日本内科学会雑誌
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83 巻, 5 号
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  • 村尾 誠
    1994 年 83 巻 5 号 p. 703-704
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 北村 諭
    1994 年 83 巻 5 号 p. 705-711
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    間質性肺疾患は,肺の間質を病変の場とする肺疾患の総称である.間質性肺疾患は,じつに多彩であり,現在, 130にも及ぶ疾患が知られているが,これらのうちで病因が明らかなものは約1/3に過ぎない.間質性肺疾患の発症や病変の進展に関与する細胞としては,好中球,リンパ球,マクロファージ,血小板,血管内皮細胞が知られているが,本症発症のメカニズムについては,まだ十分には解明されていない.
  • 中田 紘一郎, 黒崎 敦子
    1994 年 83 巻 5 号 p. 712-718
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    特発性間質性肺炎の画像診断にHRCTが導入され, CT像と病理像の比較検討によって,陰影の性状と病理所見との関係が明らかにされつつある.本稿では厚生省びまん性肺疾患調査研究班による特発性間質性肺炎の胸部X線診断基準と本症の胸部CT所見について述べた.
  • 小西 一樹, 毛利 孝
    1994 年 83 巻 5 号 p. 719-722
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気管支肺胞洗浄法(BAL)は,気管支鏡を末梢気管支に軽くウェッジさせて注入した生理食塩水を回收し,炎症性細胞や液体成分を分析する検査法である. 1974年Reynoldsらにより開発されたこの方法は,肺胞レベルの病変部からの情報を得ることを可能にし,間質性肺炎の診断,病態の解明に大きな進歩をもたらした.正常非喫煙者では回收される細胞の90%はマクロファージが占めるが,間質性肺疾患ではこの比率が異なってくる.
  • 齋木 茂樹
    1994 年 83 巻 5 号 p. 723-727
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    間質性肺疾患の生検では,形態学的には非特異的所見から診断しなければならないが,診断名のみではなく,画像診断で不可能な病変の質的診断も重要であり,他の臨床所見とも併せて検討を要することが多い.特にTBLBでは,組織の大きさに制約があり,開胸肺生検は2度と繰り返されないので,術前の臨床医,画像診断医,病理医の間で十分な検討と準備が大切と考える.肺胞性肺炎と間質性肺炎の相違点にもふれた.
  • 吉良 枝郎, 佐藤 昇
    1994 年 83 巻 5 号 p. 728-733
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    特に特発性間質性肺炎に注目し,肺機能検査所見を中心に解説した.その特徴的所見は,純粋な拘束性変化,肺弾性收縮力の増大,気道閉塞所見が見られないこと, PaCO2の上昇を伴わないA-aDO2のの開大である.間質性肺疾患の診断には,画像所見,血液データ,肺胞洗浄液の解析も重要であることは言うまでもないが,肺機能検査を含めた肺生理学的評価も,本疾患の病態を解明する上でおろそかに出来ないことをあらためて強調した.
  • 本間 行彦
    1994 年 83 巻 5 号 p. 734-738
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    特発性間質性肺炎(IIP)は,胞隔に炎症の主座があり,その後線維化が著明となる.その結果,拘束性の換気障害が著明となり,死の転帰をとることが多い.しかし,最初にHammanとRichが報告した6ヵ月以内に死亡するという急性型はまれで,その多くは慢性型が急性増悪したものと考えられる.病因は明らかにされていないが,近年,吸入粉じんの関与が強く疑われるようになった.診断はX線およびCT所見が主体で,蜂巣肺および肺野縮小が特徴的である.
  • 貫和 敏博
    1994 年 83 巻 5 号 p. 739-744
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    特発性間質性肺炎の病態は従来肺病理組織像の検討,及び肺機能的検討が主になされてきたが,肺組織を離れて患者個体の生化学的代謝背景や,喫煙背景の検討は充分にはなされていない.本小文は自験例における体型,高脂血症,糖尿病合併などの個体背景の特徴を述べ,特発性間質性肺炎における重喫煙背景を臨床解析し,肺癌合併,ことに肺重複癌発生を慢性炎症病態のプロモーション作用によると推測した.
  • 近藤 有好
    1994 年 83 巻 5 号 p. 745-751
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    IIPのス薬療法は,本症の大部分を占める慢性型で余り効果を期待できないので一般的には否定的である.しかし,急性型ではパルス療法が殆どの症例で行われ,半数以上に効果がみられるし,慢性型でも10~20%に奏功するといわれる.効果は限定的で,延命に繋がるか否かも明確でないが, QOLの改善に役立つ場合も多い.しかし一方,ス薬の一般的な副作用のほか,本症の急性増悪にス薬の減量・中止が大きな要因となっているので,本症のス薬療法に当たっては適応を選択することが重要である.
