日本内科学会雑誌
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82 巻, 10 号
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  • 宮本 昭正
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1601-1602
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 1)アレルゲン(特に都市化の影響から)
    信太 隆夫
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1603-1608
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    特に戦後の都市化と農業の近代化にともなう人口移動,住宅構造や生活様式の変化等人為的な環境の急速な変化は,狭い国土と相まって環境アレルゲン増加の歪をもたらしているとみられる.高温多湿に耐えない住宅構造,これに不適な生活同式等によるダニの増加.裏を返せば我が国の資材貧困そのものに通ずるスギやヒノキ科花粉の増加.この二つの要因がほとんど全国を覆いつくしてアレルギー性疾患は欧米なみ,あるいはそれ以上の急速な増加をもたらして来た主因とみられる.
  • 2)環境因子
    中川 武正
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1609-1613
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年,アレルギー憧疾患罹患患者数が著増している.その増加要因の一つとして,大気汚染や生活様式の変化にもとづく室内汚染などの環境因子の関与が示唆されており,自動車排気ガス等を中心に基礎的,臨床的研究が積み重ねられている.その実態が明らかになれば,アレルギー性疾患の病因として直接的あるいは間接的に作用する可能性を有するだけに,今後抜本的な対策を含めての検討が必要であろう.
  • 1)アレルギー応答とその制御
    奥平 博一
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1614-1619
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年アレルギーの研究は分子生物学の手法を活用しつつ急速に開けてきた.発がんの研究から,プロテインカイネースC活性化-がえ,遺伝子の活性化-がんタンパク複合体(AP-1)の産生-サイトカイン転写の活性化という連鎖が見いだされた.また,慢性関節リウマチの研究からは核内のステロイドレセプターによるAP-1の転写活性の抑制という事実が明らかになった.最近我々は,臓器移植の研究から発見された新しいT細胞特異的転写因子NF-ATの活性を阻害するサイクロスポリソA, FK506が強力にIL-5の遺伝子転写を抑制し,同時に症状を劇的に改善することを見いだ,した.これらの薬物はアトピー性皮膚炎・難治性気管支喘息に対し,ステロイドと同じくらい有効で副作用の少ない夢のアレルギー治療薬の一つとなる可能性がある.
  • 2)マスト細胞とケミカルメディエータ
    黒沢 元博, 五十嵐 康, 宮地 良樹
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1620-1626
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    マスト細胞は生体内に広く分布するが,その形態,機能には臓器差と種属差が存在する.ヒトマスト細胞は,顆粒内エンドペプチターゼの種類により,トリプテース含有マスト細胞とトリプテース,カイメース含有マスト細胞に分類可能である.マスト細胞はIgEを介する特異的刺激の他,多彩な刺激因子により活性化され,多彩なメディエータを遊離する.活性化マスト細胞における細胞内生化学的機構は,刺激により異なる.
  • 3) T細胞活性化とサイトカイン
    岩本 逸夫
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1627-1630
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    最近のアレルギー学の進歩はCD4陽性T細胞がサイトカイン産生能の異なるTH1細胞とTH2細胞の二つのサブセットに分化するという知見と, TH2細胞から産生されるIL-4とIL-5がおのおのIgE抗体産生と好酸球活性化に関与するという知見に基づく.したがって,アレルギー性炎症はTH2細胞の選択的活性化と捉えることができる.これらから, TH2細胞活性化の抑制とIL-5などサイトカインの特異的抑制・拮抗がアレルギー性疾患の制御に有効と考えられる.
  • 4)好酸球と気道炎症
    福田 健
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1631-1635
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    代表的なアレルギー性疾患の気管支喘息では気管支粘膜およびその周囲に著しい好酸球の集積を認める.一時,好酸球はアレルギー反応のメディエーターを代謝し反応を鎮静化する役割をもつと考えられていたことがあった.しかし,この15年の間に好酸球顆粒には組織傷害性があること,好酸球は強力な炎症性メディエーターを産生することが明らかになり,最近では,喘息において気道炎症を惹起し慢性化させるエフェクター細胞として認識されるようになった.また,多くの臨床的観察がこの考え方を支持するに至っている.
  • 松村 行雄
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1636-1640
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    アレルギー性疾患の診療でまず大切なのは,原因アレルゲンとの接触を避けさせることであり,これを見つけだすことが診療の第一歩である.ある物質が本当に原因アレルゲソであると断定できるのは誘発試験が陽性の場合だけである.だが誘発試験は患者の苦痛を伴う上,危険な場合もあるので,代りに種々のアレルギー検査が行われる.皮膚反応あるいはin vitroの特異的lgE抗体測定の結果だけで断定せず,症状の出る状況や季節などに関する問診の結果を組合わせて,総合的に診断しなければならない.
