日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
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87 巻, 7 号
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  • 黒川 清
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1231-1233
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 原田 孝司, 宮崎 正信, 大園 恵幸
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1234-1240
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    腎不全とは体液の恒常性が維持できなくなった状態である.急性腎不全は通常は可逆性であるが,原因によっては病態が全く異なるのでその対応も大きく異なってくる.従って早期の的確な診断が大変重要である.もし対応を誤ると,生命に関わる危険性がある.一方,慢性腎不全は不可逆性で種々の原因疾患にて発症する.腎不全が進展するにつれて,多彩な症状を呈するようになり,病期に合わせた適切な治療が必要となる.従って,的確な病期診断が要求される。この項では急性および慢性腎不全の診断と症状について概説した.
  • 菱田 明
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1241-1246
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    腎不全とは糸球体濾過値が50%以下に低下したことにより,高窒素血症,水・電解質代謝異常,アシドーシスなどが出現した状態である.糸球体濾過値が正常の30%近くになると高血圧,貧血,アシドーシス,低Ca血症などが出現し, 10%近くになると尿毒症症状が出現する.慢性腎不全の重症度は糸球体濾過値に強く相根関するが,急性腎不全では,糸球体濾過値のほか,原因疾患,乏尿の有無と乏尿期間,他臓器の障害の有無なども重症度に関連する.
  • 西 慎一, 井口 清太郎, 飯野 則昭, 荒川 正昭, 杉山 健太郎, 坂爪 重明, 佐藤 博
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1247-1253
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    薬剤性腎障害は,日常診療の中で遭遇する薬剤副作用の中の一つである.臨床症状に乏しく,薬剤使用時に尿検査あるいは腎機能検査を行っていなければ気が付くことは少ない.薬剤性腎障害の種類は原因薬剤により,幾つかのパターンに分かれる.診断には,臨床経過から疑わしい薬剤があることに気付くことが重要である.更に,正確な診断を行うためには, LST (lymphocyte stimulation test), LMIT (leukocyte migration inhibitory test)など薬剤感受性試験を行うことも必要である.
  • 山口 直人, 室 かおり, 菊池 修一, 小林 正貴, 高橋 秀人, 小山 哲夫
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1254-1262
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    本邦に於ける急速進行性糸球体腎炎(RPGN)の現状および問題の把握を目的として,全国個別症例アンケート調査を施行した. 134施設より計583件RPGN症例得た.一次性半月体性糸球体腎炎は282例(48.3%),全身性疾患や薬剤性などの二次性腎炎は201例(34.5%)であった.男性対女性比は1.0:1.1,平均年齢55.7歳であった. P-ANCAは83.1%で測定され,そのうち陽性率は63.7%であった.治療法では約90%にステロイド療法,約35%に免疫抑制薬療法が行われた.治療開始6カ月後の時点での転帰は透析導入31.5%,死亡21.4%であった.これらのデータを基に,症状,リスクフアクターなどを解析し,早期診断,早期治療開始の為の一助としたい.
  • 今泉 均, 金子 正光
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1263-1270
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性腎不全は多臓器不全の一分症として高率に生じる臓器不全の一つであり,死亡率は依然として高い.原因疾患として敗血症が多く,病態には種々のmediatorと組織酸素代謝の失調が関与する.対策としては,十分な輸液を行い,腎毒性のある薬剤を避けるとともに,循環への影響が少なく,体液の正常化と溶質除去の他に,多臓器不全共通の発症因子であるmediator除去を目的に持続的血液濾過透析を用いることが推奨される.
  • 土肥 和紘, 金内 雅夫
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1271-1276
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    1995年に改訂されたWHOの病型分類を中心に,慢性原発性糸球体腎炎の概念と位置づけについて述べ,新しいタイプの糸球体腎炎としてコラーゲン線維性糸球体腎症,リポ蛋白糸球体腎症,およびフィプロネクチン腎症を取り上げて解説した.慢性原発性糸球体腎炎患者の腎不全対策として,降圧療法,魚油療法,抗血小板薬・低容量ワーファリン併用療法,プレドニゾン隔日投与療法,食事療法などについて,無作為臨床試験の成績を紹介した.
