日本内科学会雑誌
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96 巻 , 5 号
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特集●慢性腎臓病:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.概念
  • 杉山 斉, 菊本 陽子, 槇野 博史
    2007 年 96 巻 5 号 p. 864-868
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    慢性腎臓病(CKD,chronic kidney disease)は2002年に米国腎臓財団NKFにより概念が提唱された.腎障害を示唆する血液,尿検査,または画像検査の異常,または糸球体濾過量(GFR)60 ml/分/1.73 m2未満が3カ月以上にわたって持続する状態である.CKDとは原疾患に関わらず広範に腎臓病の存在を診断するものであり,日常診療において施行される血液検査,尿検査,腹部超音波検査などの簡易検査で診断が可能である.本稿ではCKD診療の基礎となるCKDの定義と病期分類について概説する.
II.疫学
  • 井関 邦敏
    2007 年 96 巻 5 号 p. 869-874
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    慢性腎臓病(CKD)は透析導入(ESRD)の原因であるだけでなく,新たな心血管合併症(CVD)の危険因子として注目されている.2005年度のわが国の透析導入数は約3.6万人で,年度末患者数は人口100万人対で2,000人を突破した.CKDの原因として肥満,メタボリック症候群が関与していることが断面および追跡調査で明らかとなっている.CKDの診断には蛋白尿の有無および血清クレアチニンの測定は必須である.
III.慢性腎臓病と検尿
  • 横山 仁, 張 薇, 浅香 充宏
    2007 年 96 巻 5 号 p. 875-880
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    慢性腎臓病(chronic kidney disease,CKD)では,糸球体濾過量(glomerular filtration rate,GFR)が90 ml/分/1.73 m2以上と正常であっても将来の腎臓病の危険因子である高血圧,糖尿病などのスクリーニングと早期からの治療を提唱しており,その中でも蛋白尿・血尿の評価を求めている.アルブミン尿ならびに顕性蛋白尿は腎機能低下の危険因子であり,CKDの早期診断ならびに予防の上できわめて重要な所見である.
IV.新しい腎機能評価法
  • 今井 圓裕, 堀尾 勝
    2007 年 96 巻 5 号 p. 881-886
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    慢性腎臓病の診断は糸球体濾過量(GFR)が60 ml/min/1.73 m2未満であることおよび蛋白尿などの尿異常が3カ月以上続くことと定義されている.腎機能の評価は筋肉量の影響を受ける血清クレアチニン値ではなくGFRで行うべきであり,通常は推算式によって推算する.日本人のGFR推算式はGFR(ml/min/1.73 m2)=0.741×175×Cr-1.154×Age-0.203×(女性ならば0.746)を用いて,酵素法で測定した血清Cr値を代入して計算する.
V.慢性腎臓病と各種疾患
  • 二宮 利治, 清原 裕
    2007 年 96 巻 5 号 p. 887-893
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    福岡県久山町では,慢性腎臓病(CKD)は時代とともに増加傾向にあり,その要因として肥満,高脂血症,耐糖能異常など代謝性疾患の増加があげられる.また,久山町の追跡調査では,欧米の疫学調査と同様に,CKDは心血管病発症の独立した有意な危険因子であり,CKDに高血圧や喫煙など他の危険因子が合併すると心血管病のリスクが大きく増大する.CKD患者の心血管病を予防するには,他の危険因子の厳格な管理が必要である.
  • 本田 浩一, 永井 央子, 秋澤 忠男
    2007 年 96 巻 5 号 p. 894-898
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    わが国の透析患者は年々増加し,現在約26万人(人口500人に一人)の末期腎不全患者が維持透析を受けている.これら患者の背景として,糖尿病性腎症や高齢化を反映した高血圧を原因とする腎硬化症患者の増加があげられる.腎不全の進行は原因疾患に加え,腎疾患発症早期から腎機能障害の進展に影響する因子が複雑に関与する.また,腎機能障害は心血管病変発症・進展の独立した危険因子であり,腎機能低下に伴いその危険率は上昇する.こうした観点から,腎疾患発症早期から腎障害への移行・進展を阻止する重要性が認識され,無症候性腎臓病から末期腎不全に至るまでの一連の病態をひとつの症候として捉えて管理する目的から慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)という概念が提唱された.腎不全はCKDの一病期であると同時にその帰結でもあり,腎不全進行抑制が心血管病変予防の観点からもCKD対策の根幹となる.
