日本内科学会雑誌
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68 巻 , 3 号
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  • 岸本 進
    1979 年 68 巻 3 号 p. 263-275
    発行日: 1979/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    老化の問題はライフサイエンスの重要な課題の一つであり,広く種々の分野から研究されている. Wa1fordは免疫学的立場から老化の自己免疫説を提唱し, Burnetはこの仮説を支持し免疫監視機構の立場から免疫と老化,殊に老令者に好発する悪性腫瘍や自己免疫との関連を強調している.本論文では,ヒトの免疫臓器と免疫能の加令変化について著者の成績を含めて総説を試みた.思春期以降,胸腺は急速に退縮し,末梢リンパ球も減少しTリンパ球サブセットの変動が窺われた.またTリンパ球機能を示す種々の免疫パラメータも老令群では有意に低下した.自然抗体や特異的抗体産生は老化に伴つて低下するに反し,自己抗体の出現頻度および血漿IgG, IgA値は上昇を示した.このIgG上昇は補助Tリンパ球活性の亢進に起因すると考えられた.動物実験の成績から,免疫能の加令的変化の発現機序を要約するとリンパ球自身の変化が主役であり,環境因子の変化は副次的と考えられる.リンパ球の幹細胞→前駆細胞→エフェクター又は抗体産生細胞への分化,増殖の障害が加令に伴う免疫能低下の重要な要因と推測される.老化に伴う免疫能の低下と老令者に好発する悪性腫瘍や自己免疫との関連に触れ,さらに免疫能の回復の可能性についても述べた.
  • 金田 浩, 村田 豊明, 松本 純, 春山 武
    1979 年 68 巻 3 号 p. 276-284
    発行日: 1979/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性透析患者におけるレニン活性(PRA)と高血圧の1)-5)研究は多い.我々はPRAとNa代謝を中心にPRAに対する透析療法の影響や,さらに安静時のPRAのレベルから3群に分類し各群の特徴を比較した.対象は61名の慢性透析患者で,安静時のPRA,透析後のPRA,およびΔPRA(透析後のPRA-透析前のPRA)の三つと透析に関係する種々の因子との間の相関性について推計学的に検索した. (1)安静時のPRAを規定する主要な因子は,前回の透析の際の除去Naおよび水の刺激に対する生体のレニン分泌能である. (2)透析後のPRAを規定する因子は,安静時のPRAと生体の除去Naと水に対するレニン分泌能が主役であつた. (3)透析前後のPRAに共通する因子は血清Naと年令であつた.従つてPRAはNa balanceを示すindicatorであり,又加令によりPRAが抑制されることが判明した. (4)安静時のPRAのレベルにより低レニン群(0.1~5.0ng/ml, 13.1%),正レニン群(5.1~30.0ng/ml, 65.5%)および高レニン群(30.1ng/m1以上, 21.4%)に分類した.その頻度を本態性高血圧例と比較すると低レニン群は約1/2と少なく,一方,高レニン群は約2倍であつた.高レニン群は若年で,低Na血症を呈しており,又除去Naと水の刺激に対するレニン分泌能が最も高値で,臓器障害としての眼底の高血圧性変化は最も高度かつ高頻度であつた.低レニン群は高レニン群の逆で,一方正レニン群は高レニン群と低レニン群の中間の値を示していた.
  • 切士 博文, 松本 一夫, 鈴木 嘉茂
    1979 年 68 巻 3 号 p. 285-292
    発行日: 1979/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性心筋硬塞35例に対し,発作後早期より心エコー図の記録,色素希釈法による心拍出量の測定を経時的に行ない,心エコー図上僧帽弁運動について,特にその経時的変化を中心に分析するとともに,硬塞部位別の差異,臨床的心不全および急性期予後との関係について,また左房径,左室内径についても検討した.硬塞発作後のDDRは経過とともに上昇するものが52%,低下するものが36%,不変のものが12%であつた. DDRは左室機能,左室complianceの改善を必ずしも反映するものではないと思われた.僧帽弁振幅は経過とともに増大し, A/E比は減少してゆくものが大部分であつたが,これらはDDRより左室機能の回復をより反映していると思われた.心不全合併例ではA/E比が高い傾向があり, CE振幅が小さく,左房,左室径は拡大し, AC時間も延長の傾向があり, LVIDd index/PR-AC比も高値を示すものが多かつた.前壁硬塞例では下壁硬塞例にくらべてDDR, A/E比がより高値を示し,しかも左室径,左房径の大きいものが多かつた.この結果は前壁例では下壁例より左室パフォーマンスの低下が大きいことを示す所見と思われた.入院中の死亡例ではA/E比の上昇, CE振幅の低下,左室の拡大, LVIDd index/PR-AC比の高値の所見を認めるものが多く,これらの所見を呈する例は急性期予後は悪いという結果であつた.
