日本内科学会雑誌
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97 巻 , 11 号
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特集●院内感染:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.院内感染の変遷
  • 関 雅文, 河野 茂
    2008 年 97 巻 11 号 p. 2636-2641
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    わが国における抗菌化学療法は医療技術の進歩とともに大きな発展を遂げた.しかし,耐性菌の出現など新たな問題に直面することとなり,院内感染診療はますます重要となっている.適切な抗菌化学療法や感染管理の指針を示すために,肺炎などに関する多くの診療ガイドラインも刊行されてきた.しかし,抗MRSA薬やカルバペネム系抗菌薬をはじめとする強力な抗菌薬の開発やPK/PD理論など新しい情報の登場に合わせ,適宜,院内感染症診療の内容の見直しを続けていくことが重要である.
II.院内における耐性菌感染の予防策
  • 岩田 健太郎
    2008 年 97 巻 11 号 p. 2642-2647
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    耐性菌予防にはいろいろな方策があるが,とりわけ重要なのは抗菌薬の適正使用である.しかし,この適正使用とは単なる総量規制ではなく,患者ケアの最良化,最適化こそがその目的である.患者ケアの最適化のためには適切な診断が不可欠で,それには血液培養をはじめとする各種検査を活用する.患者の重症度は抗菌薬決定において重要であり,妥当性の高い重症度判定を行わねばならない.抗菌薬終了の基準は臨床的に定められ,炎症反応だけにその基準をゆだねてはならない.
III.特殊病棟内の感染と対策
  • 佐藤 吉壮
    2008 年 97 巻 11 号 p. 2648-2655
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    NICUにおける感染はカテーテル関連血流感染が最多である.その危険因子としては,血管内留置カテーテル,高カロリー輸液投与,機械的人工換気,抗菌薬使用などがあげられる.基本的に室内の空調,清掃,手洗い,服装,医療器具の消毒,面会などについては,CDCのガイドラインを参考にして行う.手袋の使用などは有用であるが,NICU内すべてにスタンダード・プリコーションを適応することはむずかしく,それぞれの施設において具体的な感染予防対策をたてる必要がある.
  • 竹末 芳生
    2008 年 97 巻 11 号 p. 2656-2659
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    (1)血糖を正常レベル(80~110mg/dl)で管理する強力インスリン治療に関しては,低血糖の問題があり,ガイドラインでは150mg/dl以下での管理が推奨されている.(2)重症患者の抗菌薬治療においてその予後を改善し,かつ耐性菌を出さない対策としてde-escalation治療が推奨されている.一方,抗菌薬サイクリングは否定的な報告が多い.(3)近年PCRによるMRSA迅速検査を行い,陽性例では隔離・接触予防策等を行う対策が米国で行われつつある.しかしICUや外科病棟においては未だエビデンスに欠ける.
  • 寺本 信嗣
    2008 年 97 巻 11 号 p. 2660-2667
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    近年,高齢者施設におけるノロウイルス集団感染などを契機に介護施設における院内感染が問題となっている.これらの施設においても感染対策が必要であり,施設職員や新規入所者の感染源の持ち込み,介護者による感染の媒介を防ぐ必要がある.職員,入所者の健康管理,衛生管理,感染症の早期発見,拡大防止が重要である.特に,感染性胃腸炎,結核,レジオネラ,疥癬など頻度の高い感染症への対応策は必須である.
IV.病原体別にみた院内感染と対策
  • 笠原 敬, 三笠 桂一
    2008 年 97 巻 11 号 p. 2668-2672
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    MRSAは,代表的な院内感染の原因菌として数十年にわたり研究が重ねられてきた.それにも関わらず,その分離頻度は増加の一途をたどり,市中においても強い毒性を持つ市中感染型MRSAが出現してきている.また,様々な抗菌薬の開発にも関わらず,依然としてMRSA感染症の予後は不良であり,バンコマイシンの感受性が低下したMRSAも増加している.従来の感染対策・感染症診療の限界を知り,新たな一歩を踏み出す時期に来ている.