  • 世界の現状とわが国における問題点
    長井 苑子, 泉 孝英
    1994 年 83 巻 5 号 p. 752-756
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    予後不良の慢性間質性肺疾患である特発性肺性維症に対する有効な薬物はない.欧米では,進展期の本症に対する基本的治療として肺移植が行われている.わが国においても外科医の立場から本症に対する肺移植の必要性が強調されている.しかし,現実には,本症に対する明確な認識と臨床経験を持つ医師は多いものではない.肺移植を考える前に,本症に対する認識,管理・内科的治療の充実が,わが国全体の医療としては先决であることが強調される.
  • 四元 秀毅
    1994 年 83 巻 5 号 p. 757-760
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスは本態不明の肉芽腫性疾患で,ステロイド薬による本症の治療は根治的なものではなく,重篤で非可逆的な病変の進展防止を目的とする,いわば対症的療法である.治療の対象となる肺病変は息切れ,持続的な咳などの症状を示し,胸部X線写真で広範な非線維化性の肺野病変を認める場合で,プレドニソロン相当量として30~40mg/dayで開始し, 4週間程度これをつづけ,徐々に減量する.治療効果は各種検査所見を指標として判定する.良好な経過をたどる場合でも,治療終了に約1年を要する.ときに,ステロイド薬の減量中,あるいは治療終了後に病変の再然を認め,再治療が必要となる.
  • 安藤 正幸
    1994 年 83 巻 5 号 p. 761-767
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    わが国に見られる主な過敏性肺臓炎である夏型過敏性肺臓炎,農夫肺,換気装置肺炎(空調病,加湿器肺),鳥飼病について概説し,その診断上重要な臨床症状,検査所見(HRCT, BAL, TBLB),血清診断,環境誘発試験について述べると共に,鑑別診断についてもふれた.過敏性肺臓炎にはステロイドが著効するが,その再発予防には原因抗原からの患者の隔離ならびに発症環境からの抗原の除去が最も大切である.
  • 村田 朗, 工藤 翔二
    1994 年 83 巻 5 号 p. 768-773
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    薬物性肺臓炎は,薬物投与の結果惹起される間質性肺炎で,原因として多くの薬物が報告されている.近年,新薬の開発により多くの疾患の治療成績は向上してきた.しかし,薬物の種類と使用頻度の増加にともない,肺臓炎の症例数および原因薬物数の増加が認められている.確定診断としての原因薬物同定が未だ確実でない現在,早期発見し,疑わしい薬物の速やかな投与中止と,必要に応じてステロイドパルス療法などの早期治療を行うことが重要である.
  • 津田 富康, 宮崎 英士
    1994 年 83 巻 5 号 p. 774-778
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    本来,好酸球性肺炎は肺に好酸球浸潤の認められる疾患群の総称として命名されたが,慢性好酸球性肺炎(Carrington, et al)あるいは急性好酸球性肺炎(Allen et al)のように,ある特定の臨床像を呈する狭義の意味で使用されることもある.本症の肺好酸球浸潤には,リンパ球,好塩基細胞等より分泌される好酸球遊走因子を介した機序が考えられている.本症は,ステロイド治療が効果的であり,予後の比較的良い疾患であるが,急性好酸球性肺炎では発症初期には末梢血好酸球増加を伴わないことが多く,また一部は急性呼吸不全を呈してくるため,従来にも増して早期診断の重要性が強調されるようになってきた.
  • 佐藤 篤彦, 岩田 政敏
    1994 年 83 巻 5 号 p. 779-783
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    BOOPは開胸肺生検像をもとに臨床的な検討がなされて提唱された臨床病理学的疾患概念である. BOOPと診断するには病理像で除外所見を検索し,さらに臨床像も勘案して総合的判断のもとで初めて診断できる.臨床像は,亜急性に感冒様症状で発症し,両側多発性に斑状陰影を呈すことが多く,ステロイド薬に良く反応して比較的予後良好な経過をとるのが通常であるが,死亡する症例もある.
