日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
112 巻, 1 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
内科学会NEWS
目次
特集 PPIの功罪(PCABを含む)
Editorial
トピックス
MCQ
シリーズ:診療ガイドラインat a glance
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 萩原 弘一
    2023 年 112 巻 1 号 p. 84-88
    発行日: 2023/01/10
    公開日: 2024/01/10
    ジャーナル フリー

    2020年の肺癌死亡数は75,500名である.臓器別第一位,全癌死亡の約20%を占めると予想されている.日本肺癌学会「肺癌診療ガイドライン」に基づいた治療を行うためには,進行非小細胞肺癌確定診断時に遺伝子変異検査を行うことが必要である.検索が必要な遺伝子数の増加に伴い,複数遺伝子を同時検索できる多遺伝子コンパニオン診断薬の使用が増えている.肺癌の多くは気管支鏡検体で確定診断される.超音波ガイド生検などの技術進歩に伴い,小病変や気管支壁外のリンパ節からも検体が採取可能になった.そのようにして採取された検体は小さく,細胞診検体しか採取できないこともしばしばである.癌の確定診断はできたが,組織を用いた遺伝子変異検査が施行できない状況が生まれている.細胞診検体は貴重な臨床検体である.組織検体より容易に採取でき,悪性腫瘍の確定診断が可能である.さらに,採取検体の細胞診検体部分でもコンパニオン診断が可能なら,組織部分を詳細な病理検査,大きな遺伝子パネル検査に使えるため,検体の有効活用が可能になる.我々は,細胞診検体で遺伝子変異検査が可能なことを実証するため,先進医療A「高感度多遺伝子検査システムMINtSによる,細胞診検体を用いた肺癌druggable遺伝子変異検索」を施行している.既に1,000例が登録され,細胞診検体でも組織を用いたコンパニオン検査に劣らない品質で検査可能なことを確認した.細胞診検体による多遺伝子変異検査は,癌診療の効率化,高度化に貢献するだろう.

  • 石塚 賢治
    2023 年 112 巻 1 号 p. 89-93
    発行日: 2023/01/10
    公開日: 2024/01/10
    ジャーナル フリー

    成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)はヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)により起こされる末梢性T細胞腫瘍である.indolent ATLとaggressive ATLに分類され,標準治療はindolent ATLに対してはaggressive ATLになるまで無治療経過観察,aggressive ATLに対しては多剤併用化学療法,臓器機能が良好な65歳~70歳以下の症例ではさらに同種造血幹細胞移植を実施することである.同種移植の対象は骨髄非破壊的移植や臍帯血移植,半合致移植が可能になることにより拡大し,予後改善に寄与している.新規薬剤として抗体薬,抗体薬物複合体,免疫調整薬,エピジェネティック薬が日常臨床に導入され,今後さらに本疾患の分子病態に基づいた治療開発が発展することが期待される.

内科学会からのお知らせ
feedback
Top