  • 菊池 賢
    2008 年 97 巻 11 号 p. 2673-2677
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)はヒト皮膚表面,鼻腔などの最も普遍的な常在菌である.黄色ブドウ球菌のような多彩な毒素を持たないが,様々な粘着物質を産生することにより,人体に挿入された人工物に絡んだ感染症をしばしば引き起こす.また,入院患者や病院環境由来の菌株を中心に多剤耐性の比率は黄色ブドウ球菌以上に高い.メチシリン耐性など多くの耐性遺伝子は黄色ブドウ球菌と共有しており,病院感染上,耐性遺伝子リザーバーとしても寄与している.
  • 藤田 次郎
    2008 年 97 巻 11 号 p. 2678-2686
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    緑膿菌は環境に存在する菌であるため,緑膿菌による院内感染は避けることのできないものである.事実,緑膿菌による院内感染の事例も多数,報告されている.一方,近年,多剤耐性緑膿菌による院内感染に関するマスコミ報道,および裁判事例が多発している.緑膿菌による院内感染対策は,その感染源を特定することに尽きるといっても過言ではない.このため本論文では,過去の緑膿菌院内感染事例の感染源に関して可能な限り詳細に記載した.
  • 山口 敏行
    2008 年 97 巻 11 号 p. 2687-2694
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    VREは欧米において院内感染症の主要な原因菌であるが,わが国ではVREの検出数およびVRE感染症の症例は多くない.VREに対する院内感染対策は標準予防策に加え接触感染予防策を行うが,VREは保菌者の便から排出されるため,トイレや汚物室などの環境整備と,患者および医療従事者の手指消毒が特に重要である.VRE感染症例に対してはリネゾリドの投与を検討するが,定着例には抗菌薬を用いた除菌は行わず,乳酸菌製剤の投与を考慮する.
  • 松本 智成
    2008 年 97 巻 11 号 p. 2695-2703
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    結核菌と人は長年共存関係にあり撲滅することはなかなか難しい.結核発生は日本において減少傾向にあるが,世界的には増加しており日本でも再増加する可能性がある.さらに薬剤感受性結核のみならずmulti-drug resistant tuberculosis(MDR-TB)の感染拡大を防ぐことが大切である.MDR-TB,特にextensively drug resistant tuberculosis(XDR-TB)は,治療の失敗のみならず感染によって広がっていることは現在では世界的な常識となりつつある.院内の結核感染対策を行い職員,患者に感染発病をおこさないように努力し,さらに定期・定期外検診にて素早く感染・発病者を見つけ更なる感染を広めない事はわれわれ医療従事者の使命のひとつでもある.結核感染対策の道具としてツベルクリン反応に代わりQuantiFERON-2G(QFT-2G)が導入され接触者検診においても使用し始めている.また結核菌分子疫学解析もPCRにておこなうvariable numbers of tandem repeats(VNTR)が主流になり臨床応用が可能になって来た.
  • 八橋 弘, 矢野 公士, 阿比留 正剛, 石橋 大海
    2008 年 97 巻 11 号 p. 2704-2709
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    5種類ある肝炎ウイルスの中で,特に院内感染として問題となるのは,血液を介して感染するB型肝炎とC型肝炎である.B型肝炎の予防法としては,HBワクチンとHBIGがあり,それぞれの感染防御の仕組みを十分理解した上で対処する.医療従事者は事前にHBワクチンを投与し,HBs抗体が陽転化したか,個々の事例で把握する必要がある.一方,C型肝炎の予防法として確立しているものはないものの,仮に急性C型肝炎を発症した場合には,早期のインターフェロン治療で高率に慢性化を阻止できる.
  • 照屋 勝治
    2008 年 97 巻 11 号 p. 2710-2717
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    本邦のHIV患者数は増加の一途をたどっており,歯止めがかからない状態となっている.これに伴い,今後,国内の各医療機関においてHIV患者を診療する機会(確率)は加速的に増加することが予想される.HIVは血液媒介感染症であり,針などの鋭利物を用いた医療行為では注意が必要であるが,一般診療に必要な感染対策は「標準予防策」である.日本におけるHIV診療を考えるうえで最も問題となるのは,その当然なされるべき標準予防策がまだ徹底されていないという点につきる.
