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太田 和雄
1994 年 83 巻 6 号 p.
865-866
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
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冨永 邦彦, 若狭 治毅
1994 年 83 巻 6 号 p.
867-870
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
リンパ節はその目的に合致した高度な組織構造を持ち,濾過装置として,抗体産生臓器として生体防御に重要である.リンパ節は皮質と髄質に大別され,皮質にはBリンパ球の集簇するリンパ濾胞が存在する.リンパ液は被膜直下の辺縁洞と呼ばれるリンパ洞に注ぎ,中間洞・髄洞へと流れる間に大食細胞による濾過をうける.血管系の特徴として濾胞周囲に毛細血管後細静脈がありTリンパ球の流入口とされる.濾胞の支持細胞として濾胞樹状細胞が,傍皮質には抗原提示細胞として合指状細網細胞が存在する.
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福原 資郎
1994 年 83 巻 6 号 p.
871-877
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
リンパ系腫瘍の成立に関与する癌関連遺伝子の研究は,疾患特異性をもつ染色体の構造異常(転座)との関連において進んできた.これらの染色体異常は,臨床病態を規定する腫瘍クローンの初発染色体変異として位置づけられ,分化に伴い活性化する機能遺伝子と密接に関係する.したがって,これらの研究成果を系統的に把握していくことが,今後の臨床に必要である.
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白川 茂, 北 堅吉, 大野 敏之, 三輪 啓志
1994 年 83 巻 6 号 p.
878-884
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
リンパ増殖性疾患,ことにリンパ系腫瘍の細胞表面形質(cell surface marker)につき略述した.近年,各種の分化抗原を認識するモノクローナル抗体を用いた免疫学的形質(免疫学的表現型immunophenotype)の検索はリンパ系腫瘍の理解ならびに疾患の診断,分類に寄与している.また種々の接着分子発現が細胞間相互作用や細胞機能に重要であることが認識されつつあるが,リンパ系腫瘍の接着分子発現にも一部触れた.
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田口 博國, 三好 勇夫
1994 年 83 巻 6 号 p.
885-889
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
ウイルスによるリンパ増殖性疾患には, DNA型ヘルペス群のEBウイルスによる伝染性単核球症,赤道直下アフリカの子供にみられるB細胞性腫瘍, Burkittリンパ腫およびRNA型レトロウイルスHTLV-Iによる成人T細胞白血病がある.伝染性単核球症の病態はEBウイルス感染細胞を排除するT細胞性の反応が原因であるとわかっているが,ウイルスが悪性リンパ増殖性疾患をきたす機構はいまだ十分には解明されていない.
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外山 圭助
1994 年 83 巻 6 号 p.
890-894
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
リンパ増殖性疾患の診断には,理学的所見としてリンパ節腫脹.検査所見として末梢血異常,すなわちリンパ球増加などが認められることによって,その存在が予測される.確定診断には,リンパ節生検による組織検査,および免疫組織学的・免疫細胞学的検索が必須である.末梢血異常を認めた場合は,リンパ球の形態学的検索と細胞表面形質の検索が重要である.
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張ヶ谷 健一, 三方 淳男
1994 年 83 巻 6 号 p.
895-902
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
悪性リンパ腫には二つの大きなカテゴリーがあり, Hodgkin病と非Hodgkinリンパ腫である. Hodgkin病はReed Sternberg細胞の出現をともなう機能性リンパ腫と考えられ,組織分類としてはRye分類を使うのが一般的である.リンパ球優勢型(LP),混合細胞型(MC),リンパ球脱落型(LD),結節硬化型(NS)に分類される.非Hodgkinリンパ腫はリンパ球系列,分化抗原の同定の進歩に伴いリンパ腫の細胞起源の研究が進み,形態,臨床的悪性度,細胞機能の3つの基本的要素を加味した分類が作られてきている.ここではT, B分類を加味したWF改訂版とKiel分類改訂版について主に概説する.
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待井 隆志
1994 年 83 巻 6 号 p.
903-907
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
CLL及びhairy cell leukemia (HCL)について,亜型あるいは非典型例を含めその特徴を記した. CLLやHCLは慢性型リンパ性白血病(CLL群)に属するが,最近,免疫形質,病理組織,細胞遺伝学的検索を含む多面的な検討から, CLL群に多くの病型が区別され, FABグループによってCLL群の分類が提案されている. CLLやHCLの鑑別診断にはCLL群の各病型における臨床的,細胞学的特徴を知る必要がある.
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早渕 尚文
1994 年 83 巻 6 号 p.
