日本内科学会雑誌
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95 巻 , 4 号
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内科学会ニュース
会告
特集●内分泌性高血圧症 : 診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I. 内分泌性高血圧症の分類と疫学
  • 平田 結喜緒
    2006 年 95 巻 4 号 p. 616-621
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    本邦での高血圧患者人口は約3,300万人と推定されるが, その原因は依然不明の「本態性高血圧症」が大部分を占める. 原因が明らかにされている2次性高血圧症は約10%と言われているが, 中でもホルモンの分泌異常 (通常過剰分泌) による, いわゆる内分泌性高血圧症は僅か2~3%を占めるにすぎないとされてきた. しかし, 最近内分泌性高血圧症でも副腎性高血圧症の発症頻度が高いことが報告されるようになり注目されている. 内分泌性高血圧症は原因を早期に発見して除去すれば完全に治療できる高血圧であるために, その診断や病態を理解することは重要である. 本稿では, 血圧調節に関わるホルモンおよび内分泌高血圧症の分類を解説する.
  • 高柳 涼一
    2006 年 95 巻 4 号 p. 622-628
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    内分泌性高血圧症は下垂体性のCushing病と副腎ホルモン産生異常による副腎性高血圧症が主なものである. 本邦においては以前より厚生省特定疾患調査研究班による副腎ホルモン産生異常症の全国的な疫学調査が行われてきた. この中で1997年の名和田班による全国的な疫学調査結果は従来の調査とほぼ同様であったが, 初めて統計的に信頼できる全国推定患者数を算出したことが注目すべき成果であった. 従来, これらの内分泌性高血圧症は全高血圧症の1%以下であるとされていたが, 最近, 正カリウム性の原発性アルドステロン症の患者は予想以上に多く, 高血圧患者の約6%に達するという報告があり, 注目を集めている.
  • 上芝 元
    2006 年 95 巻 4 号 p. 629-633
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    副腎性高血圧は, 的確に診断と治療を行えば, 治癒可能な高血圧であり, 臨床的に極めて重要であると考えられる. わが国の副腎偶発腫における病因でsubclinical Cushing症候群を含むコルチゾール産生腺腫が11.7%, 褐色細胞腫8.7%, アルドステロン産生腺腫4.3%であり, 副腎性高血圧は約25%を占める. 副腎偶発腫が見つかれば, その4分の1の症例が副腎性高血圧をきたす可能性がある. 男女別にみると, 男性では5人に1人, 女性では3人に1人が副腎性高血圧をきたす可能性があり, 治癒可能な高血圧を的確に治療していくことが重要である.
II. 内分泌性高血圧症の病態と診断のup to date
  • 伊藤 裕, 宮下 和季, 中尾 一和
    2006 年 95 巻 4 号 p. 634-641
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    原発性アルドステロン症は高血圧患者全体の5%以上を占めると報告され, その中に画像検査では検出できないマイクロアデノーマが少なからず含まれている可能性が指摘されている. 高血圧患者全例において原発性アルドステロン症を疑い, スクリーニング検査として血漿レニン活性, 血漿アルドステロン濃度, 尿中アルドステロン一日排泄量の評価とスピロノラクトン負荷を行い, 原発性アルドステロン症が確定的であれば3mmスライス副腎CTを撮影し, さらには局在診断と病型鑑別のため入院下で副腎静脈サンプリングを含めた精査を行う. 原発性アルドステロン症の治療はアルドステロン過剰分泌が片側性か両側性かにより異なるので, 画像検査と副腎静脈サンプリングによる局在診断が重要である.
  • 二川原 健, 須田 俊宏
    2006 年 95 巻 4 号 p. 642-649
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    Cushing症候群は二次性高血圧症を来す古典的疾患の一つであるが, これを「二次性メタボリック症候群を来す原因疾患の一つ」と捉え直せば, その不顕性型を含めて潜在的に大きな患者人口をもつ重要な疾患としての位置づけが理解されよう. 疾患の意義が再認識され, 日常診療でcommon diseaseとされている高血圧症や耐糖能異常の中から多数の症例が発掘され, 根本的な治療が施されていくことが期待される.
