日本内科学会雑誌
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99 巻, 11 号
選択された号の論文の46件中1~46を表示しています
ニュース
会告
特集●感染症:診断と治療の進歩
Editorial
トピックス
I.病態の理解
II.診断から治療へ
III.抗菌化学療法
IV.ウイルス感染症診療
  • 関 雅文, 河野 茂
    2010 年 99 巻 11 号 p. 2735-2739
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    新型インフルエンザの出現やオセルタミビルの耐性化が問題となり,新たな抗インフルエンザ薬の開発が進められている.近年上市されつつある新規ノイラミニダーゼ阻害剤は単回投与で十分な治療効果が得られるのが特徴であり,静注薬が商品化された.また,新たな作用機序であるRNAポリメラーゼ阻害剤の治験も進んでおり,これらの薬剤の臨床の場での第一選択薬としての使用が期待される.
  • 田沼 順子, 岡 慎一
    2010 年 99 巻 11 号 p. 2740-2745
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    国内のHIV感染者数は増加を続けている.早期診断は患者に利益をもたらすため,疑わしい症例には積極的に検査することが重要である.抗HIV治療は,改良が続けられている.昨年は,新しい作用機序をもつインテグラーゼ阻害剤が,新たに第一推奨薬に選ばれた.また,最近,治療開始のタイミングが,再び早まる傾向にある.副作用低減化のため,リスクを個別に評価する試みがなされている.
V.感染症予防と対策
  • 大類 孝, 海老原 孝枝, 荒井 啓行
    2010 年 99 巻 11 号 p. 2746-2751
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    高齢者肺炎の大部分が誤嚥性肺炎であり,その危険因子として脳血管障害および脳変性疾患に伴う不顕性誤嚥が重要である.不顕性誤嚥は大脳基底核病変を有する人に多く認められる.ACE阻害薬,アマンタジン,シロスタゾール,半夏厚朴湯,葉酸,モサプリドなどの不顕性誤嚥の予防薬は,ハイリスク高齢患者において肺炎の予防効果を有する.また,カプサイシン,メンソール,黒胡椒アロマセラピーも嚥下機能の改善効果を有し,肺炎の予防効果が期待される.
  • 川上 健司, 大石 和徳
    2010 年 99 巻 11 号 p. 2752-2756
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    わが国の成人の細菌感染症に対して唯一実用化されているワクチンが肺炎球菌ワクチンである.成人に用いられる23価肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌感染症を予防するワクチンであり,65歳以上の高齢者への接種が推奨されている.わが国においても2009年10月にこれまで禁忌とされていた再接種が認められた.肺炎球菌ワクチンはその侵襲性感染症のみならず肺炎の予防効果が明らかとなってきており,今後わが国においてもさらなる普及が期待される.
座談会
MCQ
特別企画:シンポジウム 新臨床研修制度の改善―教育病院からの提言
パネルディスカッション
今月の症例
  • 岡本 亜希子, 豊田 剛成, 笠井 大嗣, 田中 覚, 岩間 糾, 森本 高太郎, 有賀 俊二, 安藤 健二, 川嶋 将司, 兼松 孝好
    2010 年 99 巻 11 号 p. 2827-2829
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    Fitz-Hugh-Curtis症候群は若年女性に見られる骨盤内腔炎から肝周囲炎に至る疾患で,婦人科症状などが乏しく,診断に苦慮することがある.症例は21歳と45歳の女性で,いずれも婦人科的には殆ど異常を認めないにも拘らず,下腹部から上行性に上腹部痛を認め,腹骨盤部CTにて造影早期に肝表面に淡く造影効果を認めたFitz-Hugh-Curtis症候群であった.上行性に移動する若年女性の上腹部痛の場合には同疾患を疑い,造影CT早期相にて肝表面に淡い濃染像を確認することが診断に有用と考えられる.
  • 澁川 紀代子, 成田 浩二, 下岡 良典, 森田 一豊
    2010 年 99 巻 11 号 p. 2830-2831
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    Streptobacillus moniliformis感染症は皮膚発疹と関節炎を特徴とする急性熱性疾患で,通常はネズミの咬傷によって人に感染し鼠咬症と呼ばれる.症例は糖尿病を基礎疾患にもつ87歳男性.左肩関節痛と腰痛で発症し,両足に数mmの線状の傷を多数認めた.入院時の血液培養でグラム陰性桿菌を検出し,16S rRNA遺伝子特異的PCR法にてStreptobacillus moniliformisと同定され鼠咬症と診断した.PAPM/BP,MINOを投与し,AMPC内服継続によりCRPは陰性化した.