  • 杉崎 徹三
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1277-1286
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    続発性慢性糸球体腎炎の原因疾患は多岐にわたり,形態学的には同一(例:膜性腎症や膜性増殖性糸球体腎炎など)でもその原因や発症機序がそれぞれ異なり,又,同一原因(例: HBV関連腎炎やHCV関連腎炎)でも病理組織学的には全く異なる像を呈する.これらの疾患の臨床像,並びに予後を考察し,治療を行うにあたりまず糸球体腎炎の組織学的所見を頭に浮かべ,患者さんへの説明そして治療へと進めることが重要である.又,腎臓病学における分子生物学の進歩は目覚ましいものがあり,糸球体病変の発症,慢性化機序の解明が日進月歩で開発されつつあり,今までの経験的治療から病因論的治療に明確に移行しつつある。本論文が今までの難解な腎炎から,より明確な腎炎に対する理解に結びつくものとなれば幸甚の至りである.
  • 吉川 隆一
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1287-1291
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    糖尿病性腎症は高血糖によってもたらされる重篤な合併症であり,近年末期腎不全への進行例が増加傾向にあることから,根本的な対策法の確立が望まれている.最も大切な点は本症を出来るだけ早期に発見することであり,そのためには微量アルブミン尿の測定が不可欠である.また,診断し得た腎症患者に対し血糖管理,血圧管理,蛋白制限食を中心とした治療法を病期に応じて適切に行うことが重要となる.
  • 伊藤 貞嘉
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1292-1297
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高血圧は腎障害の危険因子であり,適切な降圧療法は腎障害の進展を抑制する上で極めて重要である.腎障害が進行性に悪化する重要な機序のひとつに糸球体血圧の上昇がある.糸球体血圧は輸出入細動脈の血管抵抗のバランスにより決定される. Ca拮抗薬は輸入細動脈を拡張させ全身血圧依存性に腎保護作用を, ACE阻害薬は輸出細動脈を拡張させ全身血圧非依存性に腎保護作用を示す.
  • 東原 英二
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1298-1304
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    多発性胞腎は腎臓の嚢胞以外に,肝臓,膵臓等に嚢胞性病変ができる頻度が高く,高血圧,頭蓋内動脈瘤,心弁膜閉鎖不全,等が高頻度で合併する.腎機能の進行性の低下と,頭蓋内出血が主要な病態である.病院死亡者の剖検では300~500例に1名見出され,病院受診した患者を基に推計した罹患率は人口2000人から4000人に一人である.腎不全患者の割合は, 70歳までは年齢と共に上昇し, 65~69歳の患者の約50%が終末期腎不全になる.
  • 二瓶 宏, 本田 一穂
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1305-1310
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    現代では,透析を要する末期腎不全の原因疾患として,慢性腎盂腎炎はわずか1.1%を占めるに過ぎない.しかし,糖尿病患者や高齢者の増加に伴い,諸外国のように10~20%を占める疾患になる可能性が高い.原発性糸球体疾患での間質性病変,尿細管間質性腎炎では,間質病変が機能的に重要な意味を持つだけでなく,感染の温床になりやすいと言う点でも注目すべきである.慢性腎盂腎炎についての現況を概説する.
  • 前田 憲志
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1311-1316
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    わが国の慢性透析症例数は毎年1万余人が増加し,高齢者と糖尿病症例が増加している.それに伴い粗死亡率が上昇しており,治療法の適正化が望まれる.合併症については腎性骨異栄養症では副甲状腺機能低下症の頻度が増加し,大きく様変わりしている.透析アミロイド症では構成蛋白の糖化が重要な因子であるがこの過程は高血糖のみならず, oxidative stressによる中間活性物質の産生が組織障害因子として重要である.
  • 平澤 博之, 菅井 桂雄, 松田 廉一
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1317-1322
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性血液浄化法とは重症患者や急性疾患に対してcritical careの一環として施行される血液浄化法である.その方法としては持続的血液浄化法が選択される場合が多い.中でも持続的血液濾過透析(CHDF)は安全かつ簡便に施行可能であり,多彩な有効性を期待できるので第一選択となっている.またCHDFは液性因子を効率よく血中より除去することが可能で,重症急性膵炎や肝不全など腎不全以外の疾患にもその適応が拡大されてきている.
