日本内科学会雑誌
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80 巻 , 10 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
  • 鎌田 武信
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1561-1562
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 原田 尚
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1563-1567
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肝硬変は肝病変の終末像であり,肝炎とともに最もしばしばみられる肝の病態である.厚生省人口動態統計によると1987年の「慢性肝炎および肝硬変」の死亡数は16,672人と,全死因の第8位を占め,都道府県別にみると西高東低の傾向がある.また,年次的推移では,男性は1976年まで漸増傾向にあったが,その後やや漸減傾向にあり,女性でも1970年以降漸減傾向にあり,これは肝硬変に対する治療法の進歩によるものと推察される.我が国の肝硬変の病因としては肝炎ウイルスおよびアルコールがとくに重視されており, 1991年6月の日本肝臓学会総会における全国的病因実態調査では, HBV型(20.4%), HCV型(49.3%),両者混合型(3.1%),非B非C型(11.2%),アルコール型(12.1%),特殊型(3.9%)である.
  • 奥平 雅彦
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1568-1571
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肝硬変はすべての慢性進行性肝疾患の“なれのはて”病変として肝臓の全体に偽小葉結節を形成した病態である.肝硬変にみられる肝構造の改築は,肝細胞からなる肝実質域のみでなく,偽小葉結節をとりまく間質結合織やその中を走行する脈管系にも強くみられる事実を指摘し,その実像を例示した.そして,肝硬変症に発現する多彩な臨床症状や病像は肝臓内外に形成される短絡形成と,肝シヌソイド流通血液の減少に基づいていることをのべた.
  • 西岡 幹夫, 有馬 啓治
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1572-1574
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ウイルス性肝硬変の臨床所見,特に慢性活動性肝炎から代償性肝硬変への移行期に認められる自覚症状や他覚所見について記載した.肝硬変を診断する上では,既往歴,年齢,性,アルコール歴,ウイルスの型などを参考にして腹部のポイントをおさえた理学的所見をとることが重要である.さらに変化していく肝の病態に応じ,血液や面像所見も参考に経過を追って診察していく必要がある.
  • 岡部 和彦
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1575-1580
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性肝炎と肝硬変の鑑別は,既往歴,身体所見や肝機能検査で比較的要易に行われる.しかし,なかには食道内視鏡,肝脾シンチ,肝超音波断層などの画像診断や腹腔鏡あるいは腹腔鏡下肝生検などを必要とする場合もまれならずある.慢性肝炎から肝硬変への進展過程を早期適確に診断することは必ずしも容易ではない.各種肝機能検査法の感度,生理学的作用機序を十分理解した上での綜合的な判断が必要である.それらの観点から,従来の肝機能検査法に加え,血液凝固・線溶因子および阻害因子の有用性を強調したい.
  • 大藤 正雄, 松谷 正一
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1581-1586
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性肝炎,肝硬変では超音波検査によりさまざまな異常所見がみられる.肝炎から肝硬変と,肝障害の進行によって異常所見の程度と発現頻度が増大する,これらの超音波所見から肝硬変をスクリーニングし,さらに確定診断を下すことが可能である.また合併する門脈圧亢進症や腹水などを明らかにし,肝硬変の病態を総合的に診断することができる.
  • 蓮村 靖
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1587-1591
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    アルコール性肝硬変の臨床像は,ウイルス性肝硬変のそれと基本的には変わらない.しかし,アルコール特有の肝障害機構を反映して,細小結節性で腫大型の形態をとるほか,発生率は積算飲酒量と相関して高度となり,女性がなりやすいという特徴が認められる.また,アルコールによる栄養障害および肝以外の諸臓器障害を伴って,離脱症候群,貧血,多発ニューロパチー,低P血症などの多彩な徴候をみることがある.
  • 池田 有成, 戸田 剛太郎
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1592-1597
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    40歳以下の若年者で肝機能異常,病的骨折,精神神経症状などを認める場合はWilson病の除外を要する.中年以降の男性で原因不明の肝腫大と皮膚色素沈着,糖尿病,関節痛などを見た場合は原発性ヘモクロマトーシスを疑う.中年以降の女性での原因不明の肝障害は原発性胆汁性肝硬変や自己免疫性肝炎を疑って自己抗体を認べる.これらの疾患は特殊な治療が必要であり,肝硬変の原因として見逃してはならない.
  • 藤沢 洌
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1598-1604
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肝硬変の臨床症状,血液生化学検査値,形態学的診断からみた肝硬変の病態診断,肝予備能と予後評価,肝細胞癌合併の予知について述べる.
  • 佐藤 信紘, 駒田 敏之
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1605-1610
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肝硬変では,胸腹腔内血管シャントの存在や血管調節因子の変動による特殊な血行動態異常が存在することにより,肝以外の重要臓器の有効循環血液量の減少を主因とする様々な合併症を併発し,多臓器不全に陥りやすい条件下にある.肝硬変患者を診療する際には肝病変だけでなく,消化管,腎臓,造血器,呼吸器,循環器等の肝以外の臓器障害の発生機序と対策についても理解し,全身的な管理に勤めることが重要である.