  • 松島 孝充, 濱田 匠平, 落合 利彰, 迫 康博, 壁村 哲平
    2010 年 99 巻 11 号 p. 2832-2834
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.症候性てんかんに対してフェニトイン開始後から3週間持続する皮疹と高熱を主訴に来院し,血液検査にて汎血球減少と血清フェリチン高値を認めたため入院となった.骨髄所見にて血球貪食性リンパ組織球症(HLH)と診断し,薬剤中止及びステロイドパルス療法にて速やかに軽快した.フェニトインに対するリンパ球幼弱化試験(DLST)陽性であり,フェニトインを原因とした薬剤誘発性HLHと考えられた.
  • 丸山 広高, 唐原 靖治, 出口 秀治, 渡辺 篤史, 山内 英治, 松下 芳雄, 松岡 潔, 稲葉 恵, 吉永 健, 有薗 健二
    2010 年 99 巻 11 号 p. 2835-2837
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,男性.乾性咳嗽,胸部異常陰影,透析低血圧にて発症し,入院時の胸部CTで両肺に多発する非区域性,末梢側優位の浸潤影と好酸球優位の白血球増加(18,100/μl:好酸球45%)を認めた.気管支肺胞洗浄液中の好酸球比率が86.4%と著増していたため好酸球性肺炎と診断.ステロイド治療で肺病変や自覚症状は改善した.好酸球性肺炎の原因として,血清寄生虫抗体検査(Microplate ELISA法)にて血清中のイヌ回虫抗原およびブタ回虫抗原に対する高抗体価を認めたため,イヌ回虫もしくはブタ回虫による内臓幼虫移行症が疑われた.C型肝炎合併例であることから抗寄生虫薬であるアルベンダゾールは使用せずにステロイド治療のみ継続したが,好酸球性肺炎の再燃は認めなかった.
  • 神谷 信秀, 橋本 政宏, 鈴木 富雄, 伴 信太郎, 中村 亮一, 渡辺 宏久, 祖父江 元
    2010 年 99 巻 11 号 p. 2838-2842
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    抗NMDAR脳炎は卵巣奇形腫に随伴する辺縁系脳炎であり,若年女性に好発する.症例は16歳,女性.抗NMDAR脳炎の経過中に,家族などのかけがえのない人物が瓜二つの別の人物に入れ替わっているという妄想である,カプグラ症候群を併発した.抗NMDAR脳炎にカプグラ症候群が併発した報告は本例が初めてである.一方,抗NMDAR脳炎において海馬や扁桃体にIgGが沈着しているという報告があり,同部位はカプグラ症候群の責任病巣として知られている.今後,抗NMDAR脳炎患者が経過中に妄想や精神症状を示した場合には,病的言動に対してカプグラ症候群を念頭に置いた評価が必要である.
  • 長谷川 森一, 豊住 久人, 後藤 純規, 百々 修司, 熊澤 昭文, 横家 弘一, 磯部 綾子, 加藤 貴之, 田中 常雄, 中村 悦子
    2010 年 99 巻 11 号 p. 2843-2845
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    51歳,女性.40℃の発熱と複視を主訴とし左内方視不可を認め入院となった.脳MRI・DWIで左中脳,右小脳,脳梁,右前頭葉に高信号域を認めた.shower enbolismと考えられ,心エコーにて僧帽弁後尖基部にvegetationを認めた.血液培養にてStaphylococcus aureusを検出,感染性心内膜炎と診断し抗生剤投与を開始したが,経過中に僧帽弁閉鎖不全増強し,心不全を来たしたので僧帽弁形成術施行した.
医学と医療の最前線
  • 伊藤 健太, 下川 宏明
    2010 年 99 巻 11 号 p. 2846-2852
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/04/10
    ジャーナル フリー
    我が国では,人口の高齢化や生活習慣の欧米化に伴い,虚血性心疾患や閉塞性動脈硬化症といった動脈硬化性疾患患者が増加してきている.我々は,基礎研究の結果を基に,低出力の衝撃波を用いた血管新生療法(「低出力体外衝撃波治療」)を開発し,(1)重症狭心症,(2)急性心筋梗塞,(3)下肢閉塞性動脈硬化症を対象に臨床試験を行っている.重症狭心症に対しては,第1次臨床試験(オープン試験)と第2次臨床試験(二重盲検プラセボ対照試験)を行い,本治療法の有効性と安全性を確認し,論文報告している.本治療法は,麻酔や侵襲的な処置を伴わずに,体外から治療を行うことができる非侵襲的な治療法であり,繰り返し行うことも可能である.今後幅広い疾患への応用が期待される.
専門医部会
日本内科学会認定内科救急・ICLS講習会(JMECC)
シリーズ:内科医に必要な救急医療
シリーズ:検査法の理解と活用
シリーズ:考えてみよう (臨床クイズ) 問題
シリーズ:一目瞭然! 目で見る症例
シリーズ:内科医のための災害医療活動
シリーズ:指導医のために:プロフェッショナリズム
シリーズ:世界の医療
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