  • 1)抗アレルギー薬(ケミカルメディエータ遊離抑制薬,ケミカルメディエータ拮抗薬)
    冨岡 玖夫
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1641-1647
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    現在発売されているいわゆる抗アレルギー薬・抗喘息薬は,ケミカルメディエータ遊離抑制薬とケミカルメディエータ拮抗薬に分けられ,便宜的に抗ヒスタミン薬作用をもつ抗アレルギー薬と抗ヒスタミン作用をもたない抗アレルギー薬に分類した.この薬物は,慢性に経過するアレルギー性気管支喘息で,軽症,中等症の患者に適応がある.急性発作に効果は期待できない.少なくとも4週間以上使用してその効果を評価する.
  • 2)副腎皮質ステロイド薬
    佐野 靖之
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1648-1652
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    アレルギー性疾患はその基本にアレルギー性炎症すなわちT-リンパ球やマスト細胞よりのIL-5やサイトカインによって動員される好酸球浸潤性の組織変化が見られる疾患であるゆえ,その治療にはステロイド薬がfirst choiceといえる.ステロイド薬には副作用もありだだ漫然と使うことなく,症状の重症度に応じて上手に使いこなしていくことが肝要でありそのポイントを各疾患別に記した.
  • 3)気管支拡張薬(β受容体刺激薬,キサンチン誘導体,抗コリン薬)
    真野 健次
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1653-1658
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の薬物療法に関する考え方は,このわずか数年の間に大きく変化した. β2刺激薬,キサンチン誘導体や抗コリン薬などの気管支拡張薬の位置づけに関しても新しい変動が見られる.これらの新しい考え方は,「喘息の診断と管理に関する国際委員会報告」とわが国の「アレルギー疾患治療ガイドライン」に集約されているので,これらの二つのガイドラインに沿って気管支拡張薬の新しい位置づけについて概説した.
  • 可部 順三郎
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1659-1665
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    第5回日本アレルギー学会春季臨床大会の特別シンポジウム「アレルギー性疾患の治療ガイドライン」の中で成人および小児の気管支喘息の治療・管理ガイドラインが提案された.気管支喘息の本態は気道の慢性アレルギー性炎症であるとの考えを基本とし,ピークフロー・モニタリングその他客観的指標に応じて規定された喘息重症度,症状の強さに即して遅滞なく,過不足なく対応しようとするもので,抗炎症作用の強いステロイド,気管支拡張作用に優れ即効性のあるβ刺激薬などの吸入療法を中心に構成されている.本ガイドライン作成の趣旨は喘息治療に従事している医師への参考資料を提供することであり,治療の恵一化を目的とするものではなく,将来必要に応じて改訂されるべきものである.成人喘息の治療ガイドラインについて概説した.
  • 石川 哮, 奥田 稔
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1666-1671
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    アレルギー性鼻炎の定義,発症機序を要述し,これに沿った診断と治療法を記載した.治療目標を症状のコントロールにおき,抗原回避を含めた患者指導・管理,抗原特異的減感作(免疫)療法,薬物治療,手術等の治療法選択を重症度に従って具体的にガイドラインとして提示した.
  • 吉田 彦太郎
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1672-1677
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    アトピー性皮膚炎の病態に関しては意見の一致がなく,治療にも一定の方向性をもたせることは困難な状態にある.先日の第5回日本アレルギー学会春季臨床大会では主なアレルギー性疾患に対する治療のガイドライン作成を目的とするシンポジウムが開かれた.以下はその際のアトピー性皮膚炎に関する部分の要約であり,現在広く行われている治療や今後繁用される可能性の高い新しい方法の紹介でもある.
  • 鳥居 新平
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1678-1683
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    食物アレルギーの病態に関してはまだ不明な点が多く,その臨床に関しても即時型の誘発症状を除けば診断法,治療法も確立していないという現状にある.そこで食物アレルゲンとこれに対する免疫応答の面からの最近の研究成果を整理し,現在における食物アレルギーの治療に関するガイドライン作製の限界と問題点,さらにその展望についても述べる.
  • 森田 寛
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1684-1687
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    アナフィラキシー(狭義)は外来性物質の侵入によりマスト細胞/好塩基球からIgE抗体を介してヒスタミンをはじめとする多彩なメディエーターが遊離される結果,呼吸器系,循環器系など多くの臓器が急激に侵される病態である.補体の活性化など, IgE抗体を介さない機序によっても同様の症状が生じ(アナフィラキシー様反応),両者を包括して広義のアナフィラキシーという.本症では生命の危険を伴うので,エピネフリンの投与,酸素の投与,補液を含む早急な処置が必要である.
  • 戸谷 義幸, 高木 信嘉, 平和 伸仁, 石井 當男, 谷 真保, 桜井 淳, 五味 朋子, 池田 寿雄, 畝田 進, 大西 俊正
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1713-1714
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ステロイド治療あるいは,その減量が困難であった成人発症Still病の3症例(46, 34, 28歳,いずれも女性)に対し,二重濾過血漿交換療法を施行したところ,全例に著効が認められた.本疾患に対する二重濾過血漿交換療法の報告はほとんどないが,難治例において試みるべき有用な方法と考えられる.
