日本内科学会雑誌
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104 巻, 10 号
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
内科学会NEWS
目次
特集 一般内科医のためのリウマチ膠原病の診断基準(分類基準)・
治療ガイドラインの使い方と注意点
Editorial
トピックス
  • 宮坂 信之
    2015 年 104 巻 10 号 p. 2110-2117
    発行日: 2015/10/10
    公開日: 2016/10/10
    ジャーナル フリー

    関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)は,関節滑膜を病変の主座とする炎症性疾患である.関節破壊は,最初の1~3年間の進行が最も顕著である.最近では早期診断が可能となり,早期から積極的にメトトレキサート(methotrexate:MTX)などの抗リウマチ薬を使用する.また,治療抵抗性の場合には,生物学的製剤の導入によって高い寛解導入率が得られる.治療は,「関節リウマチ診療ガイドライン2014」に準じて行われる.

  • 三森 明夫
    2015 年 104 巻 10 号 p. 2118-2124
    発行日: 2015/10/10
    公開日: 2016/10/10
    ジャーナル フリー

    全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)は,症状・血液尿検査・胸部X線所見が,時期を隔てた所見も含めてSLE分類基準を満たす場合に診断できる.基準に満たないのであれば保留,または否定して他疾患を検索する.現行のSLE分類基準は感度・特異度が高く,診断の肯定・否定にとって実用的である.治療法は,ステロイド用量と減量日程,併用する免疫抑制薬に選択の幅があり,国際的ガイドラインも概略ないし総論にとどまっている.

  • 塚本 浩
    2015 年 104 巻 10 号 p. 2125-2131
    発行日: 2015/10/10
    公開日: 2016/10/10
    ジャーナル フリー

    多発性筋炎は骨格筋の炎症により,四肢近位筋や体幹の筋力低下を来たす慢性炎症性疾患で,典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ばれる.我が国では2015年1月の難病医療費助成制度改正に伴い,診断基準が改訂され,無筋症性皮膚筋炎が診断可能になり,自己抗体の診断項目では抗Jo-1抗体以外の抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体が追加された.今後,筋炎特異的自己抗体測定の普及に伴う診断,病型分類および治療の進歩が期待される.

  • 佐藤 健夫
    2015 年 104 巻 10 号 p. 2132-2138
    発行日: 2015/10/10
    公開日: 2016/10/10
    ジャーナル フリー

    好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)(旧名:Churg-Strauss症候群)は気管支喘息やアレルギー性鼻炎を背景に末梢血液中好酸球数著増と血管炎徴候を呈する.病理は組織への好酸球浸潤,壊死性血管炎,肉芽腫形成が特徴で末梢神経障害の頻度が高く,MPO-ANCA陽性では診断は比較的容易である.重篤な臓器障害例は機能・生命予後が不良で,ステロイドに加え免疫抑制薬,難治性の末梢神経障害に対してはガンマグロブリン製剤により加療する.

  • 天野 宏一
    2015 年 104 巻 10 号 p. 2139-2142
    発行日: 2015/10/10
    公開日: 2016/10/10
    ジャーナル フリー

    巨細胞性動脈炎(giant cell arteritis:GCA)は,頭頸部の大血管を主に侵す原因不明の血管炎で,専ら高齢者に発症する.病理組織所見で,血管壁に多核の巨細胞を伴う炎症性細胞浸潤を認める.臨床像では側頭動脈の怒張と疼痛(頭痛)が特徴的で,眼動脈病変による視力障害が問題となる.高用量ステロイドは有効だが,骨粗鬆症や糖尿病など有害事象が問題となる.近年,トシリズマブによる治療が注目され,期待されている.

  • 多田 芳史
    2015 年 104 巻 10 号 p. 2143-2148
    発行日: 2015/10/10
    公開日: 2016/10/10
    ジャーナル フリー

    成人Still病(adult Still's disease:ASD,またはadult-onset Still's disease:AOSD)は高熱(弛張熱),関節症状,皮疹を主徴とした炎症性疾患であり40代を中心とした成人に好発する.自己抗体は通常陰性であり,血清フェリチンの上昇が特徴的である.診断は山口らの分類基準を用いて行い,重症度分類で中等症以上が指定難病の対象となる.合併症として血球貪食症候群が重要である.治療では副腎皮質ステロイドを使用し,難治例では免疫抑制薬を併用する.近年は生物学的製剤の有効性が報告されている.