908-911
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
悪性リンパ腫はHodgkin病でも非Hodgkinリンパ腫でも放射線治療に非常に良く反応するが,照射野外からの再燃が少なくない.しかし, Hodgkin病と非Hodgkinリンパ腫のそれぞれの病変の広がり方をしることによって,症例によっては放射線の単独治療で十分な成績が上げられることを我々の成績を中心に述べた.また,化学療法と放射線治療を併用する場合の適応についても触れた.さらに照射法や副作用,合併症についても簡単に述べた.
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大熨 泰亮
1994 年 83 巻 6 号 p.
912-916
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
適切な病期診断と病態に即応した治療を適用することにより,全Hodgkin病の75%の症例に長期無病生存ないしは治癒を期待できるようになった.本稿では進展期症例に対する化学療法の現況,限局期症例における化学療法・放射線療法併用の基本的な考え方などについて述ベたが,現行の治療(化学療法,放射線療法)には,その遅延毒性として現われる不妊症,二次性白血病を含む二次癌など,なお多くの問題が残されている.かかる毒性を可及的に回避し,さらに効果的な治療法を確立することが今後の課題である
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平野 正美
1994 年 83 巻 6 号 p.
917-923
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
非Hodgkinリンパ腫は一連のリンパ球腫瘍である.腫瘍細胞の種類(B, T)やその分化成熟度,あるいは活性化(幼若化)の度合いにより,細胞・組織形態も疾患としての特徴も多様である.症例毎に,病態と予想される自然歴に応じた至適治療法を決定する上で,まず重要なのは病理診断(分類)である.低悪性度群では長期の“disease-contro1”を,中および高悪性度群では“cure”を目標にするのが,現時点でのstate of the artである.いずれの場合も,化学療法が重要な役割を担っている.
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浅野 茂隆
1994 年 83 巻 6 号 p.
924-927
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
Non-Hodgkin悪性リンパ腫(NHL)の治療法は化学療法が主体であるが,その方法は遺伝子組換え型ヒト顆粒球コロニー刺激因子(rG-CSF)の利用によって変化しつつある.最も大きな変化は,化学療法の強化と造血幹細胞移植の併用が容易になったことである.これらの方法は大いに期待がもてるが,治癒率を高めるか否かはまだ分らない.確実に成績を向上させるには,他の組織障害も出ないように悪性細胞に選択的に作用する方法,などの治療戦略にも積極的に取り組んでいく必要があろう.
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高月 清, 松崎 博充, 松岡 雅雄
1994 年 83 巻 6 号 p.
928-932
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
成人T細胞白血病・リンパ腫の病態は多彩である.一般に慢性型,くすぶり型の状態の患者は無治療で観察するが,急性型,リンパ腫型では強力な多剤併用療法を施行する.最近ではG-CSFなどの補助療法も進歩したが, ATLの予後は依然として不良である.免疫不全による感染症,高カルシウム血症などの対策も重要である.最近ではモノクローナル抗体の応用など新しい試みも検討されている.
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下山 正徳
1994 年 83 巻 6 号 p.
933-939
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
悪性リンパ腫の治療方針は一般的に病期と病理予後分類によって決められる.一定の治療法で治療された患者の治療効果や予後は重要な予後因子によって左右される.ここでは多剤併用療法が適応になる悪性度の高い悪性リンパ腫の重要な予後因子と,それらを組み合わせて作られる予後予測モデルについて,国際的な動向とわが国の研究成果の現状を紹介し,その臨床的有用性を述べる.
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原田 実根
1994 年 83 巻 6 号 p.
940-944
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
悪性リンパ腫は化学/放射線療法に高い感受性を示すので,骨髄抑制を考慮しないdose escalationを可能にする自家骨髄移植(ABMT)の良い適応である. ABMTは予後不良なaggressive NHLに対してsalvage療法としてだけでなく,寛解後療法としても治癒を期待できる治療法と位置づけられる.今後は,新しい造血幹細胞移植である自己末梢血幹細胞移植(PBSCT)がABMTに替りうる治療法として積極的に行われるものと予想される.
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木谷 照夫
1994 年 83 巻 6 号 p.
945-950
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
慢性型のリンパ性白血病であるCLLとHCLでは強力な化学療法を行っても治癒がほとんど望めないため,治療の基本原則はまず第一にQOLを損うような自覚症を除くことに努め,その上で生存期間の延長をはかることであるとされてきた.しかし近年CLLではフルダラビン, HCLではIFN, DCF, 2CdAなど優れた薬物が開発され,副作用の危険が少なく寛解はおろか治癒さえも目指しうる希望が生れてきている.
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沢田 海彦
1994 年 83 巻 6 号 p.
951-953
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
膿胸に伴う悪性リンパ腫, 20年以上続く慢性膿胸患者に発症する.新たな胸痛,胸壁の腫瘤, X線所見の変化などが見られた場合,早期にCT検査,生検を行い確定診断を得て,患者の年齢,感染症の活動性,肺機能,などに配慮して,積極的に治療を行う必要がある.
