日本内科学会雑誌
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88 巻, 4 号
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  • 小俣 政男
    1999 年 88 巻 4 号 p. 569-571
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 戸田 剛太郎, 渡辺 文時, 銭谷 幹男
    1999 年 88 巻 4 号 p. 572-577
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    わが国の自己免疫性肝炎患者は6000~7500人,慢性肝炎・肝硬変患者の1~2%(女性患者に限ると3~4%)を占めると推定される.男女比は1:6~7と女性優位であり,年齢分布は50才代にピークを持つ一峰性であった.初発症状としては全身倦怠感,黄疸が多く,また, 1/3に自己免疫性疾患の合併がみられた.病型としては1型, 4型がほとんどを占めていた. HLAアロタイプではDR4が有意に高頻度であった.予後については早期にコルチコステロイド治療を開始すればきわめて良好である.死因としては肝不全が最も多い.
  • 辻 孝夫, 坂口 孝作
    1999 年 88 巻 4 号 p. 578-583
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    自己免疫性肝炎は高IgG血症状,自己抗体陽性を特徴とする慢性活動性肝炎である.その発症にはHLA-DR4, DR2が相関する. I型自己免疫性肝炎では抗核抗体,抗平滑筋抗体,抗アシアロ糖蛋白受容体, 2型自己免疫性肝炎では抗肝腎マイクロソーム1型抗体が検出される.肝細胞傷害には,抗体依存性細胞介在性細胞傷害(antibody dependent cell-mediated cytotoxicity: ADCC)と,細胞傷害性T細胞の関与が考えられている.肝組織浸潤リンパ球はCD4+T細胞が主体であり, CD4+T細胞はB細胞, CD8+T細胞に対してヘルパー活性を示すだけでなく, CD8+T細胞とともに肝細胞傷害に関与していることが推測される.
  • 各務 伸一
    1999 年 88 巻 4 号 p. 584-590
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    自己免疫性肝炎の病因は依然として不明であるが,その診断基準は, 1993年に作られた国際診断基準と,それを参考に整合性にも配慮し,厚生省「難治性の肝炎」調査研究班が作製した,診断指針1996が広く用いられている.従って,両診断基準は,実際の症例の診断にもよく適合するのみならず,不一致が殆どなっている.また,国際診断基準では,診断のための各項目をスコア化し,その総合点数により確診と疑診に分けられているが,これも各症例の特徴を良く反映していると思もわれる.
  • 中村 公英, 牧野 勲
    1999 年 88 巻 4 号 p. 591-596
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    自己免疫性肝炎の治療の目標は肝組織所見を改善し,肝硬変症への進展を阻止することである.治療の第一選択薬は副腎皮質ホルモンであるが,我が国の自己免疫性肝炎が諸外国に比べ高齢の女性に多く発症するため,副作用が高率に出現し,治療の継続が困難となり,患者の生命予後を不良としてきた.個々の症例で副腎皮質ホルモンの投与量をいかに減量し,維持療法を継続出来るかが本症の治療において重要である.最近,免疫抑制剤と異なり,副作用の少ないウルソデオキシコール酸が本症の治療に用いられ,その有効性が認められつつある.
  • 井上 恭一, 廣原 淳子, 仲野 俊成
    1999 年 88 巻 4 号 p. 597-602
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    原発性胆汁性肝硬変(primary biliary cirrhosis PBC)の発生疫学にいつて,欧米諸国,本邦での発生状況について欧米文献ならびに本邦の厚生省班研究の調査報告に基づいて解説した.本邦における患者実数は10000人前後と推定され,その約60~70%は無症侯性と考えれる.またその数値より算出した有病率は欧米諸国の有病率と大きな差異はみられないと推定された.
  • 恩地 森一
    1999 年 88 巻 4 号 p. 603-608
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    PBCの成因としては細菌・ウイルス感染症と自己免疫の2つがある.細菌感染, PDCE2およびそれのmolecular mimicからの標的抗原の同定,胆管上皮細胞のアポトーシス, Th1優位の肝組織内サイトカインなどの研究が展開されている.一方,病態は, 1)免疫異常, 2)慢性胆汁うっ滞, 3)肝硬変の3つある.抗ミトコンドリア抗体(AMA)や自己免疫疾患合併の免疫異常,胆汁うっ滞による掻痒感,骨粗鬆症,肝硬変による胃食道静脈瘤,腹水,肝性脳症,肝細胞癌の合併などがみられる.
