ラットのaminonucleoside nephrosisについて蛋白,脂質,糖質およびenergy代謝の面から病態生理学的研究を行なつた. nephrosisラットでは血清蛋白やalbumin濃度の著減,遊離脂肪酸を除く諸脂質の血清濃度の著増,高度の蛋白尿と腹水を認めた.肝重量は増加し,肝核酸濃度と核酸へのP32取込み率の上昇がみられ,細胞数の増加を伴なつた肝肥大と蛋白合成能亢進が示唆された.血清および肝蛋白へのC
14-amino酸の取込みは亢進していたが筋蛋白へのそれは減少し,血清蛋白補充の目的で肝中心の蛋白代謝亢進があると理解された. G
14-glucoseあるいはacetateの肝脂質および脂肪組織脂酸へのC
14-incorporationや肝燐脂質へのP
32取込みは上昇し,他方肝脂質濃度や貯蔵脂肪量の増加を認めず,高脂血発展に肝および脂肪組織が重要な関係をもつことを示した.血糖値および,肝,筋glycogen濃度は減少し,糖利用度の増大を暗示したが組織の解糖系酵素の活性測定からこれを裏づける成績は得られなかつた.肝の糖や種々有機酸の酸化能は亢進し,また高energy燐酸体のP
32-incorporationも増加し,蛋白や脂質合成亢進の基盤たるenergy代謝の増大を示した.
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