日本内科学会雑誌
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52 巻 , 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 阿部 薫
    1963 年 52 巻 2 号 p. 89-108
    発行日: 1963/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    橋本病をはじめとする各種甲状腺疾患患者血中に証明される甲状腺自己抗体の意義については今日ほとんど明らかにされていない.そこで確実に診断した甲状腺疾患患者343例につき,血中甲状腺自己抗体をthyroglobulinを抗原とする沈降反応(PT),タンニン酸処理血球による感作血球凝集反応(TRC),および機能亢進症のmicrosome分画を抗原とする補体結合反応(MCF)の3法により測定し,臨床症状,検査所見,治療,経過,とくに甲状腺組織所見と対比せしめ,かかる血中抗体の臨床的意義につき検討を加えた.血中抗体陽性率は甲状腺疾患で他種疾患,健康者に比しいちじるしく高く,甲状線疾患では慢性甲状腺炎が抗体価ともに高い値を示し,ついで機能亢進症に高値を呈した.その他の疾患でも種々の値で血中抗体ば認められた.かかる甲状腺自己抗体は慢性甲状腺炎を代表とする組織の炎症性変化と深い相関を示し,甲状腺組織の自己免疫による炎症性変化の存在を示すものと考えられる.
  • 木下 康民, 平沢 由平, 渡部 義一, 三上 朝芳, 高橋 剛一, 木戸 千元, 伊東 義一, 宮川 隆, 中島 滋, 大坂 敏, 栗田 ...
    1963 年 52 巻 2 号 p. 109-121
    発行日: 1963/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ラットのaminonucleoside nephrosisについて蛋白,脂質,糖質およびenergy代謝の面から病態生理学的研究を行なつた. nephrosisラットでは血清蛋白やalbumin濃度の著減,遊離脂肪酸を除く諸脂質の血清濃度の著増,高度の蛋白尿と腹水を認めた.肝重量は増加し,肝核酸濃度と核酸へのP32取込み率の上昇がみられ,細胞数の増加を伴なつた肝肥大と蛋白合成能亢進が示唆された.血清および肝蛋白へのC14-amino酸の取込みは亢進していたが筋蛋白へのそれは減少し,血清蛋白補充の目的で肝中心の蛋白代謝亢進があると理解された. G14-glucoseあるいはacetateの肝脂質および脂肪組織脂酸へのC14-incorporationや肝燐脂質へのP32取込みは上昇し,他方肝脂質濃度や貯蔵脂肪量の増加を認めず,高脂血発展に肝および脂肪組織が重要な関係をもつことを示した.血糖値および,肝,筋glycogen濃度は減少し,糖利用度の増大を暗示したが組織の解糖系酵素の活性測定からこれを裏づける成績は得られなかつた.肝の糖や種々有機酸の酸化能は亢進し,また高energy燐酸体のP32-incorporationも増加し,蛋白や脂質合成亢進の基盤たるenergy代謝の増大を示した.
  • 倉金 丘一, 黒田 満彦
    1963 年 52 巻 2 号 p. 122-127
    発行日: 1963/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    36才.男子.顕著な特発性低蛋白血症症状を呈し,臨床的, X線学的ならびに諸検査所見に基づき,吸収障害を合併した滲出性胃腸症と診断し得た症例について報告した.初診時血清蛋白2.4gの著しい低蛋白血症が存在した. 131I-PVP試験の結果,屎中排泄131I-PVPは6.1%に達し,血漿アルブミン代謝測定において,生物学的半減期は正常値の1/2,すなわち5.6日を示し, turnover数は0.329g/kg/日であつた.これに反し,窒素出納はそれぞれ7日間宛の2回の短期間の観察期間中常に正の出納を示し,また,入院期間中しばしば血清蛋白濃度の急激な低下がみとめられた.かかる点から,著者らは血清蛋白の消化管への漏出は間欠的に出現するものであり,窒素出納の測定は長期間連続実施するに非ざれば,蛋白喪失性胃腸症の診断には価値の少ないものと考える.胃X線学的所見は雛壁の拡大,胃粘膜は朦朧像を呈し,肥厚性胃炎と診断したが,これはガストロカメラ検査によつても確認された.空腸ならびに廻腸領域には,吸収障害に特有な所見である腸内径の拡大および造影剤の稀釈が認められた,著者らは滲出性胃腸症の診断に利用した諸検査に批判を試みるとともに,滲出性胃腸症と既知類似疾患との相互関係に関し図説をこころみた.
  • 津崎 文雄, 藤田 礼一郎, 冨永 功一
    1963 年 52 巻 2 号 p. 128-134
    発行日: 1963/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    37才の男子で,高熱,貧血を主訴とし,かつ,血液像において,末梢血では赤白血病より白血病所見へ,骨髄では赤血病所見より白血病所見へと移行し,全経過1年3カ月の後,脳出血の症状を呈して死亡した急性赤白血病の1例について報告した.本症例の赤芽球の多くが, PAS染色陽性を示した。また本症例では,病初においては巨赤芽球様細胞と細網細胞との移行を示す細胞を,末期になつて白血病骨髄を示した時期には細網細胞と骨髄芽球との移行を示す細胞を,それぞれ少なからず証明した.他方,末梢血には多数の細網細胞の流出が末期にみられた。剖検上では,骨髄,肝,脾,リンパ節,肺,腎,脳等において,赤血球系幼若細胞,ならびに幼若白血球の浸潤,増殖が認められた.しかし,網内系細胞の増殖は軽微であった.
  • 渡辺 仁
    1963 年 52 巻 2 号 p. 135-140
    発行日: 1963/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    1) 疲れ易いと訴えて内科医を訪れる患者は最近増加しているが,それらの総べてに精確な診断を下すことはなかなか困難である.昭和27年3月から7月までの5カ月間に当科を訪れた1773名の外来患者の中,疲れ易い乃至は倦怠感を主訴としたものが92名あつた.その内訳は脚気(27名),感冒(12名),腎炎(12名),肝炎(5名),貧血(5名)である.その中にはほとんど認めるべき他覚的所見がなく,他医で誤診されていたものがあつた.一方気管支喘息11名中9名が疲労感なしと答えていた.低血圧症は総べて疲労性を訴えたが,高血圧症では尿蛋白のあるものが疲労感を訴えた.2) 労作が各種疾病を誘発し悪化させることは度々指摘されて来た.それについてわれわれは若干の実験を行なつた.運動を負荷すると初め交感神経優越に傾き,ついで副交感神経緊張に傾く.交感神経は網内系機能を促進するように働き,副交感神経は網内系機能を抑制する,網内系機能は運動が激しいと機能低下に傾くが,副腎皮質機能はかなり強度の運動負荷に際しても亢進的である.老人は若年者に比し疲労感を訴えることは少ないが,運動負荷した場合肝機能および網内系機能の低下度が強く,回復するのに時間がかかる.
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