  • 西岡 幹夫, 中井 誠二
    1999 年 88 巻 4 号 p. 609-614
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    原発性胆汁性肝硬変は代表的な自己免疫性肝疾患の一つである.本症はその特徴的な臨床所見,また血液検査などから臨床診断は比較的容易である.しかし,その周辺疾患の中にも診断に苦慮する例も少なくない.また,早期に診断される症例が増加したこと,治療法が進歩したことにより本症の予後は著しく改善した.今回は本症の診断基準と重症度についてその概要についてのべた.
  • 黒木 哲夫, 塩見 進
    1999 年 88 巻 4 号 p. 615-619
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    原発性胆汁性肝硬変に対し種々の治療が試みられてきたが,現在のところ有効性と副作用の少ない点においてウルソデオキシコール酸(UDCA)が最も優れている. UDCAにより肝機能検査値の改善は認められるが,組織学的治療効果や予後に対する有効性はいまだ不明である.また,進行した症例では有効性が少ないなどの欠点もあり, UDCAの適応と供用薬剤の選択に関してさらに検討していく必要がある.
  • 平田 勝, 針原 康, 幕内 雅敏
    1999 年 88 巻 4 号 p. 620-625
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    原発性胆汁性肝硬変は肝移植が唯一の根本的治療であるが,肝移植の適応となる肝疾患の中で,代謝性肝疾患に次いで移植後の生存率が高い.我が国においても, 1993年以降,原発性胆汁性肝硬変に対する生体部分肝移植の症例数は急増している.肝移植にあたっては,新Mayoモデルや日本肝移植適応研究会モデルなどの予後予測法を参考にして,適切な時期を失しないことが重要である. T. B.が5.0mg/dlを越えたならば,肝移植の準備を進めながら経過観察をすることが望ましい.
  • 佐藤 俊一, 鈴木 一幸, 滝川 康裕
    1999 年 88 巻 4 号 p. 626-631
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    わが国の劇症肝炎は犬山シンポジウムの基準に基づいて診断され,年間発生数は近年では約1000例と推定されている.救命率は急性型44%,亜急性型12%,全体27%と未だに予後不良の疾患である.成因は急性型ではA型とB型が約60%,亜急性型では非A非B型が約60%を占め,全体としてHBV関連が約40%を占める. HBV遺伝子変異と劇症化の関連,非A非B型の成因ウイルスの解明,急性肝炎劇症化の予知・予防法の開発などが重要な課題である.
  • 藤原 研司, 持田 智
    1999 年 88 巻 4 号 p. 632-639
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    劇症肝炎に特徴的な広範肝壊死は,肝炎ウイルス感染に対する細胞障害性T細胞の過剰な免疫応答やアポトーシスでは説明し得ない.実験的には肝類洞内でのマクロファージ系細胞(Mφ)の活性化に起因する内皮細胞における血液凝固調節の異常による微小循環障害が成立要因として注目される.劇症肝炎患者でも類似の病態が観察され,抗凝固薬による延命効果や重症肝炎の劇症化予防も認められる.このMφ活性化機序が検討課題である.
  • 森脇 久隆, 内藤 智雄
    1999 年 88 巻 4 号 p. 640-646
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    劇症肝炎の診断には第12回犬山シンポジウムにおいて提唱された診断基準が現在まで広く用いられており,肝炎症状発現後8週以内に, II度以上の肝性脳症をきたし,プロトロンビン時間40%以下を示すものとされ,急性型と亜急性型の2病型に分類される.重症度の評価は,予後の予測や肝移植導入の上で重要であり,年齢,基礎疾患,成因,臨床病型,極期昏睡度,血液生化学検査,負荷試験,合併症,画像診断などが参考になる.
  • 与芝 真
    1999 年 88 巻 4 号 p. 647-652
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    劇症肝炎とは急性肝炎,慢性肝炎と同様に「肝炎」であり,たまたま肝細胞破壊が広範囲に拡大した点が異るに過ぎない.よって,肝不全症状に適切に対処できればその本質的治療は肝炎の治療という事になる.いわゆる「急性型」は排除され易いウイルスを原因とするのに対し「亜急性型」は増殖が持続するウイルスを原因とする.前者の大半は肝補助法の強化で回復するのに対し,後者は早期の肝炎対策の開始が救命の鍵を握ることになる.