  • 伴野 祥一, 田中 敏行, 関 顕, 藤井 潤
    1979 年 68 巻 3 号 p. 298-301
    発行日: 1979/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    2年以内の間隔で,くり返し胸部と腰椎のX線検査を行ない,観察期間中に大動脈弓部およびその近辺(以下大動脈弓部と略)または腹部大動脈に新たに石灰化の出現した66例(男45例,女21例)につきその初発した年令,部位,形態について検討した.なお, 66例中4例では,大動脈弓部と腹部大動脈とに,ほぼ同時に石灰化像が初発した. (1)大動脈弓部に石灰化が初発したものは39例(男24例,女15例)であり,初発時平均年令は61才,腹部大動脈においては31例(男23例,女8例)に初発し,その初発時平均年令は63才であつた. (2)大動脈弓部における石灰化像の初発部位は,弓部左側壁と,上行大動脈左側壁に多かつた.腹部大動脈においては,第3腰椎から第4腰椎の高さが最も多く,前壁と後壁による頻度の差はみられなかつた. (1)石灰化の初発像は,大動脈弓部では細く淡い線状ないし,弧状の陰影であり,腹部大動脈では点状あるいは斑状であつた.
  • 嘉山 保美, 江口 とめ, 榎本 哲, 葉山 隆, 東野 広也, 北見 翼, 岩淵 定, 東海 俊英, 守田 浩一, 天木 一太, 堀内 篤
    1979 年 68 巻 3 号 p. 302-306
    発行日: 1979/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    44才,男.左頚部リンパ節腫脹を主訴として入院し,同リンパ節生検の結果では, metastasis of undifferenciated carcinomaであつた.入院後,精査施行したが,原発巣は不明で,泌尿器科的にも異常はみられなかつた.左頚部リンパ節スタンプ標本で,細網肉腫も疑われ,治療診断の目的で, VEMP療法を施行したところ,著効を示し退院した.しかし, 3年6カ月後,再発が疑われ,再入院となつた.入院経過中意識障害,痙〓,弛緩性麻痺が出現し, VEP療法, methotrexate, cytosin arabinosede髄注などを施行したが効果なく死亡した.病理診断ではmalignant gonadal stromal tumorであつた. gonadal stromal tumorは,人体では非常に希で,全睾丸腫瘍の約2%弱でほとんど良性である.臨床症状としては,睾丸の腫脹,疼痛,女性化乳房症が出現するといわれ,内分泌的には尿中estrogen, androgen, pregnandiolなどの上昇を認めることがあると報告されているが,本症例は,末期に睾丸の腫脹を認め,内分泌的には検索していない.本症例は,転移巣である左頚部リンパ節腫脹が主体で,入院時,原発巣である右睾丸は,泌尿器科的に自覚的,他覚的に異常が認められなかつた.一般的には化学療法は期待できないといわれるが,本症例では, VEMP療法に著効を示した.このことよりmalignant gonadal stromal tumorのある症例ではVEMP療法が効果があると考えられた. gonadal stromal tumorは調べ得た限り本邦で4例であるが,いずれも良性であり,悪性は本症例が本邦第1例と思われる.
  • 加納 正, 内野 治人, 松尾 博, 太田 賢
    1979 年 68 巻 3 号 p. 307-311
    発行日: 1979/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    “呼吸器症状が先行し,関節症状が軽度で特異な経過を示した悪性関節リウマチの1例”として先に報告した症例が末期にHodgkin病を合併して,さらに注目すべき経過を示した.本例のHodgkin病合併前後の病像の変化を中心に概説し,併せて悪性関節リウマチとHodgkin病の合併の意義について考察した.症例. 55才,男性. 1970年息切れ, 1971年肺線維症と診断, 1972年多発性関節炎, 1973年皮下結節出現し,慢性関節リウマチと診断.その後関節症状の反復と併せて呼吸器症状の増悪を訴えた. 1976年12月,高熱,関節炎,咳漱,喀痰, 1977年3月確定的悪性関節リウマチと診断この時脾腫なし.その後3カ月ほど順調であつたが,同年7月高熱.以前からあつた表在リンパ節の軽度の腫大傾向,脾の急速な腫大とともに悪性関節リウマチ診断時に認めた各種の免疫学的異常データが軽減ないし消褪した.以上よりHodgkin病の併発をつよく疑いstaging laparotomyを施行し,脾腫はHodgkin病(肉芽腫型, mixed cellularity)の浸潤によることが明らかはこなつた.自己免疫病とリンパ系腫瘍の合併は偶然以上のものと考えられ,さらに両者は単なる合併というより相互に関連した有機的一体のものとして把握すべきである.両者の関連性について,原因,発生機序の面から若干の考察を加えた.
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