  • 石岡 伸一
    1994 年 83 巻 5 号 p. 784-788
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    免疫異常により発症する膠原病においてはさまざまな肺病変が合併し,膠原病肺と呼ばれている.慢性型の間質性肺炎・肺線維症が最も臨床上問題となり,病理学的にはステロイド抵抗性のUIPである事が多い. RAではステロイド感受性の高いBOOPの合併も認められ注意が必要である.またSLEでは急性間質性肺炎, Sjögren症候群ではLIPの様に特徴的な病変を認める事もあり,膠原病では多彩な肺病変が観察される.
  • 服部 忠和, 原 朋広, 金井 茂
    1994 年 83 巻 5 号 p. 809-811
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    45歳,戸籍上は女性,手術で右萎縮精巣,左索状性腺を確認した混合型性腺形成不全症mixed gonadal dysgenesis(以下MGD)の1例で,腫瘍の併発はなし.外性器は男女中間型で,核型は45XO/47XY+18のモザイクであり,後者のDNA増幅法によるsex determining region of the Y (以下SRY)は陽性であった.本例は部分的下垂体機能低下と性腺,副腎皮質機能低下を伴い,糖尿病を合併し,軽いインスリン抵抗性を認めた.脳出血は左基底核部に中等量であった.
  • 山中 崇, 大塚 邦明, 渡邉 晴雄, 川内 喜代隆, 安山 雅子, 杉山 始, 笠島 武
    1994 年 83 巻 5 号 p. 812-813
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.起立困難,食欲不振,悪心を主訴に入院.血清,髄液中多クローン性γグロブリン増加,視神経萎縮及び頭部CT上硬膜に高吸収域を認めた.慢性髄模炎を考え治療したが,意識障害が進行し,呼吸不全により死亡した.剖検により硬膜,脳下垂体に肉芽形成を伴う形質細胞浸潤,多クローン性γグロブリン増加を認め,髄膜形質細胞肉芽腫と判明した.形質細胞肉芽腫は肺に好発するが,本症例のように髄膜病変を認めることは非常にまれである.
  • 宮島 進, 伊藤 芳晴, 栗山 洋, 小川 美登, 川本 博司, 土岐 隆生, 畔 立子, 関 孝一
    1994 年 83 巻 5 号 p. 814-816
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は44歳女性.左季肋部痛を主訴に入院.各種画像診断及び腹腔鏡にて噴門部に腫瘤像を認めた.内視鏡下胃生検では未分化癌又は悪性リンパ腫を疑い胃全摘術を施行.摘出胃は食道下端に黒色病変があり,組織診断は悪性黒色腫であった.術後71日目に死亡し,剖検時,皮膚,眼球,口蓋等に病変認めず,食道下部原発と推測された.本症例は術前,腹腔鏡内視鏡で黒色病変なく,摘出胃の詳細な組織検査で診断があきらかにされた1例である.
  • 上里 直美, 能勢 香, 松本 充絵, 赤塚 祝子, 安田 三弥, 平山 稔, 浜口 裕之
    1994 年 83 巻 5 号 p. 817-819
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は39歳,男性.出血傾向で発症しBurkitt型急性リンパ性白血病(FAB分類ALL-L3)と診断された.この時,急性腎不全, DIC,髄膜浸潤を合併していた.その後,寛解導入療法と血液透析により,完全寛解に入った.しかし,約6ヵ月後再発した. L-AdVP療法を若干変更して, L-asparaginaseの治療開始日からの投与, doxorubicinの増量,また, vincristineを減量し,治療を行ったところ,寛解に再導入できた.
  • 赤井 靖宏, 藤本 眞一, 坂口 泰弘, 紀川 伊敏, 橋本 俊雄, 土肥 和紘, 石川 兵衞
    1994 年 83 巻 5 号 p. 820-821
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は, 46歳,男性.胸部X線像では右上肺野に腫瘤陰影が認められ,血中hCG値は648mIU/mlの異常高値を示した.細胞診所見から肺扁平上皮癌と診断し,右上葉切除術を施行した.術後に血中hCG値は4.4mIU/mlへ著明に低下した.免疫組織化学的検索では,一部の腫瘍細胞がhCG染色陽性を示した. hCG産生肺癌は大多数が大細胞癌・腺癌とされており,扁平上皮癌が原因であった本例は貴重な1例と考えられる.
  • 石上 博康, 西庵 克彦, 大平 昭子, 北垣 幸央, 大柳 光正, 安富 栄生, 岩崎 忠昭
    1994 年 83 巻 5 号 p. 822-824
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は46歳,女性.昭和52年慢性糸球体腎炎による慢性腎不全にて血液透析を開始し,昭和63年死体腎移植術を施行.平成3年12月7日後下壁心筋梗塞を発症.冠動脈造影にて右冠動脈及び左冠動脈回旋枝近位部の完全閉塞と前下行枝近位部90%狭窄を認め,慢性期に冠動脈3枝バイパス術を施行した.死体腎移植後の重症冠動脈疾患例であったが,適切な全身管理により慢性期に外科的血行再建術に成功した.
