日本皮膚科学会雑誌
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110 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 塩原 哲夫
    2000 年 110 巻 2 号 p. 129-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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  • 浅野 真里, 河 陽子, 伊東 優, 小野 裕剛, 溝口 昌子
    2000 年 110 巻 2 号 p. 135-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
    ジャーナル 認証あり
    メラノサイトは神経冠細胞(netural crest cell,以下,NCCと略す)由来の細胞である.Stem cell factor(SCF)/c-KTTとendothelin-3(ET-3)/endothelinreceptor B(ETRB)の情報伝達はメラノサイトの分化に重要な役割を果たす.しかし両者の相互作用とその時期など不明な点が多い.そこでSCF存在下でのET-3の作用を知ることを目的に,妊娠9.5日C57BL/6マウス由来のNCC培養系を用い研究した.また,ET-3とともにET-1も検討した.SCF単独添加群(SCF群),ET-1またはET-3単独添加群(ET-1群,ET-3群),SCF+ET-1群,SCF+ET-3添加群,無添加群の6群でメラノサイトの増殖・分化を検討した.抗c-KIT抗体による免疫染色とDOPA反応を行い陽性細胞を数えた.c-KIT陽性細胞は培養3日目までに全ての群に検出され,無添加群ではそれ以降は検出されなかったが,ET-1およびET-3群,SCF群では日を追うごとに増加し,SCF+ET-1およびSCF+ET-3群では,さらに有意に増加した.DOPA陽性細胞は無添加群ではほとんど出現しないがSCF群では9日目にプラトーとなる増加を示し,ET-1およびET-3 群,SCF+ET-1群およびSCF+ET-3群では,日を追うごとに増加し,特に後者では著増しメラニン色素をもつメラノサイトが多数出現した.以上の如くET-1またはET-3はSCFと相乗的にメラノサイトの増殖・分化を促進しメラニン色素を持つメラノサイトを出現させることが判明した.また,抗ETBレセプター抗体による免疫染色で,NCC培養系に出現する上皮様シートとNCCにレセプターの発現がみられ,ET-1およびET-3はETBレセプターに結合し作用すると考えられる.以上の培養系に抗SCF抗体を加えるとc-KIT陽性細胞は出現せず,抗ET-1抗体及び抗ET-3抗体の添加ではわずかながらc-KIT陽性細胞が出現した.以上の結果はメラノサイトの増殖・分化にはSCFは必須であるがET非依存性のc-KIT陽性細胞があることを示している.In vivoの胎生期のET-1の作用は不明であるが今回のin vivoの系ではET-1もET-3と同様に幼若なメラノサイトに作用すると考えられる.
  • 足立 準, 青木 敏之, 遠藤 薫, 吹角 隆之, 森本 圭子, 江国 豊, 中川 智詳, 中筋 孝史
    2000 年 110 巻 2 号 p. 145-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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    本人あるいは夫,または上の子にアトピー性疾患の既往を有する妊婦(母親)104人を母親の自由意志で,2群に分け,卵の厳しい制限(制限群46人)と緩やかな制限群(非制限群58人)のいずれかに参加してもらった.湿疹の検査は,生直後,生後4ヵ月,8ヵ月で行った.また,血中IgE抗体検査も同時期に(生直後は臍帯血)行った.出生後8ヵ月まで追跡できた母子86組(制限群35,非制限群51)につき,授乳期間中の卵除去と児の湿疹,喘鳴発症の有無,卵白および牛乳特異IgE抗体との相関を検討した.家族のアトピー背景因子では,卵制限群の母親にアレルギー性鼻炎の既往が若干多かった(p<0.05)以外に統計学的有意差は認められなかった.湿疹は生後8ヵ月までに制限群が35人中18人(51.4%),非制限群が51人中28人(54.9%),喘鳴は制限群に3人(8.6%),非制限群に3人(5.9%)認められたが,いずれも両群間に統計的有意差は認められなかった.各時期(4ヵ月,8ヵ月)における卵白および牛乳特異IgE抗体陽性率にも両群間に統計的有意差は認められなかった.
  • 佐伯 圭介, Teky Budiawan, 松岡 正典, 和泉 眞藏
    2000 年 110 巻 2 号 p. 153-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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    ハンセン病は,流行国においても多剤併用療法(multidrug therapy=MDT)が普及したため登録患者数は減少しているが,新患数は殆ど変化していない.われわれはこの理由を解明すべく,世界第3位のハンセン病流行国であるインドネシアにおいて,ハンセン病が多発するマルク州北マルク県の4ヵ村で皮膚科学的検診を行い,同時に①鼻腔表面からの塗抹標本(鼻腔スワブ)と②血清を採取し,併せて生活用水の水源を調査した.その結果,4ヵ村のいずれにも約4人に1人の健康住民の鼻腔かららい菌遺伝子が検出された.このことから,濃厚流行地では空気中にらい菌が存在して,それがらい菌の感染源となっている可能性が示唆された.ハンセン病制圧には現行の早期発見とMDTだけでは不充分で,発病危険者を事前に発見し予防投薬を行う等の新しい予防手段の開発が緊急の課題と思われる.
