日本内科学会雑誌
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65 巻 , 7 号
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  • 本間 日臣
    1976 年 65 巻 7 号 p. 645-659
    発行日: 1976/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    びまん性汎細気管支炎(びまん性呼吸細気管支炎)は,呼吸細気管支に病変の主座をおく慢性炎症で,その形態像は, 1)リンパ濾胞の新生を伴う著明な円形細胞浸潤を示す壁内繁殖性と, 2)肉芽組織による閉塞をおこす閉塞性の2型がある.肺機能障害としては,強い閉塞障害と軽度拘束障害との混合型を示すため肺気腫症と,喘鳴をしばしば伴うため気管支喘息と,また喀痰中,ヘモフィリスインフルエンザ菌および肺炎球菌を検出する時期があるため慢性気管支炎との鑑別,すなわち従来慢性閉塞性肺疾患と呼ばれていたものとの鑑別が問題となる.しかし気管支・肺の構造の上からは,肺気腫症は肺実質の,気管支喘息および慢性気管支炎は気道の,そして本症は両者の中間領域の疾患であると区別できる.性別では男性に多く,発症年令は各年代層にわたり,高率に慢性副鼻腔炎を合併または既往に持つ.主症状は,労作時息切れ,せき,たん,チアノーゼで,聴聴上捻髪音,喘鳴をきく,胸部X線像上微粒陰影の散布を特徴とするが含気量増加のため不可視のことがある.動脈血ガスは早期に低O2血症,高CO2血症をおこし, CVは増加する.病期の進展と共に緑膿菌交替症を合併し,肺不全のため不良の転帰をとる.治療は早期発見・早期診断・早期治療(ステロイド)に尽きる.
  • 坂根 剛
    1976 年 65 巻 7 号 p. 660-668
    発行日: 1976/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    まず, phytohemagglutinin (PHA), concanavalin A (Con A)およびpokeweed mitogen (PWM)がヒトにおいては胸腺由来(T)リンパ球のみを刺激することを明らかにし,併せてPHAおよびCon Aに対する反応性の差異からT細胞subclassを分別した.ウシ血清アルブミン濃度勾配遠心法によりリンパ球を細分画すると,中比重分画に集まる細胞はT細胞であつたが,高比重分画は大部分骨髄由来(B)リンパ球で構成された. PHA, Con A, PWMはT細胞分画を強く刺激したのに対し高比重分画ではほとんど反応せず,また, T, B両細胞を含む条件下でこれらmitogenに反応したリンパ球は著明なEロゼットを形成したことから, PHA, Con A, PWMいずれに対する反応もT細胞機能として把握されうることを知つた.さらに, PHAおよびCon Aに最も強く反応するリンパ球を異なるT細胞分画に認めたことは, PHAとCon Aでは反応するpopulationにずれがあり,同一でないことを示唆している.次いで,慢性関節リウマチ(RA)にみられる細胞性免疫の異常状態を知る目的で, RA患者リンパ球の各種mitogenに対する反応をdose-responseの関係から求めた. PHAについてはほぼ全ての濃度領域において明らかな反応低下を認め, Con Aでも低濃度から至適濃度に至る領域で著しい低下を示したが,さらに高濃度のCon Aに対しては正常反応を呈した. PWMに対する反応性は全濃度領域で正常を示した.これは, PHAおよびCon Aに反応するT細胞のsubclassが量的ないし質的に偏移した結果と考えられる.
  • 市川 幸延, 中田 安成, 郡山 健治, 小松田 光真, 有森 茂, 小橋 秀広, 多田 慎也, 三橋 朝子
    1976 年 65 巻 7 号 p. 669-680
    発行日: 1976/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    重症筋無力症(以下MG)の病因として自己免疫説が注目されてきたにもかかわらず,本症に対しては副腎皮質ホルモンは一般に無効とされていた.最近になつて本剤の大量療法が難治全身型の本症に有効であることが見直されたが,なおその適応には種々の限界がある.わたくし達は胸腺摘出術(以下Thx)施行後の全身型MG8症例およびThx未施行の全身型MG8症例に対してprednisolone 5~10mg/dの少量持続療法を試みた.その結果, Thx施行後あるいは未施行のいずれの群でも60~75%の寛解あるいは著明改善例を認めることができ,効果発現時期は2~3カ月,寛解もしくは著明改善に到達するに要した期間は3~5カ月であつた.本療法開始後の臨床経過では一部の症例に1~2カ月以内に比較的不安定な時期がみられたが,これは抗cholinesterase剤(以下抗ChE剤)に対する神経筋接合部の反応性が増したためcholinergicに傾いたためであり,抗ChE剤を徐々に減量していくことによつて症状は好転し,この時期をすぎた3~5カ月頃には微量の抗ChE剤で安定した効果が得られるようになつた.本療法は少量であるところから従来の大量療法に較べ副作用はほとんどなく,一部の難治例に限られることなく軽症全身型MGにも応用できる点で適応の広い治療法であることが判明した.胸腺組織および末梢リンパ球にも検討を加え,本療法は胸腺(胚中心)ならびにリンパ球に働き,これらの異常を是正するとともに運動神経終板に結合する自己抗体の産生と機能を阻害すると考えられた.