  • 金子 祐子
    2015 年 104 巻 10 号 p. 2149-2156
    発行日: 2015/10/10
    公開日: 2016/10/10
    ジャーナル フリー

    Sjögren症候群(Sjögren syndrome:SS)は唾液腺炎,涙腺炎を主体とする臓器非特異的全身性自己免疫疾患である.原発性である一次性と他の膠原病に合併する二次性に分類されるが,本邦での有病率は約0.05%と推定され,圧倒的に女性に多い.腺症状のみならず,間質性肺炎,間質性腎炎,末梢神経障害などの腺外症状の出現や,原発性胆汁性肝硬変との合併など,多彩な臓器障害を合併し得る.長らく対症療法のみで対応する疾患という認識が強かったが,近年新しい分類基準,ESSDAI(EULAR Sjögren's Syndrome Disease Activity Index)といった疾患活動性評価基準が作成され,さらに免疫抑制薬や生物学的製剤などの新しい治療薬による病態にアプローチした治療が試みられている.今後の発展が期待される疾患である.

  • 保田 晋助, 堀田 哲也
    2015 年 104 巻 10 号 p. 2157-2162
    発行日: 2015/10/10
    公開日: 2016/10/10
    ジャーナル フリー

    リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica:PMR)は高齢者に好発する炎症性リウマチ性疾患であるが,診断に特異的なマーカーはなく,特に関節リウマチとの鑑別が問題となる.少量の副腎皮質ステロイドが著効する場合が多く,多くの場合中止が可能であるが,中止困難例や再発例など経過は多彩である.巨細胞性動脈炎を合併する症例や大型血管炎が潜在する症例があり,注意を要する.

MCQ
特別連載 新しい内科専門医制度の実施にあたって
今月の症例
医学と医療の最前線
  • 権 寧博, 伊藤 玲子, 古川 典子, 丸岡 秀一郎, 橋本 修
    2015 年 104 巻 10 号 p. 2220-2227
    発行日: 2015/10/10
    公開日: 2016/10/10
    ジャーナル フリー

    今日,気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)では,吸入療法を主体とする薬物療法が行われているが,治療の継続性や吸入手技など課題も多い.慢性疾患である喘息とCOPDにおいては,これらの課題を克服するために患者のセルフマネージメント能力を向上させることが肝要となる.患者教育は,喘息・COPDの管理目標達成のためには欠くことができない重要なステップであり,患者教育の実施によって,医師と患者間での適切な情報共有,円滑なコミュニケーション,セルフマネージメントの支援が可能となり,その重要性は計り知れない.本稿では,吸入療法における患者管理の重要性と,近年,IT技術を背景に発展する患者教育・セルフマネージメント法の最近の動向について述べる.

  • 今村 圭文, 河野 茂
    2015 年 104 巻 10 号 p. 2228-2236
    発行日: 2015/10/10
    公開日: 2016/10/10
    ジャーナル フリー

    肺炎は死亡率,発症率ともに高い重要な疾患である.つまり,肺炎の診療には専門医だけでなく非専門医も携わる機会が多く,日本の肺炎診療の質を向上させるためには優れた肺炎診療ガイドラインが不可欠である.エビデンスがまだ十分ではなかった時代に初版の市中肺炎診療ガイドライン,院内肺炎診療ガイドラインが作成され,その後,よりエビデンスに裏づけられ,かつシンプルで実用性の高いガイドラインとしてそれぞれが改訂された.また,超高齢社会の日本では市中肺炎と院内肺炎のいずれにも分類しがたい中間的な肺炎症例も多く,医療・介護関連肺炎として新たに定義され,診療ガイドラインが作成された.今後は,便宜性も考慮し,これらのガイドラインを1つにまとめた肺炎統一診療ガイドラインの作成が進められている.EBM(evidence-based medicine)の重要な要素はエビデンスだけではない.医療者の経験・技量,患者の背景・意向・価値観も考え合わされたガイドラインが今後も作成されることが望まれる.

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