日本皮膚科学会雑誌
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92 巻, 2 号
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  • 高橋 博, 長尾 貞紀, 飯島 進, 春山 秀城
    1982 年 92 巻 2 号 p. 91-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    定型的 Pseudoxanthoma elasticum (PXE)に続発したと思われる Elastosis Perforans serpiginosa(EPS) の34歳男子例を報告した. PXE の皮膚病変部にみられた異常線維様物質は病理組織学的倹索から Ca 沈着を示す弾力線維であり,このことは電顕的ならびに X 線分析所見からもうらづけられた.また EPS 部の電顕的観察から,真皮内弾力線維の経表皮性排除過程を検討した結果,1)表皮細胞間隙を通じての排除,2)ケラチノサイトの貧食(?)による排除,および,3)マクロファージによる排除の3つのルートが考えられた.
  • 片岡 和洋, 山田 悟, 土岐 尚親
    1982 年 92 巻 2 号 p. 103-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    Cryoglobulinemia 患者血中における kallikrein-fcinin 酵素系の活性化機構について検討した.患者血漿中の Cl-Inhibitor(Cl-INH) の量はおおむね全経過を通じて,正常人に比してかなり高値に推移したが,症状の軽重に応じて極端に変動し, Cl-INH の著減が kallikrein-kinin 酵素系の活性化さらには病像の悪化を招来するとの結果が得られた.この事より cryoglobulinemia における Cl-INH の増量とは kallikrein-kinin 酵素系の活性化を抑制すべく合目的な現象であると考えられた Cl-INHの著減の因をcryoglobulinの析出という現象との関連性より検討した.可溶性cryoglobulinは寒冷に際して不溶性となり析出するが,その過程でCl-INHを吸着する・この事により Cl-INH が血漿より除かれ著減する事が明らかとなった.不溶性 cryoglobulin は kallikrein-kinin 酵素系の活性化を一方で引き起こすが,その機構とは,cryoglobulin による Hageman factor の活性化に引き続く二次的な prekallikrein 活性化の機構であることが判明した.
  • 麻生 和雄, 近藤 慈夫, 渡辺 修一
    1982 年 92 巻 2 号 p. 115-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    4歳,男児.掌跳,頚部を除く全身に米粒大の黄赤褐色の丘疹が多発し,組織学的には表皮直下における組織球の浸潤であり,泡沫細胞および巨細胞を認めず,脂肪染色陰性であった.諸検査で特に異常を認めず又内臓病変もなかった.皮疹は約2年間の経過観察で自然治癒傾向を示し,約 80% は消極した.本例はWinkelmann 及び Muller が提唱した Generalized eruptive histiocytoma (GEH) に相当すると思われ,報告した.又他の組織球性疾患との鑑別を行なった.
  • 中野 和子, 浅井 芳江, 濱田 稔夫
    1982 年 92 巻 2 号 p. 121-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    15歳,男.生下時より右手掌,指腹に画皰様角栓と小陥凹のみられた症例について報告した.臨床的には面飽母斑に類似するが,組織学的には異常に拡大した表皮内汗管であって,これに皰形に parakeratotic な角栓形成が認められた.普通,面皰母斑は毛包由来で毛包の発育異常とされており,自験例の如く sweat duct 由来が明らかな場合は,その由来を附記した名称がより適切であると考えた.併せて sweat duct naevus (Marsden) porokeratoticeccrine ostialand dermal duct naevus などとの類似性について考察を加えた.
  • 安江 隆
    1982 年 92 巻 2 号 p. 127-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    SLE 患者ならびに SLE 様症状を有する膠原病患者計8例にみられた環状紅斑につき,皮疹形態学的,病理組織学的,免疫組織学的ならびに免疫血清学的検索を行った.その結果,これらの環状紅斑が, 1) SLE患者にみられる蕁麻疹様環状紅斑で,組織学的には多核白血球浸潤と核塵を伴った血管炎が認められ, Lupus BandTest が陽性で,低補体があり,いわゆる補体減少性血管炎性蕁麻疹に一致する特徴を示す蕁麻疹様紅斑型,2)SLE 患者にみられ,皮疹的にも組織学的にもダリエ遠心性環状紅斑(EAC)に酷似している EAC 型,3)シェーグレン症候群(sjs)の女性患者の顔面に好発し,辺縁に鱗屑,蕁爛,痴皮を認めることがあり,組織学的には真皮の血管,付属器周囲性の主としてリンパ球からなる例密な細胞浸潤が認められるのが特徴のSjS型,4) SjS様の臨床症状,検査所見を示す男性患者で認められ,組織学的にもSjS型と似ているが,主に躯幹上部に好発し,一見頑癬様である Auto-immune annularerythema 型に分けられることがわかった.
  • 谷口 芳記, 清水 正之, 浜口 均, 小林 透, 仮谷 嘉晃
    1982 年 92 巻 2 号 p. 139-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    ATL 2例(症例1.躯幹,下肢に浸潤性紅斑を有する74歳男性,宮崎県出身.症例2.全身に米粒大丘疹を有する59歳女性,和歌山県新宮市出身)について皮疹部と末梢流血細胞を電顕的に観察した.両症例とも真皮浸潤細胞,真皮血管内皮細胞にtubuloreticular structure(microtubular structure)を見い出した.さらに症例1では末梢流血中の異型細胞に,症例2では汗管上皮細胞内にも同様の構造物をみとめた.地域集積のある ATL とこの構造物について若干の考按をくわえた.
  • 下川 優子
    1982 年 92 巻 2 号 p. 149-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    皮膚悪性リンパ腫37例(うち菌状息肉症17例)の末梢血およびリンパ節,皮膚腫瘤からの遊出細胞を用いてマーカー検索を行った.マーカーとしては E ロゼット,IgG-EA ロゼット, double ロゼット(T7細胞), S-Ig(表面免疫グロブリン)を用いた. 菌状息肉症の腫瘍細胞は全例Eロゼット形成能を有し,T 細胞タイプと思われ,その他の皮膚悪性リンパ腫では2例のみ S-Ig 陽性を示し,B 細胞タイプ,18例が T 細胞タイプを示した. Tγ 細胞由来と思われる腫瘍はなかった.腫瘍細胞の経時的検索において,マーカーは抗癌剤の使用にもかかわらず不変であった.
  • 森嶋 隆文, 斉藤 真理子, 藤田 光枝, 深田 栄俊, 長島 典安, 花輪 滋
    1982 年 92 巻 2 号 p. 157-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    蛍光法(Falck & Hillarn)で観察される黒色腫細胞が発する特異蛍光の起因物質を明らかにするため,また黒色腫患者尿中の CD 各異性体の供給源を解明するために,黒色腫病巣内の CD 各異性体・DOPA の含有量を HPLC で測定し,次の結果をえた. 1) CD の総量が,DOPA 含有量に比して圧倒的に多く,蛍光起因物質の主役は CD の存在によると考えられた. 2) CD の総量に対する各異性体の百分率(x±S.D・%) は 5-SCD80.34±1.75, 2-SCD 11.06±1.91, 2.5-S.SCD 6.27±1.43, 6-SCD 2.33±0.61 であった.3)上記百分率は原発巣と転移巣,原発巣の病型間に差はなく,一定の比率を示す.
  • 1982 年 92 巻 2 号 p. 184-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
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