  • 斎藤 明
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1323-1328
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    これまで本邦における在宅透析は主に1施設のみで実施されてきた.希望者は完全社会復帰を願う人,離島・僻地に居住する人に限られていた.介助者とともに4週間の訓練を受け,病院より貸与された透析機を用いて治療をした.介助者は全て家族であった.米国ワシントン州では,家族以外の介助者を養成し,高齢者の在宅血液透析をも可能にしている.介助者には介助料が支払われている.患者への支援システムと共に1人でも簡便に,安全に使える透析機の開発が望まれる.
  • 中山 昌明, 川口 良人
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1329-1334
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Continuous ambulatory peritoneal dialysis (CAPD)療法は,我が国においては1980年より開始された在宅透析療法の一つである.基本的に連続的な浄化療法であり,血液透析とは異なる利点を有していることから患者数は漸増し,現在では,末期腎不全療法に対するCAPD療法の地位は確立されたと言える.しかしながら,患者数の増大と治療期間の長期化に伴い,現在,様々な問題点が新たにクローズアップされつつある.本稿では,末期腎不全対策におけるCAPDの位地づけと将来について我々の考えを述べる.
  • 酒井 謙, 長谷川 昭
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1335-1340
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    末期腎不全の抜本的対策としての腎移植は優れた免疫抑制薬の開発や移植施設の長年の苦労の上に培った臨床技術の向上によりその成績は確実に改善した.今後の課題は献腎移植数の絶対的増加と,長期生着に向けた拒絶反応の克服や長期合併症の対策であろう.また移植後に経時的に観察しうる再発腎炎の研究を通して,腎炎そのものの発症メカニズムの解明に至ることが今後期待されるべき分野である.
  • 成清 武文, 青木 隆幸, 本多 恵, 大西 修二, 師岡 公彦
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1369-1371
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は37歳女性.発熱,頭痛に続き項部硬直,意識障害が出現.血清寒冷凝集素価および血清マイコプラズマ抗体価上昇よりマイコプラズマ髄膜脳炎と考えミノサイクリン,クリンダマイシンの投与を行い症状軽快した. polymerase chain reaction(PCR)法により髄液からMycoplasma pneumoniaeを検出した.同病原体による髄膜脳炎は成人では稀であり,髄液からの分離培養も困難とされている.原因不明の中枢神経系感染症においてはMycoplasma pneumoniaeは考慮すべき病原体と考えられた.
  • 中岡 大樹, 杉本 利嗣, 置村 康彦, 千原 和夫
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1372-1373
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は78歳女性.長期にわたりsaccharated ferric oxideの静脈内投与を受け,下肢の骨痛が出現した. ALP・フェリチン高値,低P血症,尿細管P再吸収率の低下,骨密度の低下および骨シンチでの両足首・腰椎・肘関節に強い集積も伴っていた.鉄剤投与前の生化学データがほぼ正常であり,鉄剤による骨軟化症と診断した.経過観察にて血中P・腰椎骨密度は急速に改善し, ALP・フェリチンは緩徐に低下した.
  • 鹿間 幸弘, 片桐 忠
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1374-1375
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は28歳,男性.感冒様症状後,口唇ヘルペスに罹患.その後右三叉神経障害,両側顔面神経麻痺,下肢の末梢神経障害をきたし入院した.単純ヘルペスウイルス感染後の免疫学的機序を介した多発性脳神経炎,末梢神経障害と考え,ステロイドで加療し,治癒に至った。類似の症例は稀であり,報告した.
  • 多田 圭希, 村上 重人, 井上 智雄, 里井 重仁, 井上 冬彦, 永山 和男, 田中 照仁
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1376-1378
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は47歳の男性.両肺に転移性肺腫瘍と思われる多発性小結節陰影を認めた.他臓器に原発巣がないため開胸肺生検を施行したところ, 13年前に切除したエナメル上皮腫の組織所見と一致したため,悪性エナメル上皮腫の肺転移と診断した.本症例は肺転移と診断してから約2年後の現在まで病変の進行が極めて緩徐である点が特徴的であった.
  • 内田 裕子, 高林 克日己, 縄田 泰史, 大石 嘉則, 稲葉 元子, 北 靖彦, 倉沢 和宏, 岩本 逸夫, 齋藤 康, 松村 竜太郎
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1379-1381
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は41歳,女性.血小板減少などから全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus: SLE)と診断後,嘔吐・下痢が続いた.腹部超音波検査にて両側の水腎症を認め,膀胱生検にて間質性膀胱炎の所見があり,ループス膀胱炎と診断し,副腎皮質ステロイドの投与で改善した.本症例は膀胱症状のない,早期に診断,治療しえたループス膀胱炎の一例と考えられる.
