Sjögren症侯群と腎尿細管性アシドーシスの合併の多発せる沖縄県出身の家系を経験したので報告する.発端者は18才,女性.中学生頃より口渇,多飲が出現し,増悪のため入院.尿量は1日4
lをこえ,ピトレッシン不応性の濃縮力障害,塩化アンモニウム負荷でも尿酸性化は認められなかつた.高γ-グロブリン血症, DNCB PPD皮膚反応陰性,血中T cellの減少を示した.口唇生検で小円形細胞の浸潤,一部に限局性集簇巣があり,シアログラフィで腺房顆粒状陰影でSjögren症候群と診断された.腎生検でも間質に著明な小円形細胞の浸潤と尿細管の変性,萎縮あり腎尿細管性アシドーシスを合併していた.発端者の姉, 25才,女性に,耳下腺腫脹を伴う反復性発熱,眼症状,口渇,多尿を認め精査のため当科入院した.腎生検,口唇生検で妹同様小円形細胞の浸潤,集簇を認め,妹同様の免疫学的異常も認められた.この姉妹の母親に口渇,尿濃縮力障害,姉妹の他の同胞5名中3名に低K,低尿酸血症を認めた.父母,同胞共HLA A-9, B-40を有していた.腎尿細管性アシドーシスとSjögren症候群は共に,自己免疫機序の関与が考えられているが,両者の合併の多発をみた家系の報告は世界に例をみず,免疫遺伝学的にも重要と思われる.
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