  • 奥村 英正
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1611-1616
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肝硬変の治療は,肝硬変の合併症の治療である.すなわち,代償性肝硬変の状態を維持することである.最近肝硬変の予後がよくなり,患者の社会生活を維持させるために不必要な規制は控え,病態を悪化させないよう管理するのが大切であり,そのために食事,勤務,運動などに留意する.さらに,肝臓が薬物代謝の中心である事から投薬全般について注意し,又手術の機会の増加にともない適切な判断も要求される.
  • 安部井 徹
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1617-1619
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肝硬変では,肝細胞の数の低下に加えて肝内外の短絡路が形成され,細網内皮系の貪食機能も低下する.従って細菌感染とくに腸内細菌感染にかかり易い. Denmarkにおける1986年の統計では,年間に肝硬変患者の4.5%に菌血症が合併することが報告されている1).菌血症は肝硬変症の末期に多く,不明の発熱や衰弱の時に疑いを持たねばならない.しばしば誤診される.とくに特発性細菌性腹膜炎,肺炎などの呼吸器感染症,尿路感染等も合併し易い.また肝硬変症には胆石の合併が多いから,胆道感染症も起こり易い.結核は一般に減少したが,肝硬変症では結核性腹膜炎の合併がなお発見されている.
  • 沖田 極, 吉田 智治, 伊藤 忠彦, 数住 宗貴
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1620-1624
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肝硬変における合併症としての食道・胃静脈瘤対策について,内視鏡的硬化療法を中心に述べた.すなわち,教室で行っている硬化療法の手技を先ず紹介するとともに,さらに食道静脈瘤硬化療法後の肝硬変および肝癌の予後,経過中の再出血率,死因,緊急止血率などについて検討した成績を提示し,本療法の有効性を論じた.また,胃静脈瘤についても硬化療法が十分な効果を示すことを自験例の成績から明らかにした.
  • 渡辺 明治
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1625-1630
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肝硬変の生存期間が延長するとともに,肝性脳症例に遭遇する機会も多い.脳症を早期に診断することは,その予防と初期治療にとって重要である,高アンモニァ血症や羽ばたき振戦の他に,簡単な神経機能試験の異常を検出することが必要となる.食事蛋白の過剰摂取に注意し,便通を整え,利尿薬の適正投与や消化管出血の予防にこ留意する.また,脳症に陥れば,誘因の除去に努めるとともに,低蛋白食とし,ラクツロース,分枝鎖アミノ酸輸液製剤や抗生物質を投与して,早急に脳症の覚醒を試みる.
  • 佐藤 俊一, 鈴木 一幸
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1631-1636
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    腹水の発生機序,診断ならびにその対策について解説した.腹水の成因では門脈圧亢進症,血漿膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症),肝リンパ液の生成亢進,二次性の高アルドステロン血症などが重要であるが,この他にも多くの因子が複雑に関連している.腹水の治療上,穿刺採取による鑑別診断(とくに特発性細菌性腹膜炎の合併)と共に肝障害の重症度,腎機能,合併症の有無などを的確に判断することが重要である.
  • 堺 隆弘, 岸川 由美子
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1637-1644
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌は年毎に増加し,肝硬変の60%以上は肝細胞癌で死亡している.肝硬変の合併症対策の進歩により,予後が改善されていること,肝細胞癌の早期診断が進んでいることにもよる.進行した慢性肝炎を含めて肝硬変は常に肝細胞癌の合併を考慮して経過観察する必要がある.早期発見に超音波検査は最も有力であり, 3ヵ月毎の検査が望まれる. AFP, PIVKA II等の腫瘍マーカーは補助診断に必要であり,肝細胞癌が疑われる例ではさらにCT, MRI,血管造影,腫瘍生検等が行われる.
  • 久満 董樹, 小幡 裕
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1645-1649
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肝硬変における成因の重複(ことにウイルス感染と飲酒)は,その発生年齢や予後に影響する.肝硬変観察例の死亡率はHBV群が最も高く,次いでHCV群, ALC群であったが, HBV群, HCV群で飲酒歴のある例の死亡率は飲酒歴の無い例より高かった.肝癌発生率は飲酒歴のないHBV群, HCV群では差がなかった.発生年齢はHBV群で53歳, HCV群で62歳でありHCV群では輸血歴の有無で差がなかった.死因の中で肝癌死の多くは肝硬変死であった.
  • 岩田 章裕, 勝見 康平, 中沢 貴宏, 小崎 哲資, 竹島 彰彦, 坂 義満, 伊藤 龍雄, 岸本 明比古, 加藤 實, 伊藤 誠, 武内 ...
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1670-1672
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,女性.右下腹部痛および同部に手拳大腫瘤を認めたため当科へ入院した.注腸および内視鏡検査では横行結腸から上行結腸にかけて腸管の短縮, pseudopolyposisと不整な小潰瘍をびまん性に認め,回盲部には粗大結節状の隆起と不整なバリウム斑がみられた.生検にて悪性リンパ腫の診断がえられ手術を施行した.本例のごとく炎症性腸疾患に類似した多彩な所見を呈する大腸悪性リンパ腫はまれと思われ報告した.