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森 茂郎
1994 年 83 巻 6 号 p.
954-957
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
AIDS患者には悪性リンパ腫が多発する.自検した日本人患者剖検例ではその28%に悪性リンパ腫(AIDSリンパ腫)の発生を認めた. AIDSリンパ腫が発生する機序としてはヒトの種瘍ウイルスであるEBウイルスによって不死化したBリンパ球が患者の体内で急激に増殖することが考えられている. AIDSリンパ腫はリンパ節以外の臓器,特に脳,副腎,皮膚,肺などに好発する.進行は急であり,治療しにくく,予後は特に悪い.
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押味 和夫
1994 年 83 巻 6 号 p.
958-961
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
末梢血中の顆粒リンパ球が2000/μl以上に増えている疾患を顆粒リンパ球増多症(GLPD)と呼ぶ.ただしウイルス感染による一過性の増加を除く, GLPDは, T細胞が増えるT-GLPDと, NK細胞が増えるNK-GLPDに分けられる. T-GLPDが多い. T-GLPDでは赤芽球癆による強い貧血が合併することがあるが,シクロホスファミドが著効を示す. NK-GLPDには,急性に経過し腫瘍死する予後不良の亜型もある.
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桂川 敬太, 和光 儀威, 細井 仁, 須賀 聡子, 木下 誠, 寺本 民生, 山中 正己
1994 年 83 巻 6 号 p.
982-983
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は32歳女性.ウイルス感染後の免疫不全状態と診断.経過中真菌感染症を併発しミコナゾール(MCZ)を投与したところ, V型高脂血症を併発した.同時に測定したリンパ球のtumor necrosis factor (TNF)産生能は著明に亢進していた.感染症の改善によりMCZ投与中止. TNF産生能も正常化し高脂血症も改善した. MCZによる高度高脂血症の背景には感染症によるTNF産生能亢進が関与している可能性が考えられた.
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岩橋 成寿, 田代 茂美, 金澤 素, 菅原 隆, 高橋 洋, 村中 一文, 木内 喜孝, 樋渡 信夫, 赤石 敏, 武藤 大成, 松野 正 ...
1994 年 83 巻 6 号 p.
984-985
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は不安神経症の35歳男性.食後の腹痛と嘔吐,死の不安を訴えて受診.心身症を疑われて紹介入院.胃透視後に引続き行った小腸造影にてTreitz靱帯より15cm肛側の空腸に輪状の狭窄を認め,空腸腫瘍の診断で空腸部分切除術を行った.病理組織所見では中分化型腺癌で,所属リンパ節転移を認めたが遠隔転移と播種性転移は認めなかった.高度の消化器症状と心身症を疑わせる症状を併せ持ち,通常の消化管検査で異常を発見されない場合でも,器質的病変ことに小腸腫瘍の存在をも検討する必要がある.
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松下 啓, 高崎 泉, 塩之 入洋, 石井 當男, 上利 恒夫, 寺田 かおり, 中谷 行雄, 新井 信隆
1994 年 83 巻 6 号 p.
986-987
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は29歳女性で生後6ヵ月時,顔面皮脂腺腫を指摘され,結節性硬化症と診断された. 21歳頃から肉眼的血尿,自然気胸を繰り返し, 23歳時,画像検査で側脳室周囲石灰化,肺嚢胞,肝臓・腎臓・脾臓の腫瘍を指摘された.今回,呼吸困難で入院.高度の正球性正色素性貧血を認め,多量の濃厚赤血球輸血を試みたが改善せず,入院33日目に死亡.剖検の結果,巨大腎血管筋脂肪腫の腫瘍内出血が主な死因と考えられた.
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水野 究紀, 和田 祐爾, 弘瀬 知江子, 石川 雅, 辻野 大二郎, 染谷 一彦
1994 年 83 巻 6 号 p.
988-989
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
各種の原因による甲状腺機能低下症にともなうトルコ鞍容積の増大と高プロラクチン(PRL)血症が知られている.乳汁分泌と無月経を主訴に来院し,原発性甲状腺機能低下症と高PRL血症,下垂体腫瘤を認める症例に, L-サイロキシンの補充療法を行いPRLの正常化と下垂体腫瘤の縮小を認めた症例を経験したので報告した.
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北野 義和, 中川 将広, 小島 勝, 熊谷 裕生, 谷 源一, 小松 本悟, 奈良 昌治, 中野 優, 大屋敷 一馬, 外山 圭助
1994 年 83 巻 6 号 p.