  • 田中 絋一, 猪股 裕紀洋, 阿曽沼 克弘, 上本 伸二, 武市 卒之
    1999 年 88 巻 4 号 p. 653-658
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    劇症肝炎の肝移植は我が国では当面生体肝移植が主体となる.これまで6年間で20例の本症に対し生体肝移植を実施し, 65%の生存率であった.成人例の移植では移植のタイミング,ドナー選択と精神的ケア,サイズミスマッチが大きな課題である.内科的治療をいたずらに継続し移植の時期を遅らせると腎障害や感染のため移植の成績が低下する.移植後の神経学的予後を決定する上で脳CTと脳波周波数分析が有効であった.
  • 林 紀夫, 三田 英治
    1999 年 88 巻 4 号 p. 659-663
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肝炎は壊死という既成概念があり,アポトーシスはあまり注目されていなかった.しかし,ウイルス性肝炎ではウイルス特異的細胞障害性Tリンパ球が肝細胞障害の主役であり,マウス劇症肝炎モデルにおけるFasシステムの関与が明らかにされ,アポトーシスと肝細胞障害との関係が脚光をあびるようになった.そこで,ヒトのウイルス性肝炎および動物肝炎モデルにおけるFasシステムを介したアポトーシスについて述べたい.
  • 八橋 弘, 矢野 右人
    1999 年 88 巻 4 号 p. 664-669
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    劇症肝炎は救命率の低い難治性の肝疾患で,その発生機序は従来,宿主の過剰な免疫応答と考えられてきたが,最近, B型急性肝炎の劇症化,重症化が, HBV-DNA変異と密接に関係していることが明らかとなった. HBV-DNAprecoreないしcore promoter領域の遺伝子変異は,劇症肝炎で,ほぼ100%,重症型で約50%,通常型では約10%に検出される.変異株による劇症化の理由とその検出による重症度予知,臨床応用について紹介した.
  • 水野 真理, 大圓 修身, 平山 真彦, 清水 直子, 佐藤 温, 加藤 良一, 仁田 正和, 山田 晴生, 深津 敦司, 各務 伸一
    1999 年 88 巻 4 号 p. 698-700
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,男性.全身表在リンパ節腫脹と両下肢浮腫にて入院後,腎機能の悪化,尿蛋白10g/日以上とネフローゼ症候群が出現し透析を開始.頸部CTにて下咽頭部にも腫瘍を認め,同部生検施行し悪性リンパ腫(T細胞性stage III)と診断した.化学療法施行し悪性リンパ腫(ML)の急速な寛解と同時に腎機能の改善を認めた.腎生検では分節性壊死性糸球体腎炎を認めた.本例はMLに伴ったネフローゼ症候群で,腫瘍随伴症候群と考えられた.
  • 後藤 久貴, 宮副 誠司, 江崎 宏典, 松本 武浩, 八橋 弘, 井上 長三, 古賀 満明, 矢野 右人
    1999 年 88 巻 4 号 p. 701-703
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は32歳,女性.発熱,両側季肋部痛を呈し来院,炎症所見以外に腹部エコー, CT等の画像検査では腹痛の原因を確認できなかったが,腹腔鏡検査にて肝周囲に典型的なviolin-string状の線維性癒着を認め,腹痛は,既往歴と併せ,クラミジア肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis症候群)によるものと診断した.癒着の切離にて腹痛は消失,診断,治療に腹腔鏡が有効であった.クラミジア感染症の増加に伴い,腹痛の原因疾患としての本症に対する認織は重要となると考え報告した.
  • 永冨 文子, 森 敏雄, 藤本 伸, 杉原 里恵, 井野辺 純一, 上山 秀嗣, 三宮 邦裕, 熊本 俊秀, 津田 富康
    1999 年 88 巻 4 号 p. 704-706
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は15歳,男性.乳児期の哺乳力低下,処女歩行開始遅延を認め,運動感覚障害が進行した.入院時,脊椎側弯,凹足,四肢の筋力低下・筋萎縮および全感覚低下を認めた.髄液蛋白は増加し,末梢神経伝導速度は導出不能,神経生検では脱髄・周膜下浮腫がみられたことより慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)と診断し,ステロイドが奏効した.乳児期発症の末梢性神経障害でも治療可能なCIDPを考慮すべきである.
  • 高塚 祥芝, 宇都宮 與, 川畑 久, 竹内 昇吾, 牧野 虎彦, 中原 勝志, 下高原 茂巳, 魚住 公治, 花田 修一, 有馬 暉勝
    1999 年 88 巻 4 号 p. 707-709
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例1は, 63歳,男性.汎血球減少と右下腿の重症峰窩織炎で入院.骨髄像では芽球が78%を占めAML (M0)と診断.症例2は, 47歳,男性.発熱と白血球増加で入院.骨髄は,低形成で芽球32%,好酸球24%認AML (M4Eo)と診断.入院時肛門周囲膿瘍を併発していた. 2例とも感染症の治療を優先して抗生剤での治療中にAMLの自然寛解を得た. AMLの自然寛解は稀であり貴重な症例と思われ報告した.