  • 辻 正純, 堂脇 慎恵, 山田 明, 奈倉 勇爾, 高橋 進, 波多野 道信, 澤田 滋正, 西成田 進, 石川 博敏
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1673-1675
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    (1)肺高血圧,ショック症状, Raynaud現象,心室性不整脈,足趾壊疽など全身の血管炎に由来する多彩な臨床症状を呈した悪性関節リウマチの1症例を経験した. 2)抗RNP抗体が強陽性で,肺高血圧やRaynaud現象との関連が示唆された. 3)臨床症状の安定化にステロイドパルス療法が有用であった.
  • 嶋田 一也, 石橋 みゆき, 阿部 和裕, 出村 隆二, 苅部 正己, 坂本 和典, 住永 雅司, 古江 尚, 山路 徹
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1676-1677
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は31歳,女性.満月様顔貌,中心性肥満,皮膚線条等の身体所見,高血圧,糖尿病が存在した.血中コルチゾール, ACTH, DHEA-Sは高値で,コルチゾールはデキサメサゾン迅速抑制試験で抑制されなかった. Cushing病と診断したが,デキサメサゾン抑制試験施行翌々日にめまいを訴え,検査上続発性副腎不全が認められた.極めてまれなCushing病の自然経過例であるが,デキサメサゾンがどの様な役割を果たしたのかについては不明である.
  • 山本 道也, 細川 貴規, 末廣 正, 沼田 幸子, 山野 利尚, 大野 文俊
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1678-1679
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性,高血圧症にて入院.左副腎に巨大腫瘤を認め,カテコールアミン高値より褐色細胞腫と診断した.同時に高HDL-C血症(123mg/dl)を伴っており,アガロース電気泳動上, preβとαの中間位にアポE rich HDLと思われる異常なピークを認めた.腫瘤摘出後, HDL-C値は正常化し, E rich HDLも消失した.本例は褐色細胞腫により二次的にHDL代謝異常をきたしたと考えられるが,今までにこのような報告例はない.
  • 向原 茂明, 濱崎 圭輔, 森 正孝, 一瀬 允, 小野 彰夫, 鳥山 史
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1680-1681
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    患者: 32歳,男.作業時に発汗を認めず,発熱と全身倦怠感を自覚.発汗試験で低下をみた. RA, RAHA,抗核抗体,抗SS-A,抗SS-B抗体が陽性を示し, IgG, ZTT, γ-グロブリンが高値を示した.唾液腺生検,異常なし.皮膚生検では汗腺の減少はなく,局所的にリンパ球浸潤が見られた.ステロイド治療を試みたが無汗は改善せず.経過中に蝶形紅斑様皮疹が出現し,生検で表皮基底層に液状変性がみられ,何らかの自己免疫疾患の関与が示唆された.
  • 斎藤 英彦
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1682-1686
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血液凝固因子やその阻止因子の遺伝子が単離されたことにより,先天性凝固異常症の研究がDNAレベルで盛んに行われつつある.血友病の成因となる遺伝子異常には,第VIIIまたは第IX因子遺伝子の全欠損,挿入および点突然変異があり多様性の強いのが特徴である.またvon Willebrand病の疾病遺伝子も少数例において同定されている.さらに先天性血栓傾向を呈するアンチトロンビンIII欠乏症の遺伝子異常の解析も進んでいる.これらの研究の結果,保因者や出生前診断がDNAレベルで可能となったのみならず,凝固因子や阻止因子の構造と機能に関する普遍的な事実が明らかにされつつある.また遺伝子組換え技術による種々の凝固因子製剤が臨床応用されるようになった.
  • 戸田 剛太郎
    1991 年 80 巻 10 号 p. 1687-1693
    発行日: 1991/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肝癌発生のメカニズムについて,遺伝子レベルからの様々なアプローチが行われている.ヒト肝癌細胞においてはc-ras, c-mycなどの癌遺伝子の活性化がみられる.しかし,非癌部の肝硬変組織においても,癌遺伝子の活性化がみられ,癌遺伝子の活性化のみでは発癌に至らないことを示すとともに,硬変肝の肝細胞は肝癌準備状態にあることを示している.もう一つの遺伝子レベルの変化として,癌抑制遺伝子p53の不活性化がある.肝癌の発生には癌遺伝子の活性化と癌抑制遺伝子の不活性化が共に関与している可能性がある. B型肝炎ウイルス(HBV)関連肝癌に於いては高率に,ホストゲノムへのHBVゲノムの組み込みがみられる. HBVゲノムの組み込みと発癌との関連については,トランスゲニックマウスを用いて現在二つのモデルが提唱されている.一つはX遺伝子あるいはpre S/S遺伝子のトランス活性化作用によるとするもの,もう一つはHBVゲノム産物(Lポリペプチド)の大量蓄積による肝細胞壊死,炎症,再生のくりかえしが肝癌細胞を作り出すとする考え方である.
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