990-992
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
悪性組織球症(MH)が疑われた症例に対し,診断的治療の目的にて脾摘を行ったところ,確定診断が得られ,さらにその後の化学療法(CHOP療法)の著効へと結び付けることができた.本疾患は急速な死の転帰をたどる予後不良な疾患であり,本例のように生前に診断でき,脾摘およびCHOP療法にて完全寛解できた例はまれであり,試みるべき治療法と思われた.
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松原 隆, 野間 重孝, 西澤 雅彦, 斎藤 温彦, 鈴木 雅裕, 佐藤 吉弘
1994 年 83 巻 6 号 p.
993-994
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は29歳女性.子宮筋腫手術2年後突然呼吸困難および失神発作で発症した.心エコー図およびMRIにて下大静脈より右室まで進展する腫瘤を認め,緊急心腔内腫瘤切除術を施行した.病理組織診断は平滑筋腫で,右室内嵌頓した子宮原発の静脈内平滑筋腫症と診断した.まれな症例ではあるが,子宮筋腫の既往があり血管内腫瘤を認めた場合に鑑別すべき疾患の一つである.
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田中 崇元, 前澤 晃, 増田 浩明, 廣村 桂樹, 矢野 新太郎, 成清 卓二, 山田 昇司
1994 年 83 巻 6 号 p.
995-996
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
今回われわれは原発性胆汁性肝硬変,慢性甲状腺炎および膜性腎症の合併例を経験した.本例は自己免疫疾患と免疫複合体賢炎の代表である膜性腎症との合併例として興味深い.
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清水 不二雄
1994 年 83 巻 6 号 p.
997-1002
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
腎糸球体を場とした免疫反応が腎障害をもたらすことが,馬杉腎炎により明らかにされ,それに直接関与する抗原抗体系のより詳しい解析が試みられてきた.この試みに単クローン抗体(mAb)は最適の武器と見なされる. 1回静注することでラットに著明な蛋白尿を惹起するmAb5-1-6 (糸球体上皮細胞足突起表面と反応)とmAb1-22-3 (メサンギウム細胞表面と反応)を応用することにより,著者らは,腎糸球体構成固有細胞表面での限定2分子間の生物学的反応が,おのおの異なった型の腎病変の発症・進展への連鎖反応の引金をひくことを明らかにした.糸球体細胞表面の機能分子に着目し,細胞と細胞,細胞と細胞間物質との分子レベルでの対話,その後の情報伝達系とそれへの細胞の応答に関する分子レベル,遺伝子レベルでの検索が今まさに腎臓病学においても,試みられつつある.
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湯浅 龍彦, 梅田 雅宏, 桑原 武夫
1994 年 83 巻 6 号 p.
1003-1008
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
近年磁気共鳴スペクトロスコピー法(MRS)が脳の研究手段として注目されるようになり,また,実際に臨床応用が現実のものとなってきた.観測対象とされる核種は,
1Hや
31Pが主なものであるが,
23Naや
13Cも有望である. MRSが他の臨床検査法と決定的に異なる特徴点は,生体(脳)の生化学情報を非侵襲的に入手出来ることにある. MR画像(MRI)とMRSには本質的な差はなく,信号の処理過程の違いだけである. MRIは生化学情報にもとづく画像であってX線CT画像とは本質的に異なる. MRIとMRSを組み合わせることにより,脳の局所情報と生化学清報を同時に知ることができる, MRI情報を分単位の時間経過で追跡すると脳機能画象が得られる.このようにしてMRI/MRSは脳の生化学情報を与えるのみならず,ダイナミックな機能情報を入手出来る手法として将来的発展が約束されている.これまでにも脳の発達に伴う変化,脳血管障害, Alzheimer病,多発性硬化症,てんかんなどへ応用がなされ,今,脳機能画像への展開が始まったところである.
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秋田 弘俊
1994 年 83 巻 6 号 p.
1009-1014
発行日: 1994/06/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
肺癌をはじめとする癌が遺伝子異常に起因する遺伝子病であること,さらには複数の遺伝子異常の経時的な多段階的蓄積によって生じる疾患であることが明らかになってきた.この中にあって, p53遺伝子の異常は現在,肺癌において小細胞癌,非小細胞癌を問わず高頻度に認められ,きわめて重要な遺伝子異常のひとつと考えられている.本稿では, p53遺伝子およびp53タンパク質の構造と機能, p53遺伝子不活性化のメカニズムとその検出方法,肺癌におけるp53遺伝子異常,タバコ発癌の標的としてのp53遺伝子, p53遺伝子異常の臨床的意義といった観点から, p53遺伝子と肺癌の関係を概説した. p53遺伝子に関する研究成果が今後,肺癌をはじめとする悪性腫瘍の診断や治療,予後判定等に臨床応用されることを期待したい.
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