  • 池松 秀之
    2008 年 97 巻 11 号 p. 2718-2723
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    インフルエンザは感染性の高い疾患であり院内感染対策が必要である.対策の第一歩としてサーベイランスが重要であるが,インフルエンザの臨床症状だけではなく,迅速診断キットを早期より使用することが効果的である.患者の隔離および抗インフルエンザ薬による治療は,感染拡大防止に有用である.予防としては,流行前のワクチン接種が第一である.抗インフルエンザ薬の適切な予防投与も有効な手段である.
V.院内感染対策からみた特殊病態患者の管理
  • 相馬 一亥
    2008 年 97 巻 11 号 p. 2724-2729
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    気管挿管後人工呼吸器管理により発症する院内肺炎である人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia,VAP)は集中治療領域における最も多い感染症の一つであり,VAPの合併により死亡率や入院期間,医療費のすべてが増加することが知られている.米国では医療事故防止と医療の質の向上のためにVAP予防のキャンペーン活動が展開されており,人工呼吸器バンドルの実施が推奨されている.本邦でもVAPを含む医療関連感染症の防止のキャンペーンが展開されつつあることからもVAPの予防は重要な課題といえる.VAPの概説ならびに予防にはチーム医療の展開が重要であることを述べた.
  • 青木 洋介, 永田 正喜, 福岡 麻美, 長澤 浩平
    2008 年 97 巻 11 号 p. 2730-2736
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    血管内カテーテル留置に伴う感染症には,皮膚感染症,血流感染,化膿性静脈炎,播種性膿瘍など多彩な病態が含まれる.中心静脈カテーテル留置はこれらの感染症の発症リスクが特に大きいため,頻度の高い病原微生物や合併する各種感染症を疑う臨床像について認識しておくことが重要である.留置カテーテルの取り扱いに際しては,カテーテル関連血流感染防止を目的とした適正なケア手順および内容についての正しい理解が必要である.
  • 塚本 泰司, 高橋 聡, 栗村 雄一郎
    2008 年 97 巻 11 号 p. 2737-2742
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    尿道にカテーテルを留置する前に,本当に留置が必要かを再確認する.意味のない留置は厳に避けるべきである.また,早期に抜去する可能性を常に考える.尿道留置カテーテルにともなう尿路感染症は複雑性尿路感染症であり,急性増悪がなければ抗菌薬治療の適応にはならない.カテーテル留置に当たっては無菌操作を心がける.手洗い,手袋の着用は確実に行うことが不可欠である.留置カテーテルは閉鎖式を維持する.
  • 松村 由美, 宮地 良樹
    2008 年 97 巻 11 号 p. 2743-2747
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    褥瘡に対する感染対策は,褥瘡患者に対する基本的な全身管理と適切な局所治療の2本立てで行う.感染予防目的で菌定着(colonization)に対する全身抗菌薬治療を行うべきではなく,感染徴候がなければ局所治療にて対応する.また,壊死組織の自己融解を感染徴候と誤って評価することのないようにしたい.感染予防のためには局所の洗浄が大切であり,消毒剤は使用しない.処置に際しては手袋を着用し,処置前後は手指衛生を遵守する.
座談会
MCQ
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 中谷 敏
    2008 年 97 巻 11 号 p. 2797-2802
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/08/02
    ジャーナル フリー
    最近の心エコー法の進歩には目をみはるものがある.かつてカラードプラ法が出現して種々検査法における心エコー法の重要性が一気に増大したが,昨今各超音波機器メーカーから争うようにして次々発表される心エコー法の新技術をみていると,現代はカラードプラ法出現時以来のエポックではないかとすら思える.しかし新技術すべてが臨床応用に耐えてこれからも残っていくかというと必ずしもそうではないであろう.本稿では,とりわけ今後の臨床応用が期待される三つの新技術,すなわち心筋の移動速度を計測する組織ドプラ法,心筋局所を自動追跡することによってドプラ法によらずに心筋の速度や回転角度を計測するスペックルトラッキング法,そして数年前までの装置から一変した三次元心エコー法について述べる.
専門医部会
診療指針と活用の実際
第4回東海支部教育セミナー
シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 問題
プライマリ・ケアにおける内科診療
総合内科専門医の育成のために
シリーズ:指導医のために
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シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 解答
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