  • 三輪 剛, 谷 礼夫, 原沢 茂, 鈴木 荘太郎, 三輪 正彦
    1976 年 65 巻 7 号 p. 681-684
    発行日: 1976/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ブドウ糖とグリシンの溶液はそのモル濃度とpHが同じならば,その胃排出は同様のパターンを示すといわれている.これはosmoreceptorとchemoreceptorが十二指腸に存在するといわれていることから当然了解できると思われる.しかし,それ以外の要因の介入が胃排出に対してあるや否やの一つの試みとして,水試験液によるdouble sampling法を用いて検討した.試験液としては5%ブドウ糖液, 2.1%グリシン液を用いた.対象は健康男子学生15名である.結果は20分後の胃内残存率がブドウ糖液試験で34.6±9.7,グリシン液試験で45.4±15.6であつた. t-testでP<0.05の有意性をもつてグリシン液の胃排出がブドウ糖液のそれより遅いという成績を得た.また両試験液による胃酸分泌効果においては,ブドウ糖による場合の方がやや高いように思われた.
  • 斉藤 喬雄, 古川 洋太郎, 吉永 馨, 桜田 弘之
    1976 年 65 巻 7 号 p. 685-690
    発行日: 1976/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    母が重症筋無力症で死亡し,子が特発性副状腺機能低下症と診断された症例について報告する.症例1(母): 50才,主婦.眼瞼下垂,脱力感を主訴として入院. neostigmine試験陽性.筋電図でwaningが認められ,重症筋無力症と診断された.胸腺腫および胸腺過形成があり,胸腺切除術にて症候は一時改善したが,約9年後,呼吸筋麻痺を来たし再入院,肝障害,皮膚Candida症,糖尿とともに,高γ-globulin血症,抗筋抗体の検出, phytohemagglutinin添加リンパ球培養における芽球化の抑制等,種々の免疫異常を示唆する検査成績を呈し,死亡した.また剖検では,横紋筋,肝,膵,甲状腺等にリンパ球浸潤が認められた.症例2(子): 30才,男,大学病院職員,下痢の後にtetany発作あり,血清カルシウムは低値で血清燐は高値.尿細管燐再吸収率99%, Ellsworth-Howard試験で尿中燐およびcyclic AMPの増加反応が著しく,特発性副甲状腺機能低下症と診断された.その後vitamin D2の投与により症状は消失,検査成績も正常化して現在に至つている.重症筋無力症,特発性副甲状腺機能低下症はいずれも自己免疫機序の関与が考えられており,また,家族内での発症もしばしば認められている.ここに報告した症例のつながりについても,遺伝的背景を持つ自己免疫機序とのかかわりを否定できないと思われる.
  • 森島 泰雄, 長谷川 晴彦, 渡辺 英夫, 速水 四郎, 芳賀 圭五, 高槻 健介, 今川 卓一郎, 富田 明夫
    1976 年 65 巻 7 号 p. 691-695
    発行日: 1976/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    テタニー発作を主徴とした17才男子の偽性副甲状腺機能低下症の1例を経験した.症例は本症に特有な短躯(身長156cm),短頚,円形顔貌,鞍鼻,第4中足骨および右第4中手骨の短縮,初発白内障の所見を有し, Chvostek徴候, Trousseau徴候は陽性であり,血清カルシウム(Ca)値は3.9mg/dl,血清燐(P)値は5.9mg/dlで,骨格筋由来と思われる血清LDH, CPK, GOT値の上昇を認めた. Ellsworth-Howard試験(外因性副甲状腺ホルモン200u静注)の尿燐排泄の増加は2.1倍(対照2.2倍)であつたが投与前の排泄量は対照に比し少なく,投与後の増加量も不十分と考えられた. %TRPは94.8%と高値を示した.血中副甲状腺ホルモン(N-PTH)は3.4ng/m1と高値を示した. Ca負荷(180mg静注)により血清Caの増加とともにN-PTHはただちに低下し, Ca投与による副甲状腺ホルモン分泌の抑制がみられた.又Ca負荷数時間後より血中N-PTHの再上昇がみられ,この時期に一致して血清Ca値の異常な上昇がみられた.他の内分泌検査では甲状腺に軽度の一次性機能低下がみられた.腎機能検査は異常なく,染色体は46XY正常型でIQは93であつた.血清Ca低値時脳波上著明な徐波を示した.又X線像上吸収像が認められ,血清PTHの高値から二次性副甲状腺機能亢進が示唆され, PTHの骨に対する反応性が推測された. dihydrotachysterolおよびCa剤投与にて血清Ca, P値は正常化し,テタニー発作も消失し,脳波の改善,血清LDH, CPK, GOTの正常化が得られ,良好な経過を示した.
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