頭痛を主訴とする22才,女性において肥満,多毛,高血圧とともに頭部X線にて前頭頭頂骨骨過症が認められ, Morgagni症候群と診断した.本例の内分泌学的検索の結果は, (1) ACTH, TSH, T
3, T
4は正常, (2) testosterone89~100ng/dlと正常女性に比し高値を示すが, estrone, estradio1, estriolは正常, (3) 170HCS, 17KSはともに正常範囲にあるが17KSの方が高い傾向にある. dexamethasone抑制試験は正常, (4) 75gOGTTで血糖変動は正常であつたがinsulin分泌は二相性を示した. (5)血中renin, angiotensin, aldosteroneおよび尿中VMA, HVAは正常範囲, (6) ACTH刺激試験でcortisolの反応は正常だがGHが増加する. (7) TRH試験でTSH, PRLの反応は正常だが,前値でやや高値を示すGHが抑制される. (8) LHRH試験でLH, FSHともに遅延反応を示しTRH試験とは逆にGHが増加した.以上の結果から視床下部,下垂体異常が示唆され,肥満,多毛,高血圧についても中枢性の障害によると考えられる.これらの検索中特にACTH, TRH, LHRH試験においてみられたGHの異常反応は本症の内分泌学的異常を解明するにあたり重要であると考えた.
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