  • 平田 守利, 森田 正純, 前防 昭男, 原 秀樹, 吉本 崇彦, 平尾 文男, 布上 董
    1994 年 83 巻 5 号 p. 825-827
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例1は生来健康な, 32歳男性で点状皮下出血にて発症し,経過中に一過性の軽度貧血と全身性紅斑を認めた.症例2は40歳女性で急性リンパ性白血病の治療中に原因不明の貧血を呈した.両者はともに骨髄像でパルボウイルス(HPV-B19)感染に特徴的な所見を呈していたが,確定診断を得るには抗B19-IgM抗体のみならず,特に症例2ではBl9ゲノムDNAのPCR解析を要した. compromised hostでは抗体産生が正常に行われず,ウイルス感染が持続するため注意を要する.
  • 桐野 高明
    1994 年 83 巻 5 号 p. 828-833
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    脳の代謝は血液から供給される酸素とグルコースに全面的に依存していて,血流が停止すればたちまち機能停止状態となる.脳が虚血を始めとするエネルギー代謝の障害によって損傷を受けやすいのは,脳の代謝のこのような特殊性から考えて当然のことと受けとられてきた.しかし,エネルギー代謝の障害が直ちに神経細胞を細胞死に陥らせるという考え方は修正を迫られている.ごく短時間の脳虚血によって海馬CA1領域の神経細胞が選択的に細胞死に至るが,その過程は数日間を要する.この遅発性神経細胞死は脳虚血に対する神経細胞の脆弱性を解明するモデル系として用いられるようになった.現在,興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸が細胞外に増加し,それが細胞内のカルシウムイオンを増加させて神経細胞の細胞死を引き起こすという仮説が広く信じられている.遅発性神経細胞死は海馬CA1神経細胞以外にも認められる基本的な神経細胞死の機構であり,これを解明することによって,脳の虚血性疾患の治療の進歩がもたらされるものと期待されている.
  • 栗原 直嗣
    1994 年 83 巻 5 号 p. 834-839
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肺気腫,慢性気管支炎,気管支喘息などの閉塞性肺疾患は高齢化社会を迎えた今日一般診療でもよく遭遇するものとなっている.薬物療法の中心は気管支拡張薬であるが,そのなかで最近吸入抗コリン薬の有用性が注目されている.肺気腫,慢性気管支炎などいわゆるCOPDでは気道閉塞の主たる可逆性因子はコリン作動性副交感神経の緊張亢進であることが明らかとなってきた.したがってCOPDには抗コリン薬は交感神経β2刺激薬と同等またはそれ以上の気管支拡張作用をもたらす.一方,純粋な喘息ではβ2刺激薬の効果が勝る. β2刺激薬と異なり心循環系への副作用がなく薬物耐性が出現しにくい利点があり高齢者に用い易い.副交感神経系のムスカリン受容体には薬理学的にM1, M2, M3のサブタイプが明らかにされている.現在用いられている抗コリン薬はこれらすべてに非特異的に拮抗する.将来特異性の高い抗コリン薬が望まれる.
  • 植田 悦子, 木谷 照夫, 木下 タロウ
    1994 年 83 巻 5 号 p. 840-845
    発行日: 1994/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    発作性夜間血色素尿症(PNH)は溶血性貧血,造血不全など複雑な病態を示すが, GPIアンカー型蛋白の生合成不全が病因である. PNH細胞株を樹立してGPIアンカー生合成試験と, GPIアンカー生合成各ステップの異常株との相補性試験とを行った結果, PNH細胞はphosphatidylinositolにN-acetylglucosamineを結合する段階に異常があり,変異株のクラスAに属することがわかった.そこでクラスAの変異を相補する遺伝子をクローニングしPIG-Aとなづけた. PIG-Aを導入するとPNH細胞株はGPIアンカー型蛋白を発現するようになった.次に, PNH細胞株でPIG-Aの変異を調べた.一人の患者由来細胞株ではPIG-AmRNA量が非常に減少していた.別の患者からの細胞株では正常より小さなmRNAができていた.これは1塩基欠失によるスプライシング異常のためであった. PIG-AがPNHの原因遺伝子であることが明らかとなった.
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