  • 小原 範子, 高須 信行, 小宮 一郎, 武田 貞二, 大塚 弘巳, 山内 恵史, 平松 邦英, 山田 隆司, 橋爪 潔志, 徳田 隆彦
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1715-1717
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    副腎腺腫によるGushing症候群に,副甲状腺腺腫による原発性副甲状腺機能亢進症を合併した症例を報告する. 62歳女性.高血圧症および腰痛のため来院.血液検査および画像により診断され,腺腫はそれぞれ摘除した.患者は著明な骨粗鬆症を呈していた.これまでに報告されている多発性内分泌腺腫と異なった,新しい型の疾患の可能性がある.また,コルチゾールとPTHの骨に対する相互作用を検討する上でも興味深い1例である.
  • 小原 範子, 高須 信行, 小宮 一郎, 武田 貞二, 長澤 慶尚, 大塚 弘巳, 山田 隆司, 橋爪 潔志
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1718-1719
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Carney症候群の1例を報告する. 27歳男性.口唇,手掌,足底の色素斑と, Cushing症状, CT等により認めた両側副腎の結節性過形成により, Carney症候群と診断された.両側副腎摘除を施行,摘出副腎の病理診断はprimary pigmented nodular adrenocortical disease (PPNAD)であった.同様症状を持つ同胞も存在する. PPNADによるGushing症候群と口唇等の色素斑を伴うCarney症候群の家族発症例は,きわめて珍しい症例である.
  • 中野 厚, 森 博雄, 神田 勤, 宮本 岳, 佐藤 智信, 志水 洋二, 狭間 敬憲
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1720-1721
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    輸血後B型肝炎経過中にGuillain-Barré症候群が発症したまれな1例を報告した.症例は26歳女性.輸血後B型肝炎にて入院加療中,複視,四肢のしびれ感が出現. 2日後には呼吸停止し,人工呼吸器による呼吸管理を開始,その後肝機能,神経症状は徐々に改善し, 1ヵ月で人工呼吸器を離脱しえた.本症例ではB型急性肝炎の急性後期にGuillain-Barré症候群を呈し, B型肝炎ウイルスが神経症状発症に何らかの関与をしたのではないかと考えられた.
  • 岡本 直幸, 松本 充博, 松本 良二, 河野 修, 興梠 博次, 杉本 峯晴, 安藤 正幸, 尾崎 輝久
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1722-1724
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は31歳,女性,結核性胸膜炎の診断で治療を受けるが咳嗽,血痰が持続した.好酸球増加,肺に空洞性病変を認め肺吸虫症の疑いで入院となった.貧血,皮下腫瘤を認め,好酸球増加,胸写で空洞を伴う結節影を多数認めた.喀痰中にP. westermaniの虫卵を認め, VBS抗原の皮内反応で陽性を示したため肺吸虫症と診断した.本症例は生蟹のキムチ漬けの摂取による発症と考えられ,極めてまれであるため文献的考察を加え報告する.
  • 山村 研一
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1725-1731
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    遺伝学的解析技術を駆使してヒト疾患の発症に関与する遺伝子が多数単離されつつある.しかし,遺伝子が単離されたからといってその機能や,発症過程が直ちに明らかになるとは限らない.従って,これらの解析にはヒト以外のモデル動物を必要とする.これまでモデル動物は自然突然変異もしくは特定の形質に着目し交配によって選択することにより得ていた.しかし,これらのモデルでの発症機構の多くは不明で,ヒトと同一のものを使うべきであるとの議論が生じた.近年のマウス受精卵や初期胚もしくはES細胞を用いた操作技術の発展により,ヒトと同一の分子機構で発症する疾患モデルマウスの作製が可能となり,遺伝子機能の解析,発症過程の解析,そして新しい治療法の開発にも応用可能となった.
  • 足立 昌司, 長田 重一
    1993 年 82 巻 10 号 p. 1732-1737
    発行日: 1993/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    リソパ球の分化過程でのアポトーシスを介しての細胞死の誘導は免疫機構の調節において重要な役割を担っている.細胞内にアポトーシスめシグナルを伝達する機能をもつ細胞表面タンパク質のFas抗原の異常が自己免疫疾患の発症機序に関与している可能性が高いことを示した.すなわち,異常なT細胞を蓄積して,自己免疫疾患のSLE様症状を示すlpr (lymphoproliferation)変異マウスではFas抗原遺伝子のイントロンの中にトランスポゾンが挿入されていたり,あるいは点突然変異を起こしているためにFas抗原の機能が失われていた.つまり, Fas抗源はTリンパ球の発生段階において生と死の判別機構に関与しており,このバランスが障害されることが自己免疫疾患の素因になると考えられる.
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