慢性腸疾患経過中に発生した下半身麻痺の2症例につき記述した.両例ともがんこな腸炎,大腸炎が前駆疾患となり,第1例は真菌,緑膿菌,ブドウ球菌などの菌交代症にひきつづき,第2例は4年前赤痢罹患後に続く慢性腸疾患の経過の結果である.そして,出血斑,血圧亢進,激烈な疼痛などの出現後,数日にして,下半身の運動および知覚障害が出現している.髄液所見は少なく,短期日に回復の傾向を示しているが,一方では再発性であり,軽度の膀胱直腸障害,月経異常を伴なつている.しかして原因としては,腸内細菌毒素,ビールス感染,アレルギー,脊髄血管性障害,代謝障害(ビタミン欠乏)などが考えられて,それぞれの項についての考察を加えてみた.
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