  • 成瀬 光栄, 田辺 晶代
    2006 年 95 巻 4 号 p. 650-656
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    褐色細胞腫は比較的稀な腫瘍であるが, 治療により治癒可能である一方, 放置すると種々の合併症を引き起こす, 内分泌性高血圧の中で悪性の頻度が最も高いなどの点から, 適切な診断, 治療が重要である. 内分泌学的検査と画像検査の組み合わせで診断する. 転移の存在を除き悪性であることを確実に診断する方法はなく, 種々の組織, 分子マーカーを複合して評価する. 治療は腫瘍摘出が第一であるが, 悪性例では手術, 化学療法, 放射線療法などを組み合わせた多角的治療を行う.
  • 柳瀬 敏彦
    2006 年 95 巻 4 号 p. 657-661
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    先天性副腎過形成は常染色体劣性遺伝形式をとる先天性のステロイド合成酵素異常症であり, 障害酵素の種類により5病型存在するが, 高血圧を呈する病型はチトクロームP450c17活性の障害による17α-水酸化酵素欠損症とP450c11の障害による11β-水酸化酵素欠損症のみである. 両病型とも昇圧性ステロイドのミネラルコルチコイドの過剰産生により低レニン性高血圧を呈するが, それぞれの原因遺伝子のCYP17とCYP11B1に種々の変異が同定されている.
III. 原発性アルドステロン症の類縁疾患
IV. 内分泌性高血圧症の治療
  • 沖 隆
    2006 年 95 巻 4 号 p. 683-688
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    Cushing病は, ACTH産生下垂体腺腫によって高コルチゾール血症をきたし, 中心生肥満や満月様顔貌など特徴的な症状と高血圧, 糖尿病, 免疫不全などを合併する. デキサメタゾン抑制試験, CRH試験, DDAVP試験などの内分泌検査とMRIを用いた画像検査によって診断する. 診断困難例では海綿静脈洞あるいは下錐体静脈洞サンプリングを用いる. 治療は, 経蝶形骨洞的下垂体腺腫摘出術が第一選択であるが, 治癒や寛解にいたらなかった例では, 放射線療法あるいは薬物治療を行う. 下垂体からのACTH分泌抑制目的でドーパミン作動薬, シプロヘプタジン, オクトレオチドあるいはバルプロ酸ナトリウムなどが報告されてきたが寛解率は低い. 今後, チアゾリジン誘導体の有効性については検討が必要である. ミトタンあるいはトリロスタンによる副腎皮質からのコルチゾール合成抑制は有効な手段ではあるが, 同時にグルココルチコイド補充を要する. メチラポンは, 速やかなコルチゾール低下作用を有し, 著明な高コルチゾール血症の急速な改善に極めて有効である. Cushing病の高血圧発症には種々の機序が想定されており, 現病の治癒により改善するが, 非寛解例では高血圧発症機序に基づいた治療薬の選択が望まれる.
  • 木下 秀文, 松田 公志
    2006 年 95 巻 4 号 p. 689-694
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    近年, 外科領域では腹腔鏡手術が発達し, その適応も急速に拡大されているが, 副腎疾患は腹腔鏡手術の最も良い対象のひとつである. 副腎疾患に由来する高血圧の外科的治療の現状について, 各々の疾患の特徴を挙げながら概説する.
V. 内分泌性高血圧症をめぐる新たな展開
  • 大村 昌夫, 西川 哲男
    2006 年 95 巻 4 号 p. 695-701
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    副腎静脈サンプリングは副腎ホルモン過剰分泌部位の診断法であり, 原発性アルドステロン症や原発性アルドステロン症の合併が疑われるコルチゾール産生腺腫の診断に有用である. 両側副腎静脈から採血を行いACTH刺激後30分のアルドステロン値が1,400ng/dl以上でアルドステロン過剰分泌が, 非腫瘍側コルチゾール値が300μg/dl以下でコルチゾール産生腺腫が診断可能であり, 本法でホルモン過剰分泌部位を正確に診断することは副腎疾患の治療法決定に重要である.