  • 横崎 宏, 田原 榮一
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1382-1387
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    遺伝性非ポリポーシス大腸直腸癌(hereditary non-polyposis colorecatal cancer, HNPCC)は,家系内における若年発症性の右側に好発する大腸癌とともに,子宮体部,胃など大腸以外にも癌が多発する常染色体優性遺伝疾患である. Amsterdam minimal criteriaにより集積された本症の腸瘍は,分子生物学的にゲノム内のマイクロサテライトと呼ばれる単純繰り返し配列において,しばしば複製異常を示すという特徴的な表現形質を有する.近年,その原因としてhMSH2, hMLH1などのDNAミスマッチ修復系遺伝子の生殖細胞変異が確認され,本症の遺伝子診断ならびに保因者の発症前診断への道が開けた.さらに,ミスマッチ修復系遺伝子異常の標的として,マイクロサテライト配列を有したTGF-βII型受体遺伝子等の遺伝子群が明らかになりつつあり,大腸発癌メカニズムの解明に新たな展開をもたらしている.
  • 小林 茂人
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1388-1394
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    反応性関節炎(reactive arthritis)は正確には,微生物感染後に起こる無菌性の関節炎を意味するが,今日,欧米では不全型を含めたライター症候群(RS)に使用されている.本邦ではHLA-B27保有率が少ないため,反応性関節炎は少ないとされている.しかし,最近,連鎖球菌感染に伴う新しい反応性関節炎が報告された.筆者らは,扁桃炎に伴う反応性関節炎の症例を経験した.その特徴は,反復性の扁桃炎に伴い無菌性関節炎が生じ,多くの症例は扁桃の陰窩膿瘍に起因した反応性関節炎(いわゆる病巣感染)であった.この反応性関節炎は連鎖球菌以外の細菌でも生じること, HLA型はB39やB60を有する症例が多いこと,関節炎は抗生剤または扁摘によって消退することなどが明らかになった.本疾患では他のリウマチ性疾患と混同されることも多く,関節炎の診断・鑑別には本疾患も常に考慮することが重要である.
  • 小川 聡
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1395-1401
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    不整脈の発生機序の解明が進んできたことと平行して,抗不整脈薬の分子レベルの作用機転が明らかになってきたことによって,従来の経験的抗不整脈療法に代わる新しいアプローチが可能となってきている.さらに20種類以上にものぼる抗不整脈薬が臨床応用されていることも各不整脈毎の適切な薬剤選択を可能にしている.こうした背景があって, Sicilian Gambitによる新しい治療戦略が徐々に臨床の現場に浸透してきている.
    本稿では,わが国における不整脈治療の現況を紹介した上で,これまで広く用いられてきたVaughan Williams分類に基づいた経験的薬剤選択の問題点をあげ,さらにSicilian Gambitの新しい概念をいかに臨床応用していくかについて論ずる.
  • 松田 暉, 福嶌 教偉
    1998 年 87 巻 7 号 p. 1402-1410
    発行日: 1998/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    臨床での同種同所性心移植の第一例は今から約30年前の1967年12月3日にBarnrdによって行われた.その後,成績は低迷し症例数も伸びなかったが, 1982年にサイクロスポリンが免疫抑制剤として応用されて成績が飛躍的に向上した.現在欧米では心移植は末期的心不全患者の外科治療法として確立している.一方,我が国では,長年の臓器移植に対する不信感のために国民の合意が得られるのに時間を要し,「臓器の移植に関する法律」が施行されたのはつい1997年IO月16日のことである.現状では臓器移植の機会はかなり限られるであろうが,今後我が国においても,この治療は着実に歩みを進めるものと考える.ここでは,心臓移植の歴史,臓器移植に関する法律の成立までの過程,心臓移植の適応基準,我が国における適応患者の数的評価,心臓移植患者の日本臓器移植ネットワークへの登録方法,心臓移植の概要と,欧米における心臓移植の成績について述べることにする.
  • 1998 年 87 巻 7 号 p. 1436
    発行日: 1998年
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
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