  • 羽田 勝計
    2007 年 96 巻 5 号 p. 899-903
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    糖尿病に起因する慢性腎臓病,すなわち糖尿病性腎症は,現在,透析療法導入原疾患の第一位であり,その早期診断と適切な治療が重要である.診断には尿アルブミン値の測定が必須であり,微量アルブミン尿(30~299 mg/gCr)で早期腎症と診断する.治療法としては,高血糖の是正および糸球体高血圧の是正が重要である.さらに,集約的治療により,remission,regressionが期待される.
  • 木村 健二郎
    2007 年 96 巻 5 号 p. 904-909
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    腎疾患と高血圧は悪循環の関係を形成する.この悪循環を断ちきり,腎疾患の進行を抑制するためには厳格な降圧療法が必要である.さらに,レニン―アンジオテンシン系抑制薬(ACE阻害薬とアンジオテンシン1型受容体拮抗薬)は尿蛋白を減少させ腎保護作用を有することが多くの臨床試験で明らかにされている.したがって,これらの薬剤を中心にした降圧療法を行うことになるが,降圧目標を達成するためにはカルシウム拮抗薬や利尿薬など多剤を併用する必要がある.
  • 斉藤 喬雄
    2007 年 96 巻 5 号 p. 910-915
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    腎疾患に関わる高脂血症あるいは脂質代謝異常症は,原発性と続発性に分けられ,前者は遺伝的素因に環境因子が加わって発症する.最近注目されているものでは,III型高脂血症関連腎症,リポ蛋白糸球体症,Fabry病などがあり,特異的で稀ではあるが,続発性高脂血症との関連上も重要な疾患である.後者は,ネフローゼ症候群,慢性腎不全,糖尿病性腎症などの代表的な腎疾患でみられる.その病態の解明や治療は,慢性腎臓病やメタボリックシンドロームへの対策を考える上からも大切である.
  • 河合 俊英, 島田 朗, 及川 洋一, 伊藤 裕
    2007 年 96 巻 5 号 p. 916-921
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    近年,肥満,ことに内臓脂肪蓄積型の肥満はlow gradeの慢性炎症として捉えられるようになっている.肥満は,高血圧,糖代謝異常などの代謝障害の基盤となり腎障害をきたしうる.一方,肥満そのものによる腎障害が明らかとなり,肥満関連糸球体障害(症)(obesity-related glomerulopathy(ORG))という疾患概念が提唱されている.本稿では,肥満と腎障害との関連について概説する.
  • 大野 岩男, 細谷 龍男
    2007 年 96 巻 5 号 p. 922-927
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    痛風腎の発症・進展機序としては,高尿酸血症,高尿酸尿症,酸性尿からくる慢性間質性腎炎と腎硬化症の両者が関連して形成されると考えられる.高尿酸血症は,動物実験では尿酸塩沈着を介さずに腎疾患の発症・進展に病因的な役割を演じているとされ,またIgA腎症の腎機能予後不良に関する危険因子である.高尿酸血症治療は,痛風の腎障害の予防・治療に重要であり,また慢性腎臓病の進展を抑制する可能性がある.
  • 浦 信行, 吉田 英昭
    2007 年 96 巻 5 号 p. 928-934
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    メタボリックシンドローム(MetS)は腹部肥満を共通の背景因子として,血圧高値,脂質代謝異常,糖代謝異常を重積し,個々のリスクは軽度でもこれらの重積が動脈硬化性疾患の高リスク群を形成する.各種の疫学研究の結果からMetSでは脳血管疾患や心血管疾患のリスクが2~3倍高いと報告されるが,慢性腎疾患(CKD)の発症のリスクも2~3倍高いと報告されている.MetSの各々の構成因子はMetSの概念が提唱される以前から,CKDの危険因子として認識されていたことから,MetSにおけるCKDのリスク増大は了解可能であるが,個々の危険因子とは独立してMetSが危険因子である可能性があり,MetSの共通の背景因子であるインスリン抵抗性がその機序の一部を成すと考えられる.このインスリン抵抗性は腎機能障害と悪循環を形成しながら,CKDを発症・進展するものと考えられる.
