色素異常症は,色素増強症,色素脱失症,異物沈着症に分類される.色調変化をともなう皮膚疾患は多岐にわたり,色素異常症との鑑別診断が求められる.鑑別すべき疾患のひとつに色調変化をともなう母斑・母斑症がある.本稿では,母斑・母斑症における色調変化の発症機構について最近の知見を整理したい.
マウスの多数の毛色の変異体の遺伝子に加え,GWAS(ゲノムワイド関連解析)によるヒトの毛色関連遺伝子やvitiligo(尋常性白斑)の原因遺伝子の解析が進んでいる.今後,これらの手法で同定された遺伝子を含め,pigmentation(色素化)に関連するすべての遺伝子の機能の詳細を培養細胞やモデル動物を用いて明らかにすることで,色素異常症の全貌と有効な治療法が確立されていくと考えられる.
過去10年間に当科で手術した基底細胞癌の病理組織標本を用いて,術前に設定した側方マージンと病理組織標本上の側方切除断端から腫瘍境界までの距離差を測定値としてヒストグラムを作成し,2 mm,3 mmマージンでの予測断端陰性率を算出した.全腫瘍におけるヒストグラムでの予測断端陰性率は2 mmマージンで95.3%,3 mmマージンで98.2%であった.本研究により,低リスク群では2 mm,高リスク群のなかでも境界不明瞭や無色素性の腫瘍,aggressive pathology typeでは3 mm以上のマージンで高い側方断端陰性率を得られることが示唆された.
本邦では,医療費削減政策と,ヒトでの有効性評価が必須でないため,ジェネリック外用剤の市場占有率が増大している.我々はヘパリン類似物質含有保湿クリーム(水中油型)が基礎発汗を誘導し角層水分量を増加させることを見いだした.そこでヘパリン類似物質含有保湿クリーム後発品の保湿効果をimpression mold法で基礎発汗能を含めて先発品と比較した.後発品は角層水分量が増加せず,基礎発汗が同等に増加しなかった.保湿外用剤後発品の薬効評価は,角層水分量,基礎発汗誘導能などヒトでの複数の生物学的同等性試験で評価する必要があると考える.