日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
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105 巻, 12 号
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
内科学会NEWS
目次
特集 診療を支える枠組み:最近の動き
Editorial
トピックス
MCQ
シリーズ:診療ガイドライン at a glance
今月の症例
  • 佐野 史典, 近藤 敏範, 薄 聖子, 林 清人, 兵 るい, 竹内 麻子, 徳永 博俊, 中西 秀和, 和田 秀穂, 杉原 尚
    2016 年 105 巻 12 号 p. 2409-2416
    発行日: 2016/12/10
    公開日: 2017/12/10
    ジャーナル フリー

    60歳代,男性.中咽頭癌に対して放射線化学療法で寛解を得たが,貧血と白血球減少が出現し,血液内科へ紹介となった.骨髄不全症候群(低形成骨髄異形成症候群)と診断し,蛋白同化ステロイド薬で治療したが,効果は限定的であった.体格や食事量などからカルニチン(carnitine)欠乏症を疑い,レボカルニチン(L-carnitine)を補充したところ,Hbと白血球数は基準値まで改善した.癌治療後の骨髄不全症候群にカルニチン補充療法が有効である可能性が示唆された.

  • 鈴木 一正, 中村 海人, 粕谷 忠道, 山崎 健也, 時永 耕太郎, 田代 淳, 木村 亮, 野呂 昌弘, 秋草 文四郎, 小島 勝, 海 ...
    2016 年 105 巻 12 号 p. 2417-2425
    発行日: 2016/12/10
    公開日: 2017/12/10
    ジャーナル フリー

    41歳,男性.発熱,著明な浸出性胸腹水,全身のリンパ節腫脹,CRP高値を認め,原因不明の重症漿膜炎として大量ステロイド,シクロスポリンを投与するも無効.その後,シクロフォスファミド大量静注療法(intravenous cyclophosphamide:IVCY)を追加したところ,著効し,胸腹水は消失した.その後,リンパ節組織を再度検討し,臨床所見とあわせて,TAFRO症候群の診断に至った.本症例はIVCYがTAFRO症候群に有効である可能性を示唆する貴重な症例であると考える.

  • 突田 容子, 山田 充啓, 大江 崇, 伊藤 俊輔, 小林 誠, 玉井 ときわ, 小荒井 晃, 玉田 勉, 杉浦 久敏, 一ノ瀬 正和
    2016 年 105 巻 12 号 p. 2426-2431
    発行日: 2016/12/10
    公開日: 2017/12/10
    ジャーナル フリー

    47歳,女性.発熱を主訴に入院し,各種検査で原因不明であったが,抗菌薬が開始された.第2病日に播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC),第4病日に低酸素血症を呈し,胸部単純CTで両側性の浸潤影・すりガラス影を認めた.当科転科後,ミノサイクリンを開始し,酸素化の改善が得られた.約2週間後のChlamydophila pneumoniaeC. pneumoniae)IgM抗体が7.17と上昇し,C. pneumoniae感染症による急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)と診断した.C. pneumoniae感染症は,ARDSの原因となり得ることに留意すべきである.

  • 森澤 紀彦, 佐藤 博之, 松山 桃子, 林 直美, 安達 章子, 佐藤 順一, 横尾 隆, 雨宮 守正
    2016 年 105 巻 12 号 p. 2432-2440
    発行日: 2016/12/10
    公開日: 2017/12/10
    ジャーナル フリー

    TAFRO症候群は,血小板減少(thrombocytopenia),腔水症(anasarca),発熱(fever),骨髄線維症(myelofibrosis),腎機能障害(renal dysfunction),臓器腫大(organomegaly)を特徴とする.症例は66歳,男性.7カ月前に血小板数減少を指摘され,約1カ月前より腹痛,胸腹水貯留が生じた.前医入院後に腎機能障害が出現し,当院転院となり,TAFRO症候群と診断した.比較的急峻な経過を辿るもステロイドおよびシクロスポリンによる治療で改善した.血小板減少を伴う腎機能障害の鑑別にTAFRO症候群を挙げることが肝心である.

医学と医療の最前線
  • 小泉 俊三
    2016 年 105 巻 12 号 p. 2441-2449
    発行日: 2016/12/10
    公開日: 2017/12/10
    ジャーナル フリー

    Choosing Wiselyキャンペーンは,米国内科専門医機構財団の主導で2012年に発足した.米欧で同時発表された「新ミレニアムにおける医のプロフェッショナリズム:医師憲章」(Medical Professionalism in the New Millennium:A Physician Charter)(2002)を実践に移すべく,全米の臨床系専門学会に対して“再考すべき(無駄な)医療行為”をそれぞれ5つずつリストアップすることを求めたところ,大部分の専門学会が根拠文献とともにこれに応じたことで大きく注目された.キャンペーンとしては,「賢明な選択」を合言葉に,患者にとって最も望ましい医療について“医療職と患者との対話を促進する”ことを目指し,患者向けの説明資料や診療場面の動画を数多く提供している.2014年開催の国際円卓会議を機にこの機運は全世界に広まり,Choosing Wisely Internationalとしての本格的な活動が始まっている.これまでevidence-practice gapといえば,実施すべき医療が実施されていないことを指していたが,このChoosing Wiselyキャンペーンが,臨床的有用性についてのevidenceなしに実施されている過剰な医療に着目したことは,EBM(evidence-based medicine,根拠に基づく医療)の今日的展開という意味でも,また,医療技術評価論の立場からするlow-value care(低価値医療)への警鐘としても,特筆に値する.

  • 友杉 直久
    2016 年 105 巻 12 号 p. 2450-2457
    発行日: 2016/12/10
    公開日: 2017/12/10
    ジャーナル フリー

    ヘプシジンは,鉄代謝制御の中心的役割を担っているペプチドホルモンである.ヘプシジンは,血清鉄量,肝細胞内の鉄量,腸上皮での吸収鉄量などの変動で刺激され,血清鉄濃度の恒常性を保つように,また,体が鉄過剰に陥らないように作用している.腎性貧血では,エリスロポエチン(erythropoietin:EPO)産生能の低下に伴う造血機能の低下が発端となるヘプシジンの上昇や,赤血球造血刺激因子製剤(erythropoiesis-stimulating agent:ESA)や鉄製剤による治療時のヘプシジン発現異常は,いずれも血清鉄濃度の恒常性を保つためのフィードバック反応である.ESA投与量に左右されるFas/FasLを介した生存のシグナルや,EPO受容体に対するESAの持続的作用不足が誘因となるネオサイトライシス(赤血球崩壊)の病態は,ヘプシジンの反応で捉えることができる.腸管での鉄吸収量は,ヘプシジン濃度で決定される.このような病態は,血清ヘプシジン-25が測定できるようになり,容易に推測できるようになった.

専門医部会
シリーズ:内科医と災害医療
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