  • 秋山 純一, 林 茂樹, 正木 尚彦, 福島 清乃, 松川 雅也, 大和 滋, 正田 良介, 村岡 亮, 松枝 啓, 下条 ゑみ, 梅田 典 ...
    1999 年 88 巻 4 号 p. 710-712
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    74歳,男性.悪性リンパ腫の化学療法中にB型肝炎増悪を来たし,同時にM蛋白血症を認めたが,肝機能障害の改善とともに漸次減少した. HBV感染では化学療法などの免疫抑制によりHBVが再活性化されて,重症肝障害を来たす可能性があるため,厳重な経過観察が必要である.また,一過性M蛋白血症は,感染症,悪性腫瘍,膠原病,臟器移植,免疫不全などに伴って出現することが知られており,その発生機序として肝炎の場合崩壞した自己の組織成分に対する単クローン性自己抗体産生が推定されている.
  • 佐田 通夫, 神代 龍吉
    1999 年 88 巻 4 号 p. 713-717
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    interferonはB型慢性肝炎における唯一の抗ウイルス療法であったが,持続的なウイルス駆除の成功は極めて稀で,次の新しい治療が望まれている. lamivudineやfamciclovirなどのnucreoside analog,副腎皮質ホルモンやpropagermaniumを利用した免疫調節療法,さらには遺伝子治療などへと戦略が拡がってきた.一方, B型肝炎ウイルス(HBV) DNAの測定感度の上昇やウイルス変異の診断が可能になり, HBV感染の病態を詳細かつ経時的にモニタリングしながらの治療が可能になった. B型肝炎ウイルス多彩な臨床像を示す.特に肝移植療法後のB型肝炎ウイルスの再増殖に対してこれまでのHIGに加すてlamivudineやfamciclovirが用いられるようになり,いまやB型肝硬変は肝移植の禁忌ではなくなった.現在のところ単剤で持続感染したHBVを消失させることのできる薬物はない.そのため上記の薬物がいろいろに組み合わせて用いられている.
  • 山中 寿, 鎌谷 直之
    1999 年 88 巻 4 号 p. 718-723
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    尿酸コントロール薬が広く臨床に用いられるようになって痛風・高尿酸血症の治療体系は確立してきた.てれと共に症状は軽症化し,腎不全死も減少した.また発症の若年化などの臨床像の変遷も認められる.一方,痛風もインスリン抵抗性を基盤にしたマルチプル・リスク症候群の-つとして捉える視点や,高尿酸血症が独立した冠動脈疾患の危険因子であるとの認識も改めて見直されている.病因としては,プリン代謝酵素の遺伝子異常による尿酸過剰産生型痛風のみならず,排泄低下型痛風における遺伝子異常解明への道も開かれてきた.しかし,我が国の痛風・高尿酸血症痛風治療の実地臨床には問題も多く,明確な治療指針の作成と実地医家への研修が必要であることも指摘されている.
  • 下山 孝, 澤田 康史, 大西 国夫, 江頭 明盛, 金田 真弥, 樋田 信幸, 福永 健, 富田 寿彦, 里見 匡迪
    1999 年 88 巻 4 号 p. 724-730
    発行日: 1999/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    現在,白血球系細胞吸着・除去療法は,遠心分離または,ビーズや繊維を用いた吸着・除去の3種類に大別されるが,それぞれの方法による除去細胞の種類,効率,利点・欠点を把握し,医師が治療法を選択すべきである.その治療法の一つである白血球去療法(LCAP)は, 1994年から厚生省特定疾患「難治性炎症性腸管障害調査研究班」のプロジェクト研究として,従来の薬物療法であるプレドニゾロン(医下PSL)療法を対照とし, UC患者を無作為に割り付けた多施設共同研究で有効性と副作用の発現を検討してきた.有効性は,中間報告62例中PSL群34.6%に対しLCAP群69.7%,副作用の出現率はPSL群で58.6%に対しLCAP群においては24.2%であった.多施設共同研究の結果, LCAPは,活動期治療において従来のステロイド剤を多量に使用する治療より効果的でかつ副作用が小ないことが明らかになった. (活動期療法の結果の詳細,維持療法の結果についてはJ of Gastroenterologyを参照.)
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