非小細胞肺癌は現在最も難治性の癌の一つであり, 1990年代後半から導入された新規抗癌剤により生存期間の延長が得られたもののその期間はわずか数カ月であり,新しい治療法の開発が望まれている.近年,上皮成長因子受容体(EGF-R)が癌細胞の増殖,不死化,浸潤,転移に関与していること,非小細胞肺癌にEGF-Rが高頻度に過剰発現されていること, EGF-Rを過剰発現した非小細胞肺癌患者の予後が不良であることなどが報告され, EGF-Rを標的とした分子標的薬: EGF-R阻害剤が開発されてきた.なかでもEGF-Rリン酸化阻害剤であるゲフィチニブ(イレッサ
®)は世界に先駆けわが国において2002年7月に承認され,その臨床的効果が注目されている.本稿ではゲフィチニブをはじめとしたEGF-R阻害剤の非小細胞肺癌に対する成績を紹介し今後の展望と課題について概説した.
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