  • 井上 多恵, 米田 耕造, 谷田 宗男, 窪田 卓, 岡田 理, 真鍋 求, 出光 俊郎
    2000 年 110 巻 2 号 p. 161-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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    メルケル細胞癌の腫瘤が完全に退縮し,治癒した稀な症例を2例経験したので,部分退縮2例と併せて,症例の概略を報告する.症例1は77歳,女.症例2は83歳,女.症例3は74歳,女.症例4は58歳,男でいずれも顔面の紅色結節および皮下結節を認めた症例であった.症例4では頸部リンパ節に転移を伴っていた.組織所見では全例で細胞質に乏しい小型,類円形の核を持つ異型細胞が,真皮から皮下にかけて索状.ないしは結節状に増殖していた.腫瘍細胞の免疫組織化学的所見ではNSEが3例(75%),サイトケラチン20が2例(50%)に陽性であった.また,電顕的には全例に直径100nmから200nmの有芯顆粒を認めた.生検後に症例2と症例3ではそれぞれ2年後,および3年後に腫瘤が完全に退縮し,また,残る2例も生検後,1ヵ月後および2ヵ月後に部分的に退縮した.生検後,完全に退縮した2例のうちの1例では初診から4年を経ても再発や転移はない.また,1例は完全に退縮した後,2年4ヵ月間生存し,肺炎で死亡した.部分退縮の2例はいずれも腫瘍摘出術および放射線治療を施行したが,再発,転移はなく,現在も症例1は術後23ヵ月,症例4は術後22ヵ月生存中である.
  • 柳田 淳美, 室 慶直
    2000 年 110 巻 2 号 p. 171-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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    皮膚筋炎における数少ない特異的な自己抗体である抗Mi-2抗体についての報告は欧米では散見されるものの,本邦では同抗体陽性の皮膚筋炎患者の詳細な報告は現在までされていない.我々は抗Mi-2抗体が検出された皮膚筋炎を経験し,抗Mi-2抗体陽性と陰性の皮膚筋炎の臨床症状を比較検討した海外での報告に自験例を照らし合わせた.抗Mi-2抗体陽性の皮膚筋炎患者が欧米に較べ本邦に少ないことはHLAの人種間格差によるものと考えられるが,予後良好な典型的皮膚筋炎の特異マーカー抗核抗体としての抗Mi-2抗体の意識が日本人の本症例においても確認された.
  • 原 尚道, 増澤 幹男, 山口 京美, 神崎 俊一, 新山 史朗, 長瀬 彰夫, 饗場 伸作, 新井 達, 勝岡 憲生
    2000 年 110 巻 2 号 p. 177-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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    68歳,男.前頭部に斑状,一部潰瘍を伴う悪性血管内皮細胞腫を認め,rIL-2/LAK養子免疫療法と小範囲外科的切除を施行した.9ヵ月間局所再発がなく,切除部の頭皮再建術を行った.術後,原発巣とは異なる後頭部に潰瘍を形成し,露出した骨表面には悪性血管内皮細胞腫が新生した.腫瘍は骨破壊性に増殖し,rIL-2の局注・静注・動注,骨切除を行うも効果なく,頭蓋骨を浸潤貫通した.頭蓋内圧亢進症状に対してステロイドを投与したところ,腫瘍の縮小,増殖抑制効果が得られた.自験例は,悪性血管内皮細胞腫に対するステロイド療法の可能性を示唆するものと考えた.
  • 山根 謙一, 尹 浩信, 矢澤 徳仁, 久保 正英, 菊池 かな子, 相馬 良直, 竹原 和彦, 玉置 邦彦
    2000 年 110 巻 2 号 p. 183-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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    Progressive Systemic Sclerosis sine Scleroderma(以下sine scleroderma)と考えられた症例を経験したので報告する.症例は70歳,女性.レイノー症状と食道逆流症状の増悪を主訴に当科受診.爪郭部出血点(NFB)を認めた以外に,強指症や近位皮膚硬化,び漫性色素沈着,舌小体短縮,手指屈曲拘縮,指尖部虫喰瘢痕など強皮症に伴う皮膚所見を認めなかった.抗細胞質抗体及び抗SS-A抗体陽性.前腕伸側の皮膚病理組織像では真皮膠原線維の膨化・増生を認めなかった.全身検索にて肺線維症,逆流性食道炎,食道蠕動能・食道括約筋収縮能低下,肺高血圧症を認めた.通常の汎発性強皮症は特徴的な皮膚硬化の存在によって診断可能であるが,sine sclerodermaは皮膚硬化を欠くため診断が困難である.自験6例について解析するとともに,現在まで報告されているsine sclerodermaの臨床症状の特徴をまとめた.
  • 2000 年 110 巻 2 号 p. 189-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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