日: 1961/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    主要なる10種のホルモン剤を健常家兎に投與し,血漿脂質における変動を,総脂肪及び総コレステロール量につき12時間に亘り観察した.脂質の減少を来たすホルモンには,腦下垂体向性腺ホルモン, Insulin,甲状腺ホルモン, Cortisoae及び性ホルモン(Testosterone, Estrogen, Progesterone)があり,いずれも注射後4時間目に最低値に達し,水溶液性の製剤では,その後漸次脂質量の囘復が認められるが,効力持続性の懸濁液では, 4時間以後も引続きその最低量を維持する.血漿脂質を増加せしめるホルモンには, Adrenalin,腦下垂体後葉ホルモン及びACTHがあり, Adrenalinでは注射後20分で血漿脂質量は最高となり,その後次第に減少するが,この際コレステロールのみは3時間後まで高値を持続する点が特異的である.腦下垂体後葉ホルモンでは1時間後に最高となり, 4時間後に同復し, ACTHでは6時間後に最高値を示すが,その増加の途中において1~3時間目に一時上昇の停止が見られる.
  • 高沢 五郎
    1961 年 49 巻 12 号 p. 1537-1547
    発行日: 1961/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    放射怪Rose Bengalを用いて,肝臓及び胆嚢の檢査法について研究を行ない,新胆嚢機能檢査法を考案して,臨床的に應用を試みた. 131I Rose Bengal 8μcを靜注し,シンチレーション計数管を用いて,肝臓部及び胆嚢部で体外計測を行ない,肝攝取排泄曲線及び胆嚢胆汁流出曲線を求める.その曲線を肝初期上昇値,肝攝取率,肝排泄率,胆嚢流入率,胆汁流出開始時間,15分, 30分, 60分流出率及び胆嚢値半減時間等の各要素に分析する.臨床410例に試みた結果では,肝疾患では肝における攝取及び排泄が障害されるため,胆嚢への流入が減少するが流出は比較的良好である.胆石症及び胆嚢炎では肝の攝取排泄は良好であつても,胆嚢の流入及び流出が障害されている.胆嚢病症では胆嚢への流入は良好であるが,流出開始時間が延長したり,或は流出が遅延したり逆に急速に行なわれる例宅ある.肝機能,胆嚢機能及び肝外胆道流通状態を,一貫して知ることが出来るのが本法の利点である.
  • 中野 知弘, 浅野 稔, 佐野 博昭, 前沢 貢
    1961 年 49 巻 12 号 p. 1548-1553
    発行日: 1961/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    いわゆる家族性肝硬変症は極めて稀な疾患である。著者等は, 12才から14才の同胞3人を最近10年間に,同様症状の不明肝疾患で死亡せしめた17才男子の肝硬変症を観察した.初発症伏は全身倦怠,感冒様症伏で,次いで黄疸,微熱,腹痛,食欲不振等が出現した。入院時,尿ウロビリノーゲン強陽性,血球減少, A/G比の低下, BSP強陽性等が著明であつたが,クンケル,チモール混濁試驗等の膠質反應は比較的軽度陽性であつた.又,血清アルギナーゼ高活性値及びコリンエステラーゼ活性値の低下が著しかつた.家族歴及び臨床的に肝硬変と診断したが,病理学的には,胆汁性肝硬変であり,その中でもCholangitic typeに屬するものと思われた.本症の成因は不明であるが,先天性肝薄弱状態があり, toxicな原因が働いて,特に細胆管に反應が著しく,種々の型の肝硬変の出現を見るのではなかろうか.
feedback
Top