  • 四枝 英樹, 平方 秀樹
    2007 年 96 巻 5 号 p. 935-941
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)ステージ3以降に必発する腎性貧血はrecombinant human erythropoietin(rHuEPO)により治療可能である.一方,CKDは心血管病の独立した危険因子で,貧血は是正可能な因子として位置づけられる.rHuEPO治療による腎・心予後の改善効果が明らかになり,造血を介さない直接的な細胞保護効果が期待されている.
  • 根木 茂雄, 重松 隆
    2007 年 96 巻 5 号 p. 942-949
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    腎性骨異栄養症(ROD)は腎性骨症,透析骨症とも呼称され,当初は骨の病変に限定されていたが,最近になり全身症状や生命予後に対する効果が重視されるようになり大きく概念が転換した.即ちRODは,慢性腎臓病に伴う血管石灰化に代表される軟部組織異所性石灰化を含む骨ミネラル代謝異常(chronic kidney disease-mineral and bone disorder: CKD-MBD)の一部分症で,全身性疾患としてとらえるべきであると変わってきた.したがってRODの治療においては生命予後を最も重視して予防・治療する必要がある.
VI.食事指導と生活指導
  • 中尾 俊之, 松本 博, 岡田 知也
    2007 年 96 巻 5 号 p. 950-955
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    慢性腎疾患において食事療法の必要度は,病期が進むほど,また病態が重篤なほど高くなる.食事内容としては,三大栄養素(炭水化物,脂質,蛋白質)に対する配慮のほか,体液・電解質に関連した食塩,水分,カリウム,リンなどに対する配慮がとくに重要である.蛋白質制限は病期が進むほど意義が高くなるが,その制限量については論争がある.また日常生活では,身体不活動の悪影響を阻止するための適度の運動が有益であり,とくに高齢者では安静による廃用症候群が進展しないように留意すべきである.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 日比 紀文, 長沼 誠
    2007 年 96 巻 5 号 p. 997-1005
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    炎症性腸疾患の治療の基本は5-アミノサリチル酸製剤とステロイド,さらに栄養療法や血球除去・吸着療法,免疫調整薬がある.また近年サイトカインをターゲットとした新規治療の開発も進んでいる.しかし新規治療を取り入れていくとともに既存の治療法を工夫していくことも炎症性腸疾患に対する新しい治療戦略の1つである.本稿では1 ステロイドの使い方の工夫,2免疫調整薬治療のタイミングと適切量について,3血球除去・吸着療法の使用法の工夫,4シクロスポリン・タクロリムスの重症潰瘍性大腸炎に対する有用性,5infliximab使用のタイミングについて中心に述べ,さらに海外の新規治療法の開発状況について紹介する.
  • 戸倉 新樹
    2007 年 96 巻 5 号 p. 1006-1012
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    光アレルギー機序で発症する疾患には,1)光接触皮膚炎,2)薬剤性光線過敏症,3)日光蕁麻疹,4)慢性光線性皮膚炎(CAD)がある.光接触皮膚炎,薬剤性光線過敏症は抗原となる光感受性物質が明らかであり,その他は明確でない疾患となる.光接触皮膚炎は,抗原が皮膚に塗られて,紫外線が当たって発症し,薬剤性光線過敏症は抗原が薬剤という形で経口投与されて,紫外線が当たって発症する.光接触皮膚炎の原因には,ケトプロフェン,スプロフェンやサンスクリーン薬がある.診断は光貼布試験が決め手となる.薬剤性光線過敏症の原因には,ニューキノロン,ピロキシカム,降圧利尿薬,チリソロール,メチクランをはじめとして多くの薬剤がある.日光蕁麻疹は日光照射により膨疹が生ずる疾患である.CADは,外因性光抗原を原因としない自己免疫性光線過敏症と呼ぶべき疾患で,時にHIV陽性者,ATL患者に発症する.
専門医部会
診療指針と活用の実際
シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 問題
プライマリ・ケアにおける内科診療
知っておきたい新しい医療・医学概論
シリーズ:revisited(臨床疫学・EBM再探訪)
シリーズ:EBM
シリーズ:世界の医療
シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 解答
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