  • 姫野 佳郎
    2006 年 95 巻 4 号 p. 702-708
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    副腎静脈サンプリングは熟練を要する手技とされ, 特に右副腎静脈へのカテーテル挿入は難しく, 失敗する頻度が高いと考えられている. しかしながら, 手技の手順自体は単純であり, 適切な形状のカテーテルを用いて副腎静脈開口部付近を効率よく探れば, 血管造影に熟練した術者でなくとも施行は可能である. 高分解能のCTが術前に撮影されていれば, 左右副腎静脈に関する解剖学的情報が得られるため, 検査時間を短縮できる.
  • 佐藤 敦久, 西本 光宏
    2006 年 95 巻 4 号 p. 709-715
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    グルココルチコイドとミネラルコルチコイドは多彩な機序で心血管作用を示す. 近年内分泌性高血圧の頻度が増加してきており, 両ホルモンに対するしっかりとした理解は大切である. 今後の課題として非上皮組織におけるミネラルコルチコイド受容体を介した, グルココルチコイドとミネラルコルチコイド作用の複雑さの解明であろう. 将来新規アルドステロンブロッカーであるエプレレノンが臨床応用されると, いくつかの新しい知見が逆に臨床の分野から出てくるかもしれない.
座談会
認定内科医トレーニング問題
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 近藤 英明, 神林 崇, 清水 徹男
    2006 年 95 巻 4 号 p. 748-755
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    覚醒機構と摂食行動とは密接に関わっている. オレキシンは両者に関わる神経ペプチドである. 1998年桜井らにより発見され食欲を増進させることよりorexinと命名された. ほぼ同時期にde Leceaらは視床下部に特異的に産生されるペプチドとして同じペプチドを発見しhypocretinと命名した. 2000年にはオレキシン神経系の脱落がヒトのナルコレプシーで確認され, ナルコレプシーに特徴的なREM関連症状とオレキシン神経系との関わりについて明らかにされてきた. その後ナルコレプシー以外の神経疾患でも視床下部の障害によりナルコレプシー類似の症状をきたす症例が報告されるようになった. オレキシンがエネルギーバランス, ストレスと関連することより内分泌代謝, ストレス関連領域でもオレキシンに注目した研究がすすめられてきている. 本稿ではオレキシン神経系の生理的な役割とナルコレプシーの病態への関わりについて概説する.
  • 石橋 大海, 下田 慎治, 中村 稔
    2006 年 95 巻 4 号 p. 756-762
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    自己免疫性肝疾患には肝細胞が標的になる自己免疫性肝炎と胆管が標的となる原発性胆汁性肝硬変, 原発性硬化性胆管炎, および原発性胆汁性肝硬変の亜型とされる自己免疫性胆管炎が含まれる. これらの疾患の発症には遺伝因子とともに, 微生物感染や環境汚染物質, 化学物質などの環境因子が関与していると思われる. 最初のトリガーとしては細菌などの微生物の感染であることが想定されるが, その後の特異的な免疫反応に連携するものとして自然免疫系の関与が考えられる. 環境汚染物質や化学物質による生体分子あるいは感染微生物由来の分子の修飾により免疫反応が増強され, それに加えて, 遺伝因子で規定される化学物質の代謝様式や免疫応答能や様式の個体差が関与していると思われる. 分子相同性の機序によって自己反応性T細胞が活性化することで自己抗原に対するトレランスが破綻し, 自己免疫反応が進展することが想定される.
  • 川上 和義
    2006 年 95 巻 4 号 p. 763-769
    発行日: 2006/04/10
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    クリプトコッカスは, エイズに合併する重要な日和見病原真菌である. 近年, 貪食細胞からのエスケープ機構を備えていることが明らかとなり, 現在は細胞内増殖菌と考えられている. その感染防御は主に細胞性免疫によって担われており, Th1関連サイトカインであるIFN-γやIL-12が中心的な役割を演ずる. また, 自然免疫リンパ球であるNKT細胞とγδT細胞が本真菌に対する防御免疫を拮抗的に制御することも明らかになってきた. マウスモデルを用いた実験的クリプトコッカス症では, Th1関連サイトカインが治療的有効性を有することが示された. 近年では, エイズに合併する難治性クリプトコッカス髄膜炎症例を対象にIFN-γ治療の臨床試験が実施され, その有用性が報告されている. 本稿では, クリプトコッカス症を中心に, その病因解明への免疫学的アプローチと, そこで得られた新知見の臨床への展